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狂依存 102 sage New! 2011/02/20(日) 16:36:12.19 ID:LcXzRLnY
昼休み――
中庭を歩いてる途中、携帯の着信音が鳴ったので電話に出る。
早速、一条さんから電話が来た。
「はい」
「大輝君。ちょっと良いかな?」
「ええ」
「実は今日、麻由ちゃんと一緒に夕飯を食べに行く約束をしたんだ。その時、麻由ちゃんと大輝くんとの事を話そうと思うんだけど、良いかな?」
「ええ、良いですよ」
「良かった。じゃあ、何とか麻由ちゃんを説得してみせるから。上手くいくかはわからないけど……」
まだ知り合って間もない僕の為にここまでしてくれるなんて……。
本当に良い人なんだな。
「それじゃあ、お願いします」
「うん、任せて」
頼れる人がいるというだけでこんなにも心強い気持ちになるなんだな。
一条さんの好意を無にしないため僕も頑張らないと。
隣町にある二人で良く行くイタリア料理のレストランの玄関の近くで、麻由ちゃんを待つ。
「そろそろ、約束の時間なんだけど……」
時間に遅れるような子ではないのだが、まだ来ない。
もうちょっと待って来なかったら、電話でも……
「ごめん、待った?」
「あ、麻由ちゃん。ううん、時間ピッタリだよ」
「良かった。弟の夕飯作ってたら、遅くなっちゃって。じゃあ、入りましょうか」
「ええと、何にしようかな……」
「それにしても、麻由ちゃん偉いね。こんな時でもちゃんと弟さんのご飯作ってあげるなんて」
「別に大したことじゃないわよ。お母さんから大輝の面倒見るよう頼まれてるんだし、それに……」
「私の夫でもあるんだしね」
「――!!」
平然とした口調でとんでもない事を口にした麻由ちゃんに一瞬言葉を失う。
自分の弟の事を『夫』だなんて……
「あら?あの子から聞いてなかったの?私と大輝は今、男と女として愛し合って夫婦になってるの。まだそういう関係になって2、3ヵ月ぐらいだけどね」
呆然としている私を尻目に嬉しそうな顔をして信じられない様な事を次々と口にする。
冗談にしても笑えないよ……。
「ふ、夫婦て……二人は姉弟なんじゃないの……?」
「戸籍上はそうなってるみたいね。でもそんなのたいした事では無いわ。姉弟だって男と女なんだから、愛し合うことに何も問題はないでしょ」
「も、問題はないって……周りの人は必ずしもそうは見ないんじゃないかな……」
「別に関係無いわ。周りから理解されなくたって、私達は毎日愛し合ってるという現実があるんだもの。ふふ……昨日だって何度も私の中で出しちゃって……」
「ちょ、ちょっと麻由ちゃん……!」
慌てて辺りを見回して誰かに聞かれていないか確認する。
幸い平日で時間も少し遅いせいか、客は少なく私達の周りにお客さんはいなかった。
人前でこんな恥ずかしい事を口にするような子じゃなかったのに……。
「今まで黙ってごめんなさい。隠すつもりはなかったけどあの子が恥ずかしがってね。今度改めて紹介するわ。まだ沙耶以外の人には誰にも知られていないから、紹介するのはあなたが初めてよ」
「あ、あのね!麻由ちゃん。実は私、一昨日二人がその……ホテルに入る所見ちゃったんだ……」
「勝手に後をつける様な事をしてごめんね。でも、何で私が二人の後をつけたのかわかるかな?私と別れる時、大輝君がちょっと辛そうな顔してたのが気になってそれで……」
「ええ、辛かったでしょうね。私とエッチな事したくてしたくて仕方が無かったんだから……くすくす……それだけ私の事を愛しているって事よ」
何処か虚ろな目をしながら、恍惚そうな顔をして恥ずかしい事を呟く。
正直今の麻由ちゃんはちょっと怖い……。
「ええ?普通に辛そうな顔をしてたけど……」
「あの子は恥ずかしがり屋だから、人によってはそう見えちゃうのかもね。でも私達は間違いなく愛し合ってるわ」
「それって本当かな……?」
「何よ?」
「大輝君凄く悩んでたみたいだったよ。自分が本当に麻由ちゃんの事好きなのかとか、麻由ちゃんがどうしてこうなったんだろうかとか……」
「ちょっと強引に聞き出しちゃったかも知れないけど、それでも今まであまり面識の無い私にも話すぐらい麻由ちゃんとの事悩んでたってことだよ。だから、少しは弟さんの言う事にも耳を傾けて……」
「私の事が好きすぎて悩んでいるのよ。これ以上、私の虜になったら幸せすぎてどうにかなりそうって考えてるんでしょうね。ふふ……本当可愛いんだから……」
は、話が全然噛み合わない……。
麻由ちゃん本気で頭がおかしくなったんじゃないの?
こんな状態の麻由ちゃんに毎日迫られてる大輝君の心労は一体どれほどの物なのだろうか?
私だったら死にたくなるかも……。
77 狂依存 103 sage New! 2011/02/20(日) 16:36:44.93 ID:LcXzRLnY
「大輝君はこのまま関係を続けたら自分がどうにかなっちゃいそうで怖いって言ってたんだよ。嫌だって言っても無理に迫ってきてるみたいな事言ってた。そういうのは良くないと思うんだ」
「あの子ったら照れ屋だから遠慮してるのよ。でも本心では私と愛し合うのを望んでいるの。だから少し強引な事もしてるけど、あの子は私の事を心から愛している。断言していいわ」
自分がやっている事に間違いなどないと言わんばかりの態度で堂々と言う麻由ちゃん。
本当にそんな関係で良いと思ってるの?
