とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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美琴の早とちり



「ついに!ついに俺にも念願のパートナーができたんだ!」
緊急事態発生したからいつもの自動販売機前で待ち合わせという内容のメールを昨晩上条から貰い、
何事かと戦々恐々していた御琴は突然の事態に愕然とする・・・・
(な、何を突然言ってるの、こいつ?が出来たとか聞こえたわね・・・・とりあえず、落ち着いて確認を・・・・)
「よ、よく聞こえなかったからもう一回お願いしてもいいかしら?」
「いや、だからついにパートナーができたんですよ!これで一人寂しい・・・・からもおさらばです・・・・」
「(そ、そんな!冗談でしょ!神様仏様ゲコ太様!お願い!誰かこれは夢だと言って!!)」
当麻は余程嬉しいのか美琴がこの世の終わりのような雰囲気を醸し出しているのに気付かずに何かをのらりくらりと述べている。
だが、一方の美琴は突然の悲報にショックを受け、そのせいで彼が何を言っているのか耳に入っていない
「・・・・ん?どうしたんだ、御坂?顔色が悪いぞ?」
「な、なんでもない・・・・」
「そうか?もし具合悪いなら無理に呼び出しちまってすまないな。ゆっくり休んで体調を整えるんだぞ。なんなら寮まで送るけど?」
「・・・・ご忠告ありがとう・・・・。いいわ、一人で帰れるし・・・・。お幸せに・・・・」
「・・・・?ああ・・・・ありがとな!やっぱ、お前いいやつだ!」
「!!そ、そんな笑顔そうほいほい他人に、特に異性に見せんじゃないわよ!相方さん苦労しそうね・・・・」
「そうか?ま、気をつけるよ。んじゃ、美琴も気をつけて帰るんだぞ?」

その晩、美琴は学園都市でも人気のMMOオンラインゲームの世界にいた。
そして、今日の失恋を最近できたパートナーにぶつけていた。
「ふえ~~~ん!!聞いてよ!リアルで片思いしてる相手に恋人さんが出来ちゃったみたいなの!」
「うわぁ、それは大変だな・・・・スフィーさんもハープさんの失恋には同情を禁じえませんことよ」
それからもしばらくは愚痴を垂れる美琴のキャラクターにパートナーのスフィーが相槌を打つというのを繰り返していた。
「うー・・・・こうなったら自棄狩りよ!初恋失恋記念に徹夜でレイドモンスターを乱獲してやるわ!!」
「おー、気合が入ってるなぁ・・・・明日は休日だし、スフィーさんもお付き合いしちゃいますよ!」
「まずは、砂漠マップにいる一方通行からね!」
「・・・・一応、あいつは一部の属性以外の物理・魔法を反射するから俺らがつけたんだぞとスフィーさんは補足します」
「うちの妹たちみたいな喋り方してないでとっとと行くわよ!早く準備してきなさい!」
「うわ!ダメージがないからって電撃魔法を俺に向かって撃ちこむな!現実世界でも似たようなことする奴がいるけど、不幸だぁ!」
「こんな頼りになる電撃使いをパートナーにして不幸なんて言ってんじゃないわよ!」
「うう・・・・スフィーさんは精神ポイントが0になっちゃってますよ、戦闘前から・・・・」
何だかんだ言いつつもスフィーも付き合い、その晩は宣言通り徹夜でのレイドモンスター討伐めぐりとなった。

