美女と野獣みたいな体で
ベルは やじゅうの すむ おしろへと やってきました。
てかがみを みながら、まえがみを ササッと なおし、むねに てをおき しんこきゅうしてから
おしろの とびらを たたきます。
てかがみを みながら、まえがみを ササッと なおし、むねに てをおき しんこきゅうしてから
おしろの とびらを たたきます。
ベル 「ご、ごめんください。 商人の娘のベルという者です」
ベルが とびらのまえで そういうと、うしろから だれかが はなしかけてきました。
あいてを いかくするかのような するどく トゲトゲしい かみがた。
このよの すべての ふこうを せおいこんだかのような けだるい ひょうじょう。
「おまえの ちで あかく そめてやろうか」と いわんばかりの しろい Yシャツ。
おひとりさま 2パック までの 「とくばいひんの たまご」が はいった スーパーの ビニールぶくろ。
そう、このおとここそ おしろの あるじ、やじゅうです。
あいてを いかくするかのような するどく トゲトゲしい かみがた。
このよの すべての ふこうを せおいこんだかのような けだるい ひょうじょう。
「おまえの ちで あかく そめてやろうか」と いわんばかりの しろい Yシャツ。
おひとりさま 2パック までの 「とくばいひんの たまご」が はいった スーパーの ビニールぶくろ。
そう、このおとここそ おしろの あるじ、やじゅうです。
野獣 「うおっ!? ホントに来たのか…
悪ぃな、ちょっと買い物行っててさ。まぁ上がってくれよ」
悪ぃな、ちょっと買い物行っててさ。まぁ上がってくれよ」
ベル 「あ、お邪魔します…ってちょっと待て!!
なにその格好!? どう見てもいつものアンタじゃない!! どこらへんが野獣な訳!?」
なにその格好!? どう見てもいつものアンタじゃない!! どこらへんが野獣な訳!?」
野獣 「んー…まぁ立ち話もなんだし、その辺りの話も城の中でな」
やじゅうに うながされ ベルは おしろに あしを ふみいれます。
はやくも せかいかんに ふあんが よぎって きました。
はやくも せかいかんに ふあんが よぎって きました。
やじゅうは、おうじである じぶんが なぜ やじゅうに なってしまったのか、
ベル 「あ…ここでもう王子だってことをネタバラシしちゃうんだ……」
というか なぜ やじゅうに なっていないのに やじゅうに なったという せってい なのか、
ベル 「設定って言った!! 今はっきり設定って言った!!」
そのへんの ことを ポツリポツリと はなしはじめました。
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魔法使い 「も~!! 王子ちゃんはいつもいつも補習をさぼって!!
今日という今日は、先生もゆるさないのですよ!?」
今日という今日は、先生もゆるさないのですよ!?」
王子 「え、え~とですね…ワタクシめにも色々と事情があってですね…?」
魔法使い 「問答無用なのです! お仕置きに、魔法で王子ちゃんを野獣ちゃんに変えちゃうのです!」
王子 「え、でも先生って科学サイドの人だから、魔法とか使ったら危ないんじゃ……」
魔法使い 「その辺りは問題ありません。
先生は能力者ではないので、魔法を使っても脳に何の影響もないのですよ。
シスターちゃんに回復魔術を使ったことを、忘れたとは言わせませんよー?」
先生は能力者ではないので、魔法を使っても脳に何の影響もないのですよ。
シスターちゃんに回復魔術を使ったことを、忘れたとは言わせませんよー?」
王子 「いや、忘れたって言わせてくださいよ。その頃の記憶ないんですから、俺」
そんなわけで、まほうつかいは つたない てつきでは ありますが、
おうじを やじゅうへと かえる まじゅつの じゅつしきを くんでいきます。
きっと このひのために いっしょうけんめい れんしゅう したのでしょう。
おうじを やじゅうへと かえる まじゅつの じゅつしきを くんでいきます。
きっと このひのために いっしょうけんめい れんしゅう したのでしょう。
魔法使い 「それではいくのです!
テクマクマヤコンテクマクマヤコン、
王子ちゃんを野獣ちゃんに変えちゃえなのです~~~!!!」
テクマクマヤコンテクマクマヤコン、
王子ちゃんを野獣ちゃんに変えちゃえなのです~~~!!!」
王子 「呪文に世代を感じる!! やっぱり先生って、結構年いってたんですね!?」
……ですが なにも おきません。
なせなら、おうじの みぎてには どんな いのうの ちからでも もんどうむように うちけしてしまう、
「イマジンブレイカー」という のうりょくが そなわっていたからです。
こくな ことですが、どれだけ れんしゅうしようとも、はじめから いみは なかったのです。
なせなら、おうじの みぎてには どんな いのうの ちからでも もんどうむように うちけしてしまう、
「イマジンブレイカー」という のうりょくが そなわっていたからです。
こくな ことですが、どれだけ れんしゅうしようとも、はじめから いみは なかったのです。
王子 「……ど、どうしましょう…かね?」
魔法使い 「……………ぐすっ」
あ~あ! な~~かした~な~かした!