「私もね二人が本当に愛し合っているのなら、応援してあげても良いと思ってるんだよ。でも大輝君の様子を見てたらそうは思えなくて……だから、昨日もわざわざ大輝君に直接聞いて……」
「なら応援なんかしなくて良いわ。私達の愛は誰にも邪魔することなんて出来ないんだしね」
「いや、私は二人の為を考えて言ってるんだよ。別れろなんて言わないから、少しは弟さんが悩んでいる事ぐらいわかってあげて……」
「ここのカルボナーラ、本当に美味しいわよね。今度ウチの夫も連れてこようかしら……」
「ちょっと、麻由ちゃん話を聞いて……」
「すみません。サラダとコーンスープを追加して……」
その後、麻由ちゃんは食べ終わるまでずっと私の言う事を無視し続けていた。
今の麻由ちゃんは見てて本当に怖い。
何か根の深い闇に染まっている様な気がして……。
「ごちそうさま。今日は誘ってくれてありがとう。またね」
「麻由ちゃん。本当に今のままの関係で良いなんて思ってないよね……?」
「思ってるけど何か?何を言っても私の気持ちは変わらないから。それじゃあ」
麻由ちゃんは店を出たらすぐに帰ってしまった。
結局最後まで私の言うことなど全く受け付けてはくれなかった。
大輝君へ申し訳ない気持ちを抱きながら、私も家路についた。
夕飯を食べ、風呂から上がってくつろいでいたら一条さんから電話がかってきた。
早速今日の報告かな?
「はい」
「大輝君?えっと今日の事なんだけど……」
一条さんが今日の事について話す。
予想していた通り、麻由お姉ちゃんは一条さんの言う事に全く耳を傾ける様子はなかったみたいだ。
やっぱり駄目だったか……。
「本当にごめんね……でもまた麻由ちゃんを説得する機会を作るから」
「いえ、今日は本当にありがとうございます。でも無理にやらなくても良いですよ。やっぱりこれは僕と
姉さんの二人でちゃんと解決しないといけない事ですし」
だからあまり一条さんに甘える訳にもいかない。
何よりあまり深入りさせ過ぎると今の麻由お姉ちゃんは何をするかわかったもんじゃない。
一条さんに何か危害を加える様な事をしかねないし……。
「ううん。今の麻由ちゃんは私も放っておけないよ。何ていうかちょっと怖い感じがして……」
そりゃ、そう思うよな……。
「ねえ……他に誰か相談できる相手とかいないかな?ご両親は今海外にいるんだよね?」
「はい。うーん……他に相談できそうな人か……」
はっきり言って誰かに相談できる様な事じゃない。
こうして一条さんと麻由お姉ちゃんと話しているのだって、たまたま一緒にホテルに入る所を見られたっていう不測の事態がきっかけな訳だし。
というか、あの光景を一条さん以外の人に見られたらどうなってただろう?
考えたら少しゾッとしてきた……。
「すみません……ちょっと思いつかないです。ちょっと話しにくい事なんで……」
「そうだよねえ……うん、わかった。また私が何とかしてみるからさ」
「はい。それではまた……」
ピンポーン
「あ、今帰ってきたみたいなんでこれで」
「うん。それじゃあね。また何かあったらいつでも電話してね」
「はい、今日は本当にありがとうございました」
電話切った後、念のため着信履歴も消し玄関に向かう。
「おかえり……んっ!」
「ん、んんっ……んふうっ……ちゅっ、ちゅっ……」
麻由お姉ちゃんは玄関を開けたらすぐ僕に抱きついてキスしてきた。
ちょっと息が……
「ん、んく……んちゅっ……はあっ……ただいま……今日は遅くなってごめんね。その代わり今日は目一杯ご奉仕してあげるから……ちゅっ……」
「今日はもう遅いから良いよ……」
「遠慮なんかしちゃだめよ。お姉ちゃんがいなくて寂しかったんでしょう……さあ、私の部屋に行きましょうか」
78 狂依存 104 sage New! 2011/02/20(日) 16:38:29.95 ID:LcXzRLnY
相変わらず僕の言うことなど無視して自分の部屋へと強引に引っ張っる。
麻由お姉ちゃんと手をつないだだけで胸が高鳴って欲情で体が蝕んでいく。
また今日も麻由お姉ちゃんと気を失うまでやる事になるのか……。
「さあ、そこに座って。今日は遅くなったお詫びにたくさん気持ちよくしてあげるからね……ん、ちゅ…」
麻由お姉ちゃんは僕をベッドに座らせて、服を全部脱いで跪いて僕の足を舐め始めた。
足の指一本、一本を汚れを落とすように丁寧に舐める。
「ん、ちゅ、ぺろっ……ん、れろ……ちゅっ、ちゅっ……れろっ、ぺろ……」
指を舐め終わったら、足の裏からかかとまでくまなく舌でなぞったり、キスして満遍なく舐め回す。
柔らかい唇と舌先でなぞられる感触がとても心地良い…。
「ん、んくっ……れろっ、ちゅっ、ふふ……気持ち良いですか?ご主人様……ふふふ……ちゅる、れろ、んふっ……」
「うん、とっても気持ち良いよ……」
「ああん……お褒めの言葉を頂き光栄ですわ……それだけでイっちゃいそう……したくなったら、いつでも押し倒して犯してえ……ちゅっ、んちゅ……」
麻由お姉ちゃんは艶かしい声をあげながら軽く悶え、もう片方の足も同じように舐める。
僕に服従しているみたいな感じが何とも言えない興奮を誘う。
「ん、んちゅっ……ちゅっ、れろ……ちゅっ、んちゅっ、ちゅう……きゃんっ」
