とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part14

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上条美琴の禁書目録Bサイドこぼれ話 後編



上条「さて、と。そろそろ休憩も終わりか」
??「きゃー遅刻遅刻」
上条「ん?」
??「どっしーん」
上条「て、おい!? なんだなんだ!? しかも今の擬音、口で言ったよな!?」
??「いったぁーい。もう! 急に飛び出してくるんだからぁ!!」
上条「はい!? って、……ん?」
??「? ――はっ! ど、どこ見てるんよ! この変態!!」
上条「………………で? 何の真似かな佐天さん? ご丁寧に御坂に変装して。制服は御坂から借りたんだろうし、その髪はウィッグだろうし、スカートの中身も短パンだし、声真似も結構うまいと思ったけど、一目でバレバレだよね?(胸とか胸とかあと胸とか)」
佐天「ちちぃ! やはり愛おしい人の振りをしても偽物だと一発で見破られますか。さすがは上条さん、幻想をぶち壊すのをお得意なだけはあります」
上条「意味が分からん。で、何のつもりなの?」
佐天「いや単純に恋が芽生えないかなと。あ、もちろんあたしじゃなくて御坂さんと」
上条「あのなぁ……前編の締めにも言ったけど、こんな使い古したこんな方法で恋が芽生えるわけねえだろ……」
木山「ふむ……つまりはすでに恋に落ちているので今さらこの程度ではドギマギはしない、と……」
上条「いや……飛躍し過ぎです……」
佐天「じゃあ次はアレですね。地球の存亡をかけた鬼ごっこをして、プロポーズしながら、この吸盤銃で虎縞ビキニに扮した御坂さんのブラをはぎ取って――」
上条「……それやったら俺、黒焦げだっちゃ。あとネタが相変わらず古いし、今のご時世でそれをやったらBPOがすっ飛んできて放送禁止になっちゃうよね。で、御坂は?」
木山「彼女ならとっくにスタジオ入りしているよ。そろそろ我々も戻ろう。あ、御坂くん、もう一、二分で戻るから準備してくれないか」
上条「遊んでただけですかそうですか」


『三十秒後』がちゃっ(ドアを開く音)


美琴「!!!!!!!!!!!?!」
上条「!!!!!!!!!!?!!」
上条「み、みさか……こ、ここここれはだな……不可抗力であってわざとでは……!!」
美琴「なななななに堂々と覗いてんのよ! この変態っ!!///」(渾身のちぇいさー!!)
上条「おぶぉわぁ!? 何でお前着替えてんだよぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおお!!」
佐天「御坂さんに『スタジオに戻ったら制服を戻しましょう』という合図を送っておいて、わざと早く着いて、『うっかり鍵をかけ忘れたところで着替えをたまたま覗いてしまうハプニング的出会い』を演出してみたんですけど……」
木山「御坂くんの対応が、まさか上段回し蹴りというのは想像しなかったね」



「おっすー。そっちはお友達?」
「はい。これから一緒に洋服を見に…」
「(ちょっと! あのヒト常盤台の制服着てんじゃない。知り合いなの?)」
「(ええと、風紀委員の方で間接的に…)」


佐天「は? あたしの漫画版初登場シーンやるんですか?」
美琴「ま、いいんじゃない? アニメ版だけど、木山先生の初登場シーンはやったのに佐天さんが無いのは不公平だし」
木山「……ん? この、頭の外がお花畑の子ときみは知り合いだったのかい? 彼女はAIMバーストのときには実にいい働きをしてくれたよ」
佐天「木山先生? 確かテレスティーナの事件のときにあたしも一緒に居ましたよね?」


「しかも、あの方はただのお嬢様じゃないんですよ」
「?」
「『レベル5』!」
「レベル5!?」
「それも学園都市最強の電撃使い! あの超電磁砲の御坂美琴さんなのです!!」
「ウソ…まさか、あの『超電磁砲』?」
「そうですよ。私この間、生で見ちゃいました」
「――――あの…あたし、佐天涙子です!! 初春の親友やってます!!」
「そ…そう、よろしくね」