野獣 「あっ! だ、大丈夫ですよ!! こっからは野獣になったっていう体でいきますから!!
ほら! 役名も野獣に変わりましたし!!」
ほら! 役名も野獣に変わりましたし!!」
こうして おうじは やじゅうに なったのでした。
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野獣 「―――ってことがあってだな」
ベル 「長いわりには中身のない回想、どうもありがとう」
野獣 「で、ベルにはウチで暮らしてもらうことになる訳だけど…何か気になることとかあるか?」
ベルは ふるえながら やじゅうを みつめます。
げんさくと ちがうのは、その ふるえが きょうふから くるものでは ないという ところです。
ベルは まっかに なりながら、やじゅうの しつもんに こたえます。
げんさくと ちがうのは、その ふるえが きょうふから くるものでは ないという ところです。
ベルは まっかに なりながら、やじゅうの しつもんに こたえます。
ベル 「え、えっと……その…もも、もしかしたらなんだけど……お城の中って…わ、私達二人だけ…?」
きたいと ふあんと おとめごころが まじりあう ベルのしつもん。
ですが さすがは やじゅうです。 そのげんそうを ぶちころして くれました。
ですが さすがは やじゅうです。 そのげんそうを ぶちころして くれました。
野獣 「いや、召使いが何人かいるよ。これでも元王子だし」
ベル 「……あ、あっそう………」
ひじょうに がっかりです。
と、ちょうど そこへ、めしつかいたちが やってきました。
と、ちょうど そこへ、めしつかいたちが やってきました。
召使いA 「おうじおうじ! お腹がすいたんだよ!」
野獣 「あーちょっと待ってな。さっき卵買ってきたから、オムライス作ってやるよ」
召使いB 「おいこら王子! 貴様は一端覧祭の準備をさぼって何をしているの!?」
野獣 「あ…はい、やりますやります……だから耳引っ張んないで……」
召使いC 「助ける気はあるんだな?」
野獣 「本当にその子が苦しめられているのなら」
やじゅうは めしつかいたちに ひっぱられ、あちこちで いろんなことを しはじめました。
ベル 「……召使いって何だっけ?」
おしろでの くらしが なれてきた あるひ、やじゅうは ベルに ふしぎな かがみを わたしました。
かがみを のぞきこむと、そこには じぶんの いえの ようすが うつしだされています。
かがみを のぞきこむと、そこには じぶんの いえの ようすが うつしだされています。
ベル 「…あのさぁ……これは『iPad』っていうタブレット型コンピューターなの。鏡じゃなくて」
野獣 「いや知ってるよ! 仕方ないだろ!?
不思議な鏡なんて異能の力の塊みたいなモン、俺使えないんだから!」
不思議な鏡なんて異能の力の塊みたいなモン、俺使えないんだから!」
ぶっちゃけ アイパッドの テレビでんわきのうです。でも ふしぎな かがみってことで おしとおします。
かがみを のぞきこむと、ゆかに たおれこんで あわを ふいている しょうにんの すがたが ありました。
かがみを のぞきこむと、ゆかに たおれこんで あわを ふいている しょうにんの すがたが ありました。
野獣 「おいヤバくないか!? 一旦帰った方がいいんじゃ……」
ベルは しょうじき かえりたくありません。
しょうにんの あんぴよりも やじゅうとの せいかつのほうが だいじ だからです。
それに ベルは、あの じっけんのことを かんぜんに ゆるしたわけでは ありませんでした。
しょうにんの あんぴよりも やじゅうとの せいかつのほうが だいじ だからです。
それに ベルは、あの じっけんのことを かんぜんに ゆるしたわけでは ありませんでした。
ベル 「ま、大丈夫なんじゃない? 簡単にくたばるようなヤツじゃないし。
それに私、アイツに『二度と帰ってくンな』って言われてるしね」
それに私、アイツに『二度と帰ってくンな』って言われてるしね」
野獣 「いやいや、駄目だろ。ここで行かなかったら、話終わっちまうよ」
ベル 「うっ…」
それは ベルも こまります。この ものがたりを さいごまで やりとげたいからです。
なぜなら びじょとやじゅうの ラストは―――
なぜなら びじょとやじゅうの ラストは―――
ベル 「わ、分かったわよ! 行けばいいんでしょ!? 行けば!」
こうして ベルは、いちど いえに かえることに なったのでした。