とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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匿名ユーザー

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男のロマン




「ねぇ…この雑誌は一体なんなのか説明してもらおうかしら?」
「いや…それはその…」

 ロシアやハワイでの騒動を終え1年近く経った12月のとある寒い日の放課後、上条当麻は彼女である御坂美琴に尋問されていた。
 今年のバレンタインデーに美琴から告白され付き合い始め早10ヶ月、今まで特に喧嘩することもなくバカップル街道まっしぐらだった2人に初めて訪れた破局のピンチだ。 
 美琴は右手に1冊の雑誌を持った状態で腕組みをして立っており、そのすぐ前で上条は正座をして冷や汗を流している。

(や、ヤバい…美琴マジで怒ってる…どうしてこうなった…)

 なぜこんなことになっているのか、それは美琴が手にしている雑誌が原因だった。
 この日は…というかこの日も美琴は上条の寮に遊びにきており、最初はいつものようにいちゃいちゃしていて何も問題はなかった。
 が、ふとした拍子に美琴がベッドの下に何か雑誌らしき物があることにたまたま気づいてしまったのが始まりだった。

「ちゃんと答えなさい。なんで『コスプレ大全集』なんて本を持ってるのかしら?」

 美琴が今手に持っているのはメイド服姿やバニーガール姿の女性が載っている雑誌。
 それだけでも怒りの原因になるというのに載っているの女性は美琴よりスタイルがいいので余計怒りメーターが上昇してしまったらしく、若干電気を発しながらさらに上条に問いつめる。
 当の上条はというと正座をして俯いたまま

(あ、青ピと土御門…あいつら今度絶対ぶん殴る!もしこれで美琴との関係が悪くなったら殺す。)

 などと物騒なことを考えていた。

 実はこの雑誌、上条のものではないのだ。
 別の日に遊びにきた青ピと土御門が持ってきたもので帰る際上条に内緒で隠していったのだ。
 そのため今日美琴に見つけられるまで上条はこの部屋に置いてあることすら知らなかった。
 それを美琴に言おうとしたのだが

「そ、その雑誌はだな…青ピと土御門が置いてったもので俺のじゃn」
「嘘はいいから本当のことを言いなさい。」
「……はい…」

 美琴に睨まれた上条は『あ、これはいいわけできないパターンだ。』と瞬時に理解し、2人の物だと弁解することを諦めた。

(どうする…俺の本だと言うか…でも本当に俺のじゃないんだよな……こうなったら適当なこと言うしかないか…)

 下手したら美琴と別れるかも、というくらい瀬戸際に追いつめられていた上条は賭けに出た。
 瞬時に適当な言い訳を考え

「あ、と、本当はだな…」
「本当は?変な理由だったら超電磁砲だからね。」

 うっ、と上条は言葉に詰まった。


「何?早く言いなさい。」
「はい…その……見たかったんだよ…」
「そう…超電磁砲をくらう準備はできた?あ、ここじゃ近所迷惑になるから河原にでも行きましょうか。」
「ち、違う誤解だ!この本を見たかったんじゃないって!!」
「見苦しいわね、じゃあなんだっていうのよ。」
「だから!その本に載ってるコスプレ……姿の美琴…」

 上条は言っている途中で『やっぱり無理があった…今日は上条さんの命日ですね…』と思い美琴から目をそらした。
 さらに『ここはもう大人しく電撃をくらっておこう』と考え、上条は目をつぶり全身に少し力を入れた。

 が、

(…あれ?)

 電撃はおろか声すら聞こえてこない。
 静寂に包まれた部屋の中で不思議に思った上条は少しだけ目を開け美琴の方向を見てみると

(あ、真っ赤だ。)

 美琴は腕組みしたまま顔を真っ赤にして立ち尽くしていた。
 上条があー可愛いなーとか思いながら見ていると美琴がようやく口を開き

「あ、アンタね、何言っちゃってんの!?わ、わた、私の、こ、ここここ、コスプレ姿が見たいって…本気で言ってるの!?」

 明らかに声が震えているし動揺していた。
 そんな美琴を見た上条の目がギラリと光った。

(こ、これはチャンス!美琴にあの雑誌に載ってるコスプレをしてもらえる大チャンス!!コスプレといったら男のロマン!このチャンスを逃してたまるか!!!)