上条「あれま。佐天さんが顔真っ赤にしてミーハーになってんな」
佐天「この時は本当に心臓バクバクもんでしたよ。だって、あのレベル5の超電磁砲ですよ超電磁砲。もうあたしたち女子中学生の間だと下手な男のレベル5よりも憧れの的です」
上条「そんなもんかねぇ」
木山「この学園都市の学生からすれば『レベル5』はスーパーアイドル並なんだろうね。もっとも、私たち科学者からしても魅力的な研究対象でもある」
上条「その言い方、何かちょっと嫌ですね」
美琴「仕方ないでしょ。学園都市ってそういうところなんだから割り切らないと。まあ置き去り【チャイルドエラー】のアレは酷い話だったけど」
木山「学生からは慕われて、大人からも必要とされる…良いことじゃないか」
美琴(それにしても……この頃の佐天さんは純真で可愛かったなぁ……それが今ではどうしてこうなったのかしら……)
佐天「ん? どうしたんです御坂さん? あたしをちらっと横目で見てから随分と盛大な溜息を吐いたみたいですけど。どうせだったら上条さんの横顔を見て、ウットリしながら吐く溜息の方がいいんじゃないですかどうですか?」
美琴(こういう所がっ…!)


「ウチって外出時は制服着用が義務付けられてるから服にこだわらない人結構多いし」


美琴「まっ、その代わりにワンポイントとかに拘ってる人は多いけどね」
上条「で、そのワンポイントが御坂的にはカエルの」
美琴「ゲっ! コっ! 太っ!!! 何度も言わすな!」
上条「……ゲコ太のグッズな訳か」
木山「しかし妙だね。そのカエルの」
美琴「ゲコ太ですってばっ!!!」
木山「……ゲコ太の関連商品は、私の生徒にも集めている子がいたが、アレは小学校低~中学年向けのキャラクターではなかったか?」
美琴「いいんですよ! 少年じゃなくても少年ジャンプは読みますし、アンパンマンのOPの歌詞だって大人になって初めて意味が深い事に気づくんですから!」
上条「それは意味が違くないか?」
佐天「プリキュアやセーラームーンだって大きなお友達も見てますもんね」
上条「それは更に違う」


「へー『超電磁砲』てゲームセンターのコインを飛ばしてるんですか」
「まあ50メートルも飛んだら溶けちゃうんだけどね」
「でも必殺技があるとカッコイイですよねー」


上条「佐天さんはアレなの? 技に名前とかつけたいタイプ?」
佐天「え~ダメですか~? あたしそういうノリ、結構好きなんですけど」
上条「いや、ダメって事はないけど…」
佐天「多分、憧れもあると思うんですよ。あたしってほら、レベル0で大した能力使えませんから」
美琴「じゃあ佐天さんなら、自分の能力に何て名前つけたい?」
佐天「えっ!!? えっと…あたしの場合、空力使いだから…こう……ソ…ソニックブーム…とか?」
上条「……ビックリする程普通な答えだな」
美琴「きっとコマンド入力は、 ←タメ→+P(右向き時) ね」
木山「ふむ、風の能力か…では天魔剛神斬空烈風拳とか言うのはどうかな。若者向きだし、とても強そうだろう?」
上条&美琴&佐天(((木山先生、まさかの中二!!?)))


