とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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匿名ユーザー

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小ネタ




美琴「ちょっとアンタ」

上条「げっ、ビリビリ」

美琴「誰がビリビリよ。私には御坂美琴って名前が」

上条「俺だってアンタじゃなくカミジョーさんです」

美琴「うるさいわね。いいから私とキャッチボールしなさい」

上条「わかったよ。少し待っててくれ、鞄を置いてくる」



美琴「あれっ」

上条「どした?」

美琴「今日はやけに素直じゃない。いつもだったら不幸を嘆きながら逃げ回るのに」

上条「命賭けの勝負を挑まれれば、そりゃ逃げるだろ。キャッチボールと一緒にすんな」

美琴「本当は朝から誘いたかったんだけどね。捕まらないったら」

上条「この格好を見て察してください。日曜なのに補習だったんだよ」



上条「お待たせ。場所はどこにする?」

美琴「近くの公園でいいんじゃない? 川原はこないだみたいに落とすと困るでしょ」

上条「誰も使ってなければそうするか。ボールぶつけたら悪いしな」

美琴「風邪を引いたりしなかった?」

上条「丈夫なのがカミジョーさんの取り得です。それより見てくれよ、これ」

美琴「新しいグローブ? ひょっとして降ろしたて?」



上条「安物だけどな。俺にしては奮発しちゃいました」

美琴「ちょっと見せて。何か塗ってる?」

上条「革を馴染ませるためのオイルだよ。ずっとボールも掴ませて形を作ってんだ」

美琴「手入れが大切なのね。手間を掛けた分、愛着も湧きそう」

上条「愛用の品っていいもんだぜ。思わず右手みたいに名前をつけたくなっちまう」

美琴「メンテのやり方、後で私にも教えてよね」



美琴「それにしても、苦学生のアンタが趣味の出費なんて珍しいじゃない」

上条「お前がそのうち誘ってくると踏んでな。べっ、別に楽しみにしてたわけじゃねぇぞ」

美琴「はいはい。前に使った学校の備品は?」

上条「借りてただけで、とっくに返したよ」

美琴「ふーん。っと、この公園ね。誰も居ないみたい。――私も楽しみにしてたわよ」

上条「お、おう。それじゃ始めようぜ」



上条「御坂センセはどうぞ壁側に。ボールを逸らしても拾いに走らなくて済むだろ」

美琴「ありがと。距離はこのくらい?」

上条「短めで肩を慣れさせながら広げて、最後は塁間程度で」

美琴「塁間がよくわかんない」

上条「まあ女の子だしな。俺の方で下がるから、しんどくなったら言ってくれ」

美琴「女子扱いされてるのか、されてないのか。いまいちビミョーだわ……」



上条「ほいっと」

美琴「よっ」

上条「マジで上手くなったな御坂。あの後も練習してたろ」

美琴「壁を相手に、たまにね。運動としてはシンプルじゃないの」

上条「単純な分、違いが出るんだよ。キャッチボールでチームのレベルもわかるらしい」

美琴「ま、褒められて悪い気はしないわね」



上条「もう少し本格的にやってみるか。ボールは相手の胸元な」

美琴「捕り易いように?」

上条「そういうこと。んで、捕球の時はグラブを引き気味にして投球の体勢に繋げる」

美琴「なるほど。この辺、実地じゃないと見落としがちね」

上条「左足は常に前。遊びを入れてもいいんだぞ。たとえば、ほら」

美琴「! 曲がった?」



美琴「いまの何? 変化球?」

上条「カーブだよ。ションベンだけど、って下品だったか」

美琴「どうやるの? 握り方があるんだっけ」

上条「すごい食いつきですね。回転を掛けるつもりで投げてみろ、それで割と曲がってくれる」

美琴「アドバイスになってないわよ」

上条「だから遊びだって。本当はどうやるか、俺も知らね」



