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静波

静波とは、ライトノベル作法研究所の利用者。

人物

 気さくな印象を受ける、確かな実力者。
 しかし、居座って欲しい人ほどさっさと出ていくラ研に置いて、氏の姿を見かけることは二度とないかもしれない。

作品

 『沢渡さんは暗号少女』
 後編の得点で、感想投稿人数14人、総得点600点、平均42点を記録。
 高得点入りである。
 しかし、2011年度のSD新人賞投稿予定作のため、高得点所への掲載は控えられた。

感想人

 氏は、いくつかの感想を残しており、
 的確かつ作家志望者への参考になるであろうと独自に判断したので掲載させていただく。

はじめまして、静波と申します。作品を拝読させていただきましたので、未熟者の身ではありますがいくつか感想を残していこうと思います。


◆面白かったかつまらなかったか
うーん………………、というのが、読み終えてすぐの正直な感想です。
これまでのレスを見る限り、作者様もご自身の弱点についてはご理解なされているようですので、あえて言葉を選ばずに述べさせていただきますと。

この小説は、売れないと思います。

先に言っておきたいのですが、技術的にはあまり問題はありません。
展開に無理矢理な点はありませんし、キャラクターの心情もほぼ全員理解できますし、適度に貼られた伏線はきちんと消化されていますし、作者視点から見れば「おおっ」と唸るような描写もところどころに見受けられ、作者様の筆力は十分なものであるとお見受けしました。
じゃあ何が問題だったのかというと、読者視点から見た場合、この作品には「売り」がまったく感じられなかったということです。
とにかく個性がないのです。物語構成、キャラクター、世界設定、たしかにそれなりの水準でまとまってはいますが、どれもどこかで見たことのあるようなものばかりなんですよね。終始に渡ってそんな感じでした。突き抜けたものがなかったと言い換えてもいいです。
ネットで小説を書くならそれでもいいです。でも新人賞を狙うならそれじゃダメだと思うんですよ。僕たちが目指そうとしているのはアマチュアの世界じゃない。その一段上にあるプロの世界なんです。その中で生きていくなら「自分だけの武器」がなければたちまち埋もれてしまうと僕は思っています。


◆具体的な理由について
まず物語の内容をそのまま説明しただけのタイトルに始まり(探偵ものだと思ってクリックしたら魔法学園ものでびっくりしました)、作中の魔法設定も「マナ」「魔方陣」「魔術式」「ゴーレム」など手垢のつききったアイテムであるにも関わらずわざわざ説明の時間を割き、ラストバトルでようやく盛り上がりに向かっていったかと思えば拍子抜けするくらいあっさりとラスボスがやられてしまう。
本屋に行ってライトノベルの棚の目の前に立ったとき、あらすじと表紙をぱっと見ただけで「ああ、これは微妙だな」ってなんとなくわかる作品ってありますよね。僕にとってはこの作品がまさにそれでした。
本屋の棚に行けばまだいいのですが、これはおそらく新人賞の原稿の山の中でも同じ理由で埋もれてしまうと思います。プロの原稿をいくつも抱えている編集者が、プロに勝っている要素がひとつもない作品をわざわざ手に取る理由がありません。
せめてタイトルだけでも目を引くものに変えたほうがいいと思います。タイトルは作品の看板です。看板に興味を持ってもらえなければ、店の中にも入ってもらえません。
加えて、すでに世の中に溢れている魔法学園ものであえて勝負しようというのなら、もっと独自の世界設定を用意しないと厳しいんじゃないでしょうか。
もちろん他の要素で勝負してもいいです。魔法設定はエッセンス程度であっても、もっとミステリー要素を強めるとか、ラブコメの要素を強めるとか、なんでもいいと思います。

先にも述べましたが、作者様の筆力は確かなものだと思います。下地さえできていれば確実に面白いものを書けるはずです。がんばってください。


◆最後に
作者様コメントの質問に対して回答いたします。

1.構成はどうか?
主人公が二人、という構成は良かったです。教師視点、学生視点から物語を俯瞰することができてよりわかりやすいものになっていたと思います。
ただし、四章での時系列逆行はちょっといただけませんでした。いえ、四章自体が悪いというわけではないのですが、挟み込むタイミングが悪かった。
三章で赤葉が体を乗っ取られ、読者的には盛り上がってきたところに説明メインの四章が挟まれる。おまけにその四章が地味に長いので、五章に戻ってきたときにはもう三章で感じた熱はすっかり失われてしまっています。せめて赤葉が体を乗っ取られる前にやっておくか、あるいは三人称視点なのですから変に推理要素を持たせずに時系列に沿って物語を展開させていったほうがいいんじゃないかと感じました。
さらに言うと(上でも述べましたが)五章があまりにもあっさりしすぎているので、ラストの失速感が半端ないです。ここをしっかり書くだけでもだいぶ物語の印象は変わってくると思います。

