この家はカイリューのようなサイズの大きいポケモンと暮らすために建てた家だと言ったが
風呂場はそれほど大きくない、なぜなら庭の近くに湖があるのでそこで水浴びさせれば済む話だからだ
「フィィ…」「チヒィィ…」
弱々しく鳴いている2匹のチビンネC&D
このままここで溺死させてやってもいいんだが、まだ楽しみたいので我慢だ
まずはCから洗ってやろう、丁度良い湯加減のお湯を洗面器に溜め、ぐったりとしているCを掴む
「ミッ…ミィィィ…!」
するとまた何か酷いことをされると思ったのか、弱った身体で必死に抵抗するC
Dも心配そうに見てるが、構わずお湯にCを入れてやる
「ミピィィィィィ!!……ミィ?」
お湯に浸かる瞬間大きな悲鳴を上げるC、だが感じられたのは苦痛ではなく心地よい暖かさのお湯
その後不思議そうな声を出すと「ミッミィ♪」と嬉しそうに鳴きながらお湯の中でバチャバチャしだした
「ミィ~♪ミュゥ~!」
石鹸でCの身体を満遍なく洗ってやると、くすぐったそうな声で鳴きながら体をクネクネと動かす
間もなくCの身体は綺麗なったので、次にDを洗ってやろうと手を差し伸べる
「ミッミィ~♪」
Cが綺麗に洗ってもらう姿を見て安心したのか、警戒する素振りもなく差し伸べられた手に身を委ねるD
「ミィミィ♪ミィ~♪」
Cが「綺麗にしてあげてね!」とでも言いたげな声で鳴く
Dも洗ってもらうのが待ちきれない様子でソワソワしている
だが俺はニヤリと笑い、Dをお湯の入っていない空っぽの浴槽に思いっきり投げつけた!
「ミッミィ♪……ビギャッ!!?」
可愛らしい鳴き声から一転して醜い悲鳴、Dはベチャッと浴槽の床に叩きつけられる
すかさずシャワーの勢いを調節するレバーを最大まで捻り、シャワーから勢いよく出る水をDに浴びせた
「ウミャアァァァァァァァァァ!!!!」
シャワーの水を浴びるとDは悲鳴を上げながらゴロゴロと浴槽の床を転がり、身体をかきむしるようにもがく
何故Dが苦しんでいるのかというと、シャワーから出ている水は触れば火傷しそうなほどの熱湯だからだ
容赦無くDに熱湯を浴びせ、苦悶の表情を見物する
「ミィィ!?ミィミィ!!?」
Cが困惑の声で鳴いている、Cの身長では浴槽の中は見えないため、何が起こってるのかわからないのだろう
そうこうしている間にシャワーから勢いよく飛び出す水流が、Dの汚れを大雑把にだが落としていく
大体の汚れが落ちたところでシャワーを止めてやると「ウミィィィ…」と鳴きながらDが浴槽に横たわっていた
Dを乱暴にひっ掴み、未だ状況が掴めていないCの傍に持っていってやる
「ミィィィィィ!?ミィ!ミィミィ!」
「ウミィ…」
毛はボサボサで汚れはまだところどころ残っており、Dの外見はとても見窄らしい姿だ
CはそんなDを見て驚いたような声で鳴くと「どうして!?」とでも言いたそうな顔でこちらを見てきた
自分は優しく洗ってもらったのに兄弟は乱暴に扱われ、酷い目に遭わされたのだ
希望から絶望に変わったCの表情がたまらなく愉快だった
俺はCとDの両方を掴むと、居間まで連れていきケージの中に放り込んでやった
するとケージの入り口の金網に手をかけ、こちらに向かって「ミィーッ!ミィーッ!」とCが鳴き出した
おそらく出してほしくて懇願しているんだろう、あるいはママンネに助けを求めてるのかもしれない
一方Dはケージの隅っこで鳴き出す気力も無く惨めそうに座っていた
Cの鳴き声は無視して、俺は飯の準備を始めた
しばらくしてふとCの鳴き声が止んだので、準備の途中だがチラリとチビンネ達のケージを見てみた
「ミィ…ミッミィ…」
「ミィ…」
CがDの汚れをペロペロと舌でなめ取ってやっている
そして励ますようにDに向かって鳴いているが、Dは落ち込んだまま僅かに鳴くだけだった
Cは優しくされ、自分が酷い目に遭ったのが相当ショックだったのだろうか?
