とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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突撃!?◯◯の2月16日

一応「突撃!!○○のバレンタイン」の続きです


「さて、全員集まりましたわね」
「「…………」」
時は2月16日の夕方、いつものようにいつものファミレスに呼び出されたメンバーは、
自分たちが呼ばれた理由を告げられるのを待っていた。
「それではこれより……」



「『バカップル』となったお姉様を元に戻す対策会議を始めますわ!!」



大層な理由を想像していた初春飾利は盛大にずっこけたという。

         ☆

時を少し遡り2月16日の朝、白井黒子はこの時を迎えたくないという表情で通学路を愛しのお姉様と歩いていた。
「ねえ黒子、どうこのヘアピン。似合ってるかしら」
「えぇ似合ってますわよ、お姉様。しかし前をきちんと見て歩かないと危ないですわ」
「大丈夫よ、この時間にこの公園を通る人なんてほとんど居ないし」
「それでもですわ、お姉様。どこで足を滑らせるか分からないのですから」
「黒子は心配性ね、そんなんじゃ好きな男性(ヒト)が出来た時に口煩く思われるわよ」
またか、と白井黒子はひっそりと溜息をついた。

昨日の夜、寮の門限を気にして迎えに行こうかと彼女が悩んでいたところに御坂美琴が帰ってきた。
門限破りで寮監にお仕置きを食らうのではないか、と心配していたが杞憂だったようだ。
もっとも、一目見たときにはあまりの浮かれっぷりで精神状態を疑ったのだが。


(はぁ、何でわたくしが付き添わないといけませんの)
本日何度目か数えるのも馬鹿らしいほどの溜息をつくと、白井黒子は斜め前を歩く御坂美琴を見た。
なんでも愛しのお姉様によると、
「聞いてよ黒子、今日アイツに会ってきたんだけど、私のこと好きだって…好きだって…ふにゃー」
「黒子、聞いてる?それでね、明日から毎日朝一緒に登校しようって誘われたのよ!!」
「あ、でも身だしなみ崩れててアイツにだらしないって思われないかな……そうだ黒子、貴女も一緒に行かない?」
「うー、緊張する……もう待ってるのかな、それとも私が待つのかな。そうだ、後からいけばあの伝説の『ごめーん、待ったー?』ができるんじゃないかしら」
といった感じで白井黒子の宿敵、上条当麻に関することを延々と惚気けてくるのだ。
お姉様大好き!!な白井黒子からしてみれば本当にたまったものではない。
朝一緒に登校するのも本当は断りたかったのだ。
しかし、このような状態のお姉様を送り出すのも彼女には躊躇われた。
彼女の出した結論は『様子見のために一緒に登校してみて、問題があれば今後のことも考えよう』ということだった。

ある公園の自動販売機前、白井黒子と御坂美琴がやってくるとツンツン頭の少年がベンチに座ってぐったりしていた。
「とととと当麻っ、どうしたの?私が待たせちゃって愛想尽かしたの?やだ、やだよう……グスッ」
「美琴っ!!大丈夫だ、俺がお前に愛想を尽かすなんて有り得ない。そんな幻想俺がぶち殺してやるから安心しろ!!」
「ほんと?ほんとに私のこと嫌いになってるんじゃない?」
「あぁ、当たり前だ。なんなら今すぐ証拠を見せてやるよ」
「当麻……んぅ…はぁ……ばかぁ、こんな人のいるところで」
「いいじゃないか、見せつけてやろうぜ。御坂美琴は俺のものだってな」
「当麻ぁ……好き!!」

(何ですの、この茶番……)
御坂美琴が泣いたと思えば上条当麻が惚気けていきなりキスシーンに突入。
白井黒子の頭は目の前で起きていることを理解しつつも、どこかで目の前の出来事は別世界の出来事だと言い聞かせていた。
出来れば今目の前で桃色空間を発生させている二人には関わりたくない。
だが声を掛けなければ2人は延々と同じことをしていそうなため、彼女は行動に移すしかなかった。
「お姉様、上条さん、お二人ともその辺にしておきませんと」
「おう、白井おはよう」
「何よ黒子、私達が何したって言うのよ」
陽気に挨拶をしてくる上条当麻と、彼の服をギュッと掴みながら邪魔されたことを不満に思ってるかのように睨んでくる御坂美琴。
対照的な2人の態度をなんとか受け流しつつも、白井黒子は無情の一言を放った。
「おはようございます上条さん。お姉様、もう時間に余裕が無いですわよ?」
そう言いながら公園に設置された時計を指差す。
そこにはもう15分ぐらいで学校が始まると示す事実のみがあった。
「く、黒子っ、もうちょっと早く言いなさいよ。どうしよう当麻、一緒に登校できないかもしれない」
「美琴……そうだな、一緒に居られないって言うなら学校なんて遅刻しちまえばいいんだ」
「当麻ぁ、そうだよね。私も当麻と一緒がいい!!」
白井黒子は溜息をついた。
昨日の夕方になるまでのお姉様は何処に行ってしまったのかと。

         ☆

「というわけですの!!」
時を戻して冒頭のファミレス。
今朝見た出来事、昼食を共に摂った時の御坂美琴の態度。
余す所無く話した白井黒子は、もうこの事には触りたくないと態度で示していた。
「御坂さんも彼氏ができてきっと舞い上がってるんですよ。ね、佐天さん。…佐天さん?」
返事がないので初春飾利が隣を見ると、ぶつぶつと呟いて落ち込んでる佐天涙子の姿があった。
「佐天さん、佐天さん!!どうしましょう白井さん、佐天さんが反応しません」
「確か佐天さんの想い人も上条さん、でしたわね。さっきの話になにか思うところがあったのではなくて?」
「佐天さん、そうですよね。失恋して好きな人の惚気話聞かされて……白井さんは鬼です!!」
「初春、私はそこを配慮して貴女だけを呼んだんですのよ。佐天さん連れてきたのは貴女でしょう」
「わ、私は佐天さんが落ち込んでたから元気を出して欲しくてここに……」
白井黒子と初春飾利の責任の押し付け合いが始まると、それまで会話に参加してこなかった佐天涙子が顔を上げた。
「よし、決めた!!」
「わっ、どうしたんですか佐天さん」
「決めたよ初春、私諦めない!!」
「佐天さん、先程のわたくしの話は聞いてらしたのですか?」
「ええ、聞きましたよ。でもまだ二人は高校生と中学生じゃないですか」
「え、えぇ、そうですわね」
「ということは一時の過ちって別れるかもしれないじゃないですか。最後に上条さんの隣にいるのが私ならいいんです!!」
「さ、佐天さん……それはなんというか」
「止めるな初春、あたしはもう決めたんだ。ということで少しでも印象よくするために私も上条さんのところに行ってきます!!」
そう言うやいなや、お金だけ置いてすごい勢いで佐天涙子は飛び出していった。
それを見てるしかなかった二人は、
「どどどどうしましょう白井さん、佐天さんがとんでもないこと言って行っちゃいましたよ」
「落ち着きなさい初春。明日には諦めてますわ」
「へ、どういうことですか白井さん」
「人に聞くより直接見たほうが早い、そういうことですわ」
後を追っかけずにこの後30分ほどお茶を飲んで風紀委員の仕事に向かったらしい。


なお、後日泣いて諦めた佐天涙子の姿があったとかなかったとか。


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