とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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上条さんチは大家族



『次のプログラムは保護者参加の能力使用200mリレーです』
「お父さん出て来たわよ」
 隣にいた妹の声に反応し、上条家の長男、統羽が視線をグラウンドに向ける。
 父譲りの黒髪とツンツンとした髪型はヤマアラシのようである。
 目元以外は父そっくりと言われるほどであった。

「周りに比べると父さんはやっぱり若いよな~」
 周囲の父親達に比べると、少年の父は格段に若く見える。
 若作りなこともあるが、本当に若いのだ。
 そうこうしているうちに、ピストルの音が鳴り響き200mリレーが始まる。

「おお、速ぇ~」
「大人だもん」
 統羽の独り言のような感想に、妹である長女、麻琴が当然だとばかりに返した。
 麻琴はこれまた父譲りの黒髪だが、髪質は柔らかく、顔は母譲りの美少女である。
 そして、その少女の腕の中では先日1歳の誕生日を迎えたばかりの三男、旅人がすやすやと眠っていた。

「パパのチームが一位だよ」
 少し離れたところにいた少年が歓声を上げる。次男の桐掛だ。
 茶色の髪とサラサラの髪、それに整った顔立ちは女の子と間違われかねないほどである。

「そろそろ録画しようか」
 既に走者は3人目。統羽はビデオカメラの録画スイッチを押す。
 学園都市製のビデオカメラは優秀なので、小学生が撮影しようと高性能の手ブレ補正で鮮やかに映る。
 あと半周、100m走ればアンカーである上条の待つリレーゾーンへと入って行く。

「お父さん頑張れ~!」
 統羽の横にいた麻琴が声を張り上げる。
 だがそれがマズかったのか、麻琴が抱えていた幼児である旅人が起きて泣き始めてしまう。

「あっ!ご、ごめんね。うるさかったよね」
 慌てて麻琴が旅人を揺する為に目を離したその瞬間、周囲から歓声が上がる。

「カッコイイ!」
 桐掛の視線の先では、バトンを受け取った直後、後続からの巨大な炎の塊を右手で打ち消す父、上条当麻がいた。
 しかしその次の瞬間、その評価は正反対のものとなる。

「パパ、コケちゃった」
「カッコ悪い、とミハルはジト目で地面に転がる父を見ます」
「何やってんだか……」
 一家の母、上条美琴は額に手を当ててヤレヤレと溜め息を吐いた。
 せっかく1位でバトンを繋いだものの、炎の塊を打ち消した同時に上条はものの見事に転んだ。
 当然の如く残る3チームに抜き去られ、ブッチギリの最下位である。

「パパ~大丈夫かな~?」
「パパは頑丈だからあの程度なら大丈夫よ」
 膝の上で不安そうに瞳を揺らす六女、琴菜に美琴は優しく微笑み掛けて言った。

「いつもの父さんの不幸だね」
「毎度のことだね、ってミナツは驚くことはしません」
「あ、先生がパパの方走って行くよ、ってミアキはママに教えてみる」
「美人で有名な先生ですね、とミハルはミアキの言葉を補足します」
 娘の言葉にピキリと美琴のこめかみに青筋が立つ。
 同時に琴菜が短く「ひっ!」と悲鳴を上げた。笑顔は崩れていないが、明らかに先程までと空気が違っている。
 そして美琴はキッとグラウンドを睨みつけると、美人と言って問題の無い若い先生が、駆け足で上条へと向かっていることを確認した。

「しー、ママが怒っちゃうよ、ってミナツはミハルとミアキに忠告します」
「だ、大丈夫よ、ママはこれくらいじゃ怒らないわよ?」
「そんなこと言ってママの笑顔が怖いです、とミフユはガクブルしてみたり」
 全く同じ顔をした四つ子の少女だったが、それぞれ表情は違っていた。
 次女の美春は無表情かと思いきや、状況を楽しんでいるのかニヤニヤと口元を歪ませている。
 三女の美夏はそんな美春を嗜めるように毅然とした顔をしている。
 四女の美秋は母が怒っているこどなど気にしていないかのようにのほほんとしている。
 五女の美冬は正反対で、恐怖に顔を歪め、身体をガクガクと震えさせている。

