アットウィキロゴ
寝落ちの君



「さっきからどうにも静かだと思ったら・・・・また、か」

目の前で寝こけている銀髪の女性を囲みながら、3人組がため息をつく。

「どうしていつもいつも、同じ事を繰り返すんだ?」

ハンターの青年が眉間に皺をよせ、目を瞑りながら唸ると、

「眠くても、ギリギリまで頑張っちゃうからね」

聖職者のローブを着た青年が、諦めを含んだ声で肩を落とした。

「眠いなら先に休めばいいんだよ。疲れてるのはわかってるんだから」
「素直に先に休むような性格の人じゃないでしょ?」
「それはそうなんだが・・一度寝たら、まず朝まで確実に起きないしなぁ」

眉間の皺をますます深くして不機嫌になる青年と、
すやすやと寝息を立てて机につっぷしている女性を見ながら、

「とりあえず、風邪ひいちゃうから部屋まで運ぼうよ」

剣士の娘が明るく言った。






「――と、いう話なんですよスラさん」

モロクの街にある鍛冶屋。仲間の鍛冶師が住んでいるところに
暇を持て余した数名が集まっており、ジーベルの愚痴をきいていた。

「リンさんは寝落ちの女王だからねぇ」
「まったく、いくら言ってもきかないから困りますよ」

仕事の合間合間にスラッシュが相槌をうつ。
あまり真面目に話をきいてくれているようにはみえない。

愚痴を吐き出したいだけなので、返事には期待はしなかったが、

「リンさんは寂しがりなとこがありますから」

きっと皆さんと長く一緒にいたいんですよ、と。
真面目を絵に書いたようなエルクが、真剣な顔で返してくれた。

「それに、責任感が強いですから。リーダーだから、最後までいなくちゃって」

自分だけ途中でいなくなっては後の事が心配になる。
できるだけパーティ内の事は把握しておきたい。
皆との円滑な交流の為に、そういう気持ちもあるのだろう。

「でも頑張りすぎてたら、その内、身体壊して倒れるぞ」

仏頂面のジーベルの台詞に、エルクとラセツが顔を見合わせる。

「結局ジルさんは、リンさんのことが心配だから愚痴が出るんですよね」

ラセツが笑うと、照れ隠しなのかジーベルがゴホンッと大きく咳をした。




最終更新:2009年01月25日 23:21