俺の育て屋の評判を聞きつけ、タブンネを俺によこした友人から連絡がきた。
俺が今までの経緯を全て友人に話すと笑いながら、
「俺さ、新作タブンネ心読機作ったんだよ!その名も『タブンネハートNEO』。
今度のは片耳イヤホン型でさらに、いちいち触覚に当てなくても、タブンネの微弱な心音をキャッチして
直接イヤホンからタブンネちゃんの思ってる事を教えてくれるす・ぐ・れ・も・の!
いや~開発のためにたっくさんタブンネ孵化させて色々実験した甲斐があったぜw」
なるほど、こいつがアホみたくタブンネを孵化させてたのはそういうことか。
「でさ、そのサンドバックちゃんの話きいてたら『タブンネハートNEO』使いたくなってきちゃったからさ~お前に1個やるから、
少し育て屋休んでサンドバックちゃんと一緒にうちに来ねぇ?」
と言った。俺は、
「今預かってるコがいるからそのコの育成が終わってからだな」
というと、友人は嬉しそうな声で、
「あ、じゃそのサンドバックぶりもみせてよ!んで、そのあとうちに一緒にこようぜ!
サンドバックちゃんのママもきっと喜ぶぞぉ~!!」と言い、今から行くわと電話を切った。
つーか、サンドバックタブンネの親まだ生きてんのか、あいつタブンネみたことないんだよな、まだ。
5分もしないうちに友人はやってきた。
「お!これが噂のミミロップ親子かぁ~かっわいいなぁ~!こんにちは!差し入れのポフィン、みんなで食べてね」
といってチビミミに籠いっぱいのポフィンを渡した。
「オイ、タブンネよくミミロップを親だと勘違いしたな?!全然似て無いじゃんw」
と笑っていた。ソレ、お前がよこしたタブンネだぜ!?
俺たちはさっそく微妙なネーミングの『タブンネハートNEO』を装着した。
タブンネ部屋の前に行くとちょうど預かってるミルタンクがタブンネに「ころがる」をしてる最中のようだ。
「やんや!!!タブンネもうこうさんしゅるからやんやぁぁぁ!
…タブンネ、ミルタンクさんにいやしのはどうしてあげたのになんで?タブンネまだ子どもなんだよ?タブ…………」
「お、サンドバックちゃんひんしかな?どれどれ、げんきのかたまりとポフィンでもあげてなつかせちゃおうかなぁ~♪」と嬉しそう。
コイツ、なんか企んでるな。面白そうだけど。
「お前さ、そこで待ってろよ。おれにサンドバックちゃんと話させてくれ!」というのですきにしろ、といって送り出してやった。
「タブンネちゃん痛い痛いだったねぇ~。ミルタンクちゃん強かったもんね!」
そういうとミルタンクを部屋から出すよう促した。俺は出てきたミルタンクをリビングに連れて行き休憩させた。
「おにいさんだぁれ??」とミィミィ泣きながらタブンネがいうと、
「おにいさんは、タブンネちゃんが痛い痛い思いしてるって聞いて助けにきたんだよ^^
ほ~らこれポフィンだよ!食べた事ある?美味しいよ^^」といって差し出した。
タブンネは今まで食べた事の無いお菓子と、久しぶりの甘い物にシッポをパタパタとさせ、
「おいちぃおいちぃおいちぃ!タブンネこれだぁいすき!もっとちょうだい!
タブンネ、これならいっぱいたべられるよ!
タブンネのベロ、にがいおくすりのせいでもうずーーーーーーっとぴりぴりいたかったの・・・。
ごしゅじんさま、みんなにはおいしいごはんあげるのに、
タブンネにだけにがいおくすりとヒメリの実しかくれないんだ。
みんなもタブンネのいるまえでわざとおいしそうにごはんたべるの!
とくにチビ!あのこだいっっきらい!
すぐにパパにいいつけるパパにいいつけるっていってタブンネにペコペコさせるの!こ
わくておもらししちゃうタブンネみてわらうんだよ!
ごしゅじんさまもチビじゃなくてタブンネのおしりをバシンバシンしゅるの!