「ほら、ママ怒ってないでしょ?」
 美琴は何とか笑顔を作り直して子供たちに再度尋ねるが、横目ではしっかりと美人女教師の手を握って立ち上がる上条を見ていた。

「まぁそういうことにしておきましょう、とミハルは出来る娘を演出します」
 一方、周囲にいた観客は「アレが母!?」と内心驚愕していた。
 明らかに小学生以上の子供がいるのにも拘らず、その容姿は大学生で通じるレベルだ。
 歳の離れた姉だろうと思ってしまう理由がもう一つある。子供の数だ。
 四つ子の他にもそれより大きな子が二人、小さな子が三人もいる。
 そしてマタニティドレスから見て、お腹の中に更におそらくもう一人。
 間もなく十児の母になろう人には到底見えなかった。

「何やってんのよ、一体」
「靴ひもが切れたんだよ……」
 救護所で手当を受けた上条が帰って来る頃には、美琴の怒りも少しは収まっていた。
 上条がことあるごとに女性と何かあるのは今に始まったことでは無い。むしろ手を取ったくらいならまだ許容範囲内だ。
 上条の傷は大したことは無いようで、右膝に大きめの絆創膏が貼られているだけだ。

「お父さんのカッコイイところはどうなったの?」
「分かってて聞くな……」
 出て行く時に「パパのカッコイイところを見せてやる!」と言っていただけに、上条は余計にガックリと肩を落とす。
 せっかく父親の威厳というものを子供たちに見せようとしたところで、この有様だ。

「ママが出れたらカッコイイところ見せちゃうんだけどな~」
「すいませんね、カッコ悪いところ見せて」
 美琴はそう言いつつ、大きくなったお腹をさする。
 妊娠中で無ければ持ち前の運動神経を活かして活躍出来る自信はある。

「そういや桐掛はどこ行ったんだ?」
「次の玉入れ競争に出るんだから、入場口に決まってるじゃない」
 美琴が指差す入場口の方へ目を遣ると、そこには体操座りしている園児の集団がいた。
 次男である桐掛の姿を探すとすぐに見つかった。
 こちらを見ていて目が合った桐掛に軽く手を振ると、桐掛はブンブンと大きく手を振る。

「おお!やる気に溢れてるな。ケガするなよ~」
 大覇星祭とは違い、今参加している地域別対抗運動会は各学校のプライドなどは掛かっていない。
 更にリレーの時は保護者参加ということで能力使用上限が高かったが、桐掛はまだ幼稚園児なので上限も低い。
 それだけに能力使用が前提であってもかなり安心して見れる。
 しかしそれでも怪我が0などということは、先程コケた上条同様絶対に無いのだが。

「はい、父さん」
「おう」
 長男である統羽はそれまで自分が持っていたビデオカメラを上条に手渡した。
 山ほどある学園都市設置のカメラによって各競技も映ってはいるが、やはりこういう時は自分で映したいと思うのは親心である。

「パパ~、抱っこ」
「え?」
「抱っこ~」
「で、でもパパは今からビデオ撮らないといけなくて……」
「抱っこ……」
「分かった!泣かないで!」
 よいしょっと上条は琴菜を抱っこして右手で支える。
 まだ3歳とは言え、10㎏を超える体重を片手で支えるのは結構キツイ。
 琴菜は満足そうに「ふにゃー」と言いつつ、上条の首にしがみついていた。

「よ、よし。しっかり撮るか」
「そうそう、さっきの父さんがコケた瞬間バッチリ撮ってるから安心して」
「そんなところは消してくれ……」
「パパ~、いい子いい子~」
 ナデナデと琴菜が小さな手で上条の頭を撫でる。

