クリスマス・プロローグ編
とあるアクセサリーショップの前。ウィンドウショッピングというには、余りに険しい表情を浮かべる少年がいた。腕を組みガラス越しに、透きとおる緑がかった青い小さな宝石がついたペンダントを睨むように見ていた。
値段にして二万丁度。決して豊かとはいえない少年のお財布事情からすれば、諭吉さんが二人も旅立ってしまうのは、寂しすぎる。
唸り始めた少年の隣。そこにはまだ湯気の出ている肉まんと、それが幾つか入っている紙袋を持った、金刺繍のシスター服に身を包んだ少女がいた。
肉まんの味を堪能していた彼女は、不意に少年に目をやり呆れた表情を浮かべた。
値段にして二万丁度。決して豊かとはいえない少年のお財布事情からすれば、諭吉さんが二人も旅立ってしまうのは、寂しすぎる。
唸り始めた少年の隣。そこにはまだ湯気の出ている肉まんと、それが幾つか入っている紙袋を持った、金刺繍のシスター服に身を包んだ少女がいた。
肉まんの味を堪能していた彼女は、不意に少年に目をやり呆れた表情を浮かべた。
「そんなに悩むんならさっきのゲコ太にしちゃえばいいんだよ」
「一年に一度、しかも初めてのプレゼントなんだぞ!? なんか、いいのプレゼントしたいじゃないか!」
「でも、あの短髪ならゲコ太の方が喜びそうなんだよ」
「一年に一度、しかも初めてのプレゼントなんだぞ!? なんか、いいのプレゼントしたいじゃないか!」
「でも、あの短髪ならゲコ太の方が喜びそうなんだよ」
言われ、少年が言葉を返せなくなる。言われてみれば確かにそうかもしれないと、少年も思ったのだ。何せ、あの少女のゲコ太好きは自分では計り知れない部分がある。
二個目の肉まんを取りだした少女が、もぐもぐと頬張りながら続ける。
二個目の肉まんを取りだした少女が、もぐもぐと頬張りながら続ける。
「っていうか、短髪のプレゼントを買いに行くのに私を連れていくのはどうかと思うんだよ、とうま」
「しょうがないだろ、頼めるのがお前くらいしかいなかったんだから。肉まんも買ってやっただろ、インデックス」
「しょうがないだろ、頼めるのがお前くらいしかいなかったんだから。肉まんも買ってやっただろ、インデックス」
上条の言葉に、インデックスは肉まんをかじりながらむー、と唸っていた。
先週、インデックスは上条から自分と美琴が付き合う事になったと聞かされた。それを聞かされた時、正直、かなり腹が立った。なので、いつもの倍では利かない位噛みついてやった。咀嚼もしそうになったが、それは我慢した。
先週、インデックスは上条から自分と美琴が付き合う事になったと聞かされた。それを聞かされた時、正直、かなり腹が立った。なので、いつもの倍では利かない位噛みついてやった。咀嚼もしそうになったが、それは我慢した。
(だって、私に一言も相談しないで決めるなんて許せないんだよ!)
