とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part07-2

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EPISODE 3


  Scene_14  【喫茶店 エトワール 店内】

(マ)「オッ、やっと終わったようだな。二人ともご苦労さん」
(上)「マスター、……あの……」
(上琴)「「ありがとうございました!!!」」
(マ)「わッ!? ビックリするじゃねえか?」
(上)「だって……マスターが段取りしてくれなかったら……オレ、間違いなく留年してただろうし……」
(琴)「私もずっと、当麻と会えないままで……、それがこんな風に、当麻の力になれるようにしてくれたから……」
(マ)「ああ、その事なんだが……まぁ、チョット座れや」
(上琴)「「あ……ハイ」」

 二人はマスターに促されるまま、カウンター席に座る。

(マ)「とりあえず、まずは良くやったな。上条。お疲れさん」
(上)「イ、イヤ……全部、美琴が支えてくれたから……」
(マ)「それは間違いねえよな。だが、オマエが頑張らなきゃ、嬢ちゃんも頑張れなかった。色々ジャマが入ったりもしたが……オマエはやるコトをやり遂げたんだよ。胸を張れ」
(上)「あッ、……ハイッ!!!」
(マ)「嬢ちゃんもよく頑張ってくれたな。ありがとな」
(琴)「そんな……。マスターが言ってたように、当麻が頑張ったから私も頑張れたんだし……。何より、マスターが色々手を尽くしてくれたから……」
(マ)「オレは実際に何にもしてねえんだが……、……まぁ、その話はちょっと後にして……」
(上琴)「?」
(マ)「オレからのご褒美っつったら変だけど、頑張った二人にプレゼントだ」