「琴菜も消すべきだと思うよな~」
「いえいえ、おもしろハプニング特集として永久保存版ですよ、とミハルは過去のハプニング集を思い出し笑いします」
「パパがお馬さんに頭噛まれるシーンは最高だよね、ってミアキは牧場編こそ至高だって言ってみる!」
「ミナツは敢えて海のクラゲ襲来をプッシュ、ってミナツはこの前の海こそ究極だと主張します」
「スキーの直滑降の方が面白いです、とミフユは去年のパパの最高速チャレンジに惚れ惚れしてみたり」
「そんなにパパをイジメて楽しいか、お前ら……」
「ええ、それはもう、とミハルは父をイジることに快感を感じます」
 フフッ、と愉悦に浸る美春に、さすがに美夏、美秋、美冬は引き気味である。
 一卵性四生児にも拘らず、どうにも美春だけ三人とはズレている部分があり、御坂妹を彷彿とさせた。
 ちなみにその四人の容姿は幼い頃の美琴そっくりであり、将来は同じように成長するのだろうな~と上条は予測している。

「パパ!桐掛が入場して来るわよ。早く録画して!」
「はいはい」
 美琴に肩を揺さぶられ、上条は急いでビデオカメラの録画ボタンを押し、入場口へと向ける。

「パパ~、痛いの~?」
 桐掛の競技も終わり、ようやく上条から降りた琴菜が、上条の絆創膏を見て尋ねた。

「ん?あ~まぁちょっとは痛いかな」
「いたいのいたいのとんでけ~」
「琴菜は優しいな~」
 上条は琴菜の頭を優しく撫でる。

「ふにゃー」
「よ~し、次こそはパパのいいところ見せてやるからな!」
「いいな~」
「娘に嫉妬ですか?とミハルは今度は母をジト目で見ます」
「ち、違うわよ!」
 美琴は慌てて両手を振って否定する。決して嫉妬していた訳では無い。だが、琴菜が羨ましかったことは事実である。

「ミハルは嫉妬したので父にナデナデしてもらいます、とミハルは父に飛びつきます!」
「あっ!?」
「うわっ!?み、美春?どうした?」
「さっきのパン食い競争1位だったミハルもナデナデして下さい、とミハルは父に上目遣いでお願いします」
「お、おう」
 よく分からないが娘をナデナデすることは大したことでは無いので、上条は右手で琴菜を、左手で美春の頭を撫でる。

「大玉転がしで活躍したミナツにもお願いって、ミナツはもじもじしながらパパにお願いします」
「出遅れた、とミアキは大して活躍してないけどパパにダ~イブ!」
「パパの手は二つしか無いんですよ、と言いつつミフユもパパに上目遣いでお願いしてみたり」
「う、うう……」
 わー、きゃーと娘5人が父親を取り合う様子を、今度こそは嫉妬が混じった瞳で美琴が見つめる。

「麻琴は参加しないの?」
「私はお姉ちゃんだからね」
 統羽の問いに麻琴は興味なさ気に答えるが、内心はナデナデして貰いたかったりする。
 父の手でナデナデされるのは非常に気持ちいいのだ。
 そして実は統羽も男で、しかも10歳だからと恥ずかしさが先に立つが、父に褒められて、撫でられることは好きだったりする。
 そんなことは他人どころか、家族の誰にも絶対に言えないことだが。

「あれ?母さんは?」
「お父さん争奪戦に参加してるわよ」
「いつの間に……」
 いつの間にやら争奪戦に加わり、上条の膝の上という最上級のシートに座り込んだ美琴はご満悦の表情である。
 娘5人から「ママ、ズルイ!」や「汚いなさすが母きたない」など散々な文句を浴びせられているが、そんなものどこ吹く風である。
 しかしここは地域別対抗運動会の会場だ。周囲の保護者諸氏からの生温かい視線に美琴が気付くのはもう少し後の話である。

「運動の後はご飯が美味しく感じるな」
「私も手伝ったんだからね」
「この玉子焼きだろ?えらいえらい」
「え、えへへ」
 先程の争奪戦には参加出来なかったが、結果オーライと麻琴は内心小躍りする。
 これでこそわざわざ早起きして手伝った甲斐があったというものだ。

「パパ~。あ~んして~?」
「琴菜は甘えん坊さんだな。あ~ん」
「あ~ん」
 雛鳥のように口を開けて待つ琴菜に、上条はミニハンバーグを差し出す。
 パクッと小さな口が閉じられ、ゆっくりと咀嚼し、ニパーという音が聞こえそうなほどの笑みを浮かべた。

