デス勤労感謝の日

大学合格祝いとしてブリーダーしてる叔父さんに貰った卵からイーブイ♀が孵った
僕にもポケモンができたのが嬉しくて家族に自慢しまくった。ちなみに明後日から独り暮らしするんでイーブイと二人暮らしになる

俺は嬉しくて家族と食卓を囲みながらイーブイにベロベロチュッチュしてみせた
だがそれを恨めしそうに見てる奴がいるうちのタブンネ♀だ
これは俺がガキの頃に両親が飼ったやつでとにかく溺愛されて育てられたからワガママ。ろくに世話しない俺の事は嫌い

ちなみに俺は四足にしか萌えないのと、俺自身両親がタブンネ贔屓してるとガキながら感じていたのでこいつが大嫌いだった

まあ互いに嫌いってこと

ただタブンネは心のどこかでは俺と仲良くしたいみたいで、俺が学校から帰宅すると玄関まで迎えに来てたり、いつだかは四足歩行の真似して俺に媚びた事もある
まあ俺の反応は、無視か邪魔って払うのどちらか

まあそんな扱いしてきた奴が目の前でイーブイにブチューしたり舐め回してんだもん。絶対二重の意味で不快だよな
俺は見せつけるようにあーん、したり口移しでイーブイにポケフーズを食わせてあげる

結局タブンネは機嫌悪くて飯は少ししか食べなかったみたい。母ちゃんが「依怙贔屓すんな!タブちゃんも可愛がれ!」とうるさいから屁をこいて返答してやった

お風呂も一緒に入って、お布団も一緒。イーブイも刷り込みからか完全に俺を味方と認識しており嫌がらない

そんな俺達をタブンネがドアのわずかな隙間から怨恨の視線で覗きこんでいた事に俺はおろかイーブイも気づかなかった

翌朝
午前中いろんな物資を買いにいくのにイーブイを自室に留守番させなきゃならなかった
俺は100連発チューをかました後涙目で俺を追うイーブイに心が引き裂かれるような思いで部屋を後にしたがこれが間違いだった

帰宅すると部屋が荒れており、ボロボロのイーブイが虚ろな目で胸を上下させていた。あたりにはピンクの毛がちらばっており犯人は火を見るより明らかだ

俺はイーブイに元気の塊を与え、60秒くらいチューした後ボールにしまい、タブンネの部屋に向かった

時間は少し遡って主人公がでかけた後の部屋。イーブイは涙を流し鼻をすすりながら必死に飼い主の皮脂臭い枕をすんすんしていた
ばたーん!ドアが開きイーブイは「ごひゅじんしゃま!?」とパァとなるがそこには鼻息荒くしたタブンネが麺棒をもち立っていた
イーブイ「こわひよう」
タブ「媚びてんじゃねえミィこのイーブタが!」
そう叫ぶと麺棒でぺちぺち叩き出した
イーブイ「いたひー」
タブ「うるさいミィ!ミィもミィも優しく構ってもらいたいミィのに!」
だんだん振る力は強くなり、痛みに逃げ回るイーブイをドスドス追いかけ棒を振るう
何発か殴るとイーブイは動かなくなり、荒れた部屋も合わせ我にかえるとタブンネは自分のしたことが怖くなった
タブ「こ、殺されるミィ…今日はパパもママもいないから味方がいないミィ。そうだミィ!近所のレパルダスが家に入り込んでやったことにすればいいミィ!」

タブンネは麺棒を持ち窓を全開にすると部屋を後にした
それからしばらくたち主人公が帰宅し現在にいたる

俺はタブンネの部屋(生意気にも一人部屋を持つ)のドアを静かに開けると豪華な装飾のベッドに丸まるタブンネに優しく声をかけた
「おい殺すよ?」

震えだした。俺はまだ何もしてないのにこう震えられると「ミィがやりましたミィ」と自白してるようなもんだ
イーブイをボールから出すとタブンネを睨み「うーうー」うなりだした
可愛いと俺は抱き締めチューした後タブンネに優しく穏やかに「仕返しするからおいで」とささやきこいつのヒールボールで拘束した

リビング。タブンネの首には大型ポケモンしつけ用のスパイク付き首輪がはめられ、チェーンを家の支柱にくくりつけてある
タブンネは首輪なんてつけたことがなく、首輪という物にプライドが許さないのか首をカリカリし必死にはずそうと無駄な努力をしてさ
なんで俺がこんなん持ってるかというとまあどうでもいいじゃない

