タブンネのいる生活_後編

気が付いたとき僕は刑務所にいた。
我を忘れた僕は借金取りに重傷をおわせていたらしい。
タブンネ一家は受刑者のポケモン保護施設にあずけられ、
農作業をしたりしながら生活しているそうだ。
だが、彼らは歌わず、ふるえていることが多いらしい。
借金取りが怖かったのもそうだが、暴行を加える僕が虐待していた人間を
思い出させてしまったようだ。

僕のもとにはいろんな人が訪れたが、
救われた話は両親が僕の借金を返し、借金取りへの慰謝料も
払ってくれたことだけだった。
会社の人がやってきたときは解雇を言い渡された。
まあ逮捕されたんじゃ当然だろう、覚悟はできていた。
しかし、愛護団体の人から言われたことは
僕にとってすごくショックだった。

「君はタブンネ愛護団体から除名させてもらう」
愛護団体会長からの第一声はその言葉だった。
タブンネのためにやったことなのにどうして?
会長に問い詰めると会長は怒りながら僕に説明した。

僕が逮捕されたニュースはマスコミでも取り上げられたが、
前のアパートで住民とトラブルをおこしたこと、
タブンネのために家賃のかかり、通勤に時間のかかるマンションに引っ越したこと、
タブンネのために多額の借金をしたことなどが
おもしろおかしく報道されたらしい。
そのためタブンネは「不幸を呼ぶポケモン」というイメージがついてしまい
逃がすトレーナーが多くあらわれた。
タブンネが働くポケモンセンターにも「タブンネを働かせるな!」との声が
多く寄せられているそうだ。
一方タブンネ狩りがブームになり草むらでは以前よりタブンネの死体などを
みかけるようになったという。

僕はただタブンネが大好きなだけなのになぜこんなことになったんだろう?

「それはあなたがタブンネしか見てないからよ」
取り調べをしていた婦警さんが僕に言った。

「あなたはタブンネを甘やかし、可愛がれば幸せにできると思ってるみたいだけど
それじゃあなたもタブンネも幸せになれないわ。
アパートの住民とのトラブルは家では歌わせず、赤ちゃんには
オムツをつけさせていれば回避できたんじゃないの?」
「それにあなたはグラエナを恨んでるみたいだけど、
グラエナは優れたリーダーのいうことしかきかないポケモンって知ってるの?
グラエナにもタブンネと同じように愛情を注いでいた?
グラエナが頑張ったときちゃんとほめてあげた?
そんなこともせずタブンネばかり可愛がっていたら
グラエナに反抗されるのも当然よ」

婦警さんは僕にいろいろ言ってくれたが
僕は途中から頭に入らなった。
そうか……僕が悪かったのか……
僕のせいで僕のタブンネ一家だけでなくすべてのタブンネが……
ごめんよ……ごめんよ……
その日、僕は一日中泣いていた。

※分岐
+ Happy End
その後、僕は刑期を終え出所した。
タブンネ一家はGTSを使い海外の人にゆずることにした。
入所したころはまた一緒にくらそうと思っていたが、
彼らはまだ僕を恐れている。
それに僕のタブンネをひきとる人はいないだろうし
野生にかえしたってすぐトレーナーに狩られるのがオチだろう。
それならタブンネがいない地域にいたほうがまだいいのではないか?
きっと僕よりはタブンネ一家を幸せにできるだろうし……

そして僕もまた親に借金を返すため、
タブンネのいない地域へ出稼ぎに行くことにした。
僕のせいで不幸な目にあったタブンネ達に
どうつぐなえばいいのか僕はわからない。
これは逃げだとも思うが一生タブンネとかかわらないことが
僕が受けられるせめてもの罰だろう。
だから……さようなら……タブンネ。


+ Bad End
その後、僕は刑期を終え出所した。
あのタブンネ一家も引き取り、マンションに帰る。
が、彼らは僕を見て震えている。
「まだ僕が怖いんだろうな……」
昔の僕ならそう思っていたんだろうが
今の僕は彼らを見るとイライラしてきた。
これまで育ててきた恩を忘れやがって……
そもそも僕はお前たちのために借金をし、借金取りを殴ったんだぞ。
僕は妹タブンネの触覚をつかみ、僕の顔に近づける。
「僕が怖いのか?」
僕がそう尋ねると妹タブンネは「ミイ!ミイ!」と手足をバタバタさせる。
親タブンネたちは僕にはむかおうともせず、震えるばかりだ。
「パパもママもお兄ちゃんも助けてくれなくて残念だ……なっ!!」
僕は壁めがけて妹タブンネを投げつけた。

妹タブンネは頭をうちつけ、大声で泣いている。
それをみた残りの3匹は逃げようとするが
僕は行く手をさえぎる。
「こらこら、逃げることはないだろう
食事にしようじゃないか。さあ、テーブルにつけ!」
僕が怒鳴ると一家はテーブルについた。
僕は冷蔵庫からオボンのみをとりだし、やつらの前に置く。
といっても服役前に買ったものだから腐ってるが。
「さあ、お前らの好きなオボンのみだ。全部食べるんだぞ」
僕はそういうがやつらは食べようとしない。
「なんだ?食べ方を忘れたのか?こうするんだよ!」
僕はパパタブンネの口にオボンのみを突っ込む。
そして無理やりかませるが、オボンのみを吹き出し、僕の服にかけた。
僕の怒りのボルテージがさらに高まる
「お前の!ために!買って!やったのに!
僕の!気持ちが!受け取れ!ないのか!」
僕はパパタブンネを何度も蹴りつける。
そしてパパタブンネを蹴りながら
「お前たちも食べろ!残したらこうなるからな!」
僕がおどすとみんな涙を流しながら食べ始めた。
最終更新:2014年10月07日 22:29