ドリルアーム

ある朝、俺が不安な夢からふと覚めてみると、俺の左腕がドリルになっていた。

…なんだこれ。恐るべき不条理。グ○ゴール・ザ○ザもびっくりだ。

日頃からタブンネを虐待していた報いで、天罰でも下ったのだろうか?
いや待て、ここはあえてポジティブに考えよう。
きっと「もっとタブンネをこらしめてやりなさい」という神様の思し召しなのだ。
そうだそうだ、そうに違いない。早速期待に応えますぜ、神様!

庭のオボンの実がタブンネに荒らされて困るとこぼしていたご近所さんの所に行ってみる。
いたいた、ちょうど子タブンネ2匹を連れた親タブンネが、オボンを盗んでいた。

「チィチィ♪」「チィチィ♪」「ミッミッ♪」
(ママー、おなかすいたー)(はやくとってー)(はいはい、ちょっと待っててね)

とか聞こえてきそうな満面の笑顔を浮かべてるんだが、
お前らは今、楽しいお食事の時間ではなくて、図々しい木の実泥棒やってるんだからな!
許せん、成敗だ!

キュィィィィィィィィィン!!

派手なドリルの回転音を立てながら俺は駆け寄り、1匹の子タブンネを串刺しにした。
「チビャアアーーーッ!!」
どてっ腹に風穴の開いた子タブンネを放り捨て、立て続けにもう1匹も貫通!
「ピギィィィ!!」
ドリルの先端でくるくる回っている子タブンネをぶんぶん振って捨てようとする間に、
親タブンネは腰を抜かし、這って逃げようとしている。逃がすわけないだろう!
「ミギャアアアアア!!」
ケツの穴をドリルで抉ったら凄まじい絶叫を上げた。これに懲りたらもう盗みはやめるんだな。
この切れ痔は当分治らないだろうから、排泄の度に苦しむがよい、ふはははは!

ご近所さんの悩みの種は取り除いてやったが、まだまだドリルが疼いて仕方がない。
こうなったらタブンネ狩りじゃああ!

近くのタブンネの集落がある森に行った。いるわいるわ、美味しそうな獲物が!
「タブンネはいねがー!!悪いタブンネはいねがー!!この際いいタブンネでも構わねー!!」
俺は叫びながらドリルをフル回転させてタブンネどもを襲った。
「ミギャアーッ!!」「ミヒィーッ!!」「ミゲェェェーッ!!」
次々とタブンネを血祭りに上げる俺の前に、1匹のタブンネが立ちはだかった。
体格も一回り大きくガッシリしている。おそらく群れのリーダーだろう、ちょこざいな!
キュィィィィン!!
「ミッ!!ミグゥゥゥッ!!」
なんと!胴体にドリルを突き刺されたのに、受け止めてこらえているではないか。
自分が犠牲になっている間に仲間を逃がすつもりだな。あっぱれだが、タブンネ風情が!
「ミ…ミギャハァァ!!」
そんな俺の気持ちに応えたのか、ドリルの先端が4つに裂けた。
体内でドリルを開かれたタブンネの体は八つ裂きになって吹っ飛んだ。やるな、マイドリル!

だが俺がタブンネたちを阿鼻叫喚に叩き込んでいるところに、パトカーのサイレンが聞こえてきた。
「おまわりさん、こっちです!危ない人が暴れてるんです!」
「おい、そこの変質者!無駄な抵抗はやめておとなしくするんだ!」
え?俺?変質者って・・・違うんです!そんなんじゃなくって、これは何かの間違いです・・・!

結局俺は逮捕されてしまった。さすがに人間相手にドリルを振り回すわけにはいかない。
幸い執行猶予がついたので、反省した俺は工事現場で働くことにした。
ドリルのおかげで作業ははかどるし、「怪奇!ドリル男」としてテレビ局が取材に来たりするもんで、
いまやすっかり街の有名人だ。めでたしめでたし・・・・・

……で済む訳がなく、このドリルはタブンネを攻撃しないと調子が悪くなってしまうことがわかったので、
俺は時々タブンネの集落を襲って餌食にする生活を続けたのであった。
やっぱりドリルは最高だぜ、ヒャッハー!!
最終更新:2014年12月30日 17:47