「初春 こんなのどうじゃ? ヒモパン!!」


上条&美琴&木山「「「 」」」
佐天「ん? 何ですかみんなしてあたしの方見て。あ、もしかして興味があるんですか御坂さん? 確かにこれを穿いて上条さんにスカートめくらせれば、イチコロですもんね」
美琴「ないからっ!!!///」
木山「ツッコむ所がありすぎて、面倒なので『ないから』の一言で済ませたようだね」
上条(……『命』が二つあったら、ちょっと…見たい……)


「ねね、コレかわ……」
「アハハ。見てよ初春、このパジャマ!! こんな子供っぽいの、いまどき着る人いないでしょ」
「小学生の時くらいまでは、こういうの来てましたけどね」
「そ…そうよね! 中学生になってこれはないわよね」


上条「お前なぁ……もっと自分に素直に生きろよ……」
美琴「う、うるさいわね! 私にだって見栄とか色々あるのよ!! 恥と外聞無神経のコンボで服着ているアンタには分かんないのかもしんないけどさ!!」
上条「酷っ!! 何そのお前的俺評価!!」
木山「…私も趣味は人それぞれだと思うが…」
佐天「このシーン、あたし、ちょっと納得いかないんですけど」
美琴「え?」
佐天「だってほら。夏休みに(初春と白井さんも来ましたけど)御坂さんとリゾート施設のプールに行ったときに、御坂さん、ピンクのフリル付き水着選んだじゃないですか。アレ、あたしも結構気に入ったんだから、あたしがこのパジャマのデザインを否定するとは思えないんですよね」
美琴「は? 夏休みにリゾート施設のプール? 行ったっけ?」
佐天「……」
美琴「……」
佐天「ああ、アレは並行宇宙【PSP『とある科学の超電磁砲』】の話でしたか」
美琴「……ひょっとしてみょんな伏線張ってない?」
木山「並行宇宙か…今でも科学で解明できない謎の一つだな…曰く、宇宙開闢時のビックバンで我々が生きる宇宙とは別の宇宙が誕生して――」
上条「う゛……な、何か嫌な記憶が頭を過ったような……」


(いいんだモン。どうせパジャマんだから他人に見せるわけじゃないし! 黒子は無視)
(初春さん達はむこうにいるし、一瞬、姿見で合せるだけだなら)
 そろ~り
(それっ!!)
「何やってんだオマエ……挙動不審だぞ」
「――――――ッ? ――――――ッ!?」


美琴「…………前のアンタって案外、私に気付くのね。しかも、ちゃんと声かけてくるし。タイミングは最悪だけど」
上条「い、いやちょっと待て。それじゃまるで今の俺は普段、お前を見かけてもスルーしてばっかいるみたい……あーごめん、否定できねえわ」
美琴「おんどりゃあああああああああああああああああ!! 地獄が己のゴールじゃあああああああああああああああああ!!」
上条「ば、馬鹿!! やめろ危ない!! 周り見ろ周り!! ここには木山先生と佐天さんが――って、二人ともちゃっかり避難してやがるぅぅぅぅぅううううう!!」

 スタジオの外

木山「なんとか喧嘩は犬も食わないについてだが、どことなくその犬の気持ちが分かるね…」
佐天「とばっちりで怪我したくないですもんね。しかも、後から間違いなく、殺意が芽生えそうですし」



「お兄ちゃんって…アンタ妹いたの?」
「ちがう 俺はこの子が洋服店探してるって言うから案内しただけだ」


美琴「……アンタ、ホントに困ってる女の子とのエンカウント率高いわよね……実はわざとなんじゃないの?」
上条「まごうことなき偶然だよ! 第一、こんなちっちゃい子相手に下心なんざ出すかっ!」
美琴「ホントかしら?」
佐天「本当ですかね?」
上条「うわ。すっげえ疑われてる」
木山「まあ類は友を呼ぶ、と言うからね。確か、きみの友人(個人名は本人の名誉のために伏せておく)が真正の幼女好きという話を聞いたことがあるよ」
上条「だからってそんな決め付け!? と言うか、この場に本人がいたらihbf殺wqされますよ!?」
佐天「あれ? その言い方ですと、誰だか特定できるってことですか? あたしは誰かさっぱり分かんないんだけど御坂さんは?」
美琴「本人の名誉のために伏せておかないと、黒翼生やした白いヒョロったモヤシの悪魔が飛んでくるから知らないことにしておくわ」
上条「……お前……本人がいないからって強気だな……」
木山「では、私が駐車場で困っていた時にはどうだったんだい?」
上条「それもないですよ!」
佐天「大覇星祭であたしがお守りを貸した時は?」
上条「それもねーよ。つか、その場合困ってたのは俺の方だし」
美琴「じゃ、じゃあ『あの写真』を一緒に撮る時も、全然下心がなかったっていうの!?」
上条「それは……(ちょっとあった)」