「今日は親父も母ちゃんも遅くまで戻らないから俺達だけなのよウフフ」
笑顔で言うと目に涙を溜めウルウルしながら必死に媚びてきた。そう、まずその媚が気に入らないのよウフフ
俺は昼食の準備にかかる。フライパンからはおいしそうな匂いが漂い、足元でイーブイも目を閉じ匂いを堪能中
テーブルに置かれたはホットケーキ。さっそく切り分けフーフーしてあーんして食べさせてあげるう
両手で可愛くほっぺを押さえ「おいちー」ってモッモッ食べるのが可愛くて俺はいきかけたが背後の視線に台無しにされた
よだれを垂らし目を血走らせホットケーキ凝視するかわいらしいピンクの子
俺は食い物で差別はしない主義なんだ。一枚与えるとハフハフしながらぺろっと平らげた。そして俺に優しくされたからか笑顔でミッと鳴く
イーブイの真似して手を頬にあててるのが最高に頭にくる

そうか、そんなに旨かったか。自分の卵のホットケーキが

先程部屋に行った際に隅に置かれた卵を見逃さなかった。卵守ろうとする前に捕獲したからな

ここでネタばらし。卵の殻を見せてやると笑顔は一瞬で真っ青に染まり、ド派手に嘔吐した
「あ、あれお前の子だったんだ。てっきりおやつか餌だと思ってた。めんご」
タブンネは信号機か?ってくらい顔を真っ赤にミーミー鳴いてこちらに駆け寄るが首輪に阻まれ、さらにスパイクが食い込み「ミ"ェ」と後ろに吹っ飛んだ
咳き込むタブンネを尻目に食事を続けた。うん、美味い

洗い物を済ませお腹いっぱいお昼寝タイムのイーブイをソファに寝かせたらタブンネの足元に散乱したゲロの始末をしなきゃ
タブンネは何か大切なモノを失った顔だ。俺は頬を撫で「お掃除しなきゃね」と言ってやった
ゲロにはホットケーキの残骸だけじゃなく、朝食ったであろうオボンやフードの未消化物も混じっている
このままじゃゲロの酸性でフローリングの色変わっちゃうから塵取りに集め雑巾で拭いたから、タブンネの口にゲロと雑巾を入れてあげるね
もちろん反抗して嫌がるが「あと二つあるよね卵」と言うと恐る恐る口を開けたので一気に流し込み、雑巾を突っ込んで、ガムテープをはりつけてあげる

剥がそうとやっけになるが、テープ剥がす痛みからか躊躇していたから俺が一気に剥がしてあげた
目を真っ赤にして涙と鼻水と溢れんばかりに大騒ぎする姿に俺はひとつの可能性を見いだした。ミィ出した

ソファで穏やかに眠るイーブイ、白目を向き失禁までしだしたタブンネ。この二匹は題して二人の天使

しばらくして俺はブイズ図鑑を眺めながら何に進化させようか悩んでいたが臭いで台無し

さっさと掃除しろよね
体をモップ代わりに使わせ掃除を終えると特性・あくしゅうになった黄ばんだタブンネができあがった。これがメガ進化か

さあてと、卵二つ残ってるし片側使って遊ぶかな
卵を持ち出しイーブイにあずけるとコロコロ転がしてじゃれつきはじめた
親らしく愛で卵を感じたのか、はっと顔をあげミィミィ喚きだした。俺はにっこり微笑むと麺棒片手に卵をタブンネの鼻先につきつけてやる
手を出し必死に卵を取りかえそうとするけどダメ。代わりに麺棒で鼻先を小突いてから

「これで叩いたのは誰♪あなたじゃないんですか~あ~♪」BGM赤緑のチャリの曲
歌いながら卵こんこんすると、凄い勢いで土下座しだした。けどチェーンが短くて頭が床に着かず何度も嗚咽している
「ゲームしようか。名付けて卵割りゲーム。いわゆる西瓜割りみたいなもんだよ」

倉庫からかけやを持ち出し、卵をタブンネがギリギリ届かない位置に設置。危ないからイーブイをソファに退避させ準備完了
目隠しOK!かけやをドスンと床に置きケツにデコをつけ10回まわるぞ!