インデックスが起こったのはそこだ。上条と美琴が付き合う事自体は構わないのだ。上条の事は大好きだが、その大好きな上条が選んだ相手なら、インデックスに文句はないのだ。ただ、ちょっとはムカついた。大好きな家族が取られた気がして。
そんな事を考えていると、隣から声が聞こえる。見れば、上条が宝石を指さしていた。
そんな事を考えていると、隣から声が聞こえる。見れば、上条が宝石を指さしていた。
「なぁ、インデックス。この宝石、何て名前かわかるか?」
「この、とうまがずっと見てたやつ? アイオライトっていう宝石だよ」
「アイオライト? 聞いた事ねぇな」
「んー、専門のお店以外だと誕生石とかが多いから、とうまが知らなくても無理はないかも」
「この、とうまがずっと見てたやつ? アイオライトっていう宝石だよ」
「アイオライト? 聞いた事ねぇな」
「んー、専門のお店以外だと誕生石とかが多いから、とうまが知らなくても無理はないかも」
アイオライト。上条が指さしたペンダントにはその宝石が付いている。少し透けている、緑がかったその青い宝石を見て、インデックスは少し感心していた。
アイオライトの宝石言葉。その宝石を知らない上条が、宝石言葉なんて知っているとは思えないが、それでも、中々いい言葉を持つ宝石を選んだと、インデックスは思っていた。
ただ、やっぱり、ちょっとは複雑だ。大好きな家族の恋人のとはいえ、他の女性のプレゼントを買いに行くのに付き合わされるというのは。
ごそごそと紙袋を探っていると、いま入っているのが最後だった。最後の一個くらい上条に上げようと、上条を見る。が、こちらには気付いておらず、アイオライトと財布の中を何度も見ていた。
この宝石を買う事に決めた様だが、値段がやはりその決断を阻んでいる様だ。
アイオライトの宝石言葉。その宝石を知らない上条が、宝石言葉なんて知っているとは思えないが、それでも、中々いい言葉を持つ宝石を選んだと、インデックスは思っていた。
ただ、やっぱり、ちょっとは複雑だ。大好きな家族の恋人のとはいえ、他の女性のプレゼントを買いに行くのに付き合わされるというのは。
ごそごそと紙袋を探っていると、いま入っているのが最後だった。最後の一個くらい上条に上げようと、上条を見る。が、こちらには気付いておらず、アイオライトと財布の中を何度も見ていた。
この宝石を買う事に決めた様だが、値段がやはりその決断を阻んでいる様だ。
「インデックス! これからしばらくは質素な食生活だ!」
その上条の決断に、インデックスは上条に上げようと思っていた肉まんを頬張る。今の内に食べ溜めておかなくては。
もぐもぐと肉まんを頬張るインデックスを置いて、上条は店内に入っていく。
振り返り、インデックスはガラスに背を預け空を眺める。今にも雪が降りそうな空だ。その空を見ながらふと思う。
上条は大好きな家族だ。インデックスから見れば兄の様な存在だ。その兄の恋人、という事は将来、短髪は自分の姉の様な存在になるのだろうか。それは、ちょっとではなく、かなり嬉しい。家族が増えるのは大歓迎だ。
もぐもぐと肉まんを頬張るインデックスを置いて、上条は店内に入っていく。
振り返り、インデックスはガラスに背を預け空を眺める。今にも雪が降りそうな空だ。その空を見ながらふと思う。
上条は大好きな家族だ。インデックスから見れば兄の様な存在だ。その兄の恋人、という事は将来、短髪は自分の姉の様な存在になるのだろうか。それは、ちょっとではなく、かなり嬉しい。家族が増えるのは大歓迎だ。
(今度、お姉ちゃんって言ってからかうのも面白いかも! あと、とうまにお兄ちゃんって言ったらどんな反応するか気になるかも!)
肉まんを食べながら、インデックスは心が暖かくなっていくのを自覚する。
肉まんを食べ終えるのとほぼ同時、上条が店の中から出てきた。その手には綺麗にラッピングされた袋があった。中身はアイオライトのペンダントだ。
肉まんを食べ終えるのとほぼ同時、上条が店の中から出てきた。その手には綺麗にラッピングされた袋があった。中身はアイオライトのペンダントだ。
「ちゃんと買えた、とうま?」
「おう! 諭吉さんが二人も旅立っちまったが俺に後悔はない!」
「後は短髪に渡すだけだね。でも、とうまの事だから、当日にプレゼント忘れそうで心配かも」
「そこは上条さんも心配です……」