みんなみんなだいっきらい!」
クッチャクチャとポフィンを食い散らかしてタブンネは友人に今までの不満をぶちまけた。
「タブンネちゃんは、ママにいいこいいこしてもらいたいかい?」ときくと、
「ママはね…チビがきてからタブンネのことかわいがってくれないの…。
ママはタブンネのママじゃないっていってうそついてタブンネのこと無視したり、
ママってよばないでっておこったりしゅるの…。
タブンネ、ママにいいこいいこしてもらいたいだけなのに…」
とタブンネはポフィンの食べかすを拾い食いしながら言った。
「そうかそうか、つらいねぇ。じゃあしたおにいさんのおうちにあそびにおいでよ!
ポフィンもいっぱいあるし、なによりこんなひどい思いしなくていいんだよ!
ごしゅじんさまにないしょでおいでよ^^」
というとタブンネはコクコク頷き友人と指切りをした。
翌朝早く、男は寝床で眠るサンドバックタブンネを起こしてこっそり部屋を出た。
タブンネの歩調に合わせてゆっくり歩き、家につくとタブンネに、
「ここがおにいさんのおうちだよ^^」
と語りかけ中へ通した。
奥にあるうす汚い扉の前につくと男はひと際大きな声で、
「オマエらの生き残ったガキつれてきてやったぞ!
金持ちの家でいいモン食ってたからまるまる太ってるぜ!」
と叫びながらドアを蹴りあけた。男の声にビックリするタブンネに向かって笑顔をつくり、
「タブンネちゃん、ホラ、あそこにいるのがキミの本当のパパとママ^^」
といってタブンネの手をひっぱった。
当のタブンネは、意味が分からず不思議そうな顔をして部屋の中をのぞいた。
するとそこにいたのは、自分そっくりの、
垂れ耳・短足で腹のポッコリでた締まりのないピンク色の体の「タブンネ」が2匹。
粗末な藁の上に座りお互い震えながら寄り添っていた。
「ほら、右がパパで左がママだよ、ごらんキミとそっくりだろう♪
パパもママもキミがくるの、ずうぅっと待ってたんだよ^^」
とイヤミっぽく言った。
みるとタブンネははじめてみる「タブンネ」が受け入れられないようで首を小刻みにふるわせて、
「ちがうちがうちがう!ママじゃない!!ママはごしゅじんさまのおうちにいるもん!
ママじゃないーーーーーー!!!」と泣いていた。男もその姿にニンマリしている。
どんなにつらく、ご主人様や主人の手持ちポケモンたちに無視されても、
いつかは美しい姿になって、ごしゅじんさまやポケモン達、中でもチビミミを見返して、
『チビミミは黄色いケド、タブンネはママとお揃いのピンクだもん!』
と言い放つ日を夢見て耐えていたのだから…。
男は追い打ちをかけるように続ける、
「ちがくないさ^^だってキミんちのチビミミちゃんときみは全然にてないだろ?
同じおかあさんなのに、じゃあなんでこんなにちがうのかなぁ~?」
と問いかける。するとタブンネは
「しらないしらないしらない!でもタブンネはアノヒトたちの子どもじゃやないぃぃぃぃ…!!」
と手で目を覆い隠しボロボロ泣いた。男は
「ふーーーん………」
と言って、イヤイヤしてるタブンネの片足をグイと力いっぱい掴み、逆さ吊り状態にし、
「ミミロップちゃんなんだろ?キミは!じゃあ、さぞスラリと伸びた脚してるんだろうなぁ~!
でも、今のキミ、膝もないし随分脚短いみたいだから、伸ばすのをおにいさんが手伝ってあげよう^^」
と言い放った。
「ぃたぁ~ぃ!ぃたぁ~ぃょぅ!あんよいたいよ~!!やぁ~ん!やぁ~ん!」
と泣き叫ぶタブンネ。男は、
「ぐる~んぐる~ん♪高速観覧車だよーーーーーん^^」
といってタブンネの脚をつかんだままぐるんぐるん腕を回した。
「やぁ~~~~~~!!はなして‥‥はなしてちょおだいよぉぉぉぉ・・・いたいよ~やぁ~ん」
と叫び続けるタブンネと、それを制することができずオロオロするパパンネとママンネ。
すると男は
「いいもん食って育っただけあるなぁ、おにいさんの腕、いたくなっちゃったよ^^」
そういってポイッとママンネにむかって放り投げた。
ママンネは投げられたタブンネをうまくキャッチできず、下敷きになる形で藁の中に埋もれた。
パキン!パキン!パキン!