翌々日の下校時間。
いつもの自動販売機前で習慣ともなってしまった待ち伏せ中の美琴は寝不足もあってうつらうつらしていた。
っと、そこへいつも通り・・・・・とは言えない状態の上条さんが通りかかった。
「お~~~っす、御坂・・・・寝不足か~?」
「う、うるさいわね・・・・あ、あんたこそ・・・・どうしたのよ、目の下にすごいクマを作っちゃって・・・・」
「いや~、上条さんは昨日、ネットゲームでパートナーさんの失恋記念レイド巡りをやって寝ていないんです事よ」
「(あれ?その話、どっかで・・・・)そ、それは大変だったじゃない。でも彼女さんをほったらかしにしてネットゲーム三昧は止めたほうがいいわよ?」
「・・・・は?彼女?上条さんは彼女なんて持っていませんことよ?」
「え?だって、一昨日あんた、念願のパートナーがどうのって・・・・」
「いや、ネットゲームで最近、ソロに飽きててさ・・・・属性特化してる人とパートナーシップ組みたいって思ってたら電撃特化の人と組めたんだって言ったじゃないですか」
「そ、そうだったの!?(な~んだ・・・・私の早とちりか~・・・・よかったぁ・・・・)」
「まぁ、そういうわけで今日は追いかけっこは勘弁してください・・・・この後特売に行って、そのあとパートナーさんと一緒に狩りに行くんですから」
「(そういえば、今日も一緒に狩りに行こうって約束してたっけ・・・・)あんまりのめりこみすぎて実生活をおじゃんにしないように気をつけなさいよ?」
「うぅ・・・・年下にそんなことを言われるなんて上条さんは年上というアドバンテージを完全に消失してしまいましたよ・・・・」
そんなこんなを喋りながらも特売に行こうとする当麻に手伝うと美琴からのありがたい申し出に甘んじて手伝ってもらい、無事に今回の特売争奪戦を終えたのであった。
さて、場所は変わって常盤台中学の寮。
今晩も美琴はゲーム内で狩りをしていた
「お姉さま、そろそろ寮監が点呼兼巡回しにくるので落ちないとまずいですわよ」
「あ、もうそんな時間?ありがとね、黒子」
「どういたしましてですわ」
『そろそろ就寝時間になったから落ちるね。また今度狩りに行こう?』
『はいはい、スフィーさんもそろそろ寝ないと寝不足だよ。この状態で追いかけっこなんて挑まれたら確実にお陀仏だから今日は落ちるわ』
『ああ、それと、ハープさん。失恋じゃなくてよかったな』
『あはは、勘違いしちゃって恥ずかしい思いしちゃったわ』
『ここだけの話、スフィーさんも気になる子が落ち込んでたのでちょっと気がかりでしたけど、元気になったみたいでうれしい日ですよ、今日は』
『あら、そっちも?』
『ええ、その上、特売の買い出しも手伝ってもらっちゃってもう頭が上がらないですよ』
『あはは、貸しがすごいことになってんじゃないの、その相手に?(あれ?これもどっかで・・・・)』
『まぁ、スフィーさんはリアルでは清貧を地で行くく学生さんなので、何回かデートにでも何気ない風を装って誘ってチャラにして貰えるようにしてみますことよ!』
『ま、頑張ってね!んじゃ御休み~』
『お疲れ~』
そのまま電源を落とし、ベッドに腰をかけた途端、扉がノックされた。
どうやら丁度、寮監が巡回に来るタイミングだったようだ。
ナイスタイミング!と自己賞賛を心の中で繰り返している御坂だったが、一昨日の徹夜の一件で数秒後に地獄を見ることに・・・・。