「おう! 諭吉さんが二人も旅立っちまったが俺に後悔はない!」
「後は短髪に渡すだけだね。でも、とうまの事だから、当日にプレゼント忘れそうで心配かも」
「そこは上条さんも心配です……」
不安そうな表情を浮かべる上条に、インデックスは微笑みを零す。
その笑みのまま、インデックスは上条の手にあるアイオライトへと目をやる。
上条の初めての恋が、アイオライトの宝石言葉に変わるのはそう遠い事じゃない。インデックスにはそう思える。
上条を見ていると何となくそう思うのだ。上条がどれだけ美琴を想っているのか。何となくだが、伝わってくる。
幸せになって欲しい。それが、インデックスが二人に唯一願う事だ。
が、今一番に願う事は、さっきから香っているこの匂いだ。インデックスはこの匂いのする方向を指さし上条を見る。
その笑みのまま、インデックスは上条の手にあるアイオライトへと目をやる。
上条の初めての恋が、アイオライトの宝石言葉に変わるのはそう遠い事じゃない。インデックスにはそう思える。
上条を見ていると何となくそう思うのだ。上条がどれだけ美琴を想っているのか。何となくだが、伝わってくる。
幸せになって欲しい。それが、インデックスが二人に唯一願う事だ。
が、今一番に願う事は、さっきから香っているこの匂いだ。インデックスはこの匂いのする方向を指さし上条を見る。
「そんな事よりとうま! あそこで美味しい匂いを出してるたい焼きーって食べ物を食べたいんだよ!」
「質素な食生活といった矢先に!? つーか、肉まん食べたでしょ! しばらくお預けです!」
「むー! とうまのけちー! いいもん、とうまと短髪のデートに乗り込んで短髪に奢ってもらうんだよ!」
「それはお願いですから止めてくださいインデックスさん!?」
「質素な食生活といった矢先に!? つーか、肉まん食べたでしょ! しばらくお預けです!」
「むー! とうまのけちー! いいもん、とうまと短髪のデートに乗り込んで短髪に奢ってもらうんだよ!」
「それはお願いですから止めてくださいインデックスさん!?」
振り向きインデックスは少し乱暴な足取りで、さり気なくたい焼きを売っている移動販売の車へ向かう。その事に気付いていない様子の上条が、慌てて付いてくる。
楽しい。上条とのこういうやり取りは何度やっても楽しい。そして、これにあと少しで美琴が加わるかもと思うと、もっと楽しい事になるんだろうな、という期待しか湧かない。
上条と美琴。その二人が並んで歩く光景を早く見たいと、インデックスはたい焼き屋を目指しつつ思う。
楽しい。上条とのこういうやり取りは何度やっても楽しい。そして、これにあと少しで美琴が加わるかもと思うと、もっと楽しい事になるんだろうな、という期待しか湧かない。
上条と美琴。その二人が並んで歩く光景を早く見たいと、インデックスはたい焼き屋を目指しつつ思う。
学生が主な客層であるSeventh_mist 。その店内にあるとあるアクセサリーショップの中、同じ制服を着た同じ顔をした少女が二人、違う表情で居た。
鮮やかな黄緑色の宝石をあしらったネックレスを前に、険しい顔で少女の片方はそれを睨むように見ていた。隣では、乏しい表情ながらも、僅かに呆れを滲ませていた。
鮮やかな黄緑色の宝石をあしらったネックレスを前に、険しい顔で少女の片方はそれを睨むように見ていた。隣では、乏しい表情ながらも、僅かに呆れを滲ませていた。
「もう10分以上そうしているのにまだ決められないのですか、とミサカはお姉さまの優柔不断さに呆れます」
「う、うるさいわね! 別にいいじゃない! 当麻への初めてのプレゼントなんだから!」
「ついこの前まではアイツ呼ばわりだったのに今では呼び捨てですか、とミサカはなんか殴りたい気持ちに駆られます」
「う、うるさいわね! 別にいいじゃない! 当麻への初めてのプレゼントなんだから!」
「ついこの前まではアイツ呼ばわりだったのに今では呼び捨てですか、とミサカはなんか殴りたい気持ちに駆られます」
少女、御坂美琴は今も好き放題言ってくれる御坂妹の言葉を聞き流しながら、ショーケースの中に収まっているネックレスを見る。
黄緑色の宝石だけが付いた、それ以外の装飾もない至ってシンプルなデザインをしたネックレスだ。値段も、学生を相手にしたSeventh_mistの中にある店だからか、店の雰囲気に反してお手ごろだ。とはいえ、少々背伸びする様な値段ではある。
