とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part03

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 携帯を持つ手は微かに震えて、心臓は早鐘のように高鳴り。
震える指先で少女は、意を決して一人の少年のダイヤルを押した。

 何を話そう、話したいことはたくさんある。
止め処目ない想いが溢れて、考えはまとまらない。

と瞬間、鳴り響く音、驚いて振り返った先には少年がいた。

「…………」

 久しぶりだな、元気してたか?といつもと変わらない少年。
会いたかった人、聞きたかった声…でもそれよりも美琴の視線は、少年の後ろにいる少女へと向けられる。
どうしたのー?とうまーとその声の主であるインデックスは、何やら鋭い視線を感じ、二人は相見えた。

 ビシィィィィと効果音を放つかのごとく、その場の空気は凍りつく。

「なんでいんのよ」
「とうまとご飯食べに来たんだよ」
 ご飯デートだよとでも言うかのようにインデックスは立ち上がって、美琴をけん制する。
以前の美琴ならクールに交わせたはずだが、恋する乙女は引くわけにはいかない。
美琴も負けじと立ち上がり、対峙する。たった今、まさしく二人は恋敵(ライバル)となった。

 互いに睨み合う二人の少女の間に挟まれた少年、上条当麻は無論、自分が原因であるということは
知るわけもなく、え?どうしちゃったの、お二人さん?と何やら只ならぬ不穏な空気を感じ、これはまずい
すごくまずい、何故だか分からないが非常にまずいと、二人に何が起きたのか聞いてみる事にした。

 「あの~お二人とも、どうされたのでせうか?」
 「「アンタ(とうま)は黙ってて!!」」
と見事に二人はシンクロし、ダブルキックを食らったかのような衝撃を受けた上条は解決の糸口を失う。
どうしたものかと考えを巡らせていると…美琴の他に二人、困ったようにたたずんでいる少女が視界に入る。

 あれは、確か超電磁砲<レールガン>の収録で何度か見かけた佐天さんと初春さんではないだろうか?
間接的にしか話に関わってない為、ほとんど話した事がない。ほぼ初対面に等しいが渡りに船、この機会を逃す手はない。

 二人に協力を仰ごうと目で合図を送る。思ってもみなかった事態に、佐天と初春も同様、今の状況をどうにか
できないかと考えていた。二人は上条の合図に気付き、ここは三人で一致団結して問題を解決しようと試みる。


「はっ、はいはーい!」
 と佐天さんは睨み合う二人の少女の間に割って入り、あのもしよかったら皆でお茶しませんか?と強引に流れを切り替える。
「いいですね、それ!」
 とこれは初春。
私達、超電磁砲からなので、是非上条さんと、インデックスさんとお話したいですーと付け加え、御坂さんも行きましょー
と、佐天と初春は二人でガッと美琴の腕を両サイドから掴み、上条とインデックスのいる席へと無理やり連行した。

佐天と初春にほとんど助けられたような上条は、ほっと一息ついた。

しかしそれは束の間の休息…

 禁書目録組、超電磁砲組が一つのテーブルを挟み、第一次上条さんを巡る乙女の戦いが勃発しようとしていた。
つまるところ事態は何も変わっていないどころか、睨み合いから一転、場を設けた事で交戦できる状態に移行したのだ。

「で、何で日本にいるのよ?」
 故郷のイギリスに帰ったんじゃなかったの?と美琴は先制攻撃をしかけた。

「出番があるんだよー!」
 ふっふーんと、先制取られちゃったけど痛くも痒くもないよーと言った風にインデックスは答える。

「なっなんですってー!」
 美琴は思わず、今ある台本を鞄から取り出し、探し始める。
しばらくして、なーんだオープニングとちょい役で出てくるだけじゃないとちょっと安心した。
ということは、日本にいるっていっても短い期間だろう。 

「なんだ出るって言っても、ほんのちょい役じゃない」
「む~それでも、出るのは出るんだよー」

 じゃれ合う二人の様子を見ていた三人は

「仲直りできたみたいでよかったですね」
 本当によかったーと初春はほっと胸を撫で下ろし
「まぁ、何だかんだ言って二人とも禁書目録の頃からの長い付き合いだしな…」
 と上条は言った。
「じゃあ、上条さんは、御坂さんとインデックスさんとだと付き合いが長いのはどっちなんですか?」
 と佐天の質問に、うーんと上条は思い出す、一番最初のワンシーンを。
「御坂との方が長いかもな…」 
「「へー」」 

「ってまた居候してるの?!」
「そうだよー」
  どうやら、話は別の展開を向かえたらしい。
 インデックスはどうだー参ったかーと、勝ち誇っている様に見える。
「ねぇ、あんたは、なんでまた住まわせてんのよー!」

 今度の話題はこちらにも関係があったようだ。戦地は二人の間だけではなく上条の領地まで飛び火した。

「はぁ?何でお前にいちいち断り入れなきゃいけないんだ?」
 それは別に俺の勝手だろと告げる。大体、前の撮影の時も、そうだったのだから何も問題ないはずだ。

「…っそ、それは」
「それは?」
「あっあんたが、好きだからよ!」
  悪い?とでも言うように美琴はついうっかり本音を滑らした。

「………えっ?」

 その場の空気は、さきほどとは違った意味で凍りついて、数秒後…自分の発言に気付いた美琴は
かぁぁぁぁぁぁと真っ赤になり、いっ今のは無しだからーーーーーーーーーーーーと脱兎のごとく走り去った。

「「御坂さん?!」」

 あまりに突然の出来事、残された4人、真相を聞くにも当の本人はこの場にいない。

一方、走り去る美琴をただ一人、見ていた少女がいた。

「お姉さま?」


――ふふーん、ふふーん、ふーんふーんふーん…ん?

「何だこりゃ?」 

 鼻歌交じりにこちらへ歩いてきたのは、ツンツン頭が特徴のとある少年だ。途中で何か拾ったらしい。

「えーなになに、とある科学の超電磁砲<レールガン>第4巻、DVD&ブルーレイ、発売のお知らせ」

 へぇ、初回限定版は豪華特典付か…一通り目を通すともう一枚ある事に気付く、紙には見覚えのある字。

 当麻へ 

   話があるから、28日の放課後

   いつもの場所で待ってるから

   ぜぇぇぇぇったい、来なさいよ!

   来なかったら、覚悟は出来てるわよね?

                  美琴より

「これは……まさか果たし合い状か?!」

 指を折って執行猶予を数える。

「えーと…今日が23日だから、あと5日だな…」

 選択肢は一つしか残されていない。
 不幸だーーーーーー!と少年の叫びは虚しく空へ響き渡った。 



つづく!


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