「昨日の決着を今ここで…」
「お前の頭ん中はそれしかないのか?」


佐天「そりゃあ、御坂さんの頭の中には上条さんのことしかありませんから」
美琴「使い方としては、ある意味、間違ってないけど間違ってるわよっ!!///」
上条「えー……お前、まだ勝負に拘ってんの……?」
木山「私には佐天くんの言っている意味は分からないでもないが……どうやら私と佐天くんの見解と、当時と今の君の見解の間には相当の齟齬が発生していると思われるね」


(我ながら見境ないなあ)


佐天「ホント、上条さんのことになると周りを鑑みませんね。さっきとかもそうでしたけど、何でですかぁ?」
美琴「って、何で素で振ってきておいて、最後だけ、好事家みたいにニヤニヤして聞いてきてんのよ!?///」
木山「TPOは弁えた方がいいかもしれないね。時と場所くらいは選んだ方がいいぞ。まあ、二人だけのときならば周りの目を気にする必要はないが」
美琴「絶っっっっっっっっっっっっ対に私と二人の言葉の受け取り方の意味は違いますよね!?///」
上条「何でだろう。頭脳明晰で聡明な木山先生が言うことなのにTPOに関してはまったく説得力を感じられない……」


「どうもアイツが相手だと調子狂うのよね…」


上条「アレで調子狂ってんの? 俺には絶好調にしか見えないんだけど。態度とか電撃の威力とか」
美琴「意味が違うわあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
木山「では、どういう意味なのかね?」
美琴「え? そりゃあ、コイツと居るとなんとなく私が私じゃないって言うか、落ち着きが無くなるというか、変に意識しちゃうというか……」
佐天(あれあれ? 御坂さんが、あの御坂さんが素で答えてる!? 木山先生の合いの手のタイミングとセリフが完璧だったからかな!!)
上条「俺からすると、俺と一緒にいるときの普段のお前としか思えん発言なんだが?」
美琴「!!!!!!!!!!!!!?!///」
佐天(上条さんの馬鹿あああああああああ!! 何でここでツッコミを入れるんですか!! もうちょっとって御坂さんの本音が引き出されるところだったのに!!)



 あの時 私の超電磁砲は間に合わなかった
 実際に――初春さん達を救ったのは――コイツだ
「ゲ 待ち伏せ?」


上条「おー…俺、こんな事してたのか」
佐天「って、えええええっ!!? そそそ、そうだったんですか!? 初春も白井さんも、勿論あたしも、今まで御坂さんがやったとばっかり………」
美琴「まぁ、黙ってるつもりはなかったんだけど、コイツがやったって言うと、またややこしくなりそうだったし、それに……」
木山「それに…何だい?」
美琴「いや、本人が」
上条「まぁ、誰が救ったとか、別に大した問題じゃないけどな。みんなが無事ならそれでいい訳だし」
美琴「……こんな調子だから///」
佐天&木山「「なるほど」」


「今名乗りだしたらヒーローよ」
「? 何言ってんだ みんな無事だったんだからそれで何の問題もねーじゃん 誰が助けたかなんてどうでもいい事だろ」


佐天「うっひょ~! かーっこいいー!」
木山「ふむ…間近でこんな事を言われたら、それこそイチコロだろうね」
美琴「………///」
佐天「さっきから御坂さん、顔赤いですしね。思い出し笑いとかはありますけど、思い出し赤面って始めて見ました」
上条「やだ…上条さん、昔言った事と同じ事を自信満々に言っちゃった……は、恥ずかすぃ…///」
木山「彼も赤面しているね。理由は全く違うけれども」


