深い夜の森の中◆C1mr6cZSoU



時は深夜。
風がさざめき、木々を揺らす。
木枯らしが鳴く。
その中を逞しい顔に鋭い眼光をした男。新撰組初代三局長が一人。新見錦は歩いていた。

「死ぬまで戦う御前試合……ねえ。得物を奪い事前の連絡も無く、挙句の果てにこのような駄刀を押し付けて『御前試合』
とは……笑止千万とはこのことか」


新見錦は特に表情を変えるでもなく歩き続ける。
そしておもむろに腰に刺した刀を抜く。
そして深いため息をつきながらぼやく。

「この刀で死合………あの男にはやる気があるのか………無いな。自分を馬鹿にしているのか」

新見が抜いた刀は鋸のようになっていた。
それが新見を深くがっかりさせていた。
愛刀で無いどころか、刀といっていいのかすら怪しい物を支給されたのでは無理も無い。

「ナマクラ刀どころか……鋸。これではやる気も削がれるというものだ。どの道素直に乗る気などないがな。」

新見は刀を鞘に納めると、一度木にもたれ掛かり冷静に思考を巡らせる。

 確かにあの場には芹沢さんが居た。それは間違いない。芹沢さんが素直に殺し合いに乗るとは考えにくいが、あの人の性格
 を考えると、暴走してしまい周囲に誤解を与えかねない。それでは危険だ。平山も平間も野口も居ない以上、自分しかあの人
 の味方になる者はいないだろう。それは不味い。周囲に疑われてはまず間違いなく殺しの標的となり、最後には討ち死にか
 割腹の自刃のどちらかの結末しか用意されないだろう。このような狂人のやる事につき合わされて死ぬのは御免こうむる。
 そもそも新撰組に芹沢さんと自分が居なくなった後を無事に纏められるような者がいるとは思えん。
 そう考えれば余計にこの下らない催しなど早々に中座させて戻らないと不味いな。このような場に長居する事は無い。

自身の行動を纏めると再び足を動かした。

「どちらにせよこの刀では心許ない。どちらにせよ明確な行く先も無い事だ。芹沢さんを探すのと平行して刀を探すか」

行き先の無い旅路。
新見錦の旅路は深夜、森から始まる。


【にノ壱 森の中 一日目 深夜】

【新見錦】
【状態】健康
【装備】無限刃@るろうに剣心
【所持品】支給品一式
【思考】
基本:早々にこの催しを中座させる。
一:芹沢さんを探しながら刀を探す。
二:まともな刀を手に入れるまでは極力小競り合いを避ける。

※新撰組三局長の頃からの参戦です。
※名簿をしっかりと見ていませんが、OPで芹沢鴨の存在を確認しています。

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試合開始 新見錦 すれ違う思惑

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最終更新:2009年03月28日 01:24