早くも我慢できなくなり、麻由お姉ちゃんを床に押し倒して胸をまさぐる。
こんな焦らしプレイそんなに長く耐えられない。
「ああんっ……もう我慢できなくなっちゃったのね……いいわよ……いつもみたいに気の済むまで私を犯してえ……はあああんっっ……」
左手で片方の乳房を揉みしだきながら、もう片方の乳首を思いっきり吸い付く。
何度揉んでも、何度吸っても本当に最高のおっぱいだ……
「あんっ!やああんっ!そんなに……あっ!ひゃああああんっっ!!」
麻由お姉ちゃんも体をくねらせながら、嬉しそうに嬌声をあげる。
その仕草がとてもいやらしく感じて、更に欲情をかき立てる。
「はんっ!やあああっっ!!いいわよ……もっと……もっといっぱい吸ってええぇぇ……あんっ!はふっ!」
軽く噛んだり、舐めたり、キスしたりして本能の赴くままに麻由お姉ちゃんのおっぱいを貪る。
麻由お姉ちゃんはその度に体をビクビク振るわせ、いやらしく踊る様に体をくねらせる。
「あああんっ!!いあっ……あんっ!ねえ……もう片方のおっぱいも吸ってえ……あっ!やんっ!はあああああぁぁぁっっ……!」
リクエストに答えもう片方の乳首をに吸い付き、今度は右手で乳房を揉みしだく。
麻由お姉ちゃんもさっきと同じように体をくねらせ喜び、喘ぎ声を上げる。
「あああんっ!いやんっ……はっ……もっと強くう……あんっ!やっ……はああああっっ!!」
そろそろここを気持ち良くしてもらうかな……。
既にかなり勃起していた肉棒を出し、麻由お姉ちゃんの口に近づける。
「ふふ……お姉ちゃんのお口まんこでイキたいのね……いいわよ……そこに座って……」
僕を床に座らせ麻由お姉ちゃんは四つん這いの体勢になってち○ぽを咥える。
「んふっ……ちゅっ、んちゅっ……ちゅるっ、ちゅっ……れろっ……ちゅっ、ちゅるっ、ぺろ、んふっ……」
口内で唾液と舌を絡ませながら、極上の快楽を肉棒に与える。
時にはちゅうちゅう吸い付いたり、ウラスジの部分を舌で焦らす様にしたりして刺激を与え続ける。
麻由お姉ちゃんどんどんフェラが上手くなっていってないか?
あまりの気持ち良さで頭も体も溶けそうだ……。
「ん、んちゅっ、ちゅるっ、ちゅるっ……ん、んちゅうっ……ぺろっ、んくっ……」
そんな僕の気持ちなど知ってか知らずか、麻由お姉ちゃんは肉棒をがっちりと手で抑え、しゃぶるスピードを一気に速めてきた。
ち○ぽがバキュームに吸われる様な勢いで一気に吸い付かれ、凄まじい快楽に襲われる。
そのあまりの快楽で肉棒は早くも絶頂寸前に追い込まれた。
「ん、んちゅっ、ちゅるっ……ちゅっ、ちゅるっ、んちゅうっ……ちゅるっ、ちゅっ……」
麻由お姉ちゃんも一気にラストスパートをかける。
もうイク……
「ん、んちゅっ、ちゅる、ちゅぷ、ん、ん、んん……んちゅっ、れろっ、むちゅう……」
びゅくっ!!びゅくるるるるっっっ!!!
早くも絶頂に達した肉棒は麻由お姉ちゃんの口の中に容赦なく精液を流し込む。
この口の中で達したときの満足感は本当に堪らない。
「ん、んん……ん、んふ……ごくっ……ご馳走様。ふふ……もちろんまだまだ終わらないわよね……ちゅる、ぺろ……」
精液を飲み込んだ麻由お姉ちゃんは亀頭にこびりついていた残りかすを舐め取り、再び催促してくる。
79 狂依存 105 sage New! 2011/02/20(日) 16:40:03.44 ID:LcXzRLnY
まだだ……まだとても収まりそうに無い……。
もっともっと麻由お姉ちゃんが欲しい。
「そうよ……もっと私を求めて……容赦なく犯しまくってえ……ちゅっ、ちゅぷ……」
「……」
「んちゅっ、ちゅぱっ、ん、んふ……あんっ!もう……ほらあ、早くお姉ちゃんのおまんこにちんぽぶち込みなさい……」
麻由お姉ちゃんを押し倒して、足を広げ膣穴に肉棒を当てる。
目を細めながら、嬉しそうにおねだりする麻由お姉ちゃんを見て一頭がはじけ飛び、一気に挿入する。
「はんっ……!ああああぁぁぁぁぁ……あんっ!はんっ!いやんっ……はっ!あんっ……」
挿入したらすぐ麻由お姉ちゃんの足を抑えて、腰をがむしゃらに動かす。
もっと、もっとこの膣の中でもたらされる快楽を永遠に味わいたい……。
「あっ、あああっっ!!あんっ、はんっ……そんな……やんっ!もっと突いてえ……はっ!ああんっ!!」
麻由お姉ちゃんもガッチリと肉棒を中で締め付け腰を揺り動かし、この快楽を堪能している。
そのいやらしく嬌声を上げ、悶え狂うその姿は更なる欲情をかきたて、腰を揺り動かすスピードを自然と速める。
「いやっ……あんっ!いいわ!もっと……あんっ!もっと、お姉ちゃん犯しまくってえ!好きなだけ犯しまくってええ!!」
このぎゅうっと膣壁に締め付けられる感触と擦れあう時の快楽……本当に頭がおかしくなるぐらい気持ち良い……
「あんっ!はんっ……もうイクっ……あんっ!中に思いっきり……はああああんっ!!」
麻由お姉ちゃんのお腹の辺りを手で抑えて一気にラストスパートをかける。
もう頭の中はイク事しか考えていない。
「あんっ!はんっ……あっ、やんっ……イクっ……あっ、はんっ、やっ…あっ、あああっっ!!」
「(もう出る……)」
「はっ……やんっ……イクっ……イっちゃう……!!あんっ、あっ……はああああああぁぁぁぁっっ!!」
どぴゅっっ!!!どぴゅるるるるっっ!!!