 大ピンチが一転大チャンス。
 上条は普段使わない脳をフル回転させなんとか美琴にコスプレを承諾してもらう方法を考える。
 こういうときは普段の数倍脳が働くらしくわずか5秒後、上条は再び口を開く。

「本気だ。いつかこの本に載ってるような格好を美琴にしてほしくてこの本を持ってたんだ。だから、コスプレしてくれないか。」

 上条のとった作戦はとにかく押し通す。
 美琴が恥ずかしがっているときはそのまま押し通せばなんとかなる。
 すると美琴は腕組みを止め、持っていた雑誌勢い良く開いたかと思うと、パラパラとページをめくり改めて雑誌の内容を確認し始めた。

 これはいけるんじゃないか?と上条は思ったのだがさすがにそう簡単に上手くいかない。
 一通り雑誌に目を通し終わった美琴は雑誌を閉じ

「あ、ああああのね!いくらアンタの頼みだからってそれは絶対に無理!!なんと言おうと何が起ころうと無理!!!」
「…えー…どうしてもダメ?」
「………だ、ダメよ!こればっかりはダメ!やらない!!」
「…そうかー…残念だな…」

 ここで次の作戦、少し落ち込んだ姿を見せる。
 これでダメと言われたなら話は十分ごまかせたので諦めるつもりだった

 しかし美琴は結構長い間考え込んだ後

「…わかったわよ…そんなに見たいって言うなら…ちょ、ちょっとだけなら見せてあげるわよ…でも絶対他の人に言っちゃダメだからねっ!!」

 顔を真っ赤にしたまま大声を出した。
 こうして上条の作戦大成功、別れるどころか彼女にコスプレ姿を見せてもらえることになった。

(土御門!青ピ!ありがとう!本当にありがとう。俺は良き友を持った。今度何かおごってやろう。)

 殴るとか言っていた時と一転して上条は友人2人にものすごく感謝した。



 ♢ ♢ ♢


 そんなこんなで数日後―――

「いやぁ…楽しみだな。」

 上条は自分の部屋の中心に置かれている机の前に座り、美琴を今か今かと待っていた。
 
 今日はついに美琴が約束していたコスプレ姿を見せてくれる日。
 美琴はすでに到着しており現在は洗面所で『コスプレ家』から借りてきた衣装に着替えている。
 普段絶対に見ることのできない彼女のコスプレ姿、男なら楽しみでないわけながない。

 まずはどんなコスプレなんだろうとわくわくしていると、ついに洗面所から美琴が現れた。

「ど、どうかなー…?これ…」

 と言いながらまず最初に美琴が着てきたのは

「お、おお…いきなりナースできたか…」

 真っ白のナース姿、またカルテ的な小道具も手にしている。
 上条としては大満足なのだが美琴は『いきなり』と言われたことで不安になってしまったようでちょっぴり表情が曇った。

「え、変…?」
「いやものすごくいいです!超可愛い!!こっちきて見せてくれよ。」
「う、うん。」

 上条は美琴を手招きし、手招きされた美琴は恥ずかしそうに上条の側へと向かう。

「えへへ…か、可愛いかな…」
 
 美琴は笑顔で上条の前でくるりと回ってみせる。

「ヤバい、超可愛いんですけど。あれか、白衣の天使ってやつか。」
「あう…そんなに言われると恥ずかしい…」

 美琴は本当にかなり恥ずかしいらしく上条に背を向けてしまった。
 だがそれがさらに上条の心にストライク。

「ナース姿で恥ずかしがるってヤバいだろ…あ、そうだ写真撮ろうぜ!記念撮影記念撮影!」
「ええ!?写真撮るの!?」
「そりゃ彼女のこんな可愛い姿を記録に納めないわけにはいかないだろ!さ、カメラカメラ…」

 顔を真っ赤に恥ずかしがる美琴を他所に上条は側に置いてあったカメラを手に取った。

「え、それなんだか立派じゃない?結構高いやつなんじゃ…」
「ああ、青ピに借りたんだけどなんか高いらしい。だから電撃で壊すなよ?上条さんには弁償できないんですから。」
「……なんで借りたの?」
「そりゃもちろん美琴のコスプレ姿を写真に残すために。はい、チーズ♪」
「あ!」