「美味しいか?」
「うん!」
「さすがにミハルはあ~んのおねだりなどしません、とミハルはお姉さんなところを強調します」
「そういうのは羨ましそうな目をやめてから言った方がいいわよ」
 麻琴は自分にも言い聞かせるようにして、美春に忠告する。
 琴菜に父を取られて悔しいなどと知られるわけにはいかない。

「ママはあ~んして貰わないの?ってミアキはママに聞いてみたり」
「な、何でママがパパにあ~んして貰わないといけないのかしら?」
 ヒクヒクと頬を引き攣らせ、美琴は美秋に尋ね返す。
 つい先程、我を忘れて大勢の前で恥をかいたばかりだ。羨ましくとも、あ~んして貰うわけにはいかない。

「さっきもナデナデして貰ってたじゃないですか?とミナツはママに言ってみます」
「あ、あれはその……」
「この前パパが遅くに帰って来た時は、逆にママがパパにあ~んしてましたよ、とミフユは言ってみたり」
「わーっ!!何で知ってんのよ!!」
 子供にイチャイチャしていたシーンを見られたという恥ずかしさに、美琴はあっという間に顔を真っ赤に染める。
 しかし本人が気にしていないだけで、普段も家の中、外に限らず、十分過ぎるほどイチャイチャしている訳だが。

「全く歳を考えて欲しいですね、とミハルはやれやれと思わざるを得ません」
「私はまだ若いわよ!」
「ママは若さを保つ為に毎日色々頑張ってるんだよ、ってミアキはパパに教えてみる!」
「こ、コラ!教えなくていいから!」
「あ~うん、一応知ってる」
「あ、あう……」
 上条自身そこまで詳しい訳では無いが、美琴がそういう努力を陰でしていることは知っている。
 10代の頃にそういうことをしていた記憶は無いが、やはり年齢を気にしだしたのだろう。

「泥パックの時のお母さん怖かったよね」
「妖怪かと思っちゃったよ」
「だから言わないでよ!!」
 これ以上赤くならないだろう、というところから更に顔を真っ赤に染めた美琴が子供たちに抗議する。

「大丈夫だって。ママはそのままで十分可愛いよ」
「ぱ、パパってば子供たちの前でそんな恥ずかしいこと言わないでよ~」
 そう言いつつも美琴の口元はニヤけ、両手の指をもじもじと合わせている。

「また始まったよ」
「パパとママラブラブ~!ってミアキはお兄ちゃんに続けて言ってみる」
「まぁでも無駄な抵抗ですね、とミハルは非常な現実を母に突きつけます」
「無駄な抵抗って何よ」
 その言葉にせっかくの甘い空間を破壊され、美琴はジト目で美春を見つめる。

「いずれは美鈴お祖母ちゃんのようになってしまう運命です、とミハルは母の未来の姿を想像します」
「お祖母ちゃん泣くわよ……。大体アンタ達も40年もすればああなるわよ」
 とは言っても美鈴はまだまだ歳不相応な外見であり、大学生は無理でも30代ならば通じる。
 小学生の孫がいる、と言えば驚かれる容姿ではあるが、本人としては不満らしい。
 小皺が目立ち始め、「白髪がまた出た……」とヘコんでいた姿は痛々しかった。

「でもでも詩菜お祖母ちゃんは今でも若いよ、ってミナツは言ってみます」
「詩菜さんはね……」
 未だに20代と言われても余裕で通じそうな義母の姿を思い浮かべる。
 最近では自分より年下です、と言っても通じるんじゃないかと思うと、美琴としては頭が痛い。

「つまり詩菜お祖母ちゃんの血を継いでるミフユ達はセーフ、とミフユは結論付けたりしてみる」
「お父さんも若作りだもんね」
 ガーン!という効果音が響きそうなくらい美琴は驚愕する。
 今まで考えたことも無かったが、下手をしたら上条刀夜、詩菜夫妻の反対ver.になり兼ねない。
 最近では、義父である刀夜は初対面の人に、歳の差婚だと思われてるらしいのだ。
 つまりこのまま上条が若作りならば、美琴が将来そう思われても不思議では無い。