「思いっきりカッコつけてんじゃないのよ!! しかも私にだけ!? だぁ――――ムカつく―――!!」
「……………なんか理不尽な怨念を感じる…」


上条「こん時の俺も言ってるけどさ、これ理不尽じゃね? 別にカッコつけてるつもりもないし…いやまぁ、この時の記憶はないから、何とも言えないけど。でも、ドア蹴るほどムカつかれるような事もしてないだろ」
佐天「まぁまぁ上条さん。これはただの照れか《ゴッ!》しですから」
木山「この頃すでに君の事が気にな《ガッ!》始め《ゴッ!》いた彼女は、こうやって気を紛《ゴンッ!》したのだろう」
上条「……あの~御坂さん? さっきから壁を蹴る音で全然話が聞こえないのですが…?」
美琴「いやー! この時の事を思い出してたら、急に壁が蹴りたくなっちゃってー! あっはっはっはっは!///」
上条「何ちゅう迷惑な!」


――レベル0って欠陥品なのかな……――
「ごめんね……気付いてあげられなくて……」
 ――しょうがないよね……――
「頑張りたかったんだよね……」
 ――力が無い自分がいやで……でも、どうしても憧れを捨てられなくて――
「うん……でもさ……だったらもう一度頑張ってみよ……こんなところでくよくよしてないで……自分で自分に嘘つかないで――――もう一度!!」


佐天「……」
美琴「……」
上条「どうした? 二人とも?」
木山「きみの能力は確か『天然』だったよね?」
上条「あ、はい」
木山「だったら、きみには二人の気持ちは理解できないかもしれないな。『努力』が必要なかったきみは『栄光』と『挫折』の本当の意味を知らないからだ。二人は友人同士ではあるが『栄光【レベル5】』と『挫折【レベル0】』の典型例でもあるのだよ」
上条「っ!! そんな言い方!!」
木山「事実だ。そして、それは二人の心に常につきまとう呪縛でもある。もっともレベル0でも、本当の『無能力者』でも佐天くんは強い。きみよりもはるかに強い」
上条「どういう意味だよそれ!! それじゃあまるで俺が――!!」
木山「分からないのかい? きみは『能力者』なのだよ。『異能の力を打ち消す』能力を持つ『能力者』だ。しかし、佐天くんには異能の力も物理的な力も防ぐ手段はない。それでも彼女は『能力以外の力』によって苦境を脱する精神力を有している。そしてそれはきみはもちろん、御坂くんにも無い力でもある。『能力に頼ることができる』きみたちには決して到達することができないからだ」
上条「――――!!」
佐天「いえ……それは多分、この時の御坂さんの超電磁砲が私のもやもやを吹き飛ばしてくれたからですよ……」
美琴「そ、そうかな……あ、でも今なら言ってもいいわよね、あの時の言葉を。んで、佐天さんも受け入れてくれるんじゃないかな?」
佐天「レベルなんてどうでもいいじゃない、ですよね? まあ全部ってわけじゃないですけど、今の私なら受け入れられるかな」



「水着のモデル?」
「はい…水泳部がお世話になってるメーカーから、どうしてもって頼まれたんです」


佐天「おお! これはあたし達がモデルやった時の話ですね!? みんなでカレー作ったりして、楽しかったな~」
木山「ほう。俗に言う『水着回』という物だね。サービスシーンも入れやすく、よくテコ入れとして使われる手法だ」
上条「…やけに詳しいですね」
美琴「……………」
上条「? どうした御坂? 黙っちゃって」
美琴「…何か…激しくイヤな予感がする………」


「え~っとぉ………あぁ、これじゃなくて、こっちか。
 …おおぉ! う~~~やっほう! ランランランラーララー・ラ・ラーララー・ラ・ラーラーラーラーラーラーラ♪ あー、やっぱこれカワイイー!
 うはは! そぉ~っれっ! あはっ! ランララー・ラ・ランララー・ラ・ラーラーラーラーラ♪ そぉ~っれぇ~!」
「ビリビリ…何やってんだ…?」
「そぉ~れ、やっちゃうぞ~☆」


