とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

12-561

最終更新:

NwQ12Pw0Fw

- view
だれでも歓迎! 編集

入れ替わり生活 2



PM4時

「はぁ…やっと終った…」
上条は目の前の資料の山を片付け終えて一息ついていた。
「おつかれさまです、上条さん」
初春はコーヒーを淹れて来てくれた様であった。
「お、サンキュー初春さん」ズズー
上条は初春からコーヒーを受け取り一口飲む。

「どうですか? ちょっと淹れ方を工夫してみたんですけど」
「いや、普通にうまいですぞ」
少し飲んでみたが下手な喫茶店より美味い、そう思う上条
「そうですか? それなら今度、佐天さんにも淹れてあげようかな…」

そんなひと時の休憩時間

「いやー、…それにしても風紀委員ってこんなこともやってるんだな」
上条は改めて処理し終えた資料の山を見る、その資料の中にはゴミのポイ捨て率や清掃区域の当直表などが
「それはそうですよ、風紀委員って意外と小さい仕事も多いんですよ」
とニコニコ笑う初春
「なるほどな……それじゃ、さっさと終らせちまおうぜ」
上条は納得すると時計を見て仕事を再開しようと初春に言う。

実際、仕事が終ったのは今から2時間後になるのだが……二人はそうなる事をまだ知らない

□ □ □

一方その頃、とある病院
「……結果として何も解決には至りませんでしたわね」
うだーと脱力しながら白井は言う

「まあ、身体に異常がないだけいいじゃない」
「それはそうですけど、これはすでに異常って域を超えてる気がしますわ……」
美琴の返答に、入れ替わってしまった上条の身体を見て白井はそう言う。
「そういえば、白井さん……今日から上条さんの部屋に住まないといけないですよね?」
ふと思い出した佐天が白井に尋ねる
「そうでしたわね……って! お姉様と類人猿が一緒に暮らすなんて許せませんのっ!!」
「ちょっと黒子、これ以上当麻のことを類人猿とか悪口を言うなら許さないわよ?」バチバチバチッ
「ちょ、お…お姉様、それでも……それでもルームメイトは私のポジションですの!」
上条の身体でそんな事を力説する白井
そんな白井の肩をポンと叩く佐天は苦笑いを浮かべて
「あのー白井さん? ここまだ病院の中なんですけど……」
………しばしの沈黙後、白井は周囲を見る
とても気まずいそんな視線や好奇の目、そんな空間が出来上がっていた

{これは……さっさと病院を出た方がいいですわね、お姉様}
{そうね……私達もさっさと出ましょ、佐天さん}
{了解しましたー}
こうして3人は居心地の悪くなった病院を走って出て行くのであった。

□ □ □

仕事が終った初春と上条は風紀委員の支部を出た。
「はぁ……やっと終った」
「お疲れ様です、上条さん」
そして待ち合わせをした。とあるファミレスに向けて歩いている。

「この状況は早くなんとかしたいな……って、今日から美琴と一緒の部屋で寝ないといけないのかよ」
だぁー! と上条は頭を抱えて悶える。
「あれ? 上条さん、嬉しくないんですか?」
初春はニヤッと小さく笑って上条に聞くが
「嬉しい事は嬉しいんだが……どうせなら本当の上条当麻として一緒に過ごしたいと言いますか……」
上条はそう言って赤くなる。
「うーん、言いたいことはわかるんですけど……あ、そういえばお風呂とかどうするんですか?」
「……………………あ」
上条は固まった。

「どうしよう……」
この先の事を考えて上条は汗をダラダラと流す。
「俺ってこのままだと……」
1.白井の身体を見て白井に殺害される。
2.白井の身体を見て美琴に殺害される。
3.美琴の身体を見て出血多量で死亡。

……………今日が命日か
そう上条は思った。

「あのー上条さん? 着きましたよ」
初春はどこか遠くへ旅立っていた上条を呼び戻す
「あ、悪い、悪い…」
こうして上条と初春はファミレスに入って行くのであった。

現時刻5時半

ファミレス内部
「皆さん、遅くなりましたー」
初春と上条はファミレスに入り、美琴・白井・佐天のいるテーブルに着く。
「おつかれさま、当麻に初春さん」
美琴はやって来た初春と上条にそう言う。
「それにしても、この後どうするんですか?」
佐天は美琴に尋ねる。
「うーん、黒子は当麻の部屋に行くしかないわね……そして私は当麻と寮に…かな」
美琴は考えながら言い、頬を染める。
ちなみに上条は店外で話していた話題をどうしようかと再び上の空なのだ。

