とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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匿名ユーザー

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Natural story ~君だけの、回復薬~




―後日談―

5日からは上条が本格的に会社が始まったので1日中2人で過ごすことはできなくなってしまったが、
美琴の方も順調に回復していったので特に過剰な心配はなかった。
5日の朝の時点で熱が下がり、体力もある程度回復。
6日にはすっかり元気になっていた。(大学は10日からなので十分間に合った)
薬のおかげもあるのだが、やはり上条の力も大きいだろう。

大学に電話をして美琴の労働量を半分にしてもらったのだ。
おかげで朝はのんびり、早く帰宅できるようになった。そのため2人で過ごす時間が長くなり、嬉しい限りだった。
土日は家事も手伝い、絶対に無理をさせないようにした。

こうして心も体も完全復帰した美琴だが、1つだけ気になっていたことがあった。

「(式っていつあげるんだろ・・・)」

人生の華、結婚式。女性は幼いころから綺麗なウェディングドレスに憧れるものだ。
真っ白なドレスを着て大好きな人と愛を誓う儀式。
考えれば考えるほど気持ちがはやってしまうような気がしていた。


その夜。

夕飯を食べ終わった上条がテレビを見ようとソファーに腰掛けると、隣で美琴が真剣に携帯を見つめていた。
指の動きからしてメールではないようだ。

「何見てるんだ?」

ぐいっと画面を覗き込もうとしたところで「きゃあッ!?」と悲鳴を上げて

「みっ、見ないでよ!!」

と押し返されてしまった。仕方なく上条は追及するのをやめ、話題を変えた。

「あのさ」

「なっ、なによ」


「結婚式、いつ挙げたい?」


「えッ・・・?」

一瞬、何を言ったか分からなかった。しかしすぐに脳は情報処理をして感情を表に出してしまう。
今、彼は式の日程をいつにするかを質問した。そう、念願の夢だった結婚式の日程を。

「上条さん的には、美琴たんの美しいウェディングドレス姿を早く見たいのですが」

今見ていたウェディングプランの携帯サイトを閉じる。
2人の間にほわほわした空気が流れしばらく沈黙が続いたが、やがて美琴が口を開く。

「は、春がいいッ・・・あったかいし、桜が舞って幸せってイメージがあるからいい式になりそうだから」

桜が舞う時期に式を挙げたい。なんとも乙女な希望だった。
もちろんそれを断ることはない。

「春か・・・分かった。じゃあ4月くらいだな」

「そうねッ・・・えへへ」

ついに嬉しさを我慢できなくなった美琴はニヤニヤが止まらなくなってしまった。
相当嬉しいということが一目で分かる。それが何となくとても可愛く見えた。
上条が美琴に「おいで」と声をかけると、すぐにむぎゅーと抱きついてきた。

「待ちきれないよ、当麻」

「俺もだよ。美琴のドレス姿楽しみすぎて寝れないかもしれない」

「私も当麻のタキシード姿、すごく楽しみ」

2人は向き合うと、迷わずに唇を重ねた。
そして再び瞳を開けると、2人で幸せそうに笑った。


この春、新たなスタート地点に立つ2人の若い夫婦。
結ばれた赤い糸は、絶対に切れることはない。

Fin.





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