とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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匿名ユーザー

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とある科学の執行部員

改訂版 はこちら。



第1章(3)


結果として上条は無事にイギリス清教の『お客様』を取り押さえることに成功していた。
『お客様』の名前はシェリー=クロムウェル。
学園都市で犯行に至った理由は十字教内でのイギリス清教の立場を改善するため。
科学と魔術が対立する世相の中で未だに学園都市とパイプがあるイギリス清教の立場は
十字教三大勢力の中でもかなり弱いものになってるらしい。
だから今回の件をきっかけに二つの組織のパイプを完全に破壊することが目的だった。
猟犬部隊の援護もあり、上条は何とか無傷で美琴のもとに帰還するのだった。

「当麻!!」

上条の無事な姿を見て、美琴は上条のもとに駆け寄ってくる。
そのまま上条は美琴のことを抱きしめるのだった。
黄泉川も上条が無事な様子で安心しているようだった。

「本当は詳しい話を聞きたいところだけど、
 今日のところは彼女に免じて勘弁してやるじゃんよ」

黄泉川は笑顔でそう言った。
上条もそのことについてはある程度覚悟していた。
今までは秘密裏に魔術師を撃退してきた『執行部』だったが、
今回表立って動いたことで次第に外部に能力者がいるという噂も広がっていくだろう。

「今日は俺が報告書を書いといてやるから、嬢ちゃんと一緒に楽しんでくるんだな」

木原に後押しされ美琴と共に去った上条を見送りながら、黄泉川は木原に言った。

「ウチの学校のガキを守ってくれて感謝するじゃんよ。
 アンタ達がテロリストを鎮圧してくれたじゃん?」

「俺達が?、馬鹿言ってるんじゃねぇよ。
 あの糞女を倒したのは殆ど上条が一人でやったよぉなもんだ」

「なっ、でも数十人の武装した警備員が全然敵わなかったじゃんよ。
 どうやってそんな敵を相手に一人で戦うじゃん?」

「…アイツは『執行部』の人間になるべく育てられた。
 アンタにはその意味が分からねぇだろぉが、
 アイツが今いる場所に立つためには、それなりのもんを抱えてるってことさ」

「正直、学校ではただ馬鹿やってるガキにしか見えないじゃんよ」

「それは、アイツがまだそうやって馬鹿をしていられる余裕があるってことだ。
 そしてガキにそんな余裕を作ってやるのが大人ってもんだと俺は思ってるんだがな」

木原の言葉に共感するものを覚えた黄泉川は去っていく上条たちの背中に目をやる。

「その通りじゃん、ガキを守ってやるのが大人の役目じゃんよ」

そして黄泉川は同僚に指示を出し、後片付けへと追われるのだった。



「これなんてどうだ?」

上条と美琴は第一五学区にあるアクセサリーショップに来ていた。
上条が今日の埋め合わせに何かプレゼントすると美琴に提案したのだ。

「確かに可愛いんだけど、値段が結構するよ」

二人が選んでいるのはペアネックレスだ。
初めは美琴はペアリングがいいと主張したが、
常盤台はアクセサリーなどの装飾品の着用が禁止されている。
上条はどうせなら普段からいつも着けていられるものが良いと提案し、
制服の下に着けられるネックレスに決めたのだった。
上条が選んだのは二つ合わせるとハート型になるというシンプルなものだった。
しかしシンプル故の可愛らしさがあり、
実を言うと美琴も見た瞬間からこれがいいと思っていた。
しかし思った以上の値段の高さに諦めていたのだ。

「美琴さん、こういう時に値段の心配をするのは野暮ってもんですよ。
 せっかくの初めてのプレゼントだからな、
 上条さんとしても思い出に残るものにしたいわけで…」

「本当にいいの?」

「もちろんだ」

上条は店員を呼ぶとプレゼント用に包むよう頼んだが、
美琴がその場で着けていきたいと言ったので、
包んでもらうことはせずに店内で上条と美琴はネックレスを首から掛けていた。
嬉しそうに制服の上からネックレスを撫でている美琴を見ると
上条も幸せな気持ちになるのだった。
その後は第六学区にある遊園地に行って遊び通すと、
一日はあっという間に過ぎ去ってしまった。
やがて常盤台の門限近くになり上条は美琴を寮まで送っていくと言ったが、
美琴は首を縦に振らなかった。

「まだ大事な話をしてもらってない」

上条としては上手く誤魔化せた気でいたのだが、そう上手くいかなかったようだ。
誤魔化そうとした上条に激昂する美琴を宥めながら、
仕方がないので上条は美琴と共に部屋へと向かうのだった。



「それじゃあ説明して、外部の能力者についても『執行部』についても全部!!」

語気を強めながらも何処か不安そうな美琴を前にして上条は溜息を吐く。
いずれ外部の能力者については自然と話が広まるだろうからまだしも、
『執行部』について話すのは気が引けた。
自分がしていることを知ったら美琴は必ず首を突っ込んでくるに違いない。
しかし例え話さなくても自分を追って危険に足を踏み入れてくる可能性もある。
上条はそのことについてジレンマに陥っていた。

「なあ、美琴。
 話を聞いても、絶対に首を突っ込まないって約束できるか?」

「そんなの出来るわけないじゃない。
 当麻が危険なことに足を踏み込んでるのに見過ごすなんてありえないわ」

「…」

知らず知らずの内に美琴に首を突っ込まれるよりは、
常に美琴を近くに置いて守れる方が安全かもしれない。
それに魔術師の学園都市への侵入が盛んになってきている今、
美琴が上条の知らないところで魔術師と遭遇する可能性がないわけではない。
その時に対処法の知識があるに越したことはなかった。
そして上条はある決断をする。
それは上条の根本を覆す苦渋の決断だった。



「…カミやん、超電磁砲の『執行部』への配属が正式に決定されたぜよ」

「…そうか」

「カミやん…」

「笑いたきゃ、笑えよ。
 あれだけの啖呵を切っておきながら、
 俺は大事な人を危険に巻き込もうっていうんだから」

「…笑わないぜよ。
 カミやんの決断は間違ってないと思うにゃー。
 舞夏と超電磁砲は同じってカミやんは言ってたけど、決定的に違う点がある。
 超電磁砲は戦う力があって、
 それをカミやんのために使いたいと思ってるんだにゃー」

「いくら美琴の強い力があったって、普通の女の子に変わりはないんだ」

「だから必要以上に首を突っ込まないように、
 敢えて『執行部』に入れ、後方支援に徹させるつもりなんだろ?
 超電磁砲の性格を考えれば、それ以上ベストな選択はないはずにゃー」

「…もしもの時は美琴を頼む」

「…同じ『グループ』のメンバーとして任せるぜよ」

そして『グループ』に三人目のメンバーが生まれた。
リーダーであり直接魔術師との戦闘を担当する上条。
上条をサポートする魔術師でありながら魔術が使えない土御門。
新たに『グループ』に加わった美琴。
そして最後の一人が『グループ』に加わるのはもう少し後のことなのだった。









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