ついには唸り始めた美琴を横目に、御坂妹は彼女と同じ宝石に目をやる。
黄緑色の宝石だけが付いた、それ以外の装飾もない至ってシンプルなデザインをしたネックレスだ。値段も、学生を相手にしたSeventh_mistの中にある店だからか、店の雰囲気に反してお手ごろだ。とはいえ、少々背伸びする様な値段ではある。
ついには唸り始めた美琴を横目に、御坂妹は彼女と同じ宝石に目をやる。
「ダイオプサイド。あまり聞かない宝石ですね、とミサカは実は地味な宝石なのではと疑います」
「んー、ダイオプサイドって名前よりも透輝石って名前の方が知られてるかもしんないわね」
「ミサカはどっちも知りません、とミサカは単にお姉さまが博識なだけと推測します」
「んー、ダイオプサイドって名前よりも透輝石って名前の方が知られてるかもしんないわね」
「ミサカはどっちも知りません、とミサカは単にお姉さまが博識なだけと推測します」
宝石に熱中していたかと思われた美琴が、意外にもすぐに言葉を返してきた事にちょっとびっくりしながらも、御坂妹はいつもの調子で返す。
ダイオプサイドという名前の宝石を聞いた事が無い御坂妹は、宝石の隣にその説明が書かれているのを見つけた。
ダイオプサイドの中でも色々と種類がある様だが、緑色のこれはクロム・ダイオプサイドというらしい。他にも組成式など色々と小難しい事が書いてあるのは、学園都市だからか。
御坂妹はその辺りをすっ飛ばし、宝石言葉という所を見つける。それ読んで、あぁなるほど、と御坂妹は納得する。確かに、上条はこの宝石言葉の通りの存在だ。
ダイオプサイドという名前の宝石を聞いた事が無い御坂妹は、宝石の隣にその説明が書かれているのを見つけた。
ダイオプサイドの中でも色々と種類がある様だが、緑色のこれはクロム・ダイオプサイドというらしい。他にも組成式など色々と小難しい事が書いてあるのは、学園都市だからか。
御坂妹はその辺りをすっ飛ばし、宝石言葉という所を見つける。それ読んで、あぁなるほど、と御坂妹は納得する。確かに、上条はこの宝石言葉の通りの存在だ。
「うん、決めた! ちょっとお会計してくる!」
そう言って、美琴はレジへと行く。その美琴の背を見ながら、御坂妹は思う。
この二人が付き合った、という話を聞いたのはついさっきだ。日課である散歩をしていた途中、偶然美琴に出会い、半ば強引にここに連れてこられた。そこで、上条と付き合ったという話を聞いた。
聞いた瞬間は喪失感にも似た、心が冷える様な感覚に襲われた。ああ、あの人はもう自分の隣に立つ事はないのかと。
けれど同時に、充足感にも似た、心を温める様な感覚に襲われた。ああ、この二人はちゃんと幸せになれるかもしれないと。
この二人が付き合った、という話を聞いたのはついさっきだ。日課である散歩をしていた途中、偶然美琴に出会い、半ば強引にここに連れてこられた。そこで、上条と付き合ったという話を聞いた。
聞いた瞬間は喪失感にも似た、心が冷える様な感覚に襲われた。ああ、あの人はもう自分の隣に立つ事はないのかと。
けれど同時に、充足感にも似た、心を温める様な感覚に襲われた。ああ、この二人はちゃんと幸せになれるかもしれないと。
(これが複雑な心境というものなのでしょうか、とミサカは自分の考えが纏まらないのを自覚します)
上条の隣に立ちたいと思っていた筈なのに、美琴に上条の隣に立っていて欲しいとも思っていたのだ。
上条と美琴。共にシスターズに命をくれた存在だ。美琴は生をくれ、上条は生きる意味をくれた。この二人には他の誰よりも幸せになって欲しい。自分の思いであり、シスターズの総意でもある。
楽しそうなのだ。上条も美琴も、二人が一緒にいる時は喧嘩していても、騒がしそうにしていても、やはりどこか楽しそうなのだ。
二人を見ていて羨ましいと思う反面、ずっとこうであって欲しいと、ずっとこの二人を見ていたいと思えたのだ。
上条と美琴。共にシスターズに命をくれた存在だ。美琴は生をくれ、上条は生きる意味をくれた。この二人には他の誰よりも幸せになって欲しい。自分の思いであり、シスターズの総意でもある。
楽しそうなのだ。上条も美琴も、二人が一緒にいる時は喧嘩していても、騒がしそうにしていても、やはりどこか楽しそうなのだ。