何かが割れる音。
するとママンネが血相を変えて自分の背中をみた。
パパンネも「おい!まさか………」と言っている。
みるとママンネの背中には、
「タブンネになるはずだったもの」の残骸がべっちょりとついていた。
男はため息混じりに、
「あ~あ、まぁた懲りずに藁ン中に隠してたのかよぉ~。お前らじゃ世話できねぇくせに
いい加減にしろっつうの!ソレ、お前らで片付けんだぞ!」
といって部屋を出て行った。
ミィミィ泣くしか出来ないママンネの背中をパパンネは、手で卵のかけらを払いながらよしよしした。
投げ飛ばされた藁まみれのタブンネは
「タブンネのせいじゃないもん!タブンネ、悪くないもん・・・」とソッポをむいた。
2時間程過ぎ、
タブンネはママンネ・パパンネに背を向け「ここからでたいよぅ」とぐずりだし、
ママンネとパパンネは割れてしまった卵のショックで藁の中にうずくまって眠っていた。
するとバターーーーン!と勢い良くドアをあけ男が入ってきた。
ビクリとする3匹。
男は、
「ミミロップを目指し続けるタブンネちゅぁぁ~んにプレゼント^^」
といって細長い箱を開け、中に入っていた茶色のロングブーツを手にとった。
そのロングブーツはタブンネの脚の長さの倍以上はある14ホールの編上げブーツである。
「これで自慢の脚になるぞ~!優しいおにいさんがはかてやろう^^」
そういって逃げようとするタブンネの尻尾を掴み仰向けに寝かせ、動かないように男の脚で
タブンネの腹を抑えながらブーツを履かせた。
タブンネの短い脚はブーツの中にすっぽり隠れ、脚以上に長いブーツの中では
浮いてしまっている状態である。
タブンネは
「やぁぁぁぁぁぁん、あんよきもちわるいよぉ…、ぶーちゅとってぇ~!!!えぇぇぇ~ん」
となきじゃくっている。男は嬉しそうに、
「うん、長くなってミミロップちゃんみたいだよ!お外で会ったら間違っちゃうね^^」
と言ってタブンネを持ち上げ、立たせようとした。
が、ブーツの中で浮き足状態のタブンネは歩くどころか立つ事もできず顔からその場に転んでしまった。
「ぁぁぁ~~んいたいよぉ~ぶーちゅやんやぁ~おねがいだからとってぇ~
タブンネあるくことできないよぉぉ~ぁぁ~ん」
とぶつけた顔を抑えながら脚をクロールのバタ脚のようにして叫んだ。
男はその姿をみて満足したように部屋を出て行った。
イモ虫のように這いながら藁に向かい、ミィミィ泣きながらタブンネは眠りについた。
パパンネとママンネ、タブンネが眠ったのを確認すると、
右足にパパンネ、左足にママンネ、それぞれブーツをもって自分の顔に近づけていた。
男が意地悪くかたむすびしたブーツの紐に歯をたてギリギリと噛み付いているのである。
ほどき方がわからなにのだろう、噛み切ってブーツをぬがすつもりのようだ。
勿論、この姿を男が知らないわけではない。
至る所に仕込んでいる監視カメラでしっかり確認している。
男はパパンネちゃんとママンネちゃんのがんばりを見届けながら次なる手をうっていた。
パパンネとママンネの噛み切りのおかげであとちょっとでタブンネのブーツ紐は切れそうになっていた。
が、顎が疲れたのだろう、朝を迎える前に2匹はタブンネのブーツに手をかけたまま眠っていた。
先に目を覚ましたタブンネはビックリしたがブーツの紐がボロボロになってるのを見て
パパンネとママンネがほどこうとしてくれたのが分かったようだ。
タブンネは2匹が自分の親というのをまだ信じたくない気持ちと、パパとママに甘えたい気持ちが
ごちゃ混ぜになり、どうしたいのかわからない思いのまま動かせない脚を見つめていた。
すると大きい足音が聴こえてきた。
パパンネとママンネも「ハッ」と目を覚ます。
3匹は固まって身を寄せ合った。
男は入るなり、