「いーち!にー!」
「ミィィ!!」
「しー!ごー!」
明らかにかけやにびびってるな。目隠ししてもわかる
「テーン!おしゃあいくぜぇ!?ドットゥルテトテトドットゥルテトテト♪(ドンキーコングでマリオがハンマーとった時の曲)」
フラフラしながらもタブンネの声の方向目指して近づき、かけやに振りかぶり

「バースト!」
「ミギャアアアアア!」
目隠しをはずすとぶち抜けた床と血塗れで皮だけで繋がった右足があった。あちゃー卵はずしちゃったか
「めんごめんご」
俺は戸棚から回復の薬を足につけてあげた。タブンネは足を潰された恐怖からか回復後も暴れまわりその足が卵に触る
コロコロ転がって、床の穴ギリギリで止まった
「あう゛ねえあぶねえ」
手をかけようとした時
「きゅうー!」
イーブイが走り込んできて鼻先が卵に触れ

ひゅーグシャ
破滅の音がした

「うー?」
?って首を傾げるイーブイに我慢できなくなり、御坊茶魔のおとうちゃまみたくベロベロなめちゃった
ピンクの子かわいそう…穴を覗き込んでは大粒の涙流してる

「この穴どうしよう」
俺が頭を傾げるとイーブイも同じように頭を傾げていた

イーブイにポフィンをあげてた時、突然タブンネが柱に体当たりをはじめた。まあ卵二個も破壊され自身も被害に合ったからね
ミギーミギャーミフーと柱に足をつき両手でチェーンを引っ張る姿に笑いが止まらずちょっとうるさいからかけやを構えた
静かになった。さすがに足潰されてるからね、にしてもガッツたりないぞ

「これからミュージカル中継みるんだから静かにしてよ。お前も見ろよ」

テレビではドレディア、ミミロップ、サーナイトが可愛らしい衣装を纏い優雅に演じている
「かわいいなドレディア。チュリネもほしいなあ」
イーブイも画面に手をつき尾を振りながら楽しんでるようだ
「お前も楽しんでるか?」

ピンクは無い膝を抱えスンスン泣いていた
思い出した。そういや母ちゃんが「タブちゃんとベビちゃん達みんなでミュージカル出ようね!」とかに言ってたな
あの時はまったく気に留めてなかったが、タブンネは腹を撫でてたし孕んだ時期だったのかな?そうするとミュージカルはタブンネ達の夢だったわけか

ならその夢を潰した俺が夢を叶えてやろうじゃないか
「ようしやるぞ!イーブイ、タブンネ、ミュージカルオンステージだ!」

そんなわけで庭にいます
グッズが無いからイーブイとタブンネにはホットケーキに使った卵の殻を頭に被せました
さあてミュージックスタート

イーブイは不思議な踊りを踊った。俺のMPは0になった
タブンネはチェーンはずれてる事に今更気づいたのか俺に捨て身タックルを繰り出してきたがごめん、よけれた
草につっぷしながらも立ち上がりまた体当たりしては転ける繰り返し。まるで闘ケンタロスだなあ

BGMが終わりイーブイは回転しすぎたのか目をくるくるにしてフラフラしてる。カメラで50枚くらい連写したぞ!
よろよろのタブンネはビチッと壁にぶつかりふらふらしてる。メモリ容量ないから撮れないごめん

そしてミュージカル終わり。さあてファンレター読んでみるか

「イーブイかわいいでチュー」
「イーブイ個性的なコーディネイトですねい」
「イーブイほしい」
「ピンクの子かわいそう」

ああ一人芝居は悲しい。芝居といえばポケウッドも悪くねえな、うん
にしても汚れちゃったな。風呂入れてやるか
イーブイも手足綺麗にしよう

さすがに汚物や土に汚れたままじゃタブンネかわいそうだしね
こいつは風呂は好きらしく浴室につくなり飛び込んだが残り湯は冷たく「ミヒャーン」と声をあげた

知ってるんだよ。いつも親父と風呂入って100数えるとかやってるのをさ
親父俺にはやってくれなかったくせに!!おっとつい感情的になりそうだった。
上がろうとするから、くにお君の遥かなる金メダルみたく背中に乗ってやった
なんか乗馬マシンみたいでたのしいなこれ。イーブイもやりたい?危ないからダメっていうとプンって頬を膨らませたった
水で腹を膨らませたタブンネは動かなくなったった

さすがにやばいか?引きずり出し床に寝せるが息をしていないし、触りたくなかったが心音も微弱。麻痺かな?
うーん、心臓麻痺にはまひなおしはきかないんだな。もう回復の薬も元気の塊もないや
ヒールボールにしまい、夕飯買い出しのついでにポケセンよるか。おいでイーブイ、帰りにアベニューでオヤツでもかってあげる

