とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

19-613

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匿名ユーザー

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小ネタ appli's story




「無能力者か・・・」
上条は部屋の中でつぶやいた。
今日、上条の高校では身体検査の日だった。
1人1人の能力をそれぞれにあった検査法でレベルを測るものだ。

上条は今まで無能力者以外の単語を書かれたことがない。
本人も右手に宿る幻想殺しが原因だと分かっているのだが・・・。

「そんなに落ち込まないでよ」
そう声をかけたのは彼の恋人、御坂美琴である。

「超能力者に言われてもなぁ」
常盤台が誇る学園都市第三位の超電磁砲の彼女の実力を知る身としては、その言葉は辛い。
もちろん一昨日常盤台で行われた身体検査で、美琴は堂々と超能力者と認められている。

「(なんて言えばいいのかなー・・・)」
美琴は以前、友人の佐天涙子を励ましたことがあるのだが、本人は少し悲しそうな顔をしたのだ。
「(うーん・・・。あ、そうだ)」
そこで、美琴はある話を思いついた。
上条は悩んでいる美琴を察したのか、場の雰囲気を切り替えようとした。

「悩んでも仕方ないよな。能力なんかなくたって生きていけるし」

「・・・・・、」

「わッ!美琴に言ったんじゃないぞ!?俺は単に能力じゃなくて拳で解決するのが得意というか何というか」

「・・・・・、」

「み、美琴さん?」

上条はいきなりうつむいて黙り込んでしまった美琴の肩をつつく。
すると

「当麻。あっち向いて」
美琴は顔をあげて反対方向を指さした。

「え?あ、はい・・・」
突然顔をあげて驚きながらも、上条は言われたとおりに反対方向に体を向ける。

「えいっ!!」

「のわーッッ!!?」
次の瞬間、美琴は上条の背中にのしかかった。
腕も肩にかけ、密着状態だ。

「みみみ美琴さん一体ナニを!?」
背中には温もりと重みなどで心臓に悪いものばかりだ。

「ねぇ、こんな話知ってる?」

「こんな状態で話を聞けと!?」

「当麻にぴったりの話だからちゃんと聞いて」

「は、はい・・・(??)」
上条もほとんどちんぷんかんぷんの状態で美琴が話し始める。


「りんごの話」

美琴はそう告げた。

「りんごに話なんてあるのか!?」
これが一般的な反応だろう。

「あるのよ。短いけど、よく聞いてね」

―りんごだって昔から赤かったわけじゃない。
 
 今は青でも ゆっくりゆっくり。

「おしまい」

「はやッ!!話というか、詩だろ」

「当麻、今の聞いて何とも思わなかったの?」

「え、えと・・・特に・・・」

「・・・・・、」

ぐいーん。
「耳がァァッッ!!ゴメンナサイィィッッ!!!」
怒った美琴は後ろから上条の両耳を思いっきりひっぱる。

「む。分かればよろしい。でも、このりんごの話を当麻と重ねたら、なんか似てると思わない?」

「あ・・・・」

ない能力。または、あるのに右手が打ち消してしまっているかもしれない能力。
今はなくても、ゆっくり―・・・なんてお話ができてしまう。
もう可能性がなくても、このお話は嘘ではないのかも―。

「当麻にも可能性はあるよ。でも、私はこの右手の方が能力よりもすごいと思ってる」

「え?」

「私たち能力者は、相手の攻撃がきたときは「かわす」か「自分の能力でバリアする」ことくらいしかできない。

相手の能力をそのまま打ち消してなかったかのようにすることはできない・・・。」

「・・・・、」
上条は真剣に美琴の話を聞く。

「当麻は、みんなには持ってないものを持ってるから、みんなにはできないことができるってこと」

その言葉は、上条の心にどれだけ響いただろう。
役に立たない、不幸を呼ぶ・・・そんな右手が、実は上条にしかない宝物なのかもしれないと思った。
それに気づかせてくれた彼女を、いつの間にか抱きしめていた。

「わッ・・・・」

「美琴、ありがとう・・・」

お互い顔を赤く染めながら見つめあう。

「どういたしまして。だからもう、落ち込まないで」

「あぁ。おかげで少し元気出た」

「え、少し?」

「残りは・・・・」

Chu,、と上条が美琴の頬にキスをした。

「美琴から元気を奪おうかな」

「ッッッ!!??」

そういうと、2人はいつものラブラブモードに戻っていった。

Fin.




―after-
上条の悩みは、長身コンプレックスと同じなのかもしれない。
周りより高くて、目立つ。
でも、縮むことは不可能だからどうしようもない。
なら、悩んだって仕方ない。
方法がないなら、考えるだけ無駄なのだから―・・・。

Fin.(true)






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