         ◇

あの勘違い事件から数日、今日も上条さんの帰り道を待ち伏せしていた美琴さんはちゃっかり特売セールのお手伝いをして、今はその帰り道です。
他愛もない会話を交わしながら、ゆっくりと分かれ道に向かっています。
少しオレンジ色に染まりだした空のもと、はたから見れば若いカップルみたいな雰囲気を出しているのですが・・・・当の本人たちは気づいてません。
「・・・・それでね、あの後、寮監に首を320度回されて意識を奪われちゃったのよ・・・・」
「そ、それは・・・・・なんというか・・・・すげえな、あの寮監さん・・・・というか、普通、180度でも首が曲がったら首折れねえのか?」
「黒子なんてこの間、私が使ってるシャワー室に入ろうとしたんだろうけど、どう演算をミスしたのか寮監さんのお風呂に飛んじゃってね・・・・」
「おいおい、大丈夫だったのか・・・・確か、寮内部での能力の使用はお法度だろ?」
「そうなのよねぇ・・・・運悪く、入浴中だったのよ・・・・寮監が・・・・」
「うわぁ・・・・・タイミング悪っ!!」
「数秒後、この世のものとも思えぬ黒子の断末魔が寮内に響き渡ったわ・・・・」
「大変だなぁ・・・・んで、どうなったんだ?」
「今度の連休中はずっとプールとトイレのお掃除。んでそれと並行して近くの幼稚園で子供の世話のボランティアを1週間ね・・・・」
「うげ・・・・そ、それは・・・・不幸だなぁ・・・・」
「おかげで私はしばらくの間は平和だわ・・・・へんなコーヒーとか飲まされなくて済むしね・・・・」
「・・・・ああ、あのパソコン部品とかいう名前のダンボールの中身か・・・・」
「・・・・・言わないで!なんであんなのを簡単にホイホイ入手できるか考えたくもないんだから!!」
「す、すまん・・・・っと、この公園を抜けたら、もうすぐいつもの分かれ道だな」
「ほんとだ、楽しい時間ってすぐ過ぎちゃうもんなのねぇ・・・・つまんないなぁ・・・・」
「(聞き間違いかな?こいつ楽しいとか言ってなかったか?)ま、概してそんなもんでしょ・・・・俺もそう思うこと結構あるし…」
「(聞き間違いかしら?こいつも今が楽しいみたいな言い方してたような・・・・)・・・・で、あんたは明々後日からどうするつもりなわけ?」
「あー、補習がない上条さんとしては今まで特売セールの買い出しを手伝ってくれた美琴さんとどっか行こうと思ってるんですがどうでせうか?」
「そ、それって・・・・デ、デートのお誘いってことかしら?」
まぁ、この二人、非常に初心なもんでデートと言う単語が出た瞬間、双方顔を真っ赤にしてそれぞれが明後日のほうを向いてしまいます。
「ん?・・・・あ、いや・・・・そのなんだ?インデックスがイギリスに帰省してるのと特売のおかげで今月は財政的に余裕がある上条さんとしてはだなぁ・・・・」
「・・・・としては?(ドキドキ)」
「ここらで今までの借りを返してしまいたいわけですよ!(あれ?なんで言い訳したら胸がもやもやしてきたんだ?)」
「ま、まぁ、そういうわけなら仕方ないわね・・・・付き合ってあげるわよ!(イヤッホ~~~イ♪デートだ♪当麻とデートだ♪)」
「寛大なる美琴様に上条さんはマリアナ海溝より深く感謝しますよ!(ふぅ、何とかこのもやもやに気づかれないですんだかな?)」
「あ、あんた・・・・今、みみみみ美琴って呼んだわよね?」
「さ、さて何のことやら・・・・と、そこのベンチ座ろうぜ・・・・流石に少し疲れた(もやもやの原因を知りたいし、もう少しこいつと一緒に居たいしな・・・・)」
「い、いいわよ・・・・確かに買いすぎた部分もあるからね(やった!もう少しこいつと一緒に居れる!ラッキ~~!神様仏様ゲコ太様!感謝感激雨あられよ~♪)」
「と、ところで・・・・このあと、どうすんだ?また不良狩りか??」
「最近はやってないわよ。私は今晩もネットゲームにログインするわ、相方と約束してることあるし」
「奇遇だな、俺も例のパートナーと狩りの予定だよ。そいつと組んでるとなんか落ち着くんだよなぁ、丁度今みたいないい感じの雰囲気でさ」