2.キャラクターは多すぎないか?
多くはなかったと思います。
ただし、いい味を出しているのに端役で使われた感のあるキャラはけっこういました。白柳とか、明らかに続編を意識したキャラクターですよね。
新井素子先生がスーパーダッシュの審査員を担当した際に「新人賞の原稿は完結した物語を送るべき」とおっしゃられていました。
続編を書ける可能性を残す、というのと、物語を完結させない、というのは似て非なるものです。本作はタイトルにもあるように「復讐者」の物語なのに復讐してないですよね。しかもそれがほとんど誤解のようなものだと作中で明記されてしまっている。仮に続編を書くにしても、これってどうなんだろうって思いました。

3.展開は遅すぎないか?
起承転結のタイミングはそれほど違和感を覚えるものではなかったと思います。ただし情報過多な印象は受けました。逆に展開を急ぐあまりに詰め込みすぎているんじゃないか、というのが個人的な感想です。

4.キャラの言動で疑問点はあるか?
特に見受けられませんでした。キャラの崩れもなく、終始一貫していたと思います。


以上です。かなり厳しめの意見になってしまいましたが、もちろん情報の取捨選択は作者様に一任いたします。
この感想が少しでも作者様の糧になってくれれば幸いです。長文乱文失礼いたしました。それでは。

はじめまして。静波と申します。
御作「殺し屋の夢」拝読させていただきましたので、未熟者ながら感想を残させていただこうと思います。


  • 良かった点
殺人鬼がターゲットを殺害する現場というありがちなワンシーンから始まってはいますが、そこから繋がる導入部はかなり良かったと思います。
そう思わせてくれた大きな要因は、人間描写が精巧であったこと。
父親を殺された智恵が現在の性格になってしまうまでの描写。そんな智恵を心底から心配している叔母の優しさ。初登場の段階ですでになんとも言えない気持ち悪さを漂わせている生徒会長の誠。このあたりのキャラクターの「確立のさせ方」とでも言うのでしょうか、その点がとても良かったです。
物語冒頭で大切なのは「この先どうなるの?」という期待を読者に抱かせること。風呂敷をゆっくりと用意していく物語の流れとも相まって、目を通し始めてからほとんど止まることなく最後まで読み進めることができました。


  • では、何が悪かったのか
上に挙げた良い点が、物語を追うにつれてほとんどすべて失われてしまったことです。こちらの抱いた期待はことごとく裏切られてしまいました。
まずキャラクターですが、「おまえそんなキャラだったの?」と突っ込みを入れたくなるような場面が多々ありました。もちろんここに挙げているのですから、ギャップ萌えとかそういった類のものではありません。
特に智恵の感情の揺れ動き方は首を傾げずにはいられないものでした。玲治がバイトでチェーンソーを使っていた、だからもしかして殺人犯なんじゃないか、ってあなたはエスパーですか。日常サイドと殺人犯サイドを交互に見せられている読者には納得できたとしても、日常サイドの住人である智恵がいきなりそう思うのは明らかにおかしいです。キャラクターは作者の理由で動かされてはいけません。まずキャラクターが動き、そこに作者が理由をつけていくものです。
あとは、まあ、人を好きになる理由なんていうのは十人十色さまざまですから、智恵がどういった理由で玲治を好きになろうと咎める権利なんてないのですが、作者にはそれを読者に納得させる義務があります。すいません、僕にはその理由がちょっとよくわかりませんでした。
加えて、わりと序盤で智恵に恋心を抱かせてしまったために、せっかく丁寧に作っている最中のサスペンスが非常に安っぽいものに見えてきてしまって、悪い意味でラノベの枠を出ないものになってしまっています。

そして最終的には人殺しになってしまった智恵ですが、この結末だと物語に狂気成分が足りていません。
なんというか、最後まで常識人なんですよね。全員が。
ラストもなんだかさらっと殺してあっさり日常に戻ってあたかもラブコメ風に締めくくってますが、こいつらがやってきたことを思うとどうにも納得がいきません。せめて仁美が死ぬくらいの代償がないとインパクトもありません。あとラスボス、もうちょっとがんばってください。あっさり殺されすぎです。
個人的には、「二人(玲治、仁美)と一緒にいたいから」という理由で殺人を犯させるよりも、智恵自身にも過去のトラウマによる殺人衝動を植え付けてやればよかったんじゃないかなと思います。そうすればラストに殺人を犯すことにも必然性が生まれますし、同類である玲治に惹かれることの理由にもなるんじゃないでしょうか。

僕の感想としてはそんなところです。一言で言うと「惜しい」作品でした。改稿を重ねればもっと良くなると思います。
読み終えてみれば不満点は多かったですが、最後まで一気に読むことができたという差し引きをした上で、今回は点数なしとさせてください。
もちろん個人的な意見ですので情報の取捨選択は作者様に一任いたします。乱文失礼いたしました。それでは。

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最終更新:2011年10月11日 20:01
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