「お兄ちゃん聞いてるの!?」
「聞いてます…聞いてますよ…」
正座をさせられ30分。
そろそろ足に電気が走り始めた。
目の前でしゃもじを持ちながら睨み下ろす妹…由奈。
何故俺が妹に正座をさせられ説教されているのかと言うと、夕方までに戻ってくるという約束を破ってしまったからだ。
由奈は料理を用意して俺を待っていてくれたそうだ…確かにテーブルの上にはラップされた料理が並んでいる。
「本当にゴメン!許してくれ!」
頭を床に擦り付け謝罪する。
「はぁ……もう怒ってないからいいよ…」
わざとらしくため息を吐くと、エプロンを椅子に掛け腰を落とした。
どことなくまだ怒ってる雰囲気を漂わせているが、ここは何も言わずに自分も椅子に座ったほうがよさそうだ。
「美味しそうだな」
何事も無かったように椅子に座ると、目の前にある料理を手に取った。
「冷たいからレンジでチンしてくる」
料理を食べる為にラップを剥がそうとすると、由奈が俺の手からお皿を奪いとった。
これは今日一日不機嫌かもしれない…
「それで?なんで遅くなったの?」
「友達と話し込んでたんだよ」
「へぇ~、私の知ってる人?」
チーンっというかん高い音と共にレンジから姿を現した料理は湯気で包まれており、先ほどよ美味しそうに見えた。
「大学からの友達だからなぁ…どうだろ」
ここで薫ちゃんの名前を出せばまたややこしい事になりそうなので、やめた。
「……ふ~ん…男?女?」
俺の前にゆっくりと差し出された料理。
由奈が人差し指と親指でラップを摘まみ、剥がしていく。
「なんだよ、別に男でも女でも関係ないだろ?俺の友達なら」
由奈がラップを剥がし終えるのを待つ。
「関係……ない…?」
由奈の手がピタッと止まる。
早く剥がしてくれと言わんばかりに箸を構えて待つがラップが料理の上から剥がれる気配を見せない。
「なんだよ」
由奈の手からラップを奪うように摘まみあげると、勢いよく剥がした。
その瞬間、料理の匂いと湯気が顔に直接当たった。
食をそそるいい匂いだ…。
「……さっきさぁ…零菜さんから電話来たよ。お兄ちゃんに用事があるからって」
「……そうなんだ」
俺の携帯番号知ってるのに何故わざわざ家に電話するんだ?
「女の子とデート…楽しかった?」
「……別にデートとかじゃないから」
バレてる…。
絶対に零菜のバカだ。
由奈に顔を向ける事なく料理に箸を伸ばす。
しかし、箸が料理に到達する前に横から来た細い指によって俺の箸が持ち去られてしまった。
「…なんだよ?箸返せよ」
由奈を軽く睨むように目を向ける。
表情を変える事なく、俺の箸を掴み此方を見下ろしている。
「いただきますは?」
「母親かお前は……いただきます」
両手を合わせた後、由奈の手にある俺の箸を取るため手を伸ばすが、それをひょいっと軽く避けられてしまった。
「はぁ……お前は何がしたいんだよ?」
再度手を引っ込め由奈の顔に目を向ける。
今度は何処と無く笑顔になった気がする…。
これは由奈なりの遊びなのだろうか?