「へ、へ~・・・・ま、まぁ、せいぜい相手の足を引っ張らないように気をつけなさいよ?(相手誰なのかしら・・・・こっそりサーバーにアタックして相手のキャラクター消し去っちゃおうかしら・・・・)」
「へいへい、どうせ上条さんは今じゃあまり見られないキャラクターですよ~だ!」
「あれ?あんたのキャラってどんなキャラなの?もしかして間違えてステータスを振っちゃったとか?」
「ちげえよ!俺のは今は存在自体、非常に希少な対超高性能モンスター特化の拳闘士だよ!」
「(あれ?どっかで見たわね、そんなレアキャラ・・・・)そういえばあんたのキャラクターの名前なんて言うの?」
「ん?スフィーだけど?なんで?」
「・・・・え?・・・・えええええええええ?」
「ど、どうしたんでせぅか、御坂さん?」
「な、何でもないわ!」
「ところで、今度はお前のキャラの名前教えてくれよ」
「え?な、なんでよ!」
「いや、俺だけ教えるのって不公平じゃん」
「(・・・・・ま、まずい・・・・ここで名前出したら即座に私がハープだってバレちゃう!)じゃ、じゃぁ・・・・当ててみなさいよ」
「へ?」
「あんたがこれから思いついた名前を出してみて、んでそれが私のキャラの名前に近ければ火がつきそう、関係なければ火が消えたとか歌うわ、それで判断して当ててみなさいよ!」
「無能力者に下手なサイコメトリー(読心術)より難しいことをさせるんですか、あなた様は・・・・」
「いいじゃない!これは・・・・そう、一種の勝負よ!」
「あー、しゃあねえ・・・・受けて立ってやるよ!んー・・・・ゲコ太?ってかヒントくれよ!」
「・・・・火が消えた~・・・・女キャラクターよ」
「・・・・・ゲコ美?」
「火~が消えた~、火が消えた~」
「・・・・・ゲコ子?」
「・・・・・いい加減、カエルから離れなさいよ・・・・」
「・・・・わかんねえよ、もうちょっとヒントくれよ!」
「仕方ないわね・・・・私の身近なものだわ」
「・・・・・バイオリン?」
「火~がつきそう、火がつきそう~」
「(・・・・バイオリンで火が付きそうなら弦楽器ってことだよな?…なら最近、感じるあのキャラからの既視感からして・・・・)・・・・ハープ?」
「!!!!!!!!!!!!!!!!!(ボン!)」
「・・・・・ん?当たったのか?」
「ええ、あたりよ・・・・悪かったわね、せっかくできたパートナーが私で・・・・」
「は?何を勝手なこと、言ってんだ?誰も嫌だとは言ってねえだろ?」
「え?」
「むしろ、御坂だから安心したかな・・・・」
「ええっ?!」
「だって、知らない奴より知ってる奴のほうが安心するだろ?」
「そ、そうよね・・・・・いくらゲームとは言え画面の向こうに見知らぬ人だったら嫌よね・・・・(この超鈍感に何を期待してるんだろ、私・・・・)」
「それに俺、お前のこと嫌いじゃないからな・・・・むしろ・・・・・好きな方だし・・・・(な、何を言ってんだ、おれ!確かに御坂は可愛いが・・・・だが、まだ中学生だぞ!)」
「・・・・え?好きな方って・・・・そ、それって・・・・」
「さ~って・・・・とっとと帰って冷蔵庫にしまわないとお肉が悪くなっちゃうな!帰ろう、帰ろう!」
「あ、こら!待ちなさいよ!って行っちゃった・・・・。でも好きな方って・・・・いやいや、あいつのことだから友達としては好きな方であって・・・・あー!もー!どっちなのよ~~~!!」
しばらくして、その公園では夜な夜な常盤台の制服を着た少女が大音量で身悶えしていたという噂が流れたがそれは別の話・・・・。

一方の上条さんはと言うと・・・・
「なんで俺あんなこと言っちまったんだ?御坂は・・・・・大切な・・・・・女友達・・・・いや、異性として意識はしてない・・・・ぞ・・・・?なんだこの胸のもやもやは・・・・?あー、飯食ってとっととログインしようっと!」


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