そんなことを考えつつも飯が出来たのでテーブルまで運んでいく
「ミィ!」
すると飯の臭いに反応したのかCが鳴いた、期待の眼差しで飯を見ている
Dも同様に嗅ぎつけてCと並んで涎を垂らしながらこちらを見ていた
朝にオレンをやった以外には何も食わせていないから腹が減っているんだろうな
だが俺は気づかない振りをして、ボールからポケモン達を出して昼食を食べ始めた
「ミィーッ!ミッミィ!?」
自分達を無視して食べ始めた俺達を見て、Cが自分の存在をアピールするようにより強く鳴き出す
するとDも「ミッミィー!」と鳴いて自己主張を始めた
だが俺は当然無視した、ルカリオやゾロアーク辺りは耳障りそうに顔を歪めたが我慢してくれ、頼む
「ミィーッ!!ミッミッミッ!!」「ミィミーッ!!ミッミィ!!」
チビンネ達の鳴き声がさらに大きくなる、さすがにうっとおしいな…
「うるせぇ!!」
俺はそう叫んでチビンネ達のケージをドンッと蹴りつけた
チビンネ達は「ミピィ!?」「ミヒャア!?」とそれぞれ驚いて鳴き止んだ
「てめぇらにくれてやる飯なんかねーんだよ!そこでジッとしてやがれ!!」
そうやって怒鳴りつけてやると、チビンネ達は黙り込んでしまった
それでもなお涙を浮かべてながら懇願するようにこちらを見ている
俺はチビンネ達に背を背けて食事を再開した、やがて昼食食べ終えて片づけを始めると
「ミィミィ!ミッピィ!」「ミィ~ン…!」と最後にチビンネ達が再び鳴いてきたが
俺が無視して片づけをしているのを見ると、とうとう諦めたのかのようにケージの奥に引っ込んでしまった
それから俺はテレビを見たり、ポケモン達とのトレーニングをしたりして一日を過ごした
あれからママンネは姿を現さなかった、おそらく家のどこかで隠れているのだろう
ケージにチビンネ達を閉じこめてあるので助けようしてそのうち姿を現すはずだ
・
・
・
そしてその日の真夜中…
「ミッ…ミィ…」
居間に一匹のポケモンの影が現れた、言うまでもないがそれはママンネだ
ママンネはソロリソロリとチビンネ達を監禁してるケージに近づいていく
そしてケージの中のチビンネ達を見つけて「ミィ!」と呼びかけた
「ミッ…?ミィ!」「ミィミィ!」
その鳴き声で目を覚ましたチビンネ達は、助けにきてくれたママンネを見て嬉しそうに鳴く
そしてママンネは扉に手をかけてケージを開けようとした、しかし…
「はい、そこまで~!」
突然居間の明かりがつき、聞こえた声にママンネは飛び上がった
(やっぱりな!)
チビンネを助けようとするのなら絶対に皆が寝静まるこの時間を狙うと思っていた
そして案の定ママンネはノコノコと姿を現した、わかりやすい種族だな本当に
「ミィーッ!ミッミミィーッ!」
突然現れた俺に対し、ママンネがパニックなって鳴き叫んでいる
既に抗ったところで勝ち目が無いことは悟っているのだろう
明らかに恐怖の入り混じった声と表情でこちらを見ている
「ミィーッ!ミギャーッ!?」「ミミッミィ!?」
チビンネ達も助けてもらえると思った矢先の出来事に混乱しながらも震えていた
俺はママンネに近づき、その胴体に向けて蹴りを放った
「ミギャウン!?」
蹴り飛ばされ倒れるママンネ、そのまま左手に握っていた木刀でママンネをメッタ打ちにする
「ミヒィ!ミギャア!ミビッ!」
「ミィーッ!ミィーッ!!」「ミィィ…!」
相変わらずチビンネの前でママンネを痛めつけるといい反応をしてくれるな、だがその展開にも飽きてきた
俺は木刀と同様に物置から用意した木製ハンマーでママンネの両手足を叩き折った
「ビギャアアアアアアアアアアア!!!!」
これ、騒音とかで近所迷惑にならないだろうか?そのぐらい凄まじい声でママンネが泣き叫ぶ
しばらくすれば再生力で治るだろうが後数時間はまともに歩くことすらできないだろう
次にケージの扉を開けて中でミィミィ鳴いてるチビンネ達を引き擦り出す
「ミィーッ!!ミピィーッ!」「ミィヤアアアア!!」
ケージの中に手を突っ込んだら狂ったように甲高い声で鳴き出したが、敢えなく2匹共捕まった
「ミィィーーーッ!!!ミィミ!?ミッミミィ!?」
両手でそれぞれもがいているチビンネを見てママンネが叫んできた
ママンネの口調からすると「その子達をどうする気!?」といった感じだろうか