遊び方を教えてくれれば構ってやらんでも無いが、無口を通されると此方は由奈の行動を見守るしか出来なくなってしまう。
「お兄ちゃんさぁ……次から私に隠し事しないって約束してよ」
「はぁ?なんだよ隠し事って?」
口を開いたと思ったら今度は小学生同士がするような話題をふってきた。
箸を俺に渡す素振りすらみせず、スタスタと此方へ歩みよってくる。
俺の真後ろに立つと、徐に背中にもたれ掛かってきた。
「由奈重い」
由奈の胸の感触が背中に広がる。
なんとか由奈が退くようにもぞもぞしていると、動けないように左腕を首に回して、右手で掴んだ箸で料理を摘まみ俺の口に近づけた。
「はい、あ~ん」
「…あ~ん…」
ゆっくり口を開くと、料理が口内へと放り込まれる。
「うん、美味しい」
味わいながら食べ終えると、また箸が料理へと向かった。
これはすべて食べ終えるまでやらされそうだ…。
「美味しい?」
「あぁ…」
「じゃあ私も」
そう耳元で呟くと、今度の料理は俺の口に向かわず、後ろへと向かった。
由奈の口に入ったのだろう…耳元で咀嚼する音が聞こえる。
なんだろう…気持ち悪いような…ざわざわするような……よく分からない音が耳を支配した。
「お兄ちゃんキスしてよ」
「は?」
話の流れなんてまったく関係無いらしい…今まで食事していたのに何故キスに繋がるのだろうか?
「アホか…もうしないって言っただろ?」
「私はしないなんて言ってないけど?」
話してる間も料理は俺の口、由奈の口と交互に運ばれていく。
「兄妹がキスなんておかしいだろ…?」
「愛情があるならおかしくないわよ?ほら」
俺の口に料理を運んだ後、その箸を当たり前の様に口に入れた。
「ん…っ…ぷっぁ…ほら…」
口に入れた箸を俺の目の前に持ってくる。
二本の箸の間を由奈の唾液が糸を引いていた。
「これ…舐めて綺麗にしてくれる?」
「ッなんで俺がこんなことしなきゃ行けないんだ?」
「
家族愛でしょ?他人が入り込めない家族愛が私とお兄ちゃんの間にあるんだから大丈夫よ」
大丈夫な訳が無い。
何が悲しくて妹の唾液を舐めとらなきゃいけないのだ。
「絶対に嫌だよ」
その言葉を発した後、俺は口をきつく閉ざした。
「そう…じゃあ仕方ないわね…」
そう呟くと、俺の前へと回り込んだ。
「…?(なんだ?)」
テーブル上にある水を口に含むと、徐に顔を近づけてきた。
口に流し込むつもりだ…そう瞬時に悟った俺は片手で口を強く押さえ込んだ。
――しかしその斜め上へいくのが由奈なのだ。
「んぅ!?」
両手で俺の顔を鷲掴みすると、水を含んだ口で俺の口では無く、俺の鼻をくわえ込んだのだ。
くわえ込むと同時に一気に鼻の中へと水が流し込まれる。
「が、はっ!!痛ッちょっま!!?」
あまりの痛さに我慢できず口を開く…すると何かを口にポイッと放り込まれた。それと同時に大量の水を口に流し込まれ、由奈の両手が俺の口と鼻を塞ぐ。
「むぐぅぅぅぅッ!?(死ぬ死ぬ!)」
息ができずジタバタと暴れるが、由奈の手がタコの吸盤の如く口と鼻に吸い付き離れないのだ。
口に流し込まれた水が無酸素に近い状態で胃へと流れていく。
「飲んだわね?」
俺が水を飲むのを確認すると、やっと手をはなしてくれた。
「ごほっ!げほっ!おまッえ…何考えてるんだ!!!」
勢いよく立ち上がり怒りをぶつる。
今のは正直かなり危なかった。
気を失う寸前だと自分でも分かったぐらいだ。
勢いよく立ったから立ち眩みもする…。
「やって良いこと悪いことの区別をつけろよ!!」
「区別なんていらない。お兄ちゃんは私のモノだから」
「ッこの!」
カッとなり手を上げる。
「殴るの?別に良いよお兄ちゃんになら」
笑顔で近づいてくると、殴れと言わんばかりに右頬を差し出した。
「……くっ」
上にあげた手を引っ込める。
こんなんでも妹だ…殴れる訳が無い。
「今日一緒に遊園地に行った人って薫って言う人でしょ?」
「……だからなんだ?」
「明日その人の家何処にあるか調べるから…」
「…なにいっy「親の仕事先も…実家も…全部調べて……お兄ちゃんに関わった事、後悔するぐらい潰してあげる…」
「由奈…」
これは本当に俺が知ってる由奈なのだろうか?