「で……御坂さん、その根本的なお二人さんなんですけど……話し聞いてませんよ?」
佐天が頬を染めた美琴に申告すると
「はぁ……当麻? おーい、当麻ー?」
と、溜息をついて上条をこっちに呼び寄せる。
「ん? ああ、悪い、悪い…いやー、ちょっと考え事してて」
どうやら戻ってきたようだ。
「で、あと一人よね……」
美琴は話を聞いていないもう一人に視線を向ける。
そこにはテーブルに頭を打ちつけ意識を断った白井がつっぷしている。
「電気ショックで起こした方が早いわよね?」
さらっととんでもない一言を言う美琴
「あー、美琴さん…一応上条さんの身体なんで少し手加減していただけると大変ありがたいんですけど……」
「そんなことわかってるわよ、だって……私の大事な人だもん……」
「美琴……」
と、初春と佐天には極上の状況をくりだした上条と美琴なのだが……
{ねえ、初春……この会話ってすごくいいんだけど…上条さんが白井さんの身体だからなんか…ねえ}
{そうですね、佐天さん……ここはさっさと白井さんと上条さんに元に戻ってもらいましょう}
こそこそと佐天と初春はそう会話するのであった。

バチッ! 美琴は白井の左手を取り電気を流す。
「はぅっ! あ、あれ? 私はここでなにを……」
「おはよう、黒子」
美琴は白井に清清しく話しかける。
「そろそろご飯の時間になっちゃうし、当麻と私は寮に行くわね?」
「あ、はい、御坂さんに上条さんまた明日ー」
「気をつけて帰ってくださいねー」
「ちょ、お姉様ー、むぐぐ」
佐天と初春は上条と美琴を見送り、病院の悪夢を繰り返さないように白井の口を塞ぐのであった。

□ □ □

PM8時頃

常盤台の寮にて
「食事の時はヒヤヒヤしたわよ……」
「面目ない…」
美琴と上条は食事を済ませ部屋に戻っていた。
食事の際にマナー違反やら色々とやらかしてしまった為に美琴がフォローする羽目になったのだ。
「まあ、それはいいのよ……問題はお風呂よ」
「……ですよね」
そう、問題は入浴だ
上条が一人で入れば否応なく白井の身体を見てしまうわけで……
「俺、風呂は入れないんじゃ……」
「だ、大丈夫よ……目隠して入れば」
「危ねーだろうが! そんな事すれば不幸な上条さんはすっ転んで頭強打ですよ!」
「そうよねー……、なら私が洗ってあげるわ」
「おおー、そうか、それは助か……え?」
上条は聞き間違いと思い、再度聞いてみる事にした。

「いやー、風呂どうするかな……美琴、どうすればいいと思う?」
「だ・か・ら! 私が洗ってあげるって言ってるじゃない! ほら、さっさと目隠ししなさいっ!」
思いっきり怒鳴られました……
{理不尽だ……}
上条は呟く。
「なんか言った?」
美琴を見るととびっきりの笑顔…しかし、目は一切笑っていない。
「い、いえ…なにも……」
もちろん正直に言うという自殺行為には走らなかった。
「それじゃ、文句もないわよね」
そう言って美琴は上条の目を何かの帯で目隠しをする。
「おいっ、これって普通脱いでからじゃ……」
「脱いだらアンタ見ちゃうでしょうがっ!」
「そりゃ、そうだけど……あーもう、好きにしてくれ」
もう投げやりになる上条

まあ、その後に風呂に入るわけだが……
「ちょっと、動くなっ! って……どこさわってんのよ!!!」
「わ、わわわ悪い、でも目隠しされて見えないんだっつの」
やばい…今触れたとこ、スゲー柔らかかった……
「鼻の下伸びてるんだけど……」バチバチバチ
「うぉっ、ちょっと待て、今の俺は防げないんだって」
「わかってるわよ? それに忘れたわけじゃないわよね、お正月にお父さん達と約束した事」
「そりゃ…覚えてる……忘れるはずないだろ?」
そう、その約束は忘れるわけはない

美琴とはお互いが責任を取れる様になるまで清い付き合いをする……そう約束したんだ
こんなところで欲情、理性に負けてはこの先絶対に守れるはずない……

何はともあれ、風呂は無事?に済んだ。
後は寝るだけ……

「それじゃ、電気消すぞ?」
「そうね、お正月は色々あったしなんか疲れがどっと出たわ……」
時間は早いが寝ることにした上条と美琴
パチッ、電気を消した上条はベッドに潜り込む。

………………………………沈黙が流れる。

隣では美琴の寝息が聞こえてきている。
そんな中で上条は呟く。
{寝れねえ……絶対明日は寝不足だ……}
これって不幸なのか? いや、不幸といったら土御門と青ピに殴られるな……そう思うのであった。
それから上条が寝たのは日が昇り始めてからだったらしい。

□ □ □

ちょいおまけ(白井方面)

「さて…私はどうやってお風呂に入りましょうか……」
白井は悩んでいた…このままだと上条の身体を見てしまうという事で……
「やはりここは目隠しをして……」キュッ
白井はタオルで目隠しをして風呂場に入ることにする。
「よし、これならあの類…上条さんの身体を見ずにすみますの……」ガラッ
白井はファミレスで言われた事を思い出して言い直す。
「さってと…」つるん…ゴンッ
……………上条が危惧していたことが起こった。
そう、不幸体質はあくまで上条の本体、幻想殺し(イマジンブレイカー)の宿る右手が原因なのだから……
白井はそのまま朝まで気絶することになるのだが……まあ今回はこの辺で。


ウィキ募集バナー