美琴「変化した?」

上条「まったく」

美琴「今度はどう?」

上条「全然」

美琴「次こそは!」

上条「微動だに」



美琴「はあ、はあ……」

上条「何か悪かったな。御坂の負けず嫌いを忘れてた」

美琴「まだまだ……!」

上条「ダメだ。変な投げ方が癖になると肘を壊しちまう、今日はここまで」

美琴「うー」

上条「飲み物を買ってくるからクールダウンしろよ」



美琴「……」

上条「御坂さん? そろそろ機嫌を直してもらえませんか」

美琴「別に不機嫌になってなんか」

上条「ただの遊びなのに、そこまで真剣になれるのはすげぇけどな」

美琴「ばかにしてる?」

上条「いいや。御坂が運動部に入ったら、プレイヤーとして成功するんじゃねぇかってさ」



美琴「この科学の街で何を言ってんのよ。肉体強化系の能力者に敵うわけないじゃない」

上条「まあな。たとえばの話だよ」

美琴「アンタはどうなの? 学園都市でなければ部活に入ったり」

上条「スポーツ漫画とか読んでたら、確かにちょっとは考えなくもねぇ」

美琴「幼馴染のマネージャーが居て、私を甲子園に連れてって、みたいな?」

上条「定番過ぎだろ。配球を変えて後輩キャラでもいいんじゃねぇか」



上条「実はその後輩の方が才能に恵まれてんだよ。主人公はいつもダメ出しを食らってる」

美琴「ダメを出すのは、期待があるからでしょ」

上条「そんなもんですかね。気苦労が絶えなさそうだ」

美琴「後輩とはどうなの? えっと、漫画だと淡い恋愛感情とか」

上条「あー、そっちも鉄板だな。主人公がすげぇ鈍感でさ。どうしてモテてんのか共感できねぇ」

美琴「アンタがそれを言うか……」



美琴「――決めたわ。変化球はもう投げない」

上条「そうした方がいいと思うぞ。どこか痛めてからじゃ遅いしな」

美琴「だから、最後に一球だけ。構えて当麻。ストレートで勝負よ」

上条「キャッチャーみたいに座るのか? って御坂、俺の名前」

美琴「ううん、そのまま。顔だけこっちを向いて」

上条「意味がよく……。むぐっ」



美琴「ちゃんと伝わった?」

上条「……ああ、ど真ん中の直球だ。間違いようがねぇよ」

美琴「鈍感な主人公が何だっけ」

上条「カミジョーさんには返す言葉もございません」

美琴「返事は急がないわ。だけど、待ってるから」

上条「おいおい。どこまで格好つけるつもりだよ、お前は」



上条「そうじゃねぇだろ。御坂だって本心は不安なはずだ」

美琴「仕方ないでしょ。いままで当麻が私を異性として見てなかったのはわかってる、し」

上条「中学生ってことでどうしてもな。だからベソ掻くなよ、せめて俺の返事を」

美琴「掻いてないっ。変に期待を持たせるのはやめて」

上条「さっきの話を思い出しますね。これからもダメ出ししてくれよ。よろしくな、美琴」

美琴「本当にいいの? 悩むとか、考える時間は」



上条「美琴の年齢は忘れとく。俺より考え方が大人だって思い知りました」

美琴「あの子のことは?」

上条「インデックスか。あいつは子どもなんだ、妬いても意味ねぇぞ」

美琴「結局、当麻は当麻ってわけね。苦労しそうだわ」

上条「?」

美琴「何でもない。ところで、返事はともかく気持ちを聞かせてもらってないんだけど」



上条「上条当麻は世界中の誰より御坂美琴を愛しています」

美琴「照れ隠しにしても酷くない?」

上条「ぐっ。正直、意識したばかりで大したことは言えねぇぞ。がっかりすんなよ」

美琴「それで充分。そのうち私に夢中にさせてみせるんだから」

上条「とても大切に思ってる、美琴。息の合ったバッテリーになれるといいな」

美琴「私が電撃使いだけに? 受け止めるのはあなただけよ、当麻」

おわり










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