「まだ冗談言ってるように見える?」
「見えないな…」
「じゃあ、もう切り捨ててくれる?」
「……」
友達を簡単に切り捨てたりできるモノじゃない…ましてや先ほど告白されたばかり…付き合いたいとさえ思っているのだ。
「今までずっと仲良く二人で過ごして来たじゃない。今日からまた二人だけでで一緒に頑張ろ?引っ越して二人で…ねっ?」
仲良く…確かに俺達二人は差さえあって生きてきたかもしれない…だけど…
「……ダメだ…」
やはり道を踏み外す事はできない。
「……殺す…」
スっと立ち上がり俺を見下ろす。その目は見たこともないような冷たい目をしていた。
「あの女も……零菜も……空ちゃんも……全員生きるのも苦痛になるぐらい痛め付けて殺してやる…」
「由奈っ!」
初めて本気で背筋が凍りついた気がした。
「俺が由奈を大切に思ってるのは分かるだろ?だから兄妹としてお前を守ってやりたいんだ!!」
「……」
「道を踏み外せば…戻れなくなるし、絶対に後悔する!頼むから分かってくれ!頼むか、な、なんだッ腹が!?」
突然強い腹痛に襲われその場に倒れ込む。
「あの薬かなり強い薬でね…即効性もあるんだ」
薬?あの時飲まされたのは薬だったのか…。
「お腹痛いでしょ?」
「ッあ、あぁ…めちゃくちゃ痛いよ…」
これは我慢できるレベルでは無い…お腹を押されれば全部下から吐き出してしまいそうだ。
「いいよ…ここで出しても」
「は、はぁ?」
お腹を押さえながら踞る俺に由奈が優しく微笑んだ。
「お兄ちゃんが漏らしたら、私が全部片付けてあげる」
「そんなことッしなくてもトイレに行くよ…ッく…」
ゆっくり立ち上がりリビングから出ると、ふらふらとトイレへ向かった。
「はぁ…はぁ……くっ…なんだこれ…」
ドアノブを回して引いてみるが、ドアが開かない。
何度引っ張っても開かない。
「無理だよ?鍵掛けたもの」
後ろから由奈が鍵をちらつかせ追いかけてきた。
コイツ…いつになくSっ気を発揮している。
「頼むよ…マジでヤバいんだ」
足がガクガク震え出した…。
外に行こうにも走れば多分玄関に着く前に漏れてしまう。
「じゃあ…今ここでやってほしい事があるんだけど」
「な、なんだよ…頼むから早くしてくれ…」
この際キスぐらいなら仕方ない…。
「私の目を見て愛してるって言って」
「……それでいいのか?」
「うん…別にお兄ちゃんに苦しい思いしてほしい訳じゃ無いし」
なんと言うか…あれだけの事をして今更…って感じだ。
たまに由奈は子供みたいな目をする時があるが、まさに今がそれだ。
「分かった……愛してるよ」
「ダメ…私の目を見て言って」
「……愛してるよ由奈」
「………分かった…許してあげる」
ニコッと微笑むと、俺の横を通り過ぎトイレのドアに鍵を差し込んだ。
「はい、開いたよ」
鍵を回すと、ガチャッと心地よい音が廊下に響いた。
慌ててトイレの中へと駆け込むと、一気にズボンを下までずらし便座に腰を落とした。
「……お兄ちゃん…」
「…なんだよ…」
「頭おかしいと思うでしょ……こんな妹嫌になる?」
「……ならないよ」
ならないじゃなく、“なれない”が正しい言い方だ。
どんな事をされようとやっぱり大切な妹だから…だからこそ俺がしっかりしないといけないのだ。
「由奈…お前も分かってると思うけど、俺達は兄妹だ」
「…」
「兄妹だからこそ誰にも壊されないものがある…そうだろ?」
「……うん」
「壊したくないんだよ…お前が一番大切な家族だから」