二人を見ていて羨ましいと思う反面、ずっとこうであって欲しいと、ずっとこの二人を見ていたいと思えたのだ。
(複雑な筈ですが、この優しい気持ちは何なのでしょうか、とミサカは自分の内心に疑問を抱きます)
御坂妹は美琴の背中を見ながら、きゅっと、自分の胸を掴む。喪失感を埋めていく、優しい気持ち。上条と美琴を思うと湧いてくるこの気持ちは一体。
きっと、これでいいのだ。自分の生まれて初めての恋心は叶わなかったが、この優しい気持ちを信じよう。こんな気持ちをくれる二人が幸せにならない筈が無い。
この寂しい気持ちも、時間が経てば癒えてくれる。その時はきっと、ちょっとした笑い話に出来る筈だ。それまでは、時々は郷愁に駆られ、ちょっとだけ恰好を付けてみよう。
そんな事を考えていると、美琴がラッピングされた袋を手に戻ってきた。袋の中身はダイオプサイドに違いない。
きっと、これでいいのだ。自分の生まれて初めての恋心は叶わなかったが、この優しい気持ちを信じよう。こんな気持ちをくれる二人が幸せにならない筈が無い。
この寂しい気持ちも、時間が経てば癒えてくれる。その時はきっと、ちょっとした笑い話に出来る筈だ。それまでは、時々は郷愁に駆られ、ちょっとだけ恰好を付けてみよう。
そんな事を考えていると、美琴がラッピングされた袋を手に戻ってきた。袋の中身はダイオプサイドに違いない。
「これでお買物は終了ですか、とミサカは確認を取ります」
「うん、ありがとね妹。急にこんなのに付き合わせちゃって」
「いえ、ミサカも楽しかったので気にしないでください、とミサカは社交辞令を言ってみます」
「アンタ、最後の一言で全部台無しよ……」
「うん、ありがとね妹。急にこんなのに付き合わせちゃって」
「いえ、ミサカも楽しかったので気にしないでください、とミサカは社交辞令を言ってみます」
「アンタ、最後の一言で全部台無しよ……」
呆れている美琴の手に握られているダイオプサイドを、御坂妹は静かに見る。
きっと美琴は知っている筈だ。ダイオプサイドの宝石言葉を。御坂妹にもそうであったように、美琴にとっても上条はそうだったのだ。
自分が自分である為に、隣にいて欲しい人。
美琴にとって上条がその人で、御坂妹にとってその二人がその人だ。上条が自分の隣に立つ事が無いのはちょっと寂しいが、それでも、二人が一緒に歩けるのならそれがいい。
きっと美琴は知っている筈だ。ダイオプサイドの宝石言葉を。御坂妹にもそうであったように、美琴にとっても上条はそうだったのだ。
自分が自分である為に、隣にいて欲しい人。
美琴にとって上条がその人で、御坂妹にとってその二人がその人だ。上条が自分の隣に立つ事が無いのはちょっと寂しいが、それでも、二人が一緒に歩けるのならそれがいい。
「さて、とー。妹、アンタこの後ってヒマ?」
「特に予定はありません、とミサカは正直に答えます」
「じゃ、なんか食べに行かない? 付き合ってくれたお礼に奢るわよ」
「もちろんです、とミサカはこの際だから高級品を所望します」
「あんまり高いのはやめてね?」
「特に予定はありません、とミサカは正直に答えます」
「じゃ、なんか食べに行かない? 付き合ってくれたお礼に奢るわよ」
「もちろんです、とミサカはこの際だから高級品を所望します」
「あんまり高いのはやめてね?」
言いながら双子の姉妹は肩を並べて店を出ていく。
散歩をしていると色んな店を発見する。ただ、あの医者からのおこずかいではいける店は限られる。なので、前から行きたかった店に連れていってもらおう。
その時に話を聞いてみよう。上条と美琴の色んな話を。笑える話から、呆れる話やちょっと怒りたくなる話、他愛のない話を色々と。たくさん、たくさん聞きたい。
そして今度は最近の話を聞こう。上条と美琴が一緒に歩く事になってからの話を色々。その時はミサカネットワークを駆使してたくさんからかうのだ。
散歩をしていると色んな店を発見する。ただ、あの医者からのおこずかいではいける店は限られる。なので、前から行きたかった店に連れていってもらおう。
その時に話を聞いてみよう。上条と美琴の色んな話を。笑える話から、呆れる話やちょっと怒りたくなる話、他愛のない話を色々と。たくさん、たくさん聞きたい。
そして今度は最近の話を聞こう。上条と美琴が一緒に歩く事になってからの話を色々。その時はミサカネットワークを駆使してたくさんからかうのだ。