とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part04

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スポーツジムで美琴と遭遇した上条は、少しずつ美琴のことを意識し始めていた。

年越しは目立ったことなく、新年へ…

元日、昼前に目覚めた上条は、新年の挨拶メールを送っていた。
クラスメイトには、今年もよろしくなー、等と軽い内容だが、土御門には「あんまり厄介ごとをもってくるなよ」と付け加えておいた。
突然飛行機に乗せられたりするのは正直勘弁してほしい、とは上条の談である。
同居人であるインデックスには、新年の挨拶と共に、「ちょっとは食べる量も減らしていただけると上条さんは助かります」と付け加えた。
この一言が原因で一つ、不幸な出来事が起こるのを予想できないのは上条のみだろう。

そして、メールの内容に迷っている相手がいた。
御坂美琴である。
先日のプールの一件、そこからのファミレスでの一件から美琴のことをぼんやりと意識することが増えたこの数日。それ故に下手な内容で失敗したくないと上条は思う。

「まずは、あけましておめでとう。だろ…。その後には…電撃は簡便してほしい