姉と同時に僕も絶頂に達し、精液を子宮に叩き込む。
麻由お姉ちゃんは僕の手を握って、中でがっちりと肉棒を締め付けて受け入れる。
しっかりと孕ませろてねと言わんばかりに……。
「あんっ……はんっ……はあああぁぁぁ……」
出し終わったら、しばらく二人で手を握りながら余韻に浸る。
「くすくす……今日もお姉ちゃんの中でこんなに出しちゃって……やっぱり私の事が大好きなんじゃない……」
「それは……」
好きなのは確かだけど……でも……
「ほうら……今度は後ろからやってえ……変態お姉ちゃんのおまんこ、まだまだエッチな気分でいっぱいなのお……」
「……」
「ほらほら、早くう……あっ!はああああぁぁんっ!!そうよ……もっともっと犯してえ……あんっ!」
四つん這いになって割れ目を広げながらおねだりした麻由お姉ちゃんのおまんこにすかさずぶち込み腰を動かす。
もうこうなると気を失うまで止める事ができない。
「あっ!はんっ!あんっ……あっ、はっ、あああああんっっ!!もっと突いてえ!あんっ!イタっ!」
腰を動かしながら麻由お姉ちゃんのお尻を思わず叩く。
最初は痛がっていたようだが次第にそれは喘ぎ声に変わっていった。
「あんっ!やんっ……もっと……もっと、お姉ちゃんぶってえ……淫乱ど変態お姉ちゃんにお仕置きしてえ!!」
そんな姉の痴態に更に興奮しどんどん腰を動かす。
結局今日も僕の精が完全に尽きるまでセックスに興じてしまった。
翌日―――
家に帰った直後、早速麻由ちゃんに電話をかける。
もちろん用件は麻由ちゃんと大輝君との事だ。
「はい」
「あ、麻由ちゃん?ちょっと良いかな?」
「何?」
「実はさ……今週の金土日と家の両親が家を空けてていないんだ。良かったら麻由ちゃんウチに泊まりに来ない?」
「え……?そうね……」
家に泊める目的はただ遊ぶ為ではなく麻由ちゃんと二人でじっくり話し合う事。
そして、麻由ちゃんと大輝君を1日か2日か引き離して一人で自分を見つめ直す機会を与える事だった。
麻由ちゃんを見ただけで止められなくなるというのなら、しばらく麻由ちゃんから離してあげないといけない。
もちろん、この事は今日の昼に事前に大輝君にも話して了承を得ている。
「ううん……悪いけどそんなに家を空けるのはちょっとね……」
「何か外せない用事でもあるの?」
「家事とかもあるし何より弟の面倒も見てやらないといけないし。悪いけど無理。他の人を誘って」
「そんな事言わないでさ。一人でいるのも寂しいし、少しは骨休みでもしないと体がもたないよ」
「ふーん……そういう事か……」
「そういう事って?」
80 狂依存 106 sage New! 2011/02/20(日) 16:41:04.99 ID:LcXzRLnY
「私達の邪魔しないでって言ったわよね?友達の夫婦仲に茶々入れるのはそんなに楽しい?」
う……流石に勘付かれたか。
ていうか、夫婦って……。
「別に邪魔なんかするつもりはないよ。ただ二人で夜通しパーっと遊びたいなって思って……」
「これ以上私達夫婦の邪魔しないでくれる?用件はそれだけ?なら切るわよ」
「あの……!泊りが無理なら今週の土日二人でどっか遊びに行かない?見たい映画が……」
「あ、そう。他を当たってちょうだい。じゃあね」
ブツン
「もしもし?もう……」
切れちゃったか……。
うーん、どうしよう?
何とか二人を離す機会を与えてあげたいんだけど……。
これ以上麻由ちゃんとの関係を続けさせるのは二人にとっても良くないと思うし……。
できるだけすぐに二人を離す機会を与えてあげないといけない。
麻由ちゃんを泊めるのが駄目となると……。
「麻由ちゃんが駄目なら弟さんを……」
いやいや流石に不味い気が……。
「……」
でも……チャンスかもしれないね。
放課後――
掃除当番も終わり、帰り支度をしている途中に一条さんから電話が来た。
今日は何の用だろう?
