小ネタ あれから5年
※この話は | 上琴ドッキリマル秘報告 | の続きとなります。 |
この話だけでも読めますが前作を読んでからのが読みやすいと思います。 |
―あれから5年後の6月某日、セブンスミスト内の某専門コーナー内―
??「えっと、このデザインのを、サイズは―――でお願いします。」
??「……ふぅ…準備完了。あとは明日だな…あー緊張してきた」
―翌日夕刻、某学区大通り―
当麻(21歳)「あれー? しばらく来ない間に違う店になってたのか…」
美琴(20歳)「そうなのよ…5年前の今日、私達が恋人同士になった記念の場所が
先月ついに大手飲食店の支店に変わっちゃったのよ…寂しい限りだわ…」
あの日以来、この日は2人の記念日となり、上条は毎年この日は
美琴とのデート(&プレゼント)を欠かさず、美琴も満面の笑みで過ごしていた―――
―――『例年は』。しかし今年の美琴はちょっと不満顔だ。
美琴「まったく、閉店しちゃう前にもう一度来たくて誘ったのにさー、
“ゴメン、忙しいから無理!”って…まぁバイトじゃ仕方ないけど…」
当麻「あのお誘いはそういうコトだったのか…いやぁ本当に申し訳ない」
この件のみならず、バイト先の繁忙期には時々このような事態があった。
そのたびに長々と説教をされてきた上条は、この空気を変えるべく別の話題を振る。
当麻「しかし、あの日からこの5年で色々ありましたなぁ…」
美琴「そうね…本当に色々あったわね」
上手く話を逸らせた(と思った)上条、流れを作るべく、
「いつまでも往来で立ち話もアレだし」と店内に誘導しつつ、一気に話を進める。
当麻「恋人同士になった日の帰宅直前、美鈴さんが例の録音データなんて出してきたり」
美琴「あんな恥ずかしい話を録音するなんて、まったく…」
二人は5年前のドッキリ修了後、馴れ初めから何から赤面必至の質問攻撃をされて
答えながら赤面したり、隣で相手が答えてるのを聞きながら赤面していた。
しかも、そのやりとりまで美鈴が録音していたのだからたまらない。
美琴「まぁ二つの録音装置のうち一つは私の宝物にさせて貰ったけど」
ちなみに、今でも美琴は暇さえあればそのデータを聴いて楽しんでいる。
当麻「もう一つのデータが互いの実家に配布されて…あの時は最高に恥ずかしかった」
美琴「まぁアレのおかげで父さんからもあっさり交際OK貰えたんだけど」
旅掛さん曰く『こんなに真剣に美琴を想ってくれる誠実な当麻君なら大歓迎だ』と。
上条の両親もそろって大賛成。 ……否、大歓迎とのことであった。
本人たちは…二人とも嬉しいのと恥ずかしいのとで複雑な顔をしていた。
当麻「んで帰省後は美琴が俺の寮で料理作ってくれたり受験勉強手伝ってくれたり…」
美琴「当麻の大学合格で時間の余裕出来て、もっと一緒に居られると
思ったら、今度は大学入学してすぐバイト始めちゃって時間減って…」
作戦失敗(?) どう足掻いてもこの話題に引きずり込まれるようだ。
当麻(…やはり逃しはしない、か…)
と苦笑いし上条は時計を見る。
美琴「もう、あんまりそういうコトしないでね?私は大好きな当麻ともっと一緒に居たいんだから」
当麻「言われなくても、バイト先には既に今月末で辞めますって言ってあるよ」
美琴「…え?」
…前言撤回、作戦失敗ではなさそうだ。途中に計算外な事はあったが、時計を見る限りだいたい計算通りである。
当麻「俺も美琴ともっと一緒に居たいし、預金も目標金額に達したし」
美琴「もッ…目標? 何? じゃあ一体何のためにバイト始めたの…?」
当麻「挙式と披露宴の費用と新婚旅行費と…コレ買うための資金」
と言って小さな箱を出しフタを開ける。中身はもちろん指輪である。
この展開に次の上条の言動を察知した美琴は5年前のあの時と同様に
真っ赤な顔で涙目になって震えている。上条は今までで一番の真剣顔になって
当麻「店の看板と内装は変わっちゃったけど、あの時と同じ場所・同じ時間に
改めて俺の気持ちを美琴に伝えます! 大学合格以来頑張って
美琴との結婚に必要なものはほとんど揃えました。足りないのは
ただ一つ…美琴のOKの返事だけです! 美琴…俺と結婚して下さい!」
―――
―――
―その翌年の同月同日 学園都市内の某結婚式場―
かくして、上条当麻は結婚した。その相手は
もちろん御坂…(ビリッ)…失礼しました新婦様。…もちろん“上条美琴”である。