ここに一匹のタブンネがいる、俺の友人のタブンネなのだがこの友人、恐ろしいほどに育成が下手なのだ
そして先日俺に「このタブンネをミュージカルスターになるように育ててくれよ」と泣きついてきたのだ
情けないというかなんというか‥‥そもそもミュージカルなんて専門外だしどうすればいいか全くわからん
その例のタブンネはというと俺のベッドで汚い寝息を立てながらのんきに眠っている
誰のベッドだと思ってる、俺とチラチーノ以外そのベッドに侵入することは許されないというのに
だが預かり物だし‥‥はぁ、めんどくさい
とりあえずパソコンで調べてみる、Google先生は偉大だなと改めて思った
なになに‥‥「どんなポケモンでもそこそこ可愛く見えるミュージカル攻略法‥‥」
これだ!俺は早速そのページを開く、なんでも元ミュージカルスターがやっているサイトらしい
そこには飾り付けのポイント、踊りの仕方、
ポロックの配分や食事制限など様々なことが書いてあった
まぁポロックはミュージカルじゃ使わないしどうでもいいが
俺は早速寝てるタブンネの体を揺らす
するとタブンネは俺の手をはたき、寝がえりをうった後こちらに屁をこいてきた、どこまで図々しいんだこいつは
俺はチラチ(チラチーノのNN)にめざましビンタをするようにいう
チラチはタブンネに馬乗りになり、その尻尾で目覚ましびんたをやった
タブンネは「ミヒィ!!」っとびっくりして起き上がる
あたりをキョロキョロと見渡す、こいつ自分が今どこにいるかわかってねーのか‥‥
そして俺とチラチを見たあと「ミッ!」と言ってこちらに手を伸ばしてきた
一体何が言いたいのかさっぱりわからん
何かを催促してるように見えるが‥‥
なおのこと催促を続けるタブンネ、超うぜぇ
チラチは俺の気持ちをくんでくれたのか、自分自身我慢の限界だったのか知らないがその手をはたき、タブンネの顔に往復ビンタを始めた
俺のチラチは実は特性スキルリンクなのだ、え?まだ未解禁?聞こえんなぁ
チラチが往復ビンタを終えるとそこには両頬がはれてより一層醜くなったタブンネが居た
ミヒィミヒィとタコのような口で息をするタブンネ、かなり滑稽である
俺はそいつをベッドから引き摺りおろし、ローブシンに頼み庭に連れてきてもらう
そして庭に付き、乱雑に放り投げられたタブンネを無理やり立たせる
俺はタブンネに先ほどのサイトで見た踊りを練習させる
しかし冷静に考えて見ると腹はぶよぶよで胴長短足、こんなポケモンにできる踊りなのか
俺はチラチのローブシンに見張りをさせてさっきのサイトを見た
するとそのサイトには「この踊りができないポケモンは致命的にミュージカル向いてないからあきらめたら?」と書かれてた
衝撃的だった、このままじゃミュージカルで入賞なんて夢のまた夢だ
俺が悩みながら庭に戻るとタブンネはダンスともいえないダンスを踊りながらチラチとローブシンに石を投げられてた
おいローブシンお前のそれはストーンエッジじゃねーか、肌切れてるから抑えて抑えて
ほんとにこんなのでミュージカル入賞なんてできるのか‥‥
そこから猛特訓が続いた
飯は一日に摩り下ろしたオボンと栄養剤を2回、そして走りこみをさせて脂肪を落とさせる
走りこみが終わった後は休憩なんてさせずにダンスの特訓、いつか彼女ができた時にSMプレイ用に買ってきてた鞭(新品)を引っ張り出してそれをタブンネに使う
ダンスの特訓が終わった後は再び走りこみ、途中で休もうものならチラチによる往復ビンタが待っている
そして就寝、こんな日々が2週間ほど続いた
そしてその特訓の成果!タブンネは‥‥‥‥ものの見事に何もできなかった
ダンスは相変わらず不格好、体系も相変わらずぶよぶよで醜いままだ
俺は友人に電話する、俺にミュージカル用の育成なんて無理だったんだ‥‥
「おい、お前から預かったタブンネだが‥‥とてもミュージカルに出せるような代物じゃないぞ‥‥」
「あぁ?あれ?別にいいよどうせ孵化余りのやつで適当に遊ぼうと思っただけだし
俺の5V性格一致タブンネちゃんはランクルスと
シュバルゴと一緒に作戦立ててる最中だしな」
「なぜそれをよこさなかった‥‥っていうかこいつはどうなってもいいのか?」
「ん?別に良いけど?どうせ優良個体を作る過程でできてしまったできそこないだし」
「お前ってホント良い性格してるな‥‥今日のミュージカル見にこいよ、元マスターの責任だからな」
俺はそういうと電話を切り、タブンネの方を向いた
そこにはのんきに俺のベッドで寝ているタブンネが居た