「はい」
「もしもし大輝君?今大丈夫かな?」
「ええ。今日は何ですか?」
「実は今さ……」
「はい……ええ!?」
電話を切った後、学校の裏門を出て近くに止めてある軽自動車へと向かう。
「あ、こっちだよ」
「一条さん。今日はどうしたんですか?わざわざ学校にまで来て……」
「うん、ちょっと直接話したい事があってね。さ、乗って。送ってくから」
「は、はあ……」
言われるがままに車の助手席へと乗り込む。
余程大事な話でもあるのだろうか……?
「それにしても良く僕の行ってる学校がわかりましたね」
「そりゃあ、カーナビ使えばすぐわかるよ」
「いや、まあそうですけど……」
あれ?僕、一条さんに行ってる学校の名前話した事あったかな?
ああ、麻由お姉ちゃんから聞いたのかも知れないな。
「それで今日は何の用なんですか?」
「うん、実はさ昨日麻由ちゃんにウチに泊まりに来ないかって誘ったじゃない?でも断られちゃって……」
「ああ……」
やっぱり麻由お姉ちゃんはすぐに一条さんの意図を見抜いて断ったみたいだ。
昨日何も言わなかったからもしかしたらと思ったけどやはりか……。
「それから麻由ちゃんをどうやって大輝君からしばらく離す機会を与えられるかなって考えてたんだけど何か良い方法はないかな?」
「え……?ああ、そうですね……」
「姉さんじゃなくて僕が誰か友達の家にでも泊まれば良いと思うんですけど……うーん……」
かと言って今急に押しかけて泊めてくれとも言いにくいしな。
何より今は皆受験で大変な時期だし……。
「上手くいかないよね……あ、何か音楽でもかける?この曲私好きなんだけど……」
「は、はあ……」
それからしばらく一条さんと雑談をしてながら車の中で過ごした。
まさかそんな用件でわざわざ学校まで迎えに来たわけじゃないよな……?
81 狂依存 107 sage New! 2011/02/20(日) 16:41:51.47 ID:LcXzRLnY
「ねえ、大輝君」
「何ですか?」
「良かったらウチに来ない?二人でお茶でもしながら今後の事とかゆっくり話し合いたいしさ……」
「はい……えええ!?」
僕の家の近くにまで来た時、急に一条さんが家に来ないかと誘ってきた。
「ちょっと……流石にまずいんじゃないんですか?親御さんに見られたら……」
「昨日言ったでしょ。今日から日曜までウチの両親は出かけていないの。だから家には私しかいないから平気だよ」
「でも……」
「大輝君の家だと麻由ちゃんがいるし、何処か店に行ってもこの前みたいに麻由ちゃんが見張ってるかもしれないよ。だからゆっくり話をしたかったらウチが一番安全だと思うんだ」
「は、はあ……」
それはそうかもしれないけど……。
でも女の人の家に上がるのは少し緊張するというか、何とういうか……。
それに、麻由お姉ちゃんに見られたら殺されかねないし……
「駄目かな?ちょっとお茶をご馳走するだけだからさ……だから……」
「う、うーん……じゃあ、はい。わかりました」
「本当?良かったあ!」
一条さんは僕が了承すると本当に嬉しそうな声を上げて喜ぶ。
そんなに僕が家に来るのが嬉しいのだろうか?
「じゃあ、上がって」
「お邪魔します」
一条さんの家は塀に囲まれて庭も広く、中々大きくて立派な家であった。
駅前の一等地にこれだけの家と土地を持ってるなんて実は結構お嬢様なのか?
「はい、どうぞ」
「あ、いただきます」
リビングに招かれ、一条さんが紅茶を頂く。
家よりも全然広くて綺麗なリビングだなあ……。
「あのさ……大輝君って麻由ちゃんとどういう関係になりたいのかな?」
「え?どういう関係って……?」
「その……やっぱり、恋人同士になりたいとか考えてるのかな?それとも普通の姉弟になりたいって思ってるの?」
「あ……」
そうだよな。
まずはそこをはっきりさせないといけない。
「えっと……とにかく今の関係は何とかしないと思ってるんです。このままじゃ僕や姉さんの為にもならないと思うんで……」
「麻由ちゃんと恋人同士にはなりたいとは思ってないの?」
「それは……正直良くわからないです。ただ仲良く過ごせればそれで良いと思っているんで……」
今は恋人同士とも言えない、本当に体だけの異常な関係でしかない。
麻由お姉ちゃんはそれで良いと思ってるみたいだけど……。
「それは……普通の仲の良い姉弟になりたいって思ってるって事で良いのかな?」
「そうですね……はい」
正直に言えば、ちゃんと恋人同士になりたいと思ってない訳ではない。
でもやっぱり姉弟でそんな関係になってはいけないし、許される物ではない。
「(仕方ないよね……)」
「そっか……でも麻由ちゃんと一緒にいたら、その……止められなくなって悩んでいるって事だよね?」
「はい」
「なるほどね……」
「ねえ、大輝君」
一条さんはしばらく考え込んだ後、口を開く。
「はい」
「良かったら、今日ウチに泊まっていかない?」
「……はい?」
「だから、麻由ちゃんと一緒に家にいたらエッチな事したくて止められなくなちゃうんでしょ?だったら、それを我慢する為に今日家に泊まっていかない?」
「えええ!?急にそんな事言われても……」
女の人の家に、しかも二人っきりで一晩過ごすなんて……。
いやどう考えてもまずいだろ。
「留守中に男を連れ込んで泊めたなんて親にバレたら大変な事になるんじゃないんですか?流石にちょっと……」
「そんな心配しなくて良いって。お父さん達は明後日の夜まで帰ってこないし、お母さん中『いい年何だからいい加減、男の一人でも連れてきなさい』言ってるんだよ。だから大丈夫」
82 狂依存 108 sage New! 2011/02/20(日) 16:42:47.31 ID:LcXzRLnY
いやいや、そういう問題ではなくてだな……。
何か間違いがあったら、大変な事になっちゃうし……。
「早く今の麻由ちゃんとの関係を何とかしたいんでしょ?だったら今日が良い機会だよ。明日は休みなんでしょ?」
「そうですけど……」
実はウチの学校は土曜も普通に授業があるのだが、明日は先週の文化祭の代休でたまたま休みなのだ。
まさかその事知ってた訳じゃないよな?
