とある上条の超能力者 1
「ああ、不幸だ」
一月一日。上条は帰省していた。
神奈川県の端っこにある上条宅の近くには『アレ』の家があって……
家の中にいるのは両親と姿を見るのは初めての『竜神乙姫』。そして御坂美鈴に、御坂旅掛。そして上条当麻。
合計六人が広いか狭いのかわからないリビングに集まっていた。
御坂旅掛というのは上条刀夜が海外であった御坂美琴の父親らしい。
母親同士も知り合いだし、外堀が埋められてきているのは気のせいだろうか?
それだけでは『不幸だ』とは呟かない。
ずっとそわそわしている様に見えたのか、美鈴が言った
「上条君、そんなに美琴ちゃんが来るのが楽しみなの?」
「違いますよ!逆ですっ!アイツだけならまだしも!」
そう、一番の懸念は『ソレ』だ。
御坂はまだ学園都市から出たばかりで、まだ到着までは1時間くらいかかるらしい。
きょとん、とした顔で上条を見つめている美鈴だった。
不意に上条の携帯が鳴った。電話。それは『土御門元春』という悪友からかかってきたもので……
魔術関連か、それともイタズラ電話か。
「なんだ?土御門?」
『んにゃー、カミやん。ちょっと切羽詰まってる様子が浮かんでくるんだにゃー。で、本題なんだが
青髪と吹寄がカミやんに用事があるらしくカミやん家に向かってるんだぜい』
「はァ!?待て待てよ待ってくださいの三段活用!なんだそれ!」
『聞いてなかったのか?去年の春先くらいに連れていくって約束して地図まで渡したそうじゃないかにゃー』
上条はそんな事記憶に無く、間違いなく記憶喪失前の自分が起こしたものだな。と思った。
『あぁそれと。小萌センセーがカミやんに直接年賀状を渡すのと親に挨拶するってアレで吹寄達について行ったぜい?』
「おい!小萌先生もかぁ!?」
『ああ、カミやん悪いな!舞夏が呼んでるんで切るぞー』
「そーですか……じゃあ切ってくださいな」
不幸だ。そう叫びたかった。
不幸まで残り数十分。上条は逃げ出したく無かったが先程から無言で上条を睨んでいる
御坂旅掛にビビって逃げ出す事も出来ない。
そんな、上条だった。
ピンポーン、とどこの家庭でも似たようなインターフォンが鳴らされた。
御坂とその愉快な仲間たちが遂に現れるのか。上条としてはアイツとその子分に会いたくない。
残り二人は誰か知らないが、またあのドロップキックの恐怖に見舞われると思うと思わず諦めの溜息が出てしまう。
「おじゃま」
「しまーす!」
元気そうな二つの声が上条宅に響き渡った。
(Fuck!来ないでください来ないでください不幸だ不幸だ!)
「さぁて、ゆっくりとお話しましょうか?上条当麻サン?」
祈りは神様に届かなかった。
「や、やぁ御坂さんおはようございます!」
「うんうん元気が一番ねー?で?何で改札口で待たないで前日に既にここに来ていたの?約束したわよねェ」
「そ、そうでございますわね………はいスミマセンでした」
上条当麻はこの少女、御坂美琴と一緒に帰省する約束をしていたのだ。
しかしその事をすっかり忘れ12月31日に帰省してしまって途中で思いました。
朝から数百件と送られてくるメールに怯えながらいたワケだが……
「アレが御坂さんの彼氏ですかぁ?なんか想像と違いますねぇ白井さん」
「はァ?アレがお姉様のカレシィ?んな話聞いた事もありませんわ」
「それにしても、結婚したらカカァ天下ですかねー」