とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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とある平和な日常日記



とある十二月の雪の日

今日は、アイツとインデックスと一緒にテレビを見てコタツの中でゆっくりと一日を過ごした。
夜になると町にでて三人でいろいろなお店を見て回ってそれなりに楽しい時間を過ごしたわ。
願わくは、アイツと二人きりになりたいところだけどそれじゃインデックスに悪いし仕方ないわね。

――――――――――――――――――――

午後三時。
上条当麻と御坂美琴は買い物に行ったインデックスの帰りをコタツに入って待っていた。
「ねえ、アンタさ」
「なんだよ」
「ちょっと、足をひっこめなさいよ。私が足を伸ばせないじゃない」
「理不尽すぎるから却下」
コタツの上にあるのは普通のミカンに上条が通う学校の教科書達。
教科書達は最初の一時間程度だけは二人の相手をされていたわけなのだが、なんだかやる気をなくした二人によりところどころに散乱していた。
美琴が居るのにここまでの汚さを維持してられるとは、これがコタツの力かね、と上条は考える。
「え~いいじゃない。ここらで女の子に良いとこ見せて好感度アップさせといても損はないわよ~」
「そんな手に誰が乗るものか。そんなことをしても絶対に好感度は上がらないと上条さんは断言できますね」
ちょいちょい、と指で突いてくる美琴の攻撃を片手で捌きながら、上条はコタツの上にあるミカンを一つ手に取る。
「いいから譲りなさいよ~これは私のためじゃなくスフィンクスのためでもあんのよ」
いつの間に移動したのか、美琴の膝の上でにゃーと鳴く我が家の三毛猫は潤んだ瞳で上条を見つめる。
非難の瞳で上条が見つめ返すと、『いやね、姫のために仕方なくしてるんですよ』といった風に背を丸めた。
「お前、いつの間にスフィンクスと仲良くなったんだ?」
「別になにもしないで懐いてきたけど?私に近づいてくる猫なんてそうはいないからその時はかなり嬉しかったわね」
スフィンクスは美琴に頭をなでられ気持ち良さそうに喉を鳴らす。
女の子の膝の上なんていいな、と思っていると上条は足に蹴られる感触を感じた。
「蹴るなよ御坂」
「男なら潔く譲りなさいよ。それともこの美琴さんには譲れないっていうの?」
「ハッハッハ。このコタツの持ち主は上条さんですよ?どうして持ち主が譲ってやらにゃならんのだ」
「持ち主だからこそ、そこは譲るべきよ。ね~スフィンクス~」
ゴロゴロニャー、と鳴くスフィンクスは心底幸せそうだと上条は思った。
そんなスフィンクスに、よしよし良い子ね~、と言いながら美琴は喉をいじってやる。
「アンタの飼い主はお客に対して冷たいわね~似たようになったらダメよ~」
「そいつの飼い主は俺じゃない。インデックスだ」
「え!?そうなの!?このネーミングセンスの無さからてっきりアンタかと…」
「お前の中の俺はそんなにセンスがないのかッ!?」
思わず叫ぶ上条に美琴は、ニヤリと笑った。
「だってアンタ、デリカシーないし」
「うっ…」
「鈍感だし」
「ううっ…」
「バカだし」
「うううっ!!」
「女ったらしだし」
「今のところは訂正を要求する!!上条さんはそんなことは絶対にしませんのことよ!!」
どの口で言ってんのよ!!と美琴はどこから取り出したのか、毛玉を投げてきた。
甘い!!とか言って、持ち前の反射神経でそれを受け止める上条。
と、その玉を目掛けてスフィンクスが体当たりしてきた。
「にょわあぁぁぁ!!ひっかくなスフィンクス!!地味に痛い地味に痛い!!」
「アッハハハ!!やれやれスフィンクスー!!」
「おのれ、御坂~!こうなったら……御坂、パスだ!!」
スフィンクスの一瞬のスキをつき、上条は美琴に毛玉を投げる。
スフィンクスの目的である毛玉が宙を飛び、美琴の方に直進する。
しかし、美琴はその玉を余裕の表情で避けると、バカにするように上条を見た。
「ふっふっふ。学園都市の第三位の頭脳をなめないでほしいわね。そんな玉は受け止めるんじゃなくて避けてしまえば――」
「スキあり御坂!!そのスキをついて猫ミサイル発射!!」
直後。