「一晩お互い離れてじっくりと考える良い機会じゃない。だから……ね?」
「……わかりました。そこまで言うなら」
まあ一晩だけなら……。
「本当?やったあ!じゃあ早速麻由ちゃんに電話して」
「ええ?今からですか!?」
「うん。麻由ちゃんが大輝君の夕飯の準備をする前にした方が良いでしょ。だから早く」
「わ、わかりました……」
一条さんに急かされて慌てて携帯電話を取り出し、麻由お姉ちゃんに電話をかける。
気のせいか今日の一条さんは少し変な気がするな……。
トゥルルルルル
「……もしもし」
「あ、あの僕だけど。実は……今、友達の家に遊びに来てるんだけどさ……」
う、緊張してきた。何とか上手く誤魔化せるかな?
「その……明日ちょうど休みだから今日泊まっていかないかって誘われてるんだ。だから……」
「友達って誰……?」
だ、誰の家に泊まってる事にしよう?
何とか後で口裏合わせる様に頼んでおかないと……。
「貸して……私の家だよ」
「って……いいっ!!?」
一条さんが僕から携帯を取り上げ、麻由お姉ちゃんにあっさり話してしまった。
「ちょっと!何考えてるんですか?」
「下手に嘘をつくくらいなら正直に言った方が良いよ。……実はね今日大輝君を家にお招きしてウチに泊めることにしたんだ。明日休みだし良いよね?」
「あんた馬鹿じゃないの?私がそんな事了承するとでも思った?今から迎えに行くからさっさとウチの大輝を返しなさい」
「駄目だよ。今日はウチに泊めて二人がちゃんとお互いの関係を考え直した方が良いと思ってね。大輝君ともちゃんと話し合って決めたんだ」
「ふざけないで!女の家に、しかも二人っきりで一晩外泊なんてあの子の保護者としても容認できないわ!」
「その大輝君の保護者は毎日大輝君に何をしているのかな?それでその子が悩んでいるとしたら大人としても見過ごせないよ。だから一晩だけ……」
「そんな屁理屈なんか聞いてないわよ!とにかく私の男をすぐ返しなさい!!」
電話越しからも麻由お姉ちゃんの怒声がはっきりと聞こえてくる。
その声を聞くたびに恐怖を感じるのだが、一条さんは怯む事無く平然とした顔で麻由お姉ちゃんと話しを続けている。
可愛い顔して肝の座った女性なんだな……。
って感心してる場合じゃない!
「あの……代わって下さい。もしもし?僕だけど」
「ああ……あなた……わかってるわ。そこの女に騙されて連れ込まれたのね。待ってて、今お姉ちゃんが助けに行くから」
「いや、そうじゃなくてさ。やっぱりさ……僕も麻由お姉ちゃんとの関係はどうかと思ってるんだ。だから一晩これからの事を考えた方が良いと思って……」
「そこにいる雌犬にそう唆されたのね。わかったわ。今すぐ駆けつけてその雌犬をやっつけてあげるから」
雌犬ってそんな言い方は無いんじゃ……。
「そういう訳じゃないって。だから……ね?今夜はお互い頭を冷やして、それからちゃんと話し合おう」
「あなたこそ、早く目を覚まして……今そっちに行くから……」
ああ……当然こうなるよな……。
麻由お姉ちゃんが女子の家に外泊なんて認める訳ないのわかりきったことなのに。
「代わって。……もしもし。じゃあそういう事だから。今日は大輝君は家に泊める事にするね。あ、もし麻由ちゃんが来ても家には入れないから。それじゃ」
「ちょっ、待ち……」
一条さんは一方的に電話を切り、そのまま携帯の電源も切ってしまった。
「ふう……これで良しっと。はい。勝手にしゃべったりしてごめんね」
「な、何考えてるんですか?あんな正直に全部話しちゃうなんて……」
そんな事したら怒らせるだけなのに……。
「下手に誤魔化すよりよっぽど良いと思うよ。それに正直に話してやれば麻由ちゃんも頭を冷やしてわかってくれると思うし」
いやいや、どう見ても逆に沸騰させてるだけじゃないのか。
「このまま引き下がる姉さんじゃないですよ。家にまで来たらどうするつもりですか?」
「戸締りしっかりして入れなければ大丈夫だよ。それに家は警備会社と契約してるから、万一塀を飛び越えたりして無理に侵入しようとしたら、警備会社の人がすぐ飛んでくるよ。だから安心して」
そうは言ってもなあ……。
83 狂依存 109 sage New! 2011/02/20(日) 16:43:40.32 ID:LcXzRLnY
「さ、部屋に案内するよ。ゆっくりとくつろいでってね。」
釈然としないまま、一条さんに客間に案内される。
本当に大丈夫なんだろうか……?