「……ごめんなさい」
「いや…もういいよ…とにかくこの話は終わりだ。また仲良くしよう」
数十分ほど便座に座り出すもの全て出し終えトイレから出る。
扉のすぐ前に由奈が居た。
頭を撫で横を通り過ぎると、由奈も後ろからついてくる気配がした。
それを感じながらも、何食わぬ顔でリビングへと向かう。
「料理どうするかな…」
テーブルの上には数多くの料理がまだ並んでいる。
どれも美味しそうな料理ばかりだが…今の俺は食べれそうにない。
「全部冷蔵庫に入れとくわ。早いけど今日はもう寝ようよ」
「そうだな…色々と疲れたし…」
冷蔵庫にオカズを入れると、自分の部屋へと向かった。
「由奈…」
「一緒に寝るぐらいいいでしょ?」
「……分かった…早く寝ろよ?」
「うん。」
お互いスウェットとパジャマに着替えると、電気を消してベッドへ潜り込んだ。
「明後日実家に帰らなきゃね…」
「……あぁ…そうだな」
明後日は母の命日…毎年実家に戻り墓参りをする事が恒例となっている。
別に母の墓参りがめんどくさい訳じゃ無い…ただ、実家に帰るのが嫌なのだ。
「別の所に宿取る?」
「そんな怪しい事できるかよ…まぁ、実家で寝るのは一日だけだし大丈夫だよ」
此処から電車で一時間ほどで実家の最寄り駅には到着するのだが、そこからバスに乗りかえらなくてはいけない。実家は山に囲まれた集落にあり、交通の便が非常に悪い…本家は古くなり二年前に新しく家を建て替えたのだが、よりにもよって集落の奥に建てたのだ。
電車で一時間…バスで一時間半…集落へのバスは一日二回しか出ないので実家に一日泊まりとなる。
めんどくさいが仕方ない…。
「おやすみ…」
「うん……おやすみ…」
――翌朝、けたたましい目覚ましでは無く、インターホンの音で目が覚めた。
薄目をあけて、携帯を手探りで探す。
携帯を掴むと、開き時間を確認した。
午前7時…。
「まだ、早いな……由奈はリビングか…」
隣に目を向けると、由奈は既に居なかった。多分リビングで食事の準備でもしているのだろう…そう思い二度寝する為に再度目を閉じた。
「…誰だよ鬱陶しいなぁ」
先ほどからインターホンの音が鳴り止まない。
と言うか連打している…。
リビングには由奈が居るはずなので由奈が対応するはずなのだが…
「お…止んだか…」
由奈が出たのだろう…インターホンの音が聞こえなくなった。
しかし、音が消えた数秒後今度はドタバタとフローリングを走る足音が聞こえてきた。
別々の足音が二つ聞こえる…と言うか近づいてくる。
この部屋に近づいてくる足音を察してベッドに腰かけた。
その瞬間、扉を蹴破り何かが飛び込んできた。
「あっ!まだ寝てたのか!」
「そ、空ちゃん!?」
扉から姿を現したのは義妹である空ちゃんだった。
「空ちゃんどうしたの?零菜は?」
俺はてっきり零菜と一緒に実家に戻ってるものだとばかり思っていたのだが……。
「零菜は留美子と一緒に実家に帰ったよ?事務所に寄ってやらなきゃいけない事があるから兄ちゃんと一緒に実家に帰れって言われたんだよ。だから来たんだ」
「留美子?誰だそれ…」
留美子なんて親戚居ないはずだけど…空ちゃんの親戚だろうか?
「とにかく僕が兄ちゃんと一緒に実家に戻るから」
「分かったよ、由奈はどうしたの?」
「由奈姉ちゃんはリビングで本読んでる」
なんだそりゃ?
あのドタバタ走り回ってた足音はなんだったんだ…
「由奈姉ちゃんすんごい形相で追いかけ回すから逃げるのに必死になったよ!