ギニャー!と哀れな叫びを上げながらスフィンクスが宙を舞う。
大事な猫を避けるわけにもいかず、美琴は身体でスフィンクスを受け止めた。
その衝撃で美琴は身体を倒し、ちょうど倒れた位置にあった教科書で頭を打ってしまった。
「いったー!アンタなんてことすんのよ!猫投げるなんてありえないわよ!!」
「アッハハハ!!良い気味だ御坂!」
腕のなかでジタバタと暴れる三毛猫を必死に抑えつけながら美琴が叫ぶ。
「おかげで頭打っちゃったじゃない!どうすんのよ細胞が死んで頭悪くなったら!!」
「知るか!!元はと言えばお前がスフィンクスをそそのかすのが悪いんだぞ!」
「なぁによ!アンタがさっさとコタツを明け渡していればこんな悲劇は起きなくてすんだのよ!?」
二人してケンカし始めるのを見たスフィンクスは『そうだそうだ、姫が正しいんだぞ!』と、上条に向かって毛を逆立てる。
「ちぃ…一対二(?)とは卑怯だぞ、御坂!!」
「卑怯?なに言ってんのよ!?多数決でアンタが悪いってことがまだわからないの!?」
多数決で猫は数えません~、という上条の言葉に対し美琴は、なにおう!?と頬を膨らませる。
「こうなったらどっちが悪いかを決着をつけるわよ!!」
「上等じゃねえか!なら第三者に意見を聞こうぜ。どちらにもひいきせず、どちらの知り合いでもあるやつに!!」
こう言い争いながらも二人はちゃっかしコタツから出ない。
そこら辺からまだ二人が本気ではないことを察することができるだろう。
しかし、ケンカはケンカ。止める者がいない二人は突っ走り続ける。
「そういや、二人で共通の知り合いってのはあんまいないな」
「……居たとしてもどちらかにひいきしそうなヤツばっかだわ」
「白井とか、な」
「あれは議論の余地もなく除外よ」
『あれ』呼ばわりされるツインテール少女に、ちょっぴり同情しながら上条は携帯の電話帳を開く。
はて、条件にあてはまる人間はいただろうか?
「そうだ!土御門とかどうだ!?」
「土御門?あぁ舞夏のことね……いいと思うけど、あいつは今仕事かもよ?どうやって連絡とんのよ」
「いやな、あいつの兄が俺の知り合いでな。『今日は帰ってくる!!』ってうるさかったからたぶん家にいるぞ」
美琴の返事を待たずに上条は電話で土御門の家へと連絡をとった。
プルルルルという機械音が上条の耳をつく。
美琴はそんな上条を見つめながらスフィンクスの喉をいじり、私の意見も聞きなさいよ~とうなっている。
と、ガチャリと電話に出る音が聞こえた。
『なんだにゃ~かみやん。今は兄妹の絆を深めてるところだから邪魔しないでほしいぜい』
「お前に用はねえよ。ちょっと舞夏に変ってくれねえか?聞きたいことがあるんだ」
『人の義妹を勝手に名前で呼ぶんじゃねえぜよ。ちょっと待て、今変わるから』
ガチャゴチョ…、という音が受話器から流れ、その数秒後土御門舞夏が電話に出た。
『なんだー上条当麻。私に用とはめずらしいなー』
「実は今、俺と御坂がケンカしててな。どっちが悪いかって話をしたんだけど……」
『全面的に上条当麻が悪いぞー。以上』
「ちょ…、」
ブチン、と受話器からなんの音も聞こえなくなった。
ながれる沈黙。
笑顔のまま固まっている上条を美琴は眺めると、おずおずといった風に上条に話しかける。
「どうだった?舞夏いた?」
「……、」
「黙ってないでなんとか言いなさいよ」
「い、いなかったぞ」
「へ?いなかったの?」
「あ、あぁ、いないって。ちょっと今はハイテクメイドロボの開発を手掛けてて家にいないそうだ」
最新テクノロジーだからな、と冷や汗を流しながら上条は必死に嘘をついた。
話を聞いてから答えを出すならともかく、話も聞かずにこちらに非があるなんて言われるのは認められない。
「ハイテクメイドロボって……学園都市はいったい何を作ってんのよ」
呆れたような声を出しながらも美琴は上条に疑惑の目を向け続ける。
さすがにハイテクメイドロボは無理があったかーー!?と心で絶叫する上条は、美琴と一緒に視線を投げかける存在を見つけた。
美琴の膝の上に乗り、スフィンクスという名のついた三毛猫は上条にこんな目で訴えていた。
『旦那ぁ…嘘はいけやせんで』


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