「何か夕飯食べたいものとかあるかな?何でも言って」
「いえ、特には……」
「そっか。じゃあ、何にしようかな……」
僕を客間に案内し夕飯のリクエストを聞いた後、一条さんは台所へと向かった。
「はあ……」
何か面倒な事になっちゃいそうだなあ。
今日の一条さんはやたらと強引というか何と言うか……。
理由は何であれ、あんな可愛い女性と二人っきりで一晩過ごすなんて……
「嫌でも意識はしちゃうよ……」
ましてや麻由お姉ちゃんと毎日やりまくってるせいで最近は理性も緩みきってるし、何か間違いを起こす可能性もないとは言い切れない。
いや、一条さんは僕達のこと心配してやってくれてるんだ。
だから変な下心を持たないようにしないと……。
「あ……」
携帯の電源を入れたらすぐ、麻由お姉ちゃんから電話がかかってきた。
やっぱり簡単には引き下がらないよな。
「はい」
「あなたあ……お願い、早く帰って来てえ……一晩もあなたの顔が見れないなんて耐えられないわ……」
「耐えられないって……今までだって修学旅行や部活の合宿とかで何日も顔を合わせなかった事はあったじゃないか」
「あの頃とはもう違うのよ!今の私はあなたのち○ぽを毎日ハメなきゃ生きていけない体なの!だから、早く来てえ……」
そういうのを治す為に今日は別々に過ごすって言ってるのに……。
「あなたもお姉ちゃんの体が欲しいんでしょう?美味しいご飯と美味しいお姉ちゃんが家で寂しくあなたを待ってるわ……さあ、早く……」
「と、とにかく今日はここで一晩泊まらせてもらうから……明日の朝には帰ってくるから、だから……ね?」
「無理よ……明日の朝にはお姉ちゃん寂しくて死んでるかもしれないわ。私を見殺しにしないでえ……」
そんなアホな話があるか!これ以上話を続けても埒があかないな……。
「お願いだから一晩だけ我慢して。それが僕達の為なんだから。もう切るね」
「あん…待って…」
「ふう……」
ごめんね、麻由お姉ちゃん。
一晩だけの辛抱だからさ……。
「でも大丈夫かな……」
まさか家に押しかけて火つけたりしないだろうな?
いや、流石にそこまではしないか。
やる事ないし学校の課題でもやるか……。
「あの……どうかな?」
「ん……うん、美味しいですよ」
「本当?麻由ちゃんほど上手くはないと思うけど……」
「いえ!一条さんの料理もとっても美味しいですよ」
麻由お姉ちゃんより美味いかどうかはともかく実際かなり美味しい。
「えへへ……いっぱいあるからどんどん食べてね」
一条さんも本当に嬉しそうにしている。
これは残せないよな……。
「……やっぱり男の子なんだね。本当にたくさん食べちゃって」
「そ、そうですか?僕より食べる人なんてたくさんいますけど」
実際バスケ部や他の運動部の友達と比べたら僕はむしろ少食の部類に入るぐらいだ。
それでもお母さんには食べすぎだって言われてたけど。
「大輝君ってバスケ部だったんだよね。カッコいいなあ。もしかしてレギュラーだったの」
「ええ、まあ一応」
「すごーい!やっぱり麻由ちゃんの弟さんだから運動も出来るんだね」
「いや、大した事ないですよ。そんなに強い部でもなかったから部員も少なかったですし、運動神経もそんなに良い方ではないですよ」
思い起こせば特別弱い訳でもなかったが強いという程でも無い、ごく平凡なチームだったな……。
「そんな事ないよ。私は運動あまり得意じゃないし、運動部に入った経験ないからそういう男子憧れちゃうなあ。やっぱりモテたんじゃないの?」
「いえ、全然……小中の頃はさっぱりでしたし、今は男子校ですから女子と仲良くする機会も無いですし」
84 狂依存 110 sage New! 2011/02/20(日) 16:44:27.24 ID:LcXzRLnY
まあ、あんなに公然と姉にベタベタとストーキングしてたら嫌がられるわな……。
中学の時もまだその時の印象が残っていたせいか女子から少し避けられてた。
「本当?信じられないなあ。あ、私も中学と高校は私立の女子校だったんだよ。麻由ちゃんも高校は女子校だったんだよね」
「ええ。麻……姉さんは結構モテたみたいですけどね」
まあ、あの容姿なら男は放っておかないだろう。
「そうだよね……麻由ちゃん本当、綺麗でスタイルも良くて羨ましいなあ」
そう言えば高校時代は女子からも何度か告白されたとか小耳に挟んだ事がある。
女性から見ても憧れるもんなだろうな……。
「あの……そう言えば、一条さんと付き合ってる人とかいないんですか?」
「ええ?ど、どうして?」
「いや……もしいたら僕を泊めてる事が知られたら、まずい事になるんじゃないかと思って……」
というか、これ結構大事な事だよな。
自分の彼女が家に他の男を連れ込んで泊めていたなんて知ったら、怒られるぐらいでは済まないと思うんだけど。
人によっては僕殺されかねないかも……。
「い、いないよお!いたら大輝君を泊めたりなんかしないって」
「本当ですか?」
こんな可愛い人に男がいないなんて、ちょっと信じられないなあ。
一条さんは麻由お姉ちゃんと同い年なのだが、幼い顔立ちをしているせいか実年齢よりかなり下に見える。
下手すると童顔と言われてる僕より年下に見えるぐらいだ。
「むう……その目……私の事、子供っぽいとか思ってるんでしょう?」
「ええ?そんな事は……」
やばっ、顔に出ていたか。
「今でもたまに中学生に間違われちゃう事があるんだよ。本当失礼しちゃうんだから……」
「はは……本当ですか?」
頬を赤らめてムスっとした表情がなんか可愛い……。
「ああ、また小馬鹿にした様な目で見てるな。本当、酷いんだから……」
「あ……」
手を伸ばして醤油を取ろうとしたら、同じく醤油を取ろうと手を伸ばした一条さんの手が偶然にも触れた。
「あ、どうぞ、どうぞ!」
「あ、すみません……」
慌てて手を放した一条さんは顔を赤くしながら、そのまま俯いてしまった。
何だろう、この甘酸っぱい雰囲気は……。
こんな雰囲気で食事したの始めてじゃないか?
