とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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「う~~~~不幸不幸不幸だぁ!」
今、待ち合わせ場所へと全力疾走している俺は普通の大学に通うごく一般的な男の子。
強いて違うところをあげるとすれば運勢当たりが猛烈に悪いってとこかな―。
名前は上条当麻。そんなわけで、近道の公園を突破しにやって来たのだ。

近道の公園のベンチそば。
時計を見て遅れを再確認してさらにペースを上げて走ってはいるが、時間は無情にも進んでいくまま。
そのうち、ふとベンチの並びに目をやると、日当たりのいいそのベンチに一人のちょっといい雰囲気の男性が座っていた。
彼の顔は美坂が父だと見せてくれた写真から知っていた。
ウホッ!・・・・いいところに旅掛さん・・・・
そう思っていると、突然旅掛さんは僕の見ている前で隣に置いていたかばんから一枚の入籍申請書を取り出し始めたのだ…!
「(この書類に拇印を)押す気はないかね」
そういえば今日の待ち合わせは御坂の父親との顔合わせだったな。
一足先にこういう行為をしても特には問題は無いはずだ。
そして、義父になる旅掛さんには娘さんとお付き合いさせていただいてるという負い目のある僕は、誘われるままホイホイと内容を確認しに行っちゃったのだ。

彼―ちょっとワルッぽい(見た目的な意味で)御坂美琴の父親で御坂旅掛と改めて名乗ってくれた。
こういう時の会話もやり慣れてるらしく、隣に座るなり、僕は気が付いたら指を朱肉に押しつけてしまっていた。
「よかったのかい、ホイホイと承諾してしまって、私は娘婿だってかまわずお世話を焼いちゃうお世話好きなんだよ?」
「こんなこと初めてだけど、いいんです・・・・俺・・・・旅掛(お義父さん)さんみたいな人、好きですから・・・(父親的な意味で)」
「うれしいこと言ってくれるじゃないか。それじゃあとことんお世話してあげるからね」

言葉どおりに彼はすばらしいお義父さんだった。
そのあと、式場の準備に始まり、次は新居の確保と。
俺と美琴が慣れない会話に困惑している横で、顔に負けぬ商談力でここはもっと安くして。はい、ここはもっと丁寧に作業して。
と大工や建築業者さんを相手にどんどん注文をつけていった。
俺はというと、なれない会話とそれに参加できない己の情けなさに、首を絞めつけられていた。
(ああ、俺、御坂・・・・いや美琴と、ついに結婚したんだ・・・・でも何もできない・・・・)
と、頭の中でその時の光景を繰り返し、思い出しては今の無力感に身をふるわせてもだえていた。

しかし、その時、ちょっとした問題が・・・・
「うーむっ・・・・ちょっとこれだと騒音が・・・・」
「え?なんですか?西側には細い道があるだけじゃないですか。」
「そうじゃないんです。・・・・実は少し離れた所の国道からの抜け道になってるんですよ。ちょっとお安くさせていただいたのもそのためで…」
「そうだったんですか・・・・。いいこと思いつきました!ここにちょっと厚めのコンクリ壁を建てましょう!」
「なんですとっ!?ですがそれでは結果的に景観がよろしくないから悩んでいたんですが。」
「男は度胸!何でもためしてみるものですよ。きっと何か違う結果が出るかもしれないよ!ほら、設計さんも遠慮しないで(図面に)入れてなさい」
旅掛さんはそう言うと、青い作業着をまとった設計担当技師の手元の図面を指差し、塀を問題のポイントへと配置するよう、指示した。
西側の景観を損なうって言っているのに、なんて判断を下す人なんだろう・・・・
しかし、彼の自信ありげな物言いを聞いてる内にもしかしたら、何かが変わってくるかもしれない。と言う希望が……
「それじゃ・・・・やります・・・・」
そう言って、技師は促されるままに図面へと塀を書き込んだ。
「は、はいりました…(図面に)」
「ああ…つぎは植生だ」
1分後。
「くぅっ!防げるわけがない・・・・!」
この技師たちにとって初めての経験は、実体験では知ることのなかった絶望感を彼らにもたらした。
あまりに厳しい庭地面積に、樹木を配置しきると同時に新居の予算は、あっけなく果てた。

5分後。
応接室に戻る。
図面をもとに作った模型をいろいろな角度から眺めている旅掛さん。
「このぶんだと樹木の世話が大変だな。庭が防音樹でパンパンだよ」
「はは・・・・(そりゃそうだろ)」
「どうしたい」
「あんまり多くても・・・・こんなに世話した体験は初めてですから・・・・」
「だろうね。私も初めてだよ。君みたいに馬鹿正直に答える青年は。」
そう言いながら、彼は再び模型に視線を移す。
そして、その中の樹木を指して言う。
「ところでこの木を見てくれ。こいつをどう思う?」
「すごく・・・・位置が悪いです・・・・」
「位置が悪いのはいいからさ。このままじゃ世話ができないんだよね。ならなくしたほうがいいだろ?」
彼はその木をどけるよう技師に指示し、そのまま僕は促されるままに図面にくぎ付けになる。
そして、問題の木が熟練技師の手によって撤去された・・・・・・・・
「ああっ!!」
「いいぞ!庭が広くなって解放感もあるだろう・・・・!・・・・とりあえず、君たちはこの工事の商談が終わるまでゆっくり休んでてください。」
商談終了。

―と、こんなわけで俺の新居購入はお義父さんがすべて、取り仕切って終わったのでした

ふ~・・・・やれやれ。ほんとに凄かった。
でも、新居の庭の変更は騒音問題に嘘みたいに効いたみたいで、この調子なら明日には無事、着工に漕ぎつけるだろう。

「上条当麻様~」
市役所の事務員にて呼ばれる声。
ああ、いつの間にか市役所で書類提出の場面か。書類の中を先ほど確認したところ、きちんと書類は揃っていた。
まぁ、これだけあれば十分じゃないかな。
そんな事を思いながらに、窓口へ。
「工事名は上条当麻と美琴のラブラブ新築工事ですね~。」
「……………あの、ちょっと大声で呼ばないでもらっていいですか?不幸だぁぁぁぁっ!!」


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