タブンネフード生産工場

最近とあるタブンネ専用の餌が注目されている。安価で栄養価も高く、味が合うのかどのタブンネも好んで食べるものだ。
実はこの餌はタブンネが原料となっているのだ。タブンネによるタブンネの為の餌とはどのような物か気になるだろう。そこで今回はその餌を作る過程をお見せしよう。

まずは原料となるタブンネを生産する施設。
仰向けに横たわり手足を完全に固定された雌のタブンネが数10体横一列に並んでいる。そしてタブンネの開いた股の先、そこにはベルトコンベアが作動している。

「ミィィィイイ!!!」
「ビャャァアアアア!!」
「ンビィィイイイイ!!」

涙を流し、顔を横に振るタブンネ達。タマゴを産む事を拒否しているかのようだ。
何故なのかは言うまでも無いだろう。自分が産んだ子の行く末を知っているのだから。
だが何故その末路を知っているのかを一応説明しておこう。タブンネ達の視界の先を見て欲しい。そこには巨大なモニターが設置されている。察しの通りこのモニターに映し出される子供の行く末を嫌と言うほど見せ付けられているのだ。
何故こんな事をするのかは後ほど説明しよう。

さて、タマゴを産ませまいと言わんばかりに歯を食いしばり、激しい陣痛に耐えて産道を塞ごうとするが、その努力も虚しくタマゴを徐々に外へと向かっていく。
メリメリと音を立て、タマゴが外へ出た。そのままコンベアへと転げ落ち、流れていく。
「ミィィィィイイイイイイ!!!」
泣き叫ぶタブンネ。だが幾ら叫ぼうがコンベアが止まる訳が無い。当然助けなど来る筈も無い。
タマゴはそのままコンベアの上から、サウナのような熱に照らされ、孵化する。
「チィィ・・・」産声を挙げるベビンネ。だが今その時もコンベアは動き続ける。「チィ・・チィ・・・!」母親から離れたくないのか、ハイハイしてコンベアの流れに逆らうベビンネ達だが奮闘も虚しく流されていく。

さて、例え産卵直後でもタブンネに安息など訪れはしない。タブンネ達が固定された産卵台に数匹のローブシンがやって来た。手には巨大な注射器のようなものが。中には有名なマランネ職人が作り上げたマランネの精液が込められている。
その精力は計り知れず、精液は尽きないんだとか。
確実に妊娠させるべく、タマゴを産んだばかりのタブンネの股をこじ開け、注射器を差込む。
「ビギャァァアアアアアア!!!」
無理やり産道をこじ開けられる痛み故か、それとも望まぬ産卵を繰り返させられる悲しみ故かタブンネの悲痛な叫び声が響くが、ローブシンの心は一寸たりとも揺るぎはしない。

一方のベビンネ達だが、ここからが最も重要なポイントである。結論から言ってしまえば虐待するのだ。

コンベアの先にはハッサムが。ハッサムはベビンネを持ち上げる。
「チィ♪チィ♪」甘えた声で鳴くベビンネだが、ハッサムは表情一つ変えずに手のハサミでベビンネの触覚を切断した。
「チィィィッ・・・?チッ・・・ギャャァァァァァ!!!?」一瞬何が起こったのか分からなかったベビンネだが、次の瞬間に遅れて来る激しい激痛に思わず泣き叫ぶ。
ハッサムはその耳障りな声に少しイラつきつつも作業を進める。手、足、耳、尻尾を丁寧かつ迅速に切断し、それが終わるとベビンネを放り投げた。その先にはゴウカザルが待ち構えており、ベビンネをキャッチするや否や出血多量で死なれないように傷口を焼いて塞いだ。
「ウビィィィイイイイイ!!」鼻水と涙と尿と肉汁をばら撒いて泣き叫ぶが、止めてくれる訳が無い。
それが終わるとゴウカザルはベビンネを再びコンベアへと投げ込んだ。

いよいよコンベアの終点が訪れた。
虐待されてミィアドレナリンを分泌し、栄養価も味も格段に上昇した一級品のベビンネ達がそのまま数分足らずの短い生涯を終えるのだ。

いったんコンベアが停止。すると別の部屋からやって来たカイリキーが成体のタブンネを乱暴にコンベアへと投げ込んだ。
実はこの固体、最初の産卵ポイントで使い物にならなくなった固体だ。こうなってしまえば存在価値など無くなり、こうしてベビンネ達と共にフードと化する定めだ。
望まぬ産卵と、生まれた子供の行く末をこれでもかと言うほど見せ付けられ、十分に虐待されているので、品質が落ちると言う事は無い。先程最初の箇所で巨大なモニターを設置してまでもベビンネの末路を見せていたのはこう言う訳だ。

「ミィ・・・」投げ込まれたタブンネが辺りを見回すとそこに一匹のベビンネがいた。
「チィ♪」「ミィ・・・ミィ!」例え手足や耳が無くなっていてもお互い本能で親子だと分かったのだろう。永遠のお別れかと思われていた親子が、今こうして感動のご対面だ。

しかし、次の瞬間再びコンベアが動き出す。そしてその先にあるものは・・・高速回転する鋭い凸凹のある鋼鉄のローラーだった。巻き込まれれば絶命どころかミンチになるまで刻まれるだろう。

「チッ・・・チィ・・・」
「ミィィィィイイイ!!!」

限界まで虐待を続けられ、体力の無い体を鞭打ち、よじるようにしてローラーから逃げようとするベビンネ達。タブンネもベビンネを押し、なんとかしてローラーから遠ざけようと必死である。
だが悲しいかな、コンベアの速度はタブンネ達が逃げようとする速度を遥かに上回っていた。

「ミィィ・・ミィィィイイイイ!!!」
ベビンネを持ち上げ、この子だけでも助けて欲しいと言わんばかりに懇願するタブンネ。涙を流し、命乞いをする姿にポケモンとしての威厳など微塵も残っていない。
必死に叫ぶタブンネだがコンベアの上にいるポケモン達は誰も答えない。無視する者。冷ややかな目で見る者。手を叩いて笑ってる者までいる。
本来なら野生で愛する夫とタマゴを産み、木の実を探し、一緒に食事をし、仲良く暮らす筈だった親子。だがそのどれ一つも叶わずにローラーへと取り込まれ、苦痛と絶望に満ちたその生涯を終えた。

ミンチになったタブンネ達は苦痛と絶望により味も栄養価も最高峰の餌となり缶詰につみ込まれて出荷される。
その冠には美味しそうに餌を食べるタブンネの絵が描かれていた。何と言う皮肉であろうか。

タブンネが幾ら嘆き泣き叫ぼうが、工場での運命など変わりはしないのだ。
最終更新:2014年12月26日 02:06