 そう言って、マスターは大きな箱を二つ出してきた。

(上)「え? ぷ、プレゼントって?」
(マ)「前に言ってた、簡易型の水出しコーヒーを作れるセットだよ」
(琴)「水出しコーヒー?」
(マ)「通常、コーヒーはお湯で出すのが当たり前だと思われてるが、時間をかければ水でも出せるんだ。お茶にも水出しがあるだろ?」
(上)「で、でも……コレって……高いんじゃ……」
(マ)「本格的なのはな。コレはあくまでも簡易型だ。でも、かなりイケる味を出すんだぜ。それに、この夏に仕入れた売れ残りだ。ウチもそんなに余裕がある訳じゃないから、こんなモノしかできないのが申し訳ないと思うけど……」
(琴)「そんなぁ……、色々お世話になってるのに……こんなプレゼントまで……」
(マ)「オマエさん達が頑張ってたからな。それに……実は、コレから話す話のお詫びも……チョット兼ねてるんだ」
(上琴)「「えッ!? お詫びって?」」
(マ)「実は、かなり言い難いことなんだが……」
(上琴)「「?」」
(マ)「今回の上条の補習の一件のシナリオを書いたのはオレじゃないんだ。オレは書かれたシナリオ通りに動いただけでな……」
(上)「えッ!? そ、それって……どういうコト?」
(琴)「あッ……ま、まさか……」
(マ)「嬢ちゃんは分かったみたいだな。そうなんだよ、今回、この一件のシナリオを書いたのは……芹亜なんだ……」
(上)「えッ!? くッ、雲川先輩が!?」
(琴)「……」
(マ)「小萌先生がどうしてオレのトコロに来たと思う? まるで、裏の事情を全て知っているかのようにさ」
(上)「え……、そ、そう言えば……」
(マ)「そのアタリを動かしたのも芹亜なんだ。どうやって動かしたかまでは知らないし……大体の想像は付くが、確信がないから言えないけどな……」
(琴)「あ……」
(マ)「小萌先生が来る前に、アイツから電話があってな。何をどうするのか、そのシナリオをかなり細かく指示されてな。オレはそれに沿って動いただけなんだよ……」
(上)「雲川先輩が……」
(マ)「そして、今日ここでオレがオマエさん達にその事を全部話してるのも、多分アイツのシナリオ通りだろうな……。全部アイツのシナリオ通りに動くのは癪に障るんだが……」
(琴)「でも、どうしてマスターが謝るの? 芹亜先輩がシナリオを組んだからって、その通りにマスターが動いたからって、別にそれが悪い訳じゃ……ないはず……」
(マ)「でもまあ、オマエさん達を騙してたってコトに代わりはねえしな。それに……」
(上)「それにって?」
(マ)「嬢ちゃんには辛いだろうけど……、こういう人の支え方もあるってコトを上条に知っておいて貰わないと、と思ってな……」
(上)「人の……支え方?」
(マ)「今回、芹亜がこういう絵を描かなかったら、オマエさんどうなってたと思う?」
(上)「え? ……あ……」
(マ)「留年確定……は免れなかっただろう?」
(上)「う……そ、それは……」
(琴)「わッ、私が……手伝っていれば……」
(マ)「それはそうだろうな。だが……今みたいな状況は到底作り出せなかっただろう?」
(琴)「あ……う……」
(マ)「二人なら確かに助け合って出来たかも知れない。でもその為には、色々と克服しなきゃならない条件があるはずだ」
(琴)「う……うう……」
(マ)「上条の『不幸』が起こりにくい状況を作り出し、周りの環境も整える。しかも、嬢ちゃんが協力しやすい体制まで作っちまってる」
(琴)「そっ、それをしてくれたのは……マスターでしょ?」
(マ)「確かに動いたのはオレだけど……、オレが動きやすいような段取りを組み、実際に案を出して来たのは芹亜だよ。つまり、こうやってこの一件の地を整えたのは芹亜だ」
(琴)「あ……」
(マ)「嬢ちゃんのようなサポートの仕方もあれば、芹亜のように地を整える支え方もある。人の支え方ってのは様々なんだ」
(上)「支え方……?」
(マ)「オマエは色んな人に支えられているってコトさ。オマエが知る、知らないに関わらずな。だから、それをオマエに知っていて欲しくってな」
(上)「え……?」
(マ)「その支えがなきゃ、オマエさんは外に出ることも、誰かを助けることも出来ないんだよ」
(上)「あ……」
(マ)「ついつい一人で突っ走りがちなオマエだが、オマエを支えるために色んな人が頑張ってくれてる訳だ。芹亜もその一人だってコトさ」
(上)「……『ガタッ!』」
(琴)「とっ、当麻ッ……」
(上)「チョットだけ、待っててくれ。すぐ戻るから……」
(マ)「芹亜なら多分、……裏の駐車場から少し離れたコンビニ辺りでウロウロしてるはずだ。オマエ達が帰るのを見届けるためにな」
(上)「マスター、ありがとう……。行ってくるよ」
(琴)「とっ、当麻ッ!?」
(マ)「行かせてやってやれよ、嬢ちゃん」
(琴)「でッ、でもっ……」
(上)「大丈夫だよ、すぐ戻ってくるから。……な、美琴」
(琴)「ぅ、うん……」
(上)「じゃあ、行ってくる」
(マ)「ああ、行ってこい」

『カランカランカラ~ン』

 ドアベルを鳴らし、上条は外に出て行った。

(琴)「う……、うう……」
(マ)「心配要らねえよ。アイツが戻ってくるのは嬢ちゃんのトコロだけだ」
(琴)「え?」
(マ)「肝心なこと、ワザと言わなかっただろ?」
(琴)「ぅ、うん……」
(マ)「そこまでアイツのシナリオ通りに動いてやる義理はねえからな」
(琴)「あ……」
(マ)「最後は上条が決めることだ。そこまでの口出しはオレには出来ない。それに……」
(琴)「え? ……それに?」
(マ)「そこまでアイツの思い通りになって堪るかってんだ!! 人をイイようにこき使いやがって……」
(琴)「ま、マスター?」
(マ)「変なトコまでアイツに似やがってよォ……。オレは孫悟空じゃねえし、アイツはお釈迦様じゃあねえんだよッ!!!」
(琴)「あの……アッコさん? マスター、どうしてこんなに怒ってるの?」
(ア)「え……、あ、……チョットね。昔、色々あったんだ……。フフフ……」
(琴)「アッコさん、何か嬉しそう……」
(ア)「べっ、別に……そんなコトないわよ(//////////)。……フフフ……」
(琴)「変なアッコさん……。……当麻……早く帰ってきて……」