上条「………」
佐天「…………」
木山「……………」
美琴「…………………………い………
   いいいいいいいぃぃぃぃぃやああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!///」
上条「お、落ち着け御坂。この時の記憶は今の俺には無いから」
木山「だが今この映像を見たおかげで、新しく記憶したのだろう?」
上条「あ、はい。それはもうバッチリ」
美琴「いいいいいいいぃぃぃぃぃやああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!///」
佐天「て言うか、あの時どうも御坂さんだけいないと思ったら、一人でこんな事してたんですね」
美琴「いいいいいいいぃぃぃぃぃやああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!///」
木山「これ以上彼女にとどめを刺すのは、止めた方がいいみたいだね。御坂くんのライフはとっくに0のようだから」


「気にし過ぎ気にし過ぎ気にし過ぎ気にし過ぎ」


佐天「ん? ひょっとして『誰かが見てる』のお話?」
上条「何だそりゃ?」
木山「聞いたことがある。確か、微弱な電磁波のようなものを電撃使いに纏わりつかせて、あたかも四六時中、誰かの視線を感じさせて精神的に追い詰める悪戯のような機材を使った――」
美琴「何で真相まで知っているんですか?」
木山「一応、警備員の施設にお世話になったことがある身なんでね。この時期は、そういった犯罪関連の情報収集には事欠かなかったのだよ。本人からも話が聞けた場合もあったくらいだ」
上条「前科をここまで朗らかに明るく語れるってのも凄い話だ」


「ん? ようビリビリ」
「あんたのぉ~~~仕業かぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああ!!」
「なにぃぃぃぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいい!?」


美琴「ねえ? さっきも言ったけど前のアンタは私を見かけるとちゃんと声をかけてくれるわね?」
上条「お前の対応は声をかけてもかけなくても変わんねえことはスル―すんのか?」
佐天「御坂さん、この時はいくら気が立っていたからってこれはないと思いますけど」
木山「まあ、彼の落ち度は今回は皆無だったからね」
上条「『今回は』って……」



「何しやがる!」
「とぼけんな!!」
「あん?」
「アンタでしょ……ここんトコ、私のことをジロジロ見てたのは……アンタだったんでしょぉっ!!」
「あの……一体何の話でしょう……?」
「だから! アンタが私を――!!」
「はぁ……ったく、だいたい何で俺がお前のこと見てなきゃなんねえんだよ」
「んな! ん……何でって……その……それは……」
「顔赤いぞ。熱でもあんのか?」


佐天「記憶を失くす前と後でも上条さんの鈍感さだけはまったくもって変わってませんね」
木山「御坂くんもそろそろ彼には遠回しに言っても届かないことを学習してもいいかもしれないね」
上条「遠回しに言ってることがあるのか?」
美琴「い、いや別にそれはその……///」
佐天「ですから上条さん。御坂さんの発言を言葉通りに取るんじゃなくて、言葉に秘められた意味を御坂さんの表情とか態度から読み取るんですって」
美琴「ちょ、ちょっと!?」
上条「????? 全然分からんのだが?」
木山「一度、きみの頭を切開して特に(感情を司る)右脳をいじくった方がいいのかもしれないな」
佐天「『あっ あっ あっ』ってヤツですね」
上条「え、何? 念能力の6つの系統の、最も簡単な判別方法を言えばいいの?」


「あ、いやぁ……そ、そのぉ……」
「ああ、すみません。ちょっとコイツがじゃれてきただけで……」
「ちょっと! 私は別に!」
「はいはい。分かったから。もうすぐ完全下校時刻よ。早く帰りなさい」
「こちらは異常なし。学生カップルの痴話喧嘩でした」
「かっ……!」
「……痴話喧嘩って……」
「ほら、さっさと帰れ」
「は、はぁ~~~い」
「か、か、か………」ぱたん


