とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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小ネタ 上条さんと家庭教師(美琴さん)



肌寒くなってきた秋の午後。ガラッという音が聞こえた直後、冷たい風が部屋の中に吹き込んだ。
「何すんだ寒いじゃねーか」
「換気よ換気。我慢しなさい」
窓を開け放った人物が笑顔で言う。
「でもこんなに寒いと、上条さんの脳みそはますます回転しなくなりますのことよ?」
「馬鹿言ってないで考えなさい。まだ半分以上残ってるでしょ」
「……はい先生」

ここは現在高校2年生となった上条の部屋。
 相変わらず補習常連組の上条は、最近とある人物を家庭教師として頼るようになっていた。言わずもがな、御坂美琴大先生である。
以前からファミレスなどで勉強を見てもらうことはよくあったが、家まで来てもらうようになったのはごく最近-インデックスがイギリスへ帰ってからである。
そして、
「早く終わらせてよね。明日のデートが延期なんて嫌よ。楽しみにしてたんだから」
そして、御坂美琴が上条当麻の彼女となってからである。
「わかってるよ。今日中には終わらせるから安心しろ」
ちなみにインデックスの帰国は美琴のせいではない。以前は犬猿の仲のように思えた2人も、今では上条の知らない所で連絡を取り合うくらいに仲良しだ。

「……んー、でも確かにちょっと寒いわね」
 上条の隣に座った美琴が、腕まくりしていた袖を元に戻した。
「そうだろ? ほら、窓は閉めてしまえー」
「換気は大切だから却下。…あ! 良いこと思い付いた!」
「なんだ?」
「いいからいいから。アンタは問題解いてなさい」
 そう答えつつ、美琴は上条の背後に移動した。そして後ろから両腕で、
「……♪」
抱きしめた。
「ッ!? いきなり何を美琴さん!?」
「うっさい。アンタは問題に集中しなさい。こうすれば体も温かくて、脳みそも回転するでしょ」
「いや、なんかいい匂いやら感触やらでむしろ集中出来ませんから!!」
「知らないわよそんなの。それに試験中って、ペンをカチカチ鳴らしたり、指で机コツコツ叩いたり、ぶつぶつ独り言呟く人がたまにいるじゃない? そういう妨害にも負けない強い忍耐と集中力を養うことも、アンタには必要だと思うのよ」
「まぁ確かに…って正論っぽいようだけど養い方が明らかに間違ってますからね!?」
「もう、うるさいなぁ」
ぎゅっと、美琴は抱きしめる力を強める。
「ほら、そこ間違ってる。表をもう一度確認してみなさい」
「へ? マジで?」
「マジまじ大本気。あとこれと…これも違うわよ」
「これもでせうか!? 前途多難だな…」
「諦めないの。アンタはやれば出来るコよ」
「…これでも一応俺の方が年上なんだよな?」
「年の差を気にしてるならアンタの学年に飛び級するわよ?」
「いや遠慮します。…ってか本当にこのまま解かなきゃいけませんのでせうか?」
「寒さに慣れるまではね。ほら、問題に集中!」
「へいへい」

 美琴はしばらく離れてくれそうにない。良からぬことを考えないようにする為にも、上条は課題に集中することにした。全神経を背後ではなく目の前へと向ける。
が、どうやら神様はそれを望んでいなかったらしい。
「当麻」
 不意に、柔らかいものが頬に触れる。
「みみみ美琴さん!? 今あなた何を…!!」
「エネルギー分けてあげる。だから課題、頑張って」
すぐ横にある美琴の笑顔。本当にただ純粋に、課題に疲れている上条を気遣っている美琴がそこにいた。
(そんなことされるとますます課題に集中できないんですけど…そこら辺は全くわかってくれてないんだよなコイツ)
 決して不幸じゃないけれど、課題に費やす時間は確実に延びるであろう。
「ありがとう、美琴」
「どういたしまして♪」


 結局、課題が終わったのは日付が変わる直前。
 その日を境に上条の理性はますます鍛えられ、試験中の集中力も格段にアップしたという。


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