タブンネ調教師

タブンネはとても人気のあるペットだが、可愛いからといって甘やかしすぎるとつけ上がり
手がつけられないほどワガママになる。
それゆえイッシュ地方には、甘い飼主に代わってタブンネの躾をするプロのタブンネ調教師がいた。
情けないことに、俺もタブンネを甘やかしすぎて増長させたダメ飼主だ。
幼い頃は素直で、俺を見上げる頼りきった目が何とも言えず可愛かったタブンネだが、
今は餌の用意が少しでも遅れると「ミッミッ!」と偉そうに催促する。
テレビは1日1時間までと約束したのに、いつまでもダラダラと見るのをやめない。
ちょっと叱ると腹いせにトイレ以外の所でウンコをする。後片付けもしない。
ただ、俺に甘えてすり寄って来る機嫌のいい時のタブンネは、小さい頃と変わらず本当に
可愛いので、俺はタブンネを嫌いになれずにいた。
ある日きのみを食い散らかしながらテレビを見続けるタブンネに「タブンネちゃん、
そろそろ1時間だよ」と声をかけると、タブンネは険悪な目つきで俺を振り返り
「ミッミィ!」と鳴いて、きのみを一つかみ、壁の掛け時計にぶつけた。
「こら、ダメじゃないか!」と叱ると、俺にまできのみを投げつけて来た。
とうとう俺も「これはプロの力を借りなければいけない」と考えるに至った。

やって来た調教師は精悍なイケメンで、体はゴーリキーのように鍛えられていた。
「よろしくね、タブンネちゃん」調教師が手を差し延べると、本能で危険を察知したのか、タブンネは少し顔をしかめ壁際まで後退した。
「どうしたの?こっちにおいでよ」調教師が近づくと、タブンネはキッとした表情で調教師の手を払いのけた。
「おや、挨拶をしているのに失礼な子だね。そんな悪い子にはお仕置きが必要だな」
調教師はタブンネの片耳をつかんで引き上げた。「ミィッ!」足が床から離れ、タブンネの丸々した体が宙にぶら下がっている。
「タブンネの弱点は耳なんですよ」調教師は俺を振り返って説明する。
「お仕置きをする時にはます耳をつかんで機先を制してください。それから」
調教師はあいている方の手でバシッ!バシッ!とタブンネの横っ面を張った。
「顔を叩くとタブンネは怒ります。いったん怒らせ反抗心を起こさせた方が、後のお仕置きが効くんです」
なるほど、タブンネの目が怒りに燃えている。
「何ですか、その目は」調教師はタブンネの耳を放し、その手でタブンネが床に落ちる前に
腹パンチをぶち込んだ。すごいスピードだ。
タブンネは壁に当たってから床に崩れ落ち、弱々しい表情で調教師を見上げた。

「みぃみぃ」タブンネは急に甘えた声を出し、くりっとした瞳に星を浮かべて調教師の足に
体をすりつけた。しかし、調教師の声は冷たかった。
「ほら、媚びて許してもらう作戦に出ましたよ。こんな手に乗ってはいけません」
調教師はタブンネを壁際に蹴り飛ばした。「ミ!」
タブンネは今度は俺を見つめた。「こいつを早くどこかにやって」と訴えているようだ。
俺に対してはまだ上から目線なのが腹立たしい。もちろん無視する。
「おいで、タブンネ」調教師はわざとらしく優しい声で呼んだ。
タブンネは少し迷ってから、調教師に向かってとっしんした。調教師はひょいとよけ、足を引っかけてタブンネを転ばせた。
調教師は用意していた細い竹の鞭で俯せになったタブンネを打ち始めた。
ピシッ!「みっ!」ピシッ!「みぃ!」ピシッ!「みぃん!」……
「頭は打たないように。太腿や尻なら安全です」
タブンネはすっかり心を折られプルプル震えている。あの生意気なタブンネが、と思うと、かわいそうだけど笑えて来る。
「これで許しちゃいけませんよ。仕上げのお仕置きがある」
調教師は太めの竹を取りタブンネの背後に回ると、頭をかかえ尻を高くしたような恰好の
タブンネの肛門に竹をねじ込んだ。「ミビャアァァァ…!」

あらかじめワセリンでも塗ってあったのか、竹はさほどつっかえもせずタブンネの尻に
入って行った。
調教師はタブンネの突き刺さった竹を地面と垂直に持ち上げる。タブンネは自分自身の重さで、さらに尻に竹をズリッとめり込ませる。
俺は思わず吹き出した。
タブンネは短い腕をパタパタ振って逃げようと試みる。無駄なことを。愚かな奴。
「このまま庭先に立てましょう。他のタブンネへの見せしめにもなる」
俺が頷くと、調教師は庭に出て地面にタブンネつきの竹を突き立てた。タブンネは屈辱と羞恥で真っ赤になったが、もう抵抗しようとはしなかった。
「よしよし、いい子になったね」
調教師は優しくタブンネの頭を撫でた。それから「わたしは悪い子なのでおしおきされています」
と書いた紙をタブンネの首にかけた。
庭の前の道を通りかかった人間やポケモンが足を止め、しげしげと俺のタブンネを見て、笑ったり木の枝で突いたりする。
タブンネは日が暮れるまで庭先にさらされた。
その夜からタブンネは聞き分けのいいよい子になった。
「悪い子になったらまた調教師を呼ぶよ」
そう言うと、タブンネはぎくりとして「みっみっ」と俺に媚びる。
実は、あの調教師とは2ヶ月に1回来てもらって定期調教をしてもらう契約を結んでいる。
だが、タブンネはまだそれを知らないのだった。
最終更新:2014年06月22日 22:05