とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part01

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匿名ユーザー

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私こと上条当麻は今上空1万mにいる。
だからといって時速7000kmオーバーの超音速旅客機に乗ってるわけでも、そこから放り投げられたわけでもない。
ごく普通の飛行機に乗ってちゃんと機内の座席に座っている。
じゃあ何も心配する必要がないかというとそれも違う。
隣に大きなイレギュラーが存在するのだ。
シャンパンゴールドの色の髪でヘアピンぐらいしか特徴を挙げることのできない美少女。
これだけ聞くとおそらく世の中のほとんどの男性の方々は羨ましいだの爆発しろなどと言うだろう。
しかし、この見た目だけは可憐な彼女は、実は学園都市第3位の超能力者という化け物で、致死量の電流を浴びせてくる恐ろしいやつなのだ。
それでいて、本当は泣き虫で儚い存在でもある。まぁ細かい説明は面倒くさいし省く。
そもそもなんで俺はコイツと飛行機に乗っているのだろうか。思い出すために記憶を辿ってみた。
ああ… そうだ、確かあれは夏休み開始の2週間前だった気がする。

『アンタ夏休み暇?』

いつもみたく電撃を飛ばされ、一段落したときだった。

『なんで?』
『あ…あのさ、ちょっと旅行行かない?福引で特賞当てて、ヨーロッパ旅行のチケットが当たったんだけどさ』
『すごいな!ちなみにそれ何日くらい?』
『40日』
『パス』
『早っ!なんでだめなのよ!?』
『あのな…夏休みの上条さんには宿題と補習という試練が待っているんだ!よって旅行に行く暇なんてありません!』
『な~んだ。そんなことか。ならこの美琴センセーに任せなさい!』
『は?あなた様は一体何をおっしゃっているのでしょうか』
『要するにアンタは宿題と補習さえなければ来るのよね?』
『ま、まぁそうだが。それが御坂となんの関係が?』
『だ、だから私が今日からアンタの面倒を見るって言ってんのよ!』
『ええええええ!?』
『何よ、何か文句でも?』

そう言った御坂から発せられるオーラが垣根提督と戦った一方通行のそれに酷似していた。

『イエ、アリマセントモ。ワタクシカミジョウトウマはアナタサマニシタガウショゾンデゴザイマス。』
『んじゃ決まりね。それじゃ今から私の寮に行くわよ』
『何のために?』
『さっき言ったでしょ。アンタの面倒をみるって』
『これから試験終わるまでア、アンタん家に泊まるから』
『何言ってやがんだこのお嬢様!駄目に決まってるだろ!』
『さっき従うって言ってたわよね。それとも何?楽しい楽しい夏休みの思い出が宿題と補習だけでもいいわけ?』
『…』
『じゃあ私の寮に行くわよ』
『ハァー…、仕方ねーな。とりあえずインデックスは小萌先生の所に預けるとして…』

こうしてわけ分からないうちに、御坂と同居&御坂とヨーロッパ旅行に行くことが決定したのである。
当初御坂を迎え入れることに不安しか感じられなかったが、御坂と過ごした2週間は決して悪くはなかった。
むしろ良かったと思う。
御坂の料理は自分のよりおいしかったし、指導してもらったおかげでテストも全教科で赤点を免れ、宿題も2日で終わってしまった。
もちろん、風呂あがりの御坂に対してラッキースケベが発動して放たれた超電磁砲で家が半壊したり、電撃を浴びた家電が2つお亡くなりになったりなど不幸も絶好調だった…。

そんなことがあって今に至るわけだが…隣のお嬢様がなぜか飛行機に乗ってから全く話しかけてこない。
それどころか非常に強い殺気を感じる。

「あの…御坂さん?なぜそんなに怒っていらっしゃっているのですか」
「んー?別に怒ってないわよー」

嘘だ!清楚な笑顔とは裏腹に目が非常にヤバイ事になっている。
今なら視線だけで小動物くらいなら簡単にコロリといきそうだ。
とりあえず落ち着かせないと、上条さんがヨーロッパじゃなくて天国にいく羽目になっちゃう!

「ほーら、これから旅行だってのにそんなんじゃ楽しめないだろ。だからいつもの可愛い美琴さんに戻ってくれ」

そう言った瞬間、御坂はいきなり顔を真っ赤にしてそっぽを向いてしまった。
怒ってしまったのだろうか…?
ああ…何もかもが終わった。短い人生だったな…。



横目で見たアイツの顔は全てを諦めた人間の顔そのものだった。
どうせアイツのことだから私が今怒っているって勘違いしているに違いない。
そりゃあさっきまでは機嫌は悪かったことは自覚している。
無理もない。アイツの悪い癖が出たのだ。
空港で女の人の落し物を拾ってあげたり、転びそうになったキャビンアテンダントを支えたり、挙句の果てには迷子になった幼稚園児くらいの女の子の親を探して、フラグを立てた。
寮を出発して飛行機に乗り込むまでの2時間でアイツにフラグを立てられた女性(女児含む)はおそらく20人を下るまい。
改めてアイツのフラグ体質の恐ろしさを知ったのと同時に不安にもなった。

(もしアイツが私でない他の誰かを好きになったら…)
(もしアイツの隣にいるのが私でない別の誰かだったら…)

一度考え出すとなかなか負の思考から抜け出せない。
だけどアイツの言葉は私の不安を吹き飛ばしてくれたどころか私を天にも昇る気分にさせてくれた。
ゆるみきった私の顔をアイツに見られるわけにもいかないのでそっぽを向いたのだ。
とはいえ、いつまでもこうしてるわけにもいかない。
顔が元に戻ったのを確認した私は気持ちを入れ替えることにした。

「まあいいわ。アンタの言うとおりだもんね…この旅行精一杯楽しみましょ」
「ああそうだな…っと、危ねぇ…」

すぐそばの通路で他の搭乗客が躓いたのをアイツが支えたのだ。

「ご迷惑おかけしてすみませんでした」
「いえいえ、いいんですよ。それよりけがとかありませんか?」

よく見ると心なしかその女性の顔が赤い。

「あ…いえ、だ、大丈夫です。その、あ…ありがとうございました////」

そう言ってその女性は去って行った。

「どうした御坂?」
「ア・ン・タはー!言ったそばからこれかー!!」

不思議そうな顔を浮かべているアイツの顔面に構わず私は拳(ビリビリ付き)を叩き込んでやった。






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