 と、美琴が上条のことを心配している頃……。
 上条はマスターの言った場所で雲川芹亜を見つけていた。


  Scene_15  【喫茶店 エトワール近くのコンビニ】

(上)「く、雲川先輩……見つけましたよ……」
(芹)「あ……上条……」
(上)「お話しがあります。ココじゃチョット……なので……」
(芹)「あ、改まって何なの? まぁイイけど……」
(上)「近くに小さな公園があったので……そこで……」
(芹)「うん、良いわよ……」

 そう言うと二人は、近くにある小さな公園に向かう。
 上条と美琴が待ち合わせをしている公園とは違いかなり狭い。
 街灯もあり、コンビニからも近いので、暗いところはほとんど無い。
 公園に入るとすぐに芹亜が切り出した。

(芹)「で……話って何?」
(上)「マスターから聞きました。今回のこと、色々ありがとうございました!!!」
(芹)「喋ったんだ……マスター……。まぁ、あの人ならそうするだろうとは思ってたけど……」
(上)「オレが色んな人から支えられてるってコトを知って欲しいって。マスターに言われて初めて気が付きました……。本当にありがとうございました!!!」
(芹)「うん……」
(上)「どうしてもその件でお礼が言いたかったので。……それでは失礼します」
(芹)「えッ!? ……あッ、あの……上条?」
(上)「ハイッ!? 何でしょう?」
(芹)「ま、マスター……他に何も言ってなかったの?」
(上)「ええ。それ以外は別に……」
(芹)「あッ、そ……そう……。そうなんだ……。フーン……」
(上)「あッ、じゃあ……オレ、コレで。……み、美琴が待ってるので……スミマセン……」
(芹)「あ……うん。……あッ、上条……?」
(上)「えッ、……あッ、ハイ?」
(芹)「良く……頑張ったね。うん……ホント、頑張ったんだね……」
(上)「あ、ありがとうございますッ!!! それじゃあ、失礼します!!!」
(芹)「ぅ、うん……またね……」

 芹亜からそう言われると、上条はそそくさと【エトワール】に戻って行った。
 一人、公園に取り残された芹亜は……、上条の姿が見えなくなると……ガックリと項垂れた。

(芹)「あのクソオヤジ……最後の最後で、よくもやってくれたけど。……事の次第は伝えても……想いまでは……自分でやれってコト? ……ッたく」
(芹)「上条も上条よ……。私がどんな想いでって……ハアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア……。アイツの鈍感を計算に入れてなかった……と言うより、想定外だからか……」
(芹)「普通なら気付くはずなんだけど……。これだけのことをしたって言うのに……。あのバカ……」

 芹亜の瞳から滴が落ちる。

(芹)「抱きついて……、告白して……、ファーストキスも捧げて……、さすがにココまでやって、それでもダメッてコトは……。やっぱり私じゃダメなのかな……? まだ……諦めたくないんだけど……さすがにもう……うッ、……ううっ……」

 ポロポロと滴を零しながら呟く芹亜。
 そう、雲川芹亜が今回取った逆襲の方法とは……。
 彼女本来のやり方。
 『影』に徹して、相手が気付かぬ内に相手の心の中に入り込み、その存在感を大きくする。
 『精神解錠(マスターキー)』が最も得意とする方法で、自分の存在感を上条の中で大きくしたかった。
 そうすることで、上条と美琴の二人の間に少しでも割って入れたら……。
 そう思ってのことだった。

 途中までは全てが上手く行っていた。
 いや、ついさっきまで、全ては芹亜の思惑通りに進んでいた……はずだった。

 誤算があったとすれば、マスターの過去の出来事を知らなかったことと、『超鈍感魔神』である上条当麻を計り損ねたこと。
 でも、そのどちらも最後の一歩を自分が踏み出せば……超えられたかも知れないことだった。