 上条は美琴の許可を得ずにカメラのシャッターを切った。
 するとすぐにカメラからジーッと音が鳴ったかと思うと下部分から1枚の写真が出てきた。
 それを見た美琴は驚愕の表情を浮かべる。

「ええ!?それすぐ写真になるやつなの!?」
「そうだぞー。いや…写真で見てもやっぱり可愛い。これ上条さんの家宝にしよう。」
「家宝………絶対他人に見せないって言うなら……まあいいかな…じゃ、じゃあもう次の衣装に着替えてくるから。」
「待て待て!せっかくナース姿なんだし…俺を看病してくれよ。」
「え?看病って言ってもどこも怪我してないし病気でもないでしょ?なのにどう看病しろって言うのよ。」
「いや…隠してたけど俺は病気なんだ。今も胸の辺りが結構痛む。もうすでに結構ヤバくなってきてると思う。」

 上条は右手で胸を抑え美琴から目をそらした。
 深刻そうな表情の上条に美琴は戸惑いを隠せない。

「う、ウソ…大丈夫なの!?もう治らないとか言わないでしょうね!?ていうかなんて病気なの!?」
「病名は『美琴病』って言ってだな…つねに美琴とくっついていないと苦しくて仕方ないんだ……って痛っ!!」

 そこまで言ったところで美琴のキックが上条の脇腹をとらえていた。
 急に蹴られたことで上条は思わず立ち上がったのだが、美琴は攻撃の手を緩めない。
 
「……この……バカ当麻!無駄に心配させるんじゃないわよ!!本当に病気かと思ったじゃないの!!」
「うお!蹴るな殴るな!上条さんが悪かったって!!い、痛い!結構マジで痛いから止めてぇぇぇぇぇぇー!!!」

 この後逆上した美琴のアッパーが顎に炸裂したため上条は倒れ、望み通り美琴に看病してもらえたとか。


 
 ♢ ♢ ♢


 それから数十分後、美琴は別の服に着替えて上条の目の前に姿を見せていた。
 その服装とは

「やっぱメイド服っていいもんだな…うん。すっげー似合ってるし。」
「へ、変態!!そんなじろじろ見ないでよね!!恥ずかしいんだから…」 

 メイド服だった。しかもスカートがかなり短い。

「…せっかくのメイド姿だけど…何かしてほしいことある?」
「…じゃあお約束の『お帰りなさいませご主人様』やってください!!一回外に出てすぐ入ってくるから頼むぞ!!」
「ええ!?あ、ちょっと待ちなさいよ!!」

 上条は美琴の話も聞かずに玄関までダッシュ、そしてサンダルを履き一旦外へ出た。
 12月とあって外はかなり寒いが今の上条には微塵も気にならない。

(美琴どんなかんじで出迎えてくれるかなー。)

 楽しみ過ぎて間隔が麻痺していると言っても過言ではない。
 そして外に出て10秒後、そんなに準備に時間はかからないだろうしもういいだろうと思った上条はわくわくしながら自分の部屋のドアを開ける。

「ただいまー!」

 と言って元気よく部屋に入る上条を迎えるのは

「お、お帰りなさいませー…ご主人様…」

 相当恥ずかしいようで顔を真っ赤に染める美琴。
 俯いているし声は後になるほどどんどん小さくなっていった。

「美琴…」
「な、何よ!もっと大きな声で言えって言うの!?無理よそんなの!恥ずかしいんだからしょうがないじゃない!!」
「いやむしろ恥ずかしがるのがいい。可愛過ぎて困る。」
「え、そ、そう…可愛過ぎて困るって…えへへ…」
「だからもう1回やろうぜ。」
「それはヤダ!!」