「つまり40年後もミアキ達は詩菜お祖母ちゃんみたいに若いって訳だね、ってミアキはテンション上がりまくり!」
「20年後の母可哀想、とミハルは母に同情します」
「あ、アンタ達~?」
 キャーと言って四人はそれぞれバラバラの方向へ逃げて行く。

「待てや、コラァァアアアアアアアアア!!!!!」
「み、美琴落ち着け!」
 割と本気で怒っている美琴を上条が後ろから羽交い締めにする。
 ちなみに普段子供たちの前では「パパ」、「ママ」と呼び合っているが、二人きりの時やこういう時には名前で呼ぶようになっていた。

「パパは私の味方なの!?子供の味方なの!?」
「普通は子供だ!」
「当麻のアホー!」
「うげっ!?」
 美琴に後頭部で顔面を強打され、羽交い締めにした状態のまま二人は地面に仰向けにゆっくりと倒れる。

「え、わ、わわっ……」
「きゅ~」
「ぱ、パパ?その恥ずかしいよ……」
 真っ赤になって美琴はパタパタと手足を動かすが、本気で抵抗している訳では無いので、気絶中にも拘らず上条の拘束は外れない。

「ま~たやってるよ」
「全く恥ずかしい両親ですね、とミハルは溜息を吐きます」
「まぁ仲睦まじくていいんじゃないかしら?」
 呆れるように統羽と美春は言うが、麻琴はどこか嬉しそうだった。
 間もなく午後の部が始まる。地域別対抗運動会は折り返し地点を過ぎたばかりだ。

         ☆おまけ★

「警備員さん、ちょっといいですかにゃー?」
「どうかしましたか?」
「どうもあそことあそことあそこにいる人が不審な動きしてるみたいなんですにゃー」
「……確かに怪しいですね」
「よろしくお願いしますにゃー」
「ご協力ありがとうございます」



「すいません、ちょっとよろしいですか?」
「は?ちょ、ちょっと何よ、一体!?」
「昼休み中にも拘らずビデオカメラを回しているというのはちょっと……」
「わ、私は知り合いの家族を映してただけよ!」
「拝見してもよろしいでしょうか?」
「勝手にしなさい」
「……何か男の子ばかり映ってる気がするんですが」
「ち、違うわよ!あそこの家族とは知り合いで、統羽君と桐掛君ばっかり映ってるのは気のせいよ。
 その証拠に旅人君はあんまり映ってないでしょ!」
「とりあえず詳しくお話お聞きしたいので、詰所までお願いします」
「え?ちょ、ちょっと!?」



「俺が一体何したっていうンですかァ?」
「何したってアンタ、カメラとビデオカメラ両方同時に使用してるだけでも怪しいのに、今は昼休みですよ?」
「琴菜ちゃンの写真と映像を保管しようとしてただけだろォが!」
「え~っと、琴菜ちゃんっていうのはこの幼稚園児くらいの子のことか?」
「琴菜ちゃンはまだ3歳だ!間違ってンじゃねェぞ!」
「あ~もういいや。詳しい話は詰所でお願いします」
「アァ!?ふざけンな!俺は純粋な気持ちで成長記録をだな……」



「いえいえ僕はですね、あそこの奥様とお子様たちの個人的なファンでして」
「それってストーカーじゃ?」
「失礼な!一切近づかず、常に離れて気づかれないようにしてます」
「いや気づかれなきゃいいって問題でも……」
「さしずめ僕は陰から彼女たちを守るナイトと言ったところでしょうか」
「そんなナイト聞いたことねぇよ。とりあえず詳しいお話については詰所でお願いします」
「今ここを離れる訳には!って、ちょっと話を聞いて下さい!」



「「「あっ」」」
「何、アンタら知り合い?」
「いえ、全然。こんな変態っぽい人たちとは会ったことも無いです」
「俺もこンなショタっぽい人知りませン」
「僕もこんな露出狂っぽい人は存じ上げないですね」
「露出狂って、普通の服でしょうが!地面の中に埋めるわよ、このロリコンども!」
「やってみろ、クソアマ!」
「だから僕はロリコンじゃないって言ってるじゃないですか!」



「全く進歩のない奴らだにゃー」


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