 もう一度、もう一度だけ言えば良かったのかも知れない。
 間違いなく、自分の前に上条当麻は来たのだから。
 愛しい恋人を待たせて、自分の前に現れてくれたのだから。
 そこまで『雲川芹亜』という存在を、『上条当麻』の中で大きくすることが出来たのだから……。

『私はあなたが好きです』

 今、上条の恋人である『御坂美琴』が、何度も言おうとして言えなかった一言。
 その一言が言えたなら……、全ては変わっていたかも知れない。
 でも、その一言を伝えることを、最後の最後で踏み出せなかった。
 最後の最後で、手綱を放してしまった。
 それが嫌という程分かってしまった。

 だから、らしくないと思いながらも……その瞳から溢れる滴を止めることが出来ずにいる。
 ただ声を押し殺して……泣くしかなかった。

(?)『ホント……、何でココまで似ちゃったんだか……』

 その時、自分の中で声がした。
 聞き慣れた……でも、久しぶりの声。

(芹)『せっ、先生……!?』

 声には出さない。いや、出す必要など無い。
 頭の中で思うだけで、心の中で念じるだけで、相手に伝わる会話……。
 自分を隠すことなく、全てを語り合える……常人には出来ない会話。
 『精神感応(テレパス)』による会話だった。

(?)『雲川……ご無沙汰。見てたわよ』
(芹)『いッ、何時から?』
(?)『あなたがウチのレベル5を使えるようにと、あのバカを動かした時から……かな?』
(芹)『う……ウソ……。そんなトレースされてるなんて……』
(?)『雲川をトレースしたんじゃないわ。……あのバカを、トレースしたの』
(芹)『ま、マスターを?』
(?)『今回のことは、あなたの負けね。最後の最後で踏み出せないなんて……アナタらしくないとは思うけど……』
(芹)『う……』
(?)『それにあのバカに最後までやらそうとしたのがいけなかった。昔私が散々その手で扱き使ったから……』
(芹)『え? そ、それじゃあ?』
(?)『半分は私の責任。そう思っておきなさい。その方が少し楽になれるだろうから……』
(芹)『先生……』
(?)『それに……次があるでしょ? その時に精々扱き使ってやりなさい。あのバカを……』
(芹)『あ……ハイッ!!! ……あの、先生……ありがと……』
(?)『うん……』

 『先生』にお礼を言った瞬間だった。
 少し照れたような思念波と共に、あの人のイメージが流れ込んできた。
 その時、ある一言が頭の中を過ぎった。

『今日のオマエさんじゃねえが、そういうトコロがアイツにもあるってコトだよ。自分の感情を完璧にコントロール出来る人間なんて、そうそう居る訳がねえんだ』

(?)『フーン……あのバカ、そんなコト言ったんだ……。チョット、……ううん、かなり気に食わないんだけど……』
(芹)『え? せ、先生?』
(?)『フフフフフフ……、イイ根性してるじゃない。シンちゃん……。今度会ったら、ちょ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッと苛めてやらないと気が済まないんだけど……』

 瞬間、芹亜が硬直する。
 この人を怒らせてはいけない。
 この人だけは……本気で怒らせてはいけない。
 経験がそう告げていた。

(?)『じゃあね、雲川。……今度は会って話そうね』
(芹)『ハイ、先生……あ、あの……』
(?)『あ、あなたは気にしなくてイイから。……フフフ……シンちゃん、タダじゃあ済まさないんだからね』