だから持ってきた本投げて視線反らしてこの部屋まで走ってきたんだ」
「熊に遭遇した時の逃げ方だな……だからドタバタしてたのか…まぁ、リビングに行こうか」
「うん!」
空ちゃんに手を握られ引きずられるようにリビングへと向かった。
リビングの扉を開けて中へと入ると、窓から入ると陽射しを避けながらテーブルに近づいた。テーブルの上には昨日食べ損ねた料理が並んでいた。
朝から食欲をそそるものばかりだ…。
「空ちゃんも食べるか?」
「マジか!?」
「マジ、マジ」
椅子に腰を掛けると、すかさず空ちゃんも隣に座り込んだ。
「お~い由奈~?飯食べるぞ~?」
ソファーに腰かけている由奈に遠くから話しかけた。
何かを真剣に読んでいる……あれは雑誌?。
何か面白い記事でもあるのだろうか?
「…」
ソファーから無言のまま立ち上がりスタスタと此方へ歩み寄ってくると、付き出すように俺の前に雑誌を差し出した。
なんだよ?と呟き雑誌を手に取り目を通した。
「……これ…お兄ちゃんだよね?」
一気に眠気が吹き飛んだ。
由奈が読んでいた雑誌は俺が昨日見ていた零菜の事が書かれている雑誌だったのだ。
でもなんで由奈がこの雑誌を?
「美味い!めちゃくちゃ美味い!」
「……」
あれこれ料理に箸をつける空ちゃんを見つめる。
空ちゃんが持ってきた本ってこれだったのか…。
「なんで零菜さんと腕を組んでるの?」
由奈握る雑誌はシワになり、はしの方は破れてしまっている。
「なんで俺って思うんだよ?」
「顔が隠れても見たらすぐにお兄ちゃんだって分かったわよ!この彼氏ってどういう意味よ!?」
やはり家族なら分かるものなのだろうか?
完全にモザイクで隠されているのだが…
「お兄ちゃん前に私言ったよね!?私にも我慢の限界があるって!言ったよね!?言ったわよねぇ!!!?はぁ…はぁっ………変な嘘つかないでよ?今逆撫ですると自分でも何するか分からないから」
雑誌を握りしめ、目を見開き歯をギリギリ鳴らしながら俺に詰め寄る。
「た、たまたまだよ…零菜と会った時にアイツがふざけて腕を組んできたんだ…」
「このっ!嘘つくなって今行ったばかりでしょ!私の事バカにしてんの!!?」
雑誌を床に叩きつけると、俺に掴み掛かってきた。
「危ない!料理落ちるって!」
椅子から転げ落ちそうになった所を空ちゃんが支えてくれた。
「兄ちゃんが言った事本当だよ?零菜も同じこと言ってたもん」
「ほ、ほら…本当の事だって…」
由奈の手を掴みゆっくりと放した。
何故俺がここまで責められなきゃいけないのだろうか?
まるで浮気を疑われて誤魔化し続ける旦那のような風景になっている。
その設定でいくと空ちゃんはお父さんを庇う娘みたいなもんか…。
「と、とにかく!そこに書いてるのは全部嘘だから…早く捨てちまえ」
妙にしっくりとくる妄想を無理矢理消し去り雑誌を由奈の手から奪った。
「ダメ…これは実家に持って行く。零菜さんに直接聞くわ」
しかしすぐに奪い返されてしまった。
「だ、ダメだって!もし父に見つかったらy「やましい事が無かったら問題無いはずよ?」
「う…そりゃ…そうだけど…」
再度雑誌を奪おうと伸ばした手を引っ込めた…それを言われたら言い返せない。
「早く食べて。食器片付けたら実家に向かうから」
そう言い捨てると、反対側の椅子へと腰を落とした。
「本当イライラする…………次隠し事したら許さないから」
「……」
「分かったの?返事は?」
「分かりました…」
俺は本当にコイツの兄なのだろうか?
本格的に戸籍を調べたくなってきた…。
最終更新:2011年07月23日 18:33