素直になれないその理由(わけ)は
さすがに【書庫(バンク)】にもプライベートに関する情報なので部屋の番号までは載っていなかったが、そのとある高校の男子寮の場所はすぐに分かった。
佐天と初春の二人は、詰め所を飛び出すと一目散にここを目指していた。だが、その場に着いてみると少々愕然とする事態が待ち受けていた。
ハッキリ言って部屋数が多いのである。
上条の通う高校は、その経営内容が個性派揃いの学園都市には珍しく、平凡を極めようとしている(唯一平凡でない点は未だに学校名が出ないことくらいか?)のだが、だからこそ逆に、学園都市に子どもを預ける親にしてみれば、突飛な教育方針で子どもを壊されかねないリスクよりも、平凡ではあるモノのこの学園都市でのカリキュラムを受けられるこういった高校の方が受けがイイ。というコトで、この学校は余り生徒募集に苦労したことがないらしい。
だがそんな“来るモノは拒まず”な姿勢なので、生徒数は自然と増えてしまう。デルタフォースの3バカレベルですら受け入れてくれる訳だから、それは当然だろう。そんな学校の学生寮が小さい訳がない。
二人の前にそびえ立つ学生寮は、正に二人の前に立ちはだかる壁のように見えた。
佐天と初春の二人は、詰め所を飛び出すと一目散にここを目指していた。だが、その場に着いてみると少々愕然とする事態が待ち受けていた。
ハッキリ言って部屋数が多いのである。
上条の通う高校は、その経営内容が個性派揃いの学園都市には珍しく、平凡を極めようとしている(唯一平凡でない点は未だに学校名が出ないことくらいか?)のだが、だからこそ逆に、学園都市に子どもを預ける親にしてみれば、突飛な教育方針で子どもを壊されかねないリスクよりも、平凡ではあるモノのこの学園都市でのカリキュラムを受けられるこういった高校の方が受けがイイ。というコトで、この学校は余り生徒募集に苦労したことがないらしい。
だがそんな“来るモノは拒まず”な姿勢なので、生徒数は自然と増えてしまう。デルタフォースの3バカレベルですら受け入れてくれる訳だから、それは当然だろう。そんな学校の学生寮が小さい訳がない。
二人の前にそびえ立つ学生寮は、正に二人の前に立ちはだかる壁のように見えた。
だが、神様はこの自分に正直な少女には優しかったようだ。
『どうしよう?』と二人がオロオロしていると、向こうから近所のスーパーの袋をぶら下げて歩いてくる“ツンツン頭”を発見した。
“パッ”と佐天の表情が明るくなった。そして上条の元に走って行く。慌てて初春がそれを追う。そして、その二人の行動を物陰で隠れて見ている目があった。
『どうしよう?』と二人がオロオロしていると、向こうから近所のスーパーの袋をぶら下げて歩いてくる“ツンツン頭”を発見した。
“パッ”と佐天の表情が明るくなった。そして上条の元に走って行く。慌てて初春がそれを追う。そして、その二人の行動を物陰で隠れて見ている目があった。
上条は美琴とケンカ別れした後、仕方無く近所のスーパーで買い物をして寮に戻ってきた。
上条個人としては、美琴の我が侭を聞いてやりたかった。だが、どうしてもそれが出来なかったのだ。だから始めから謝った。謝って、謝って、誤り倒したが、美琴は許してくれなかった。
美琴の気持ちは分かっているつもりだった。だが、自分の気持ちも分かって欲しかった。だからつい、言ってしまった。
上条個人としては、美琴の我が侭を聞いてやりたかった。だが、どうしてもそれが出来なかったのだ。だから始めから謝った。謝って、謝って、誤り倒したが、美琴は許してくれなかった。
美琴の気持ちは分かっているつもりだった。だが、自分の気持ちも分かって欲しかった。だからつい、言ってしまった。
『美琴だって俺の気持ちを分かってくれねぇじゃねぇか!』
……と。
言ってから『しまった』と思った。だが、吐き出してしまった言葉はもう戻らない。
言ってから『しまった』と思った。だが、吐き出してしまった言葉はもう戻らない。
『当麻なんて大っっっっ嫌い!!!!!!』
彼女の言葉が胸に突き刺さった。
今までの闘いの中で受けたどんな攻撃よりも効いた。
身体の半分を持っていかれたような、そんな感じだった。
だからこそ、そう簡単に納得出来ない想いが溢れてきてしまった。
今までの闘いの中で受けたどんな攻撃よりも効いた。
身体の半分を持っていかれたような、そんな感じだった。
だからこそ、そう簡単に納得出来ない想いが溢れてきてしまった。
『美琴のバカやろうが……』
さっきからこの繰り返しである。
こちらも意識の迷路にはまり込んでしまっているようだ。
こちらも意識の迷路にはまり込んでしまっているようだ。
「あ、あの……」