「ぐっも~にん^^今朝はタブンネ親子の再会を祝してキミ達の大好物のオボンの実がごはんだよ!」
といってそれぞれの前にそれぞれの皿に盛ったオボンの実を置いた。
パパンネとママンネにとっても、タブンネにとってもオボンの実はじつに久しぶりだ。
ちょっと警戒するパパンネ達をよそに、タブンネは美味しそうに食べていた。
その姿を見て、パパンネもママンネもオボンの実に齧りつく。
と、そこでパパンネとママンネが「ミィィィィィ!!!」と同時に叫びだした。
パパンネもママンネも、「歯…歯がぁぁぁ~」といってオボンの実を吐き出した。
よくみるとパパンネとママンネのオボンの実にだけ、大きなアボカドの種が仕込まれていた。
昨夜、タブンネのブーツの紐切りをしていた2匹の歯は、かなりグラグラとしていて、
固いものを食べたらすぐに折れそうになっている事を男は見逃さなかったのである。
吐いたオボンの実には血と数本の前歯が混ざっていた。
男はニヤニヤしながら強い口調で
「せっかく用意したごちそうだぞ!吐くとは無礼だな!!」
そういってパパンネの頭をふみつけ、落ちていたアボカドの種をママンネに投げつけた。
「オマエらがちゃんとオレに卵を渡さないからこうなったんだからな!
分かったらヨケイなコトしないでさっさと卵作れ!
寝床もメシもオレが世話してやってるからオマエらは生きてけんだぞ!」
そう言いながらパパンネとママンネを交互に蹴り飛ばした。
その後、男はくるっとふりかえって笑顔でタブンネに
「タブンネちゃん、ぶーちゅ、大事にしてね^^」と優しく言った。
タブンネは耳を抑えプルプルとふるえていた。
タブンネは自力でブーツの紐を切ろうとしたが短い手と突き出た腹が邪魔をして、
ブーツに手をかける事さえ出来なかった。
「もう、タブンネはあるけないんだ…、お外にもでられないんだ…」
と泣きながら背中を丸めて座っていた。
パパンネはあとすこしだったのに!と悔しがりタブンネのブーツの先をベシベシたたき、
ママンネは泣きじゃくるタブンネの頭をやさしく撫でてタブンネが眠るまで手を握っていた。
お昼を過ぎた頃、ママンネとパパンネは約束通り男に卵を渡した。
「これで全部だな?」と男が聞くと2匹ともコクコク頷いた。
「これでようやく埋まったぞ~!これから、いいもの見せてやる^^」
といってママンネとパパンネを卵と一緒に荷台に乗せて隣の部屋へ移動した。
2匹の前には巨大な水槽があり、その中にはビッシリと卵が敷き詰められている。
最後の隙間に今日生まれた卵を並べると、水槽内はまるで卵の絨毯のようになった。
たまごの中にはもう少しで孵化しそうなものもある。
2匹と水槽の間には透明の分厚い強化ガラスが立てられていて
絶対に水槽に触れる事は出来ないようになっていた。
男は卵を敷き詰めたあと水槽に仕掛けられたボタンを押した。
すると水槽の上からボタボタと4匹のマグマッグが落ちてきて卵の上を這うように動き回っている。
ママンネもパパンネも、「なにが、起こるの・・・?」と水槽を見つめていた。
水槽の左奥にあった卵は孵化寸前だったのだろう、マグマッグの熱ですぐに殻をやぶり顔を出した。
「チィ♪チィ♪」「ミィミィ♪」
はじめて見た我が子の誕生する瞬間。
パパンネもママンネも喜び抱き合った。が、喜びも束の間。
マグマッグ達が卵や
生まれたばかりの子タブンネの上を這うのをやめるわけではない。
生まれたばかりの子タブンネたちはマグマッグのほのおのからだに触れ火傷を負い
「あちゅい!!」「あちゅいよぅ!!」とミィミィ泣き出している。
次々と孵る子タブンネたちも生まれたと同時にじゅわじゅわと火傷をしていった。
パパンネとママンネは透明の板をバンバンたたきながら
「ヤメテェェェ!もうやめてー!!子どもが…子ども達が死んじゃうぅぅぅぅー!