 最後の『先生』からのテレパシーは、とてつもない黒いオーラを纏っていた。

(芹)「マスター……、もしかしたら、ゴメン……かも……」
(芹)「でも……あの先生ですら……、漏れちゃうんだ。こういう感情って……」

 先程『先生』が照れた思念波と共に漏らしてしまったイメージ。
 それは……間違いなく、自分たちと同じ年齢だった頃の『マスター』だった。

(芹)「……今はまだ、ダメだけど……、でも……あの先生でもダメなら、今の私がダメなのも当然……だけど……」

『パンッ!!!』

 両の手で勢いよく、自分の頬を叩く。
 思ったより力が入っていて、ちょっと痛かったが……。
 それが何故か心地良くもあった。

(芹)「しょうがない。今回は負けってコトで終わりにする。しばらく大人しくしておくけど……。あのバカは精々扱き使ってやることにしよう!!!」

 そう言うと、雲川芹亜は落ち込んだ様子もなく、いつものように飄々と寮に向かって歩き出した。


  Scene_16  【喫茶店 エトワール】

『カランカランカラ~ン』

(上)「ただいま~」
(琴)「とっ、当麻ッ!?」
(上)「えッ!? わッ……み、美琴?」

 ドアが開き、帰って来た上条を見た瞬間、美琴は上条の胸に飛び込んでいた。
 美琴は芹亜の意図していることを正確に読み取っていた。
 だから、上条が戻ってこないのではないかと不安で仕方がなかったのだ。

(マ)「意外と早かったな?」
(上)「ええ、マスターの言ってくれた場所に先輩が居て、すぐに見つかりましたから」
(マ)「で?」
(上)「あ、ハイ。ちゃんとお礼を言ってきました」
(琴)「え? ……そ、それだけ?」
(上)「へ? それだけって……それ以外に何があるんだよ?」
(琴)「あ……そっか、そうよね……。アハ、アハハハハ……」
(上)「何言ってんだ? 変なヤツだな……?」
(琴)「(バカ……鈍感……)」
(上)「ん? 何か言ったか?」
(琴)「ううんッ、べっ、別に……何でも無いわよ……」
(上)「そっか? あ……マスター、腹減ったァァァァァ……」
(マ)「おう、分かった……。……ん、オレの作るメシでイイのか?」
(上)「へ? ど、どういうコトでせう?」
(マ)「嬢ちゃんに作って貰う方が良いんじゃねえの? 何せ、オレの作るメシの100万倍美味いって言ってたからなぁ……」
(上)『ボンッ!!!(////////////////////)』
(ア)「ダメよぉ~、また上条君が美琴ちゃんのエプロン姿に暴走しちゃうかも知れないでしょ?」
(琴)『ボボンッ!!!!!(////////////////////////////////////////)』
(ア・マ)「「アハハハハハハハハハハ……」」
(上琴)「「うう……」」

 その瞬間……。

(マ)「『ゾクッ!!!』……うおッ!?」
(ア)「アレ? どうしたの? アンタ……」
(マ)「あ……イヤ、何やら……チョット、悪寒が……。……うん、チョット……スゴいのが……」
(ア)「へえ……。多分、芹亜ちゃん辺りじゃない?」
(マ)「ああ……、かもな……。アハハハハハハハハハハ……ハァ……」
(ア)「恨まれてんじゃない? 最後の最後に動かなかったから……」
(マ)「そっ、それは……ああッ、もうッ!!! イヤな事思い出させるんじゃねえよッ!!!!!」
(ア)「昔、散々やられたもんね。……あの女に……」
(マ)「うッ、うるせえッ!!! ッたく……」
(ア)「アハハハハハハハハハハ……」
(マ)「上条!! メシはどうすんだよッ!? オレが作ったのでイイのか!? それとも嬢ちゃんに作って貰うのかッ!?」
(上)「ええッ!? おッ、オレに八つ当たりなのッ!? ……ふ、不幸だ……」

 と、『地獄の10日間』を終え、いつもと変わらぬ日常を取り戻した上琴と【エトワール】であった。
 その中で美琴は一人、いつもは恨めしく思っている上条のそれに感謝するのだった。

(琴)(でも……今回は、ホント……当麻の鈍感に助けられちゃった……心配して損しちゃったかな?)
(琴)(この人は誰にも渡さない。この人の隣にいるのは……絶対に私なんだから!!!)

 そう思い、彼の身体を抱き締める腕に力を込め、その胸に顔を埋める。
 改めてその幸せを感じる美琴だった。


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