「(ッたく、美琴のヤツ。我が侭ばっかり言いやがって……)」
「あの、あの……」
「(そりゃ、今回のことはオレが悪いさ。でも、どうしようも無いことなんだ……)」
「あの、ちょっと……」
「(オレだって美琴を優先してやりたいよ。だけど出来ないこともあるんだ……)」
「あ、……あの……」
「(そうだよな……。今回はオレが悪いんだよな……。でもなぁ……もうちょっと聞き分けてくれてもイイんじゃねぇの?)……ハァ……」
「あのッ!!ちょっとすみません!!!!」
「どわぁっ!!!び、ビックリしたぁ~……ん?アレ……アンタ……?」
「あっ、あの、あのあのあの、あの時はありがとうございましたッ!!!」
「ン~……ああ、えっと確か……」
「あの、お守りを一緒に探して頂いた……柵川中学の佐天涙子って言います。この前は本当にありがとうございました!!!」
「ン、ああ、そんなこともあったっけ……?ゴメン、オレ頭悪いから、よく覚えてないんだよな。それにそれはオレがそうしたいからそうしただけで、別に礼を言って貰うほどのコトしてないからさ。気にしなくてもイイよ。んじゃ……」
美琴のことで頭がいっぱいの上条は、十八番のスルースキル全開である。
だが、その事が『感謝の想いを伝えたい』と思っていた佐天の逆鱗に触れた。
だが、その事が『感謝の想いを伝えたい』と思っていた佐天の逆鱗に触れた。
「ちょっと待って下さい!!!!!」
「へっ!?」
『パシーーーーン!!!』
乾いた音が学生寮に響き渡った。
「なっ何しやがる!!!」
「叩いたことは謝ります。でも、今のアナタの態度は絶対に許せません。確かにアナタの都合も考えずにいきなり来てしまったから。でも、でもっ!!!そんなにスルーしなくてもイイんじゃないですか!?ちゃんと話を聞いてくれてもイイんじゃないですか!!!!!!!」
「あ……ぅ、……ゴメン……」
「あ、私こそ……いきなり引っぱたいちゃって……ホントにゴメンなさい!!!」
「あ、アハハ……イイよ、イイよ。悪いのはオレなんだし……それに……」
「えっ?……それに?」
「……あ、イヤ、コッチの話……アハハ……ハァ……」
「?」
目の前で起こっているコトが『信じられない』という表情で、ブルブル震えながら見ている初春を無視して、佐天は上条と話を始める。
「ホントにゴメンなさい!!!スルーされちゃったことに頭に血が上っちゃって、テンパっちゃって……ホントにゴメンなさい!!!」
「アハハ、イイよ、イイよ。オレも悪かったんだし、それにお陰で目が覚めた」
「えっ?」
「あ、イヤ、コッチの話……で、佐天さんだっけ?引っぱたかれて思い出したよ。あの寒い日のお守りだよな」
「は、はい……」
「わざわざ礼を言いに来てくれたのか?ありがとな。でもさ、さっきも言ったけど、アレってオレがやりたいからやったことであって、わざわざ礼を言われるようなことってしてないんだよな」
「……何でそんなコト言うんですか?」
「えっ?」
「ハッキリ言いますけど、……もう一度引っぱたかれたいんですかっ!?」
「ええっ!?」
佐天は目に涙を一杯溜めて、上条を睨み付ける。
その迫力に上条は気圧されていた。
その迫力に上条は気圧されていた。
「私はアナタに助けられたんです。アナタの言葉に勇気を貰ったんです。だから大切なお守りを見つけることが出来ました。なのにアナタは何故それを『オレがやりたいからやったこと』って自己完結しちゃうんですか?」
「クッ……」
「アナタにとってはたまたま助けた女の子の一人かも知れません。でも私にとってはそれこそ人生が変わるほどの想いを貰いました。今日、ここにこうやって来ることが出来たのも、アナタの言葉に後押しされたからなんですっ!!!」
「えっ!?」
「なのに、どうしてそんな風に助けた相手の気持ちを無視出来ちゃうんですか?それって残酷すぎませんか?」
「相手の気持ち……?」
「そうですよ。私はアナタに助けられて、勇気を貰って、お守りが見つかって、本当に感謝したんです。でも、でも、今のアナタにはその言葉を言うことは出来ません!!!」
「……」
「アナタは相手の気持ちに鈍感すぎますよ!!!相手が自分に対してどんな想いを持っているか考えたことがありますか!?助けた相手がどんな想いを抱くか考えたことがありますか!?」
「……」
「それも考えずにただ助けるだけなんて、そんなの……そんなの……残酷ですよ!!!!!!!」
「あ……あのさ……」
「えっ!?あっ……ごごごごゴメンなさい。わっ私またテンパっちゃって……」
「あのさ……オレって、そんなに鈍感なのかな……?」
「ハァッ!?」
「イヤ、オレってそんなに鈍感なのかなって……」
(も、もしかして……この人……鈍感な上に……バカ?)