 ♢ ♢ ♢
 

「次はこれにしてみたけど…」
「ね、猫!猫ミミ、猫のビキニ服、猫しっぽ!ちょっとこっち来い!!」
「う、うん…」

 手招きされた美琴はちょっぴり恥ずかしそうに上条の側に歩み寄り、隣にちょこんと座った。
 そんな美琴を見た上条の目はものすごく輝いていた。

「おおー…こ、これは感動だ。夢にまで見たネコ美琴が俺の前に…」
「夢にまで見たって……いつもどんな夢見てるの…?まさかいつも私のコスプレした格好の夢を…」
「そんなことどうでもいいから、もっとこっち寄れって!それからもっとネコっぽい動作と話し方してくれっ!」

 テンションが上がりすぎて無茶な注文をする上条。
 当然美琴はどうすればいいか困ったが、やはり上条を残念がらせたくない。
 少し考えた後、

「ネ、ネコっぽい動作と話し方って……ど、どうすればいいんだにゃ?」

 とりあえず語尾に『にゃ』をつけ、ネコっぽいかどうかはわからないが四つん這いになって首を傾げてみる。
 そんな美琴を見た上条の反応は

「~~~~~~~~~~ッッッッッッッッ!!!!!!!!!」

 美琴の仕草があまりに可愛かったのか言葉を発することができないらしく、顔を伏せてバンバンと机を叩き悶えていた。
 これを見た美琴はなんだか楽しくなってきていた。

(うわっ!面白い反応!もっとしてあげよっと♪)

 そう考えた美琴は四つん這いのまま上条に密着しすりすりと体をこすりつける。

「とうみゃーこっち見てほしいんだにゃ!」
「ちょ!!タンマ!俺から言い出したけどちょっと待て…」
「こっち見てくれないなんて…もしかして私のこと嫌いになっちゃったのかにゃ…?」
「ち、違う!ってそ、れか、かわ、か、可愛過ぎ…っていうか反則じゃ、ゴホッ!ゴホッ!!」

 ネコ美琴が可愛過ぎるあまり言葉が出て来なくなりむせる上条。
 そんなことを知らない美琴はさらに追い打ちをかける。

「だ、大丈夫かにゃ?しっかりするにゃ!」
「………」

 上条はネコ美琴のあまりの可愛さに悶え死んだ。


 ♢ ♢ ♢


 上条が悶え死んでから30分後。
 次に美琴が着てきたのはスーツ、スカートは膝より上でかなり短い、後メガネをかけている。
 しかし上条にはこれが何のコスプレ姿なのかわからないのか眉を潜めている。

「…ひょっとしてわかんない?教師にしてみたんだけど…」
「あー教師ね。小萌先生とか黄泉川先生の姿ばっか見てるからわからなかったな。」

 教師、と聞いて上条が思い浮かべたのは小さい姿の小萌先生とジャージ姿の黄泉川先生、今の美琴の姿とはかけ離れていたためわからなかったのだ。

「そういえば親船先生とかはそんな格好だったような…にしてもなんか知的でいいな。」
「あ、ありがと。じゃ教師ってことで1つ問題出すわよ!ちゃんと答えられなかったら……」
「答えられなかったら?」

 美琴は少し間を空けた後少し小さめの声で

「……別れる。」
「よしわかった。じゃそれで………えええええええええええええええッッッッッッッッ!?答えられないだけで別れる!?なんで!?っていうかヤダ!!」

 上条は必死だった。

「い、いいから!じゃあ早速問題よ!!私のいいところを言いなさい!」
「…な、なんだそんなことでいいのか…美琴のいいとこって言ったらまず可愛いとこだろ。後料理が上手。それから優しいし可愛いし性格もいいし服とかのセンスもいい。そんで可愛いし頭もいいし俺にとって最愛の彼女……って美琴?どうしたんだよいきなり抱きついてきて。」 
「いやーセンセーはいい生徒をもったと思って。えへへー…」


 ♢ ♢ ♢


「これが最後ね。結構気に入ってるんだけど…どう?」

 最後のコスプレ姿は何かというとサンタ姿だった。
 頭にサンタの赤い帽子をかぶり、可愛いサンタの格好をしている。
 当然のごとくスカート丈は短い。

 もうコスプレ姿を上条に見せることに慣れた美琴は自ら上条の隣に座った。

「俺もう死んでもいいわ…感動。」
「あ、あのね、せっかくサンタの格好になったんだし、ちょっと早いけどクリスマスプレゼント…」
「へ?まだ12月に入ったばっかりじゃないか?」

