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上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある不幸なHappy days/Part12 - (2013/02/07 (木) 23:43:47) の編集履歴(バックアップ)





Running the way
第二章 「Walking with you」


「……なんで黒子が?」

「レストランに入っていきますね」

「ほわぁ、上条さんって紳士ですね~、きちんとエスコートして」

「流石御坂さんの彼氏さんですね!!」

自分は、そんなこと、されたことはなかった。

「楽しそうに、お話してますね……」

「でも時折真剣な顔になる、これって……」

浮気にも見える。

「そんなわけないでしょ、黒子にアイツよ」

「「そ、そうですよね!!」」

「じゃ、なんか疲れたし、私帰るわ」

誰も口にしなかった。
皆、黒子のあんな笑顔を見たことが無かったことを。




ああ、これはいつもの夢。

「……美琴」

あの日からみる、いつもの絶望。

「別れよう」

大丈夫、彼がこんなことを言わないことはわかっている。

「お前の電撃には、もう、つきあえない」

これは自分のコンプレックスの具現化。
しかし、最近は続きがある。

「それに、今は、オレ、白井の事が……」

自分でもばかばかしいと思う。

「お姉さま!!」

珍しい、今日は黒子まで出てきた。

「そのように苦しまれるのなら、黒子が慰めてさしあげますの!! ウうぇっへっへっへ」

いやこれは現実なので……。

「なっ!!! 眠っているはzばばばばばば」


「う、う~ん……」

鳴っている電話をとる。

『起きたか? 美琴』

「おはよう、とうま」

夢の中と同じ声、温もりは全く異なる。
床に転がる真っ黒焦げ。
あれから、数日経っていた。
皆(特に黒子の指摘)のおかげで、少しずつ漏電も治ってきた(気がする)が、

(……当麻……)

今日も一日が始まる。



「「えっ!!? 御坂さん、上条さんと食事したことないんですか??」」

「!! そうじゃなくて、エスコートされたことが無いだけ」

以前ちょっとしたところ(上条にとってはとんでもないところ)に連れて行った。
上条はエスコートどころかテーブルマナーもダメダメで、不幸だと美琴は呟いたりしている。

「じゃあ、白井さんはなんでエスコートしてもらってんの??」

「「……」」

わかれば苦労は――

「風紀委員で遅れましたの、初春後d……どうしましたの??」

今はまずい、タイミングが最悪だ。

「……不幸ね」

「見損ないましたよ白井さん!!」

「へっ!? なんであなたの仕事を代わったのに、そんなこと言われなければいけないんですの??」

ややこしくしないで……

「じゃあ先日なんで上条さんと一緒にいたんですか!!?」

だからすんなって!!!!

「なんでそのことを……初春!!! お姉さま!! これは……」

不幸だ。

「違うの、わたし、わかってるから、理由があるのよね、信じてるから、大丈夫……」

一瞬、白井は辛そうに顔をゆがめる。そして息を吸い、

「はぁ~~~~~~~~~~」

盛大にため息をした。幸せ逃げまくりだ。

「どー説明しましょうか、とりあえず、今日は上条さんとお会いするのでしょう?」

なぜ、白井が上条の予定まで知っているのだろうか。

「ならば、明日ご説明しますわ。そろそろお時間でしょうし」

美琴は後ろ髪をひかれながらも、バタバタと出て行った。

「……初春、佐天さん、お話がありますの」



「……不幸だ」

電撃を打ち消しながら上条は呟く。

「ご、ごめん!! ちょっと待って!!」

漏電である。仕方ないよな上条さんかっこいいもんな。
しばらくして落ち着いた美琴に、上条は話しかける。

「気絶しなくなったんだな?」

「ま、まあね……」

なんとか耐える。
そして、聞きたいことがあった。

「そういえば、当麻は……私といない時、何してるの?」

その核心にせまる問いは、

「う~ん、まあいろいろやってるな、特定の何かってのはないかな」

いつもはぐらかされる。

今日も夜を迎えた。
白井は先に寝ている。
全ては明日。






美琴が四人がいつも集まる場所に行くと、

「どおりゃああああああああ」「えっ、なに!? なんなの!!??」

佐天に拉致られた。

「えっと、ここは?」

「私の家です!!」「見りゃわかる!!」

「御坂さん……さあ、覚悟してくださいね」
「え? ちょちょっと、佐天さん?」

黒い笑みで近づく佐天、突然の事に驚く美琴、

悲鳴が響いた。




「////////////」「////////////」

美琴は無理やりドレスに着替えさせられていた。
地図を渡され、家から追い出される。

そこには、なんとなく想像していた通り、上条がいた。
スーツで。

「////////////(やばいヤバイ、これ以上アイツ見てたら、死んじゃう!!!)」

カッコよさ三倍増し。

「//////////――白井……約束が違うぞ。ってはいはいゲンコロゲンコロ」

「ふにゃ~~~。……はっ!! ご、ごめん」

「いいって、しかし黒子の奴なんのつも「prrrrr」ん?」

二人の携帯にメールが入った。
内容も同じだ。

『いままでお二人が相手のいない時、いったい何をしていたのか、
またどうしてそれをしようと考えたのか。きちんとお話しくださいな」

「えーと……」

突然の事に美琴は訳がわからない。

「はぁ、約束はどうなった白井……。
まあいいや、とりあえず予約してあるレストランにいこうぜ」

そこは、美琴にとっても、それなりのレストランだった。

「ほら」

差し出される腕、戸惑いながら美琴は手を添える。



上条は先にドアを開け、美琴が入るのを待つ。
上条の笑顔、美琴は漏電を必死に我慢する。
上条はコートを脱ぐのをさりげなく手伝い、
美琴は近い距離を耐える。

「荷物を」

上条は美琴から荷物をもらい、そのまま預ける。
美琴はさりげないしぐさに発電を抑える。
案内される際は先に美琴を歩かせ、美琴は少し冷静になる。
係りが椅子を引こうとすると、