「佐天さんの思ってる通りよ。ソイツは超鈍感な上に人の気持ちなんてこれっぽっちも気にしない大バカ野郎なんだから!!」
「「「えっ!?」」」
「もう……黒子に電話したら、当麻が佐天さんに『フラグ』を立てたって言うから、もう気になっちゃって慌ててここまで来てみたら……まさか、知らなかったとは言え、私の“彼氏”を引っぱたかれるとは思わなかったわ」
「「「みみみみ御坂(美琴?)さん?」」」
「……あっ!」
「「えっ?えっ?ええ~~~~~ッ!?み、みみみみ御坂さんの『彼氏ィ~』!?」」
「……あ……(ポンッ!!!)」
何が何だか分からない内に、自ら地雷を踏んでしまった美琴。
いきなりの事実を突き付けられ、何が何だか分からない佐天と初春。
そして、今まで散々佐天に責められていたのに、美琴の登場と共にいきなりスルーされてしまった上条。
いきなりの事実を突き付けられ、何が何だか分からない佐天と初春。
そして、今まで散々佐天に責められていたのに、美琴の登場と共にいきなりスルーされてしまった上条。
さて、この事態……どうやって収集させようかな……σ(^◇^;)。
「つまり御坂さんは、上条さんと大喧嘩しちゃって、気分転換に私たちとお茶しようと白井さんに電話したら、上条さんが佐天さんに『フラグ』を立てたことを知って、慌ててここに来ちゃった……と……言う訳ですよね」
「……ハイ……」
「で、上条さんは、御坂さんとの喧嘩の件が気になって気になって、佐天さんをスルーし続けてしまって、佐天さんに怒られていた」
「……はい、その通りです」
「そして、佐天さんはスルーされたこともだけど、上条さんがあまりにも鈍感なので、怒ってしまった……と」
「……うん……」
「「「「ハァ……」」」」
美琴と当麻、そして佐天は、何が何だか分からない状況に陥ってしまったので、事態を収拾するために中立的な立場に立てる初春に現状分析をお願いしていた。
「そ、それにしても、御坂さん。良く上条さんのハートをゲット出来ましたね。これだけ鈍感だったら、相当苦労されたと思うんですけど……」
「それは、その……もう苦労なんてモンじゃなかったわよ。佐天さんもさっき遭ったでしょ、コイツのスルースキル。スルーに関しちゃ、コイツ絶対レベル5よ!!!」
「アハ、……アハハハ……」
「でも、告白は……当麻からして貰ったの……(モジモジ)」
「「ええ~~~~~ッ!!ほっ本当なんですか!?上条さんっ!?」」
「あ……ハイ……で、でも」
「「でも?」」
「あの時は、美琴がスゴく素直だったから……オレも素直になれて……」
「「へぇ~」」
「……なのに、今日は……」
「「えっ!?」」
「ぅ、ウルサいわね。今日の私が素直じゃないってのは私が一番良く分かってるわよ。でも、アレは当麻が悪いんじゃない!!!」
「ああ、それは分かってるよ。でもな、美琴だって少しは俺の気持ちを察してくれたってイイじゃないか!?」
「気持ち!?察しろ!?超鈍感なアンタが良くもそんなセリフを吐けるものよね?そう言うのは自分が少しでも相手の気持ちに気付けるようになってから言うべきよね!!!」
「何だと!?」
「何よ!?」
「「フンッ!!!」」
「「ハァ……」」
「あっ、あのッ……お二人に聞きたいんですけどっ!!!」
「「えっ!?」」
「本当は、本当にお二人はどうしたいんですか?」
「「「佐天さん……」」」
「上条さんはどうしたいんですか?」
「ホントのことを言えば、オレは美琴を優先してやりたい。美琴との約束を優先したいんだ。でも……先生の【お祝い会】も大切なんだよな。ホントはどっちが上なんて決められないんだけど、そっちはクラス全員が決めたことで、俺一人がどうこう出来るコトじゃない。でも、どっちかを優先しなきゃならない。だから、最初は【お祝い会】に行って、その後、美琴と待ち合わせをしてって言おうと思ってたんだけど……それを言う前に美琴が怒っちゃって……」
「えっ!?」
「御坂さんはどうしたいんですか?」