 壁にかけてあるカレンダーを見ようと思った上条が美琴から視線を外した時、頬には柔らかいものが触れた。
 その柔らかい物は時間にして3秒も触れていなかったが何だったのははっきりとわかる。
 上条はほっぺを押さえながら美琴のほうを見て

「み、美琴…お前今俺のほっぺにき、キスを…」

 美琴が普段自分からキスをすることはない。
 口だろうが頬だろうが恥ずかしいからか美琴からしてきたことは多分ない。
 だから上条はかなり感動している様子だった。

「……クリスマス当日はまた別のプレゼント上げるから、きょ、今日はこれで…じゃあ私着替えてくるからっ!!」

 美琴は耳まで真っ赤にして洗面所へ駆け込んで行った。
 残された上条は美琴が入っていった洗面所を見つめ

「……俺って…幸せだなー…」

 と、小さくつぶやいた。



 ♢ ♢ ♢

 
 こうして全てのコスプレが終了、昼過ぎから始めたのだがサンタ以外のコスプレは時間が長かったため現在の時刻は16時を少し過ぎていだ。
 西日が差し込む部屋で上条と常盤台の制服に着替え直した美琴はくつろいでいた。
 暖房が効いているため温かい状況にもかかわらず2人はぴっったりとくっついてベッドに座ってる。

「いや~…今日も楽しかったな。美琴、わざわざ俺のためにありがとな。」
「わ、私も結構楽しかったから別にいいわよ。コスプレも結構いいわね。」

 美琴は心の中で『ただし当麻に見せる時だけだけど』と付け加える。

 が、それを心の中でしか言わなかったため

「え…ま、まさか人前であのコスプレ姿を見せるってのか!?」
「あ、いや、違う違う!!あんな恥ずかしい姿するのは当麻の前だけよ…」

 思い出したら余計恥ずかしくなってしまった美琴は最後までちゃんと言い切れなかった。
 その恥ずかしさをごまかすため美琴は1つ咳払いをしてから上条を睨む。

「こ、これでもうあんな変な本見るんじゃないわよ?今度あんなもの見てたら別れるからね。」
「ああわかってるって。…でも一つだけ見たかったけど見れなかった姿があるけどな。」
「え?何よ?あれだけいっぱい着替えあげたのに…言っとくけどあの本に載ってたバニーのコスプレはやらないわよ?」
「いや、コスプレじゃなくてだな…」

 そこで上条は言葉を濁した。
 じゃあ何よ?と思いながら美琴が首を傾げ、上条の顔を見つめていたのだが上条は美琴から顔をそらしてしまった。
 そんな上条に対し『アンタ私にどんな変な格好をさせようとしてんのよ!』と追求しようとしたのだが、それよりも早く上条が口を開いた。

「…その……あれだ…ウェディングドレス…」

 上条は美琴が座っているところと正反対の方向を向きながら小さめの声でそう言った。
 どうやらさすがの上条も恥ずかしいようで、頬が少しだけ赤くなっていた。
 しかし『ウェディングドレス』という単語が聞こえていた美琴は上条の比ではないくらい真っ赤だ。

「ウェディングドレス…そ、そそそそそれって…まさか…け、け、けっこ…」
「…そういうことだ。好きな女の子にあれを着てもらうことは男のロマンなんだよ。今はまだ早いけど…いずれ着てくれるよな?」

 窓から差し込む夕日がちょっぴり恥ずかしそうな仕草を見せ無邪気に微笑む上条を照らす。
 美琴は机の上の上条の右手の上に自分の右手をそっと乗せゆっくりと口を開いた。

「うん…もちろん…着る。絶対に着て当麻に見せる。だからどこにも行っちゃダメよ…?」
「行くわけないだろ?ずっと美琴の側にいるさ。もう今からウェディングドレス姿が楽しみだしな。」

 その後2人は寄り添い合い、夜遅くまでいちゃいちゃしていた。
 こうしてこの日、土御門と青髪ピアスのコスプレ雑誌が原因で行われた美琴のコスプレ披露会で2人はより一層愛を深めた。
 上条が美琴のウェディングドレス姿を見るのはそう遠い未来ではないだろう―――――






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