麻由お姉ちゃんと二人で食事してる時とはまた違った感じだし……。
こうして家族以外の女性が作った手料理を食べるのなんて滅多に無いことだし。
「あ、お茶飲む?」
「はい、いただきます……」
何となく話し辛い雰囲気になってしまい、そのまま二人とも食べ終わるまで黙っていた。
麻由お姉ちゃんはちゃんとご飯食べているのかな……?
そんな事をぼんやり考えながら時はこの甘酸っぱい時は過ぎていった。
85 狂依存 111 sage New! 2011/02/20(日) 16:45:21.87 ID:LcXzRLnY
「むう……またか……」
洗い物をしてる途中、また携帯の着信音が鳴った。もちろん麻由ちゃんからだ。
今まで無視してたけどそろそろ出るか……。
「はい」
「今すぐ返したら今日の事は水に流してあげるわ。だから、私の大輝を早く家に帰して」
「駄目だよ。今日は家で預かるって決めたんだから。麻由ちゃんも今日は一人で少し頭を冷やして」
「あんた何様のつもりなの?友達の夫婦仲を切り裂くような真似をして……場合によっては本気で殺すわよ」
「もう、少しは落ち着いて。これを機会に二人の関係を見直さないと駄目だよ」
「愛する夫が女の家に拉致されたなんて聞いて落ち着いてられるわけないでしょ!!いいから、早く返せ!!」
麻由ちゃんの怒鳴り声で鼓膜がツーンと響く。
「そんな大声出したって大輝君は返さないよ。こうなったのは麻由ちゃんにも責任はあるんだからね」
「責任って何よ?私達は夫婦なんだから、毎日愛し合う義務があるわ。それを果たすのが私の責任よ!」
また訳のわからない事を言って……。
やっぱり、話すだけ無駄か。
「とにかく今日一日だけ我慢して。麻由ちゃんも大輝君にわがまま押し付けちゃ駄目なんだから」
「殺してやる……」
「え?」
「私の大輝に手を出すような事したら、あんたを殺す。絶対に殺す!殺してやるっっっ!!!」
ぶつ!
悪霊の様な怨念の篭った叫び声をあげながら、一方的に電話切ってしまった。
「もう……本当麻由ちゃんったら、心配性だな」
そう心の中で苦笑しながら洗い物を続けた。
「あ、大輝君お風呂出たとこ?」
「はい」
「じゃあ、私が入っちゃうね」
洗い物を終え、先にお風呂に入れてた大輝君のすぐ後に私も入る。
「さっきの麻由ちゃん本当に怒ってたなあ」
まあ、好きな人が女の家に泊まっているなんて聞いて穏やかな気分でいられないのはわかる。
でも普通お姉ちゃんだったら、弟に彼女とかが出来たら喜ぶ物なんじゃないかな?
人によっては多少嫉妬はするかもしれないけど。
それにしてもいつも強気で冷静な麻由ちゃんがあんな狼狽しちゃうなんて。
「流石の麻由ちゃんも私が学校まで直接迎えに来るとは思わなかっただろうなあ」
一年半前初めて麻由ちゃんの家に行った時、トイレに行く途中でちょうど部活から帰ってきた大輝君と廊下でばったり会った。
それが彼との初めての出会いだった。
すれ違ってちょっと挨拶しただけだったが、その時大輝君が持っていた部活で使っていたと思われるバッグにローマ字で学校名のロゴが入っていたのをはっきりと今でも覚えていた。
まさかこんな所で役に立つとは思わなかったけど。
これって運命なのかもしれないね。
「ところで大輝君は大丈夫かな?」
毎日麻由ちゃんとセックスして抜け出せないなんて言ってたから、大輝君も今頃麻由ちゃんとセックスしたくて体が疼いてたりしてるんじゃないろうか?
でも、大丈夫だよね。
だって……。
「今日は私が麻由ちゃんの代わりをしてあげるんだから」
もちろんこれからもずっと……ね。ふふふ……。
最終更新:2011年03月26日 10:41