高い城の男と女◆teYIdSMxAQ



大きな室内。
城の頂点にある天守閣には月明かりが差し込み、更に小さいながらも蝋燭の明かりも重なって、充分な明るさがある。
そして、その空間には微妙に似つかわしくない現代風の学校制服に身を包む一人の女性、外薗綸花が立っていた。

「はあ~、……ここは何処なんだろ?」

綸花は深々とため息をつきながら呟く。
先ほどの見ず知らずの少年が爆殺された現場は綸花にとって幸か不幸か、死角になっていた為によく見ていなかった。
そのためいきなり人が殺されたという衝撃もほとんど無く、イマイチ殺し合いに巻き込まれた実感が沸いてこない。

「確か最後の一人になるまで殺しあえとか言ってたけど………えっと、私の刀は……」

綸花はとにもかくにも、まずはバッグに入っている刀を取り出す。
そしてその刀に思わず硬直してしまう。

「えっ、こっ、これって」

出てきたのは雷切というかつて雷神を斬ったと言われる伝説の名刀。
それには流石の綸花も驚きを隠せない。

「こんなのが………これを私が………」

出てきた名刀にさすがの綸花も息を呑む。
自分でも正秀を受け継ぐ者としての心構えはあったが、それでもいきなりこのような刀が与えられては動揺を隠せなかった。

「とっ、とりあえずは……だけどやっぱり真剣で殺し合いのは……嫌ね。私の剣は人を殺すものじゃない」

動揺しつつも刀を腰に差すと、自分の思考を纏めてバッグの中身を調べる。
中には地図やら水筒やら食事やらが入っていた。
そして、その中にあった名簿を見つけ、広げようとした時だ。

(だっ、誰!)

不意に近づいてくる気配を感じ取り、名簿をバッグに戻すと気配の方を振り向く。
すると襖を空けて一人の男が立っていた。

「なんじゃあ、やけにベリーキュートなガールもいたもんじゃなあ。てっきりボーイオンリーとおもっとったぞ」

男は軽い口調で話しかけてくる。
それには思わず綸花も拍子抜けしてしまう。

「えっ!あのっ!」
「ああ、心配はナッシングだ。ワシは別に天下一とかノーサンキューだから」

男は腰に差した刀の柄から手を離して、警戒心を解くように両手を両手を少し上げる。
しかし警戒心は薄れるも、その男の不思議な口調には綸花は困惑を隠せない。
特に英語と日本語が微妙に混じっている辺りに胡散臭さがにじみ出ている。

「あのっ、私は凰爪流の後継者。外薗綸花といいます。それであなたは?」

それでも綸花はとりあえずはコミュニケーションとばかりに、自己紹介をしつつ相手の名前を尋ねる。すると

「ワシか。ワシは坂本龍馬じゃ。日本をいずれは世界の大国と並ぶ国にするな」
「えっ!?」

綸花は本日二度目の硬直をしてしまった。

(坂本龍馬って………えっ?あの坂本龍馬?)

混乱してしまい上手く次の言葉がつむぎ出せずに苦労してしまうのだった。


【ほノ参 城内の天守閣/一日目/深夜】

【坂本龍馬@史実】
【状態】健康
【装備】日本刀(銘柄不明)
【所持品】支給品一式
【思考】
基本:殺し合いで得る天下一に興味は無い
一:とりあえず夜が明けるまで城にいようか
二:凰爪流?聞いた事が無い流派だ

【備考】
登場時期は暗殺される数日前。
名簿を見ていません

【外薗綸花@Gift-ギフト-】
【状態】健康 少し混乱気味
【装備】雷切@史実
【所持品】支給品一式
【思考】
基本:人は斬らない。
一:坂本龍馬?この人が?だって……どうして?

【備考】
登場時期は未定です。
名簿を見ていません。

時系列順で読む

投下順で読む


試合開始 坂本龍馬 頑張る女達/師匠と弟子/盟友の誓い
試合開始 外薗綸花 頑張る女達/師匠と弟子/盟友の誓い

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2009年03月28日 01:16