木山「ふむ…これが『ふにゃー』の走りというわけか」
美琴「って、何ですかそれ!?///」
佐天「しっかし、見知らぬ警備員から見てもお二人はそういう関係に見えるみたいですけど、上条さんはどう思います?」
上条「どう、って……まあ、最初の挨拶はともかく、俺から見てもそうとしか思えんかったが……」
美琴「ええええええええええええええ!? ななななななな何言っちゃってくれてやがりますかアンタは!!///」
木山「その割には複雑な表情をしているな?」
佐天「へ?」
木山「いや何、上条くんの表情だが、照れているとか戸惑っているとか言うよりも、むしろ何かを滾らせているような感じがしたのでな」
上条「まあ……この時期の記憶が俺には無いですから……」
佐天(おぉ! これはひょっとして嫉妬!? 嫉妬ですか上条さん!! 前の上条さんに嫉妬ですか!?)
美琴「佐天さん? 何悪い顔になってんの?」
佐天「御坂さん!? 気付いてないんですか!?」
美琴「何を?」
木山「上条くんの表情が何かを滾らせているような、がどういう意味かということだよ」
美琴「ん? どうせコイツのことだから、この時の私の態度を鬱陶しく思ってるだけなんじゃないの?」
佐天「えー……」
木山「どうやら鈍いのは彼だけではないようだね……」


「平素、一般へ開放されていないこの常盤台中学女子寮が、年に一度門戸を開く日。それが盛夏祭だ」


佐天「おっ! 次は盛夏祭ですか。寮監さん、心なしか張り切ってますね!」
美琴「ん~…このイベント、ちょっと恥ずかしいから飛ばしてほしいんだけどな…」
上条「何言ってんだ御坂。恥ならさっき、これ以上ないくらいかいたじゃねーか。もう何も怖くないって」
美琴「いいいいいいいぃぃぃぃぃやああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!///」
木山「トラウマをほじくり返すのは、どうだろうか」


「別にこの格好でなくても、おもてなしはできると思うんだけど…」


上条「っ!」
美琴「あー、ほらー…変に思われてる……どうせ私にはメイド服なんて似合わないわよ……」
佐天「そんな事ないですよ! めちゃくちゃ可愛いじゃないですか! ねっ、上条さん!?」
上条「あ、あー、まぁ…うん。そう…だな」
美琴「いいわよ別に。無理して褒めようとしなくても」
木山(いや…彼のこの反応はむしろ、ドギマギしすぎて逆に何も言えないように見えるのだが…?)



「は~い、は~い、は~い…いいよぉ…」
「いいねじゃないわよ! 何でアンタが撮ってんのよ!」


佐天「白井さん、ブレませんねー」
美琴「あははははは……ははは…………はぁ…」
木山「ちなみに、この時の写真はまだ残っているのかい?」
美琴「いえ、この後私がビリっておきましたから、多分中のデータもないと思いますよ」
木山「だ、そうだよ少年? 残念だったね」
上条「なななな何がですか!!?///」


「…やば…何か胸がドキドキしてきた……あ~んもう! しっかりしろぉ!」
「あのぉ…」
「…? ………があぁっ! なっ!」


上条「あー、ここかぁ。以前こぼれ話で言ってた、記憶喪失後に初めて会った時って。うん、思い出した思い出した」
美琴「今頃ー!?」
佐天「じゃあ上条さん的には、この時が運命の出会いだった訳ですか!」
美琴「ちょ、だから佐天さんっ!!!///」
上条「運命…(う~ん…確かに、この後の御坂と俺の関係を考えると…)まぁ、そうだな。運命って言えるのかも」
佐天「!!?」
美琴「!!?///」
木山「ついにデレ期かい?」