「私がやります」

と、上条は静かに椅子を引き、美琴に勧める。
その優しさに、美琴はなんとか赤くなるにとどまる。頑張った。

夢にまで見たエスコートであった。

「……どうなってるの??」

食事をしながら美琴は尋ねた。
未熟だが、食事のマナーが見違えた上条は言いにくそうに口を開く。

「……ステイルと戦って以来、夢を見るんだ」

それは、

「美琴に、オレが相応しくないと、美琴本人に指摘される夢なんだ」

自分の悪夢のはずで、

「もちろん、美琴がそんなことを言うわけない、これはオレの劣等感だ」

自分の悩みのはずだった。

上条は白井からいろいろ教えて貰っていたことを話す。
一方美琴もいままでの不安と、漏電への対策を語った。
しばらくして、ひととおり会話を終えた二人は微笑みあう。

「「似た者同士だな(ね)」」


店を出るころ届いたメールに従い、
二人は例の公園に向かった。
待っていたのは三人、
第一声は白井の

「二人とも正座」

だった。



「上条さん、男性が店内に先に入るのは、女性にとって初めての場所のみです、基本はレディーファーストですわ!! 以前、お姉さまとあそこには行ったはずですの!!
それに、ナイフの使い方がまだ力づくですわ!! 何度言えばわかりますの!!」

「す、すみません」

「お姉さま!! あれほど言ったにもかかわらず、また気絶して!!
スーツに変わったぐらいじゃありませんか!!
食事中も静電気が出ていましたし、まだまだですの!!」

「は、はい、精進します」

「そして、お姉さま、上条さんの口癖『不幸』が移っていることにお気付きで??」

「……いえ、気付きませんでした」

「なにが『オレの努力不足で美琴を不幸にしてる』ですの! 『私が不幸を招いてしまっている』ですの! 相手に悩みも言わず、問題の指摘も改善もしようとせず、不幸の一言で済ませ、相手に問題を丸投げ! それこそ相手を不幸にしていることに気づかないって、どういう事ですの!!」

「「申し訳ありません」」

「上条さんから指導を頼まれ、しかたないと思っていたら、今度はお姉さまが同じようなこと言ってきましたの。めんどくせぇったらねえですの!! そもそも、上条さんがお姉さまに協力して、お姉さまがマナー等を指導した方が、お二人にとっても喜ばしいのではなくって!!?」

「「お、おっしゃるとおりです」」

「頼まれた以上、ある程度の水準までもっていこうとしましたの。なのに、このざまですわ!! お二人ともまだまだですの!!
それにお姉さまが、自分の嫉妬心にすら素直になれない点にイライラしたり、上条さんがお姉さまの心情にあまりにも鈍感であきれたり、そして、この私には何のメリットもない綱渡りがばれそうになった時、それはもう無駄にはらはらしましたの。この気持ちをお二人に理解できて!!??」

「「ご、ごめんなさい」」

黒子はようやく一息入れた。初春も佐天も顔が引きつっている。

「今までお二人は、どんな困難も乗り越えられてきました。それは私も承知しているつもりです。ですが、お二人の問題にはお二人で解決するべきでは??」

「……」「……」

「……返事」

「「はい!! その通りです!!」」

「よろしい、ではここで今まで感じていた不安、抱いていた不満を全て相手に伝えてからお帰りください。ああ、そういえば――」

突然白井は上条の手を両手で包んだ。
周りは驚くが、白井と上条は微動だにしない。
少しして白井が口を開いた。

「……全く動揺なし、浮気性の危険性はありません。ご安心くださいなお姉さま。では、私たちは帰りますの」

初春と佐天は驚くが、声を発したのは上条と美琴だった。

「待ってくれ!!」「待って!!」

「なんですの? せっかく二人にして差し上げようと――」

「ありがとな、白井」「黒子、ありがとう」

「……どういたしまして、それではごゆっくり。あ、一線は越えないように」

「なっ、なにを!!」というハモリを後に、三人はテレポートする。
その時二人は思った。

*1


しばらくして、上条が口を開いた。

「オレにはさ、いろいろ欠点がある。鈍感だし、ドジだし、マナーもよくわからない。
でも、きっとお前に相応しい男になるから、それまで、一緒に歩いてくれるか?」

「私も、素直じゃないし、短気だし、すぐビリビリして危険かもしれない。
だけど、あなたの横がぴったりな女になるから、これからも、よろしくね」

二人は互いを抱きしめ合う。
プロポーズに聞こえなくないと気付くのは、二人とも深夜だった。



「すみません、白井さん、疑っちゃって」

「ごめんなさい」

三人は公園から少し離れたところを歩いていた。

「でも、初春、相談にのっていたらいつのまにか、ってなこともあるよ」

「まだ懲りてないんですか? そもそも白井さんは美琴さんラブですよ。
どちらかというと、『あの類人猿め~~』ですよ。ねえ、白井さん!!」

白井は月を見ているようで、二人に全く答えない。

「「白井さん??」」

「えっ、なんですの」

「ですからー、白井さんは上条さんに惚れたんですか?」

「ちょ、ちょっと佐天さん!! 御坂さんをとられて悔しいだけですよね?」

白井は今までの事を振りかえっていた。

美琴との日常を。
上条の日々を。
そして微笑む。

「御想像にお任せしますわ」








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