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「――ひぁぁ?! 痛い! 痛いってば~っ!!」

「無茶して突っ込むからだよ。ほら、女の子なんだから我慢我慢」

「それを言うなら『男の子は』だよ師匠・・・」



逃げる途中でとうとうバレッタを落としたのか、
マルーの髪は風にさらされて好き勝手になびいていた。
当の本人は、師匠と呼んでいる聖職者の青年に治療をうけている。


ダンジョンの中で見た傷は浅いものかと思っていたが、
無理をしていたのか治すのに時間がかかっていた。

ローブをきた青年が少女の傷に手をかざすと、
淡い光があふれ、傷跡も徐々に消えていく。
それでもまだ痛みは残っているのか、顔をしかめて唸っていた。




それを横目で見ながら、外で無事に合流できたリンファと話していた。
何故か傷一つないリンファに、愚痴の一つでもこぼしている最中だ。


「それで? 何考えて自分達の力量以上の狩場にくるかな?」


少し不機嫌さを伝える声音で、軽くリンファを睨んでやる。
しかし彼女はいつものように。軽く笑って流してしまう。


「ジル兄、一人でばっかり狩ってたら寂しいだろうと思って~」

「誰が寂しいか!!!」


こっちは軽傷とはいえ怪我までしたのに、こんな理由とは・・・
ぴんぴんしてるリンファを見ると、残った自分が少し馬鹿らしくなって泣きたくなった。


「大体、俺を見つけられなかったらどうするつもりだったんだ?」


リンファはともかく、マルーは途中で倒れたに違いない。
すると彼女はやっぱり笑いながら、


「絶対見つけるって自信あったから♪」


根拠のない自信たっぷりに言い切ってくれた。
呆れて物も言えなかったが、リンファがすぐに真面目な表情で言葉を足す。


「さっき残ってくれてありがとね」


見捨てられなくて嬉しかったと言うから、仲間だしと返した。

そう言ったら、リンファが軽やかに微笑んだ。
いつものようにでなく、優しい笑い方だった。



後でマルーに聞いたら
『仲間』だとちゃんと思ってくれてた事が嬉しいらしかった。






「さて、これからどうしますか~??」


いつもの調子で明るい声で。
リンファが悪戯っぽく笑いながら問い掛ける。


「俺は矢の補充したらまた行くけど」


まだ陽も高いし、もう一度行って戻るぐらいはできるだろう。
しかし一人で行こうという自分の考えは即座に却下された。


「一人なんてダメダメ~♪」

「え?」


リンファがウインクしながら、顔の前で指を振る。


「久しぶりに皆集まったんだし」

「自分も一緒に行きたいかな?」

「え? ちょっと・・・?」


マルーと師匠がいそいそと用意しだす。


『さ、何処に行こうか??』

「・・・・・・・・おぃ」


3人の揃った声と視線に、反対できない雰囲気に・・・
そう思う間もなく、怪力娘にしっかりと腕を捕まれていた。


諦めてふぅ~っと大きな溜め息をつきながら、



「しょうがないなぁ」


目を瞑りながら天を仰ぐと、3人の喜びの声が耳に飛び込んできた。


たまには。


そう、たまには。



「仲間と一緒に狩りに行くのも、悪くないかもな」



そう自分を納得させながら、狩場について会話に参加する。
久しぶりに会う仲間に、胸中ではやっぱり、ほんの少し、




――嬉しかったかもしれないけれど。




最終更新:2009年01月25日 23:17