こちらとしてはチビンネがどうなろうが知ったこっちゃない
「ラプラス!」
これからやる処刑のために、まず俺はボールからラプラスを出した
大きな青い身体と優しい瞳はいつ見ても癒されるな…ってそんなこと考えてる場合じゃない
俺は床にシートを敷き、その上にチビンネ達を解放した、すぐにチビンネ達はママンネの元へ行こうとする…が
「ラプラス、れいとうビームだ」
チビンネ達を取り囲むようにラプラスがれいとうビームを放った、たちまちチビンネの周囲が凍りつく
しかも凍った箇所からは鋭い氷のツララが無数に飛び出している、そんなところに足を踏み入れれば一瞬で串刺しだ
「ミッピィ!?」「ミィィ!?」
周囲をツララに取り囲まれ、身動きが取れなくなったチビンネ達
早く愛するママンネの所へ向かいたい、しかしそんなことをすればその前に串刺しだ
どうすることもできずチビンネはただ立ち尽くすしかなくなる
「ミィィ…!」
ママンネはツララをなんとか越えようとしているが
両手足を折られてハイハイ移動の状態では飛び越えるということすらできまい
「ミィー…ミィ~ン!」
「ミッミィー…!」「ミィィ…!」
やがてママンネとチビンネ達が互いを求めるように鳴き出した
距離にしてみればすぐ近く、しかし決して触れることのできない距離、そして…
「ラプラス、こごえるかぜだ」
「ミヒッ…!」「ミフィィ…!」
そこへラプラスがこごえるかぜを身動きの取れないチビンネ達に向けて放った
身体を刺すような凍風がチビンネ達の体温をみるみる奪っていく
「ミィィィィ!?ミ"ィ"ーーーッ!」
「ミフィィ!フィィ…!」「ミヒィィ…ピィィ!」
ママンネは凍えていくチビンネを見て再び悲鳴をあげた
チビンネ達はガチガチと震えてママンネに助けを求めている
「フィィ…」「フィ…」
あまりの寒さに震えた声でか細く鳴くチビンネ、ピンクの体毛は既に大部分が白く凍りついている
このままではチビンネは凍死してしまうだろう、ママンネもそれを解っている
恐れる恐るツララを見た後、やがて覚悟を決めたように「ミィ!」と鳴き、気合いを入れる
そしてついにツララを越えようと踏み出した(ハイハイなので前足=手)
「ミッビャアアアアアア!!?ミヒィィィ!ミヒィ!」
しかしママンネの手にツララが突き刺さると、ママンネは悲鳴をあげて退がってしまった
鳴きながらツララの刺さった手を押さえて、必死に傷口をなめている
「フィ…」「ピヒィ…」
「ミィ…ッ!ミッ…ミビィィィィィ!」
しかし既に体温の大半を奪われ、身体中が凍りつき、それでも生きているチビンネを見て
再びツララに足を踏み出すママンネだが、またすぐに悲鳴をあげて後退してしまう
「…ィ」「ミ…」
もはやほとんど動くことのなくなったチビンネ、そろそろお迎えの時間か
「ミィィィィィ!!!?ミィミィ!!ミギィィィィィ!!」
するとチビンネの状態を見たママンネがこちらに向かってなにやら訴えてきた、考えるまでもなくあれは命乞いだ
俺はラプラスに呼びかけて凍える風を止めてもらう
そして手を伸ばして既に動かないチビンネを掴み、ママンネに渡した
「ミィ!ミッミィ!」
ママンネは顔輝かせてチビンネを受け取った、願いが俺に通じたと思ったのだろう
「ミッミィミ!ミッミィ!」
身体中の体温を奪われて動かないチビンネ、それをママンネは暖めるように抱き締めている
そして目を覚まさせるかのようにチビンネを揺り動かす
「ミッ…?ミィミ…?」
だがチビンネからは何の反応も返ってこない
ちなみにママンネは既に触覚を千切られてるので心音で容態を確かめることはできない
だが仮にも
ヒヤリングポケモン、今のチビンネの状態がどうなのかは触覚がなくても解るはずだ
「ミッ…ミミッ…ミギャアアアアアアアアアア!!!?」
やがてママンネが悲痛な叫びで泣き出した、そう、チビンネは既に手遅れだったのだ
「ウギャアアッ!ミビィィィィィ!!!ゥバアアアアアアアア!!!!」
ついに全ての家族を失ってしまってしまったママンネ、その悲しみと絶望は相当な物だろうな
だがこれも全てこいつらの行動と態度が招いた結果だ、同情はしない
それに、まだ全てが終わったわけではないのだ
最終更新:2015年02月20日 17:20