チラチが電話が終わったので起こしに行こうとするが俺はそれを引き留めた
不可解そうな顔をするチラチ、しかし俺に良い考えがあるのだ
俺はタンスの奥から青いカプセル剤のようなものを取り出す、もちろん薬じゃないんだが
それをオボンに突っ込み、他にもオレンやチーゴ等を皿に盛った
チラチにタブンネを起こすように言う、この2週間こいついつも目覚ましビンタで起こされてたのだが、学習しないものなのだろうか
目覚ましビンタで起こされたタブンネは今日の朝食を見て目を見開いた
そして一気にがっつきはじめた、先ほどのオボンに隠された青いカプセル剤に気がつかずに
一気に平らげてきたなくゲップするタブンネの顔にローブシンのマッハパンチが炸裂する、こいつは食卓マナーには特に厳しいのだ
あぁミュージカルが楽しみだよ‥‥
いよいよミュージカルの時間がやってきた、俺はライモンシティのミュージカルホールで友人と待ち合わせする
そしてミュージカルホールに客として入って行った
ミュージカルにでるポケモンがでてくる、みんな身形を整えて可愛くおしゃれをしている
そのうちの一匹に見とれていたらチラチにビンタされた、何故だ
最後にタブンネが登場する、しかしその姿はボクサーパンツ一丁にシルクハットという不格好な姿だ
タブンネはみんなの笑い物にされてる、友人も笑っていた
そして友人が「これで終わり?」って聞いてきた、もちろんそんなわけないだろ?
みんながかわいくダンスをするなかあいつだけ一人不格好なダンスをする、クスクスという笑い声がどこからともなく聴こえてくる
いやまぁしょうがないけどな、あれじゃ誰だって笑う
タブンネは堪忍袋の緒が切れたのかどこぞのダチョウさんみたいにシルクハットを勢いよく床にたたきつけた
そして「ミィィ!!」と怒りながら暴れ始めた、そろそろ頃合いか
俺は手元にあるリモコンの
スイッチを押す
その瞬間タブンネの肉体が変形し始めたのだ、モコモコといびつな形に変形していくタブンネ
それを見たミュージカルポケモンたちは一斉に逃げ始めた
じつはあのカプセル剤はナノマシンで造られた体細胞を変化させる薬だったのだ
もちろん体にかかる負荷は半端じゃないらしいが別に俺の知ったことじゃない
筋肉はムキムキに、無駄に引きしまった足と腕、そして相変わらずたるんでる腹、変わらない顔、ボクサーパンツ
非常事態なのはわかってるのだが笑わずにはいられない、っていうかほとんどの人が笑ってた
それをみたタブンネは暴れようとしたがそうは問屋がおろさない
俺はモンスターボールを投げる、モンスターボールから出てきたのはタイガーマスクを被ったローブシンだった
ローブシンを見た瞬間タブンネはローブシンに殴りかかる
「タイガーマスク!ばくれつパンチだ!」
ローブシンはタブンネの腕に爆裂パンチをクリーンヒットさせた
殴られたタブンネの腕の筋が裂け、血があふれ出てくる
タブンネは低い声で「ミギャアアアアアア」と叫んだ、かわいらしい(笑)鳴き声とは程遠い
ローブシンは間髪いれずにタブンネのだらしないボディにマッハパンチを数発入れる
殴られるたびにぶるんぶるんと腹が弛む、その姿に一同大笑いだ
全く知らない子供が「タイガーマスク!ビルドアップだ!」と言いだした
ローブシンはその子供に親指を立ててビルドアップを始めた、さっきのタブンネとは違って鍛え上げられた筋肉がさらに研ぎ澄まされていく
これには観客も感嘆の声をあげていた
「タイガーマスク!気合パンチだ!」
ローブシンは気合をため始める、それを好機と思ったのかタブンネはローブシンに襲いかかろうとした
しかし躓きタブンネは腹からこける、なんてみっともない姿なんだ
タブンネが立ち上がろうとした瞬間気合のため終わったローブシンの気合パンチがタブンネの顔面に直撃した
顔面を崩壊させながら後ろに吹っ飛んでいくタブンネ、この姿に観客のボルテージは最高潮に達した
あたりはタイガーマスクコールで包まれている、ローブシンはステージ上で観客に手を振っている
俺はローブシンをこっそりモンスターボールに戻した後、そそくさとばれないようにミュージカルホールを後にした
「いやー、愉しかったよ、良いもん見れたありがとう」
友人は笑いながらそう言った
「あ、でもひとつ言いたいことが」
「なんだよ」
「タイガーマスクはボクシングじゃなくてプロレスだぞ」
「‥‥‥‥‥‥」
その後ローブシンはマスクを被ることはなかった
最終更新:2014年08月27日 19:02