「わっ私は、そのっ……当麻と一緒に居られるんなら一緒に【ゲコ太ショー】を見られるんなら、10分でも5分でも良かったの。でも、当麻が【お祝い会】を優先させるって聴いて……頭に血が上っちゃって……」
「えっ!?」
「「……もう……」」
「ホントに……ね、初春」
「ですよね……佐天さん」
「「えッ!?」」
「「お二人ともまだ気が付かないんですか?」」
「「えっ?」」
「「もっと自分の気持ちに素直になって下さい!!!」」
「「はっ、ハイ~~~~~~~~~~~~~~~ッ」」
「こんなに相手のことを思いやってるのに、それを素直に出せないなんて変ですよ。ねぇ、初春」
「ですよね、佐天さん。それに上条さんも御坂さんにだけは鈍感じゃないみたいですしね」
「さっきから、『でも』『でも』って言い過ぎですよ。その前には自分の素直な気持ちを言ってるのに『でも』って言うことで自分を誤魔化してませんか?」
「佐天さんの言う通りです。こんなに互いのことを思い合ってるなんて、羨ましすぎます!!!」
「イヤ、アンタの『羨ましい』はこの場合、関係ないんじゃないかな……初春……」
「だって素敵じゃないですか~。ああ~私もこんな恋がしてみたい~」
「何か……ヨソの世界に勝手に行っちゃってるし……でも、上条さん!!!」
「はっはひっ!!」
「やっぱり上条さんは鈍感すぎます。相手の気持ちをもっと思いやる必要があると思います」
「ハイッ!!」
「それに御坂さん!!」
「はっはい!?」
「御坂さんは我が侭の言い過ぎです。上条さんに甘えたいのは分かりますけど、もうちょっと上条さんの都合も考えてあげないと!!!」
「そ、それは……分かってる……んだけど……でも……」
「また、『でも』って言ってる!!!」
「ご、ゴメンなさい!!!」
「プッ……」
「「プッ……」」
「「「アハ、アハハハハ……」」」
「「「……」」」
「まさか、佐天さん達にお説教されるとは思わなかったわ。……ねぇ、当麻」
「ん?オレなんかさっきからずっと怒られっぱなしだぞ」
「フフッ、そうね……あ、あの……ご、ゴメンね」
「あ、イヤ、オレの方こそ……ゴメン」
「あの……日曜日だけど……」
「うん……それでさ、ちょっと考えたんだけど……」
「えっ!?」
「一緒に行かないか?先生の【お祝い会】」
「ええッ!?」
「い、イヤ、実は土御門のヤツに『上やんは最近彼女が出来たみたいで付き合いが悪い』って言われて、それが恥ずかしくって、言えなかったのもあって……」
「あ……」
「だからさ、どうせなら一緒に行って、クラスの奴らに美琴を『オレの彼女だ』って紹介しちゃおうかな?って……そうすりゃ、根掘り葉掘り聞かれることもないし、早めに抜け出すのもし易そうだし……」
「(ポンッ!!!)~~~~~~~~~~~~~~~」
「メチャクチャ恥ずかしいけど、美琴が行きたがってる【ゲコ太ショー】があるから……それに早く行こうと思ったら……」
「そ、それにずっと一緒に居られるし……(ゴニョゴニョ)」
と、さっきまで喧嘩してたのはドコへやら。
佐天の目の前でいきなり二人だけの世界を展開し始める当麻と美琴だった。
佐天の目の前でいきなり二人だけの世界を展開し始める当麻と美琴だった。
「(……もう、こんなんじゃ……でも、ホントに私の入る隙間なんて無いんだなぁ~……)」
「「えっ!?」」
「あっ、な、なななな何でも無いです。アハ、アハハハハ……」
(上条さんが御坂さんの彼氏さんだって分かった時から、諦めては居たんだけど……ハァ……仕方無いか)
「それにしても、ホント今日は佐天さんにやられっ放しよね」
「つーか、オレなんか美琴の次にやられそうな相手が出来ちまったみたいだぞ」
「中1にやられる高1ってどうなのかな?さすがに私も引いちゃうわ」
「イヤイヤ、佐天さんはかなり手強いと見た。自分の感情に対して素直ってコトだったら美琴も負けてるし」
「それは……認めざるを得ないわね」
「お二人で何を話してるんですか?」
「えっ、ああ、佐天さんには敵わないなってコト」
「うん、うん」
「じゃあじゃあ、これから一緒にお茶しに行きません?聞きたいこともあるし」