「お取り込み中すいません…実は、一緒に来た連れと逸れてしまって……こ~んなちっこくて、白い修道服の女の子なんですけd」
「―――…こにいんのよ……」
「はぇ?」
「何でこんなとこにいんのかって聞いてんのよ!!!」
「ご、ごめんなさい。ああぁ、でも、怪しいもんじゃ…あ、ほら! 招待状だってちゃんと―――」
「人の発表、茶化しに来たわけ!? 慣れない衣装笑いに来たわけ!」
「いや…そんな…すげー綺麗だと思いますけ、どぉっ!?」
「バカああぁぁぁ!!!///」
「だあああああ!!!」
「何なのよアイツ! よりによって、人が一番テンパってる時に! ふっ! …あれ?」


佐天「ニヨニヨ」
美琴「な、何なのかしら佐天さん? その、やらしいニヨニヨ顔は…?」
佐天「いっや~? べっつに~? ただあの時、ステージの裏ではこんな事が起こってたんだなーって。あたしも見たかったなーって」
上条「そういや言ったな、こんな事…マジですっかり忘れてたわ」
美琴「アンタが余計な事言ったおかげで、私がどれだけパニクったか…」
木山「そうかな? 私には彼と話したおかげで、緊張が解れたように見えるのだが」
美琴「うっ! ま、まぁ…それはちょっと…無きにしも非ずですけど……」
佐天「でっ、でっ! その余計な事ってのは主にどの部分ですか!? 上条さんが、すげー何て言った所ですか!?」
美琴「もうそれ答え出てるでしょっ!!!///」
木山「では本人に直接聞いてみるとしようか。君はこの時彼女をどう思ったんだい?」
上条「いやだから、すげー綺麗だなって思いましたよ。普通に」
美琴「あああ、改めて言わなくていいからっ!!!///」
木山「と口では言いつつ、体は嬉しそうにクネクネしているね」
佐天「まぁ、御坂さんですからね♪」
上条「あ、でも」
佐天&木山「「?」」
上条「御坂って何着ても綺麗になるんじゃないかな…
   勿論、この服が可愛いのもそうなんだけど、例えばモデルの人って、一般人からしたら『これは無いわぁ…』って思う服も自然に着こなしたりするだろ?
   そんな感じで御坂も、どんな服も似合っちゃうと思うんだよ。そうなると、普段制服しか着れないってのはもったいない気が―――」
美琴「///」
木山「少年、その辺で止めたらどうだろうか。彼女が煙を出し始めている。それ以上彼女の好感度を上げたら、爆発【ふにゃー】する恐れがあるよ」
佐天「いや! ここはあえて止めずに、限界ギリギリまで上条さんのお話を聞きましょう! せっかく本人も無意識に言ってるんですから!」



木山「さて、今回はここまでのようだね」
佐天「あー、もうですか…やっぱり楽しい時間って終わるのも早いですね…」
美琴「私はこの企画をやる度に、毎回何か大切な物を失っていく気がするわ……」
佐天「そうですか? あたしとしては、逆に得るものの方が多いと思うんですけど」
美琴「例えば?」
佐天「上条さんとの距離とか」
美琴「……まるで近づいた気がしないけど…?」
木山「果たしてそうかな?」
美琴「どういう事ですか?」
木山「もし彼の気持ちが全く君に傾いていないとしたら」
上条「―――でもだとしたら、『御坂が着る物なら何でもいい』って事になるのか? いや、それは何か違う気が―――」
木山「あれだけ延々と君の服装について考えたりはしないのではないかな」
佐天「てかまだやってたんですか! どおりで締めに参加してないと思いましたよ!」
美琴「い、いやアレは…普段から何も考えてないから、逆にくだらない事で頭を使ってるだけですよ///」
木山「そうかな。私にはそうは」
上条「あ、そっか! 御坂って元が可愛いから何着ても似合うのか。いや~、我ながら意外な結論……って、ん?」
佐天「木山先生ー! エマージェンシー、エマージェンシー!」
木山「あそこの壁に隠れたまえ! 緊急退避だ!」
上条「え、え、なになに?」
美琴「………………………ふny









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