美琴 6
あの後、何とか上条の部屋まで戻った美琴が目覚めたとき、既に月が出ていた。時計を見ると、もう午前3時である。
「……アンタ、どうしたのよ」
上条はまだ、起きていた。彼は美琴を見ると、真剣な顔つきになった。
「なかなか寝れなくてな……。御坂。話がある」
「何よ」
「夕方に、お前とまったく同じ姿のやつに会った」
はっ!!と、少しだけ残っていた眠気は吹き飛んだ。
まさかバレてしまったのか。とうとう、恐れていた事が起きてしまった。
「た、他人の空似かもしれないじゃない」
「じゃあ、お前とまったく同じ姿で、同じ電気系の能力者で、お前に匹敵するほどの能力者が、他にいるって言うのか?」
「………」
「もうこれ以上、お前が苦しむ姿は見たくない」
これ以上隠し通すことは出来ない。全てを彼に打ち明けよう、と。
美琴はベッドから降りると、上条と目を合わせる。
「いいわ。話してあげる。私に何が有ったのかを。私が一体何者で、アンタが会った『私』がなんなのか」
御坂美琴のクローン『妹達』を二万人、二万通りの方法で殺害する事で、学園都市第一位、一方通行を絶対能力者へと進化させる計画があった。だが、当の一方通行は実験を拒否。
実験が行われず、負債だけが残った研究所は、各地の施設に『妹達』を売却することで借金の返済に充てた。
この学園都市での研究において、『超能力者』のDNAという物は都合がいいのだろう。それも、後天的に超能力者となった美琴のともなれば、出来そこないのクローンと言われようが、成長の見込みはあると見たのか。
だが、『妹達』を素体をすることで実験の成功率の向上を目指した『第二次暗闇の五月計画』も失敗。それ以外にも『妹達』を材料にした実験は行われていたが、『妹達』は実験中に死亡、または廃棄処分となってしまった。
それを知った美琴は当然許せるはずが無く、行動を開始した。
最初はハッキングで機材の破壊などを行ってきたが、次第に直接的な破壊を始めた。
だが、全て無駄であった。
1つ研究所を潰せば、『妹達』は別の研究所に移る。そしてその研究所で実験の道具にされる。
それでも彼女は、いつか、やがていつかはと。ひたすらに、その能力を振るい、破壊に破壊を重ねてきた。
『妹達』を救う為に動き出してから2週間ほどが経った中での出来事だったのだ。美琴は研究所の中で『妹達』の1人と出会った。
『ねぇ。1つだけ教えて』
『何でしょうか。とミサカは質問に内容を尋ねます』
『あんた達は、これから自分たちが死ぬこと、わかってるの?』
『はい。とミサカは答えます』
『…じゃあ、どうして、そんな事を受け入れられるの?少しでの、怖いとか、逃げたいとか、思ったことはないの?』
その質問は最後の砦だった。『彼女達を助けたい』。その一心であったのだ。だが、
『ありません。ミサカ達の存在意義はそれであり、ミサカ達がそれに疑問を持ったことは一度もありません』
その時、美琴の中で何かが壊れた。今まで、自分を繋ぎとめていた物がプツンと切れて、
『そうね。結局、どうせあんた達は死んじゃうんだもんね……だったら』
美琴は軽く、腕を横に振った。
『せめて、私の手で終わらせてあげる』
轟音がした。彼女の目の前には何もなく、壁には赤い液体がこびり付いていた。
御坂美琴のクローン『妹達』を二万人、二万通りの方法で殺害する事で、学園都市第一位、一方通行を絶対能力者へと進化させる計画があった。だが、当の一方通行は実験を拒否。
実験が行われず、負債だけが残った研究所は、各地の施設に『妹達』を売却することで借金の返済に充てた。
この学園都市での研究において、『超能力者』のDNAという物は都合がいいのだろう。それも、後天的に超能力者となった美琴のともなれば、出来そこないのクローンと言われようが、成長の見込みはあると見たのか。
だが、『妹達』を素体をすることで実験の成功率の向上を目指した『第二次暗闇の五月計画』も失敗。それ以外にも『妹達』を材料にした実験は行われていたが、『妹達』は実験中に死亡、または廃棄処分となってしまった。
それを知った美琴は当然許せるはずが無く、行動を開始した。
最初はハッキングで機材の破壊などを行ってきたが、次第に直接的な破壊を始めた。
だが、全て無駄であった。
1つ研究所を潰せば、『妹達』は別の研究所に移る。そしてその研究所で実験の道具にされる。
それでも彼女は、いつか、やがていつかはと。ひたすらに、その能力を振るい、破壊に破壊を重ねてきた。
『妹達』を救う為に動き出してから2週間ほどが経った中での出来事だったのだ。美琴は研究所の中で『妹達』の1人と出会った。
『ねぇ。1つだけ教えて』
『何でしょうか。とミサカは質問に内容を尋ねます』
『あんた達は、これから自分たちが死ぬこと、わかってるの?』
『はい。とミサカは答えます』
『…じゃあ、どうして、そんな事を受け入れられるの?少しでの、怖いとか、逃げたいとか、思ったことはないの?』
その質問は最後の砦だった。『彼女達を助けたい』。その一心であったのだ。だが、
『ありません。ミサカ達の存在意義はそれであり、ミサカ達がそれに疑問を持ったことは一度もありません』
その時、美琴の中で何かが壊れた。今まで、自分を繋ぎとめていた物がプツンと切れて、
『そうね。結局、どうせあんた達は死んじゃうんだもんね……だったら』
美琴は軽く、腕を横に振った。
『せめて、私の手で終わらせてあげる』
轟音がした。彼女の目の前には何もなく、壁には赤い液体がこびり付いていた。