「「聞きたいこと?」」
「ええ、まずはお二人の馴れ初めとか、詳細な告白の内容とか、デートの内容とか、あとあとキスはもうしたのかとか、何回したのかとか……」
「「~~~~~~~~~~~~~~~」」
「さっき『私には敵わない』って言ってたじゃないですか?だったら、洗いざらい吐いて頂きますよぉ~」
「「お、お手柔らかにぃ~……」」
「じゃぁ行きましょうか?あ、初春ぅ~、いつまでアッチの世界に行ってんの!?いい加減帰ってこないとまた、スカートの中味確認しちゃうぞぉ~~~~」
「キャァァアアア~、さっさささ佐天さん。なっ何するんですかぁ~~~~~~~!?」
いつものセクハラ女子中学生が帰ってきたようだ。
佐天涙子の初恋ストーリーはコレで終わり。
でも、彼女なら……当麻と美琴に負けない絆を見つけられそうな気がする。
いや、きっと見つけることが出来る。その素直さを失わない限り。
佐天涙子の初恋ストーリーはコレで終わり。
でも、彼女なら……当麻と美琴に負けない絆を見つけられそうな気がする。
いや、きっと見つけることが出来る。その素直さを失わない限り。
さて、その【お祝い会】が開かれる日曜日当日。
美琴は上条に連れられて、その会場に向かっていた。
美琴は上条に連れられて、その会場に向かっていた。
「ねえ、当麻。ホントに私も一緒に行っちゃってイイの?」
「別に問題ねえよ。完全に内輪の会だし」
「ウーン、逆に内輪の会だからこそ、部外者は……って思うんだけど……」
「それはそうかも知れないけど……まあ、イイんじゃないか?」
「うん、当麻と一緒なら、私は幸せよ……ただ……」
「ん?……ただ……何だよ?」
「うん……ちょっと恥ずかしいかな?って……エヘヘ」
余り深く考えていない上条。
美琴も上条と一緒に居られる嬉しさが先に立っているようだ。
それにしても……相変わらずラブラブな二人である。
何で、書いてるコッチが当てられなきゃならんのか……ホントにもう……。
美琴も上条と一緒に居られる嬉しさが先に立っているようだ。
それにしても……相変わらずラブラブな二人である。
何で、書いてるコッチが当てられなきゃならんのか……ホントにもう……。
「「「「「「「「「「「先生、受賞おめでとうございま~す」」」」」」」」」」」
「皆さん、ありがとうなのです~。こんなに沢山の生徒さんにお祝いして頂いて、先生は、先生は、本当に嬉しいのです~~~~」
と眼に涙を一杯溜めて、小萌先生はみんなに挨拶している。
集まっているのは上条のクラスだけでなく、小萌先生が授業を担当しているクラスの生徒や黄泉川先生などの同僚もチラホラ居る。
みんな小萌先生の周りに集まってワイワイガヤガヤとやっていた。
ただその中で、美琴だけがその小萌先生を見て固まっていた。
集まっているのは上条のクラスだけでなく、小萌先生が授業を担当しているクラスの生徒や黄泉川先生などの同僚もチラホラ居る。
みんな小萌先生の周りに集まってワイワイガヤガヤとやっていた。
ただその中で、美琴だけがその小萌先生を見て固まっていた。
「(なっ、何っ、この人。ま、まさか【絶対能力進化(レベル6シフト)】計画と同時進行で行われてたと噂されてる【絶対成長停止(ロリロリシフト)】計画って、ここまで実用化されてたって言うの?)」
と、要らぬ妄想に囚われてしまったようだ。
「ね、ねぇ、当麻?」
「ん?どした?美琴……」
「あ、あの人が本当に当麻の担任の先生なの?」
「ああ、そうだぞ。見た目はあんなだけど、スゴい熱血教師でさ。オレなんか世話になりっぱなしで頭が上がらねぇんだ。クラスのみんなも小萌先生を泣かせるヤツは許さんって感じでさ。大覇星祭の時なんか、スゴい一致団結しちまったこともあったっけな」
「ふ~ん、そうなんだ……(何か見たような気が……)」
「ところで上条ちゃん、そちらの方は何方なのですか?」
「あ、小萌先生」
「初めまして。私、私立常盤台中学2年の御坂美琴と言います。今日は当麻の担任の先生が賞を受賞されたと聞いて、一緒にお祝いに来させて頂きました。本日は本当におめでとうございます」