いますぐやめてーーーー!」
と泣き叫んでいる。
水槽の中は子タブンネ達の「あちゅいよ!あちゅいよ!」コールと
パパンネママンネの叫びで部屋はタブンネの大合唱となった。
数分後、パパンネとママンネの声以外しなくなったのを確認すると
男はモンスターボールにマグマッグをしまった。
火傷で皮膚がボロボロになった子タブンネ達の残骸が、
卵の殻にまみれて水槽にびっちり詰まっている。
パパンネとママンネはその場で泣き崩れていた。
「あ~おもろかったわ~」
そういいながら男はパパンネとママンネの尻尾をむんずと掴み、
隣の部屋まで2匹をひきずった。
パパンネもママンネも、目の前で生まれた我が子達が、生まれて間もなく
全身火傷で皮膚がただれ、パパとママに甘える事も、おいしいミルクを飲む事も、
何もする事できずにただただ死んでいったことに呆然とするしかなかった。
男は2匹を放り投げ、2匹とも頭から藁の中に顔を突っ込んだが鳴く事はなかった。
鳴く気力さえないといった感じだろう。
それからパパンネとママンネは、タマゴを作らなくなった。
そもそもこの2匹は男に、
「イッシュ地方の人びとの役に立つ為にはたくさんのタブンネの力が必要なんだ。
キミたちがたくさん子どもを生む事は、人助けなんだよ!」と教えられ、
まじめなパパンネとすなおなママンネは男の言う通りに今までタマゴを産んできたのだ。
だが生まれてきた子が可哀想な目に遭うのがわかった以上、もう作る事はできない。
それに子どもは1匹だけどいる、どんな暴力をされてもつくらないぞ!と2匹は決めたのである。
男は藁の上で寝転がってるパパンネとママンネに、
「もう、タマゴはつくらない!ってきめたみたいだね^^」と問いかけた。
パパンネは「暴力でもなんでもすきにしろ!」という表情をし、
ママンネを自分の背中に隠した。
「じゃ、お嬢ちゃんにがんばっても~らおっと^^」
そういって、ブーツをはいた逃げることおできないタブンネをひょいと持ち上げ、
藁のないところにブンとなげ、もっていたリモコンの
スイッチを入れた。
すると、パパンネたちのいる藁を取り囲むように天井から柵がおりてきて、
2匹は檻の中に閉じ込められた状態になった。
そして別のリモコンのスイッチをいれると、
今度はタブンネがいるほうの天井から同じように柵がおりてきた。
パパンネとママンネの居る檻とタブンネの居る檻がきれいに部屋の中で並んでいる。
男は、タブンネの居る檻の隙間に手を入れ、複数のモンスターボールを投げた。
中から出てきたのは妖精グループの♂達が5匹、狭い檻の中にひしめき合った。
「お嬢様はまだまだ赤ちゃん言葉の抜けきらないおチビちゃんだ~
優しくするんだぞ~!^^」
男の言葉を合図に妖精♂ポケモン達は一斉にタブンネにつかみかかった。
タブンネの「やんやぁぁ」という鳴き声がより一層♂ポケモン達をイラつかせたのか、
タブンネの顔やハラを殴ったり、中には触覚を手綱のようにしながら馬乗りになり興じている
ポケモンもいた。
隣の檻ではパパンネが「やめてくれぇぇぇ!!」と叫び続け、
ママンネは体を丸めて耳を塞ぎながら震えていた。
娘のタブンネの姿を見ようとしないママンネに向かって男は
「よかったね、かわりに頑張ってくれるおじょうちゃんがきてくれて^^」
と言い残して部屋を去って行った。
最終更新:2014年08月15日 13:17