ポケセン。はい元気になりました。科学の力って凄い
帰宅後、タブンネを支柱にくくりつけ夕飯の支度に入るよ。今日はシチューおいしいよ!
お皿によそってさっそくいただきマッスグマ!うーんうまい!タブミルクのこくがタブ肉に滲みて甘さと旨みの
ごめん、はいイーブイあーん

「ミッ…ミィ~ン」パチパチウルウル
チッ、相変わらず邪魔しやがんな。ポケセンで回復して気分も晴れたのか飯がほしいのかさっきまでと態度が違うじゃねえか。まあいい

タブ肉山盛りによそった皿をチェーンからギリギリ届く位置に置いてやった。ギリギリ舌は届くけどそんなつっぱったらスパイク食い込むよ
むせながらも必死にがっつく姿は可愛いよね

「くるしい?くるしい?くるしい?」
俺もタブンネの真似してパチパチウルウルさせながら覗き込むが、シチューに夢中でこちらなんて構ってる暇はないらしい

まあいいや。さあてこの時間は『滅茶苦茶逝ってる』の時間だ
バラエティ番組で、俺はタ太り(たぶとり)侍がだいすき
タブンネ5匹が回りながら連想ゲームするんだが罰ゲームが笑える

タブ1「ブンブンブヒヒン、ピンクチョッキのポケモン!」
タブ2「ブンブンブヒヒン、色ミミロップ!」

タブ3「違うミィおかしい」
タブ4「2アウトー、デデーンネ」
こうしてアウトになったタブンネはいずこから現れたゴーリキーやカイリキーから罰ゲームを受けるはめになる
ははは、頭が胴に埋没してるよ、イーブイもケラケラ笑ってる。ちなみにタブ5は俺がみはじめた時既に肉塊にされてたようです

さあ気が気じゃないのはうちのタブちゃん。なにせ画面内では自分の同種が暴行されてんだからね。勘違いすんなよあれは罰ゲームだし
そうか、母ちゃんはバラエティ嫌いだからタブンネはこういうの観たことないんだな。かわいそうに
次のタブンネが罰ゲームでハリセンで顔叩かれるスタンプネが始まるも目をキュッと閉じて耳も塞いでる
逆にイーブイは目をキラキラさせながらチラシで器用にハリセンを作り口にくわえピョンピョン跳ねてたから、こっちのほうがいいよって麺棒渡してあげた
したら電光石火の勢いでタブンネの顔面にヒット!
「ミギャアア!」
鼻血を噴き出し悶絶するがイーブイはやめようとしない。まるで仕返しが如く次々うちこむ
威力から推測して特性てきおうりょくなのかもしれない

気が済んだのかすっきりした笑顔でイーブイは血だらけの麺棒を返却した。よかったね!もうこれ使えないから捨てるか
タブンネに目をやると顔だけ色違いで床には歯が散らばり血痕が残されていたのはちょっとびっくりした
意外と怖いんだなイーブイ

もう寝るか。イーブイを抱っこし、タブンネも寝ろよとチェーンを引きずりながらタブ部屋につくと何かの気配がする
ドアも開いてるし、俺はバアオ!と声をあげながら飛び込むと何かをぐちゃぐちゃ噛んでたレパルダスがいた
ダダダッ!と何かをくわえたまま俺達の間を駆け抜けていったから「まてい!」追いかけると俺の部屋の開いた窓から脱走していた

そういや開けっぱだった。めんご
タブ部屋に戻るとタブンネが涙を流しながらその残骸と欠片を抱き締めていた
それは頭と腕の無いベビンネ。この子だけ先に孵化してたんだろうな…そして今日俺達はリビングにいたわけで
俺達の隙をついてレパルダスが…ってことか
泣き叫ぶベビンネはただ自らの体を貪られ母に抱き締められることなく生を終えたのか


「元気出せよ」
俺はタブンネから首輪をはずし優しく頭を撫でてやった。卵といい本当に楽しみにしてたんだろうな
ただイーブイは「これに関しては自業自得でしょう?」って顔だがよくわからないな
今は一人、いや親子にしてやるか

両親帰宅後にレパルダスに荒らされたと説明し、タブンネも卵を守って怪我したことになったみたい
精神にダメージを負ったらしく俺のせいどころか、なにも言わなかったとか


あれから数日。忘れ物を取りに実家に戻った俺が見たタブンネは痩せ細り死んだ目でぬいぐるみを撫でていた
ぬいぐるみを離さなくなって取り上げようとした両親を噛んだんだと。いい気味だ

さあて、俺達の巣に戻ろうかイーブイ!

終わり
最終更新:2015年02月11日 15:26