さすがは常盤台中学のエースである。
こういう時の礼儀作法は、さすがお嬢様。御坂美琴の面目躍如と言ったところか。
こういう時の礼儀作法は、さすがお嬢様。御坂美琴の面目躍如と言ったところか。
だが、御坂美琴の名は余りにも有名すぎた。
「ええ~ッ!?あっ、あのッ、とっ【常盤台の超電磁砲(レールガン)】さんなのですか?」
「はい、そうです」
「かっ上条ちゃん、どうして御坂さんとお知り合いなのですか?」
「あ……その……何というか……」
「……?」
「あの、コイツと、美琴とオレ、今つき合ってるんです」
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「ええぇぇぇぇぇえええええええッ!!!!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
「なっ、何やて!?上やんがフラグ回収したってか?」
「フラグって何だよ!?」
「かっ上やん、お前、中学生に手を出したんかにゃぁ~?」
「お前にだけは言われたくねぇ!!!」
「か・み・じょ・う・き・さ・ま・ァ・~~~~~~~」
「待てッ、吹寄ッ、はっ話せば分か「問答無用!!!」るゴァッ!!」
「やっぱりデルタフォースはロリがお好みだったのね!?」
「中学生に手を出したらロリなのか?二つしか違ゎねぇのに!?」
「わっわたしのコトは遊びだったの?上条君?」「私も」「私だって」「私なんか……」
「ヘッ!?」
「(ジャラジャラ)……当麻、……後でちょろっと話があるんだけどぉ~……」
「はっはっはひぃぃぃいいいい!!!!!!!!!!」
お祝い会は上条の爆弾発言で、上を下への大騒ぎである。
そんな中、小萌先生が美琴に“興味津々なんだけど上条ちゃんを奪われるのは少し寂しい”的な表情で質問をした。
そんな中、小萌先生が美琴に“興味津々なんだけど上条ちゃんを奪われるのは少し寂しい”的な表情で質問をした。
「み、御坂さん。本っっっっっっっっっっっっっっ当に上条ちゃんとお付き合いしてるんですか?」
そう聞かれたので、美琴は“素直”にこう答えた。
「ハイッ。色々ありましたけど、この前、当麻にプロポーズをされちゃって……。だから結婚を前提に、でも今はまだ学生なので、浄いお付き合いをさせていただいてますっ!!!!!!」
と頬を染めながら、でも最高の笑顔と共に紡がれた美琴の言葉は、その場に居た全員の顔を真っ赤に染めさせ且つ、固めるのに充分だった。
その中で、唯一人(固まっているのは同じだが)顔を真っ青にしている人物が美琴に聞いた。
その中で、唯一人(固まっているのは同じだが)顔を真っ青にしている人物が美琴に聞いた。
「へっ?あ、あああああの、みみみみみ美琴さん?いいいいいいい今の発言は一体何なんでせう?」
「なによ~、この前プロポーズして、誓いのキスまでして、“私を一生離さない”って言ってくれたじゃない?」
「ばっばっばっバカ野郎!!みみみみみみみんなの前でそんなコト言うんじゃねぇ~~~~~!!!!!」
「いいじゃない。今日一緒に来てみんなに私を紹介するって言い出したのは当麻なんだからね。だから、私は事実を“素直”に述べたまでよ♪」
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「か~み~じょ~う~(上やん)(上条ちゃん)!!!!!!!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
「ふっ、ふっ、不幸だァ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッ!!!」
そう叫んで、美琴の手を取り、一目散に会場を後にする上条。
この翌日から彼は
『中学生に手を出した上に、結婚の約束までさせたスゴい人』
の称号を得ることになり、その噂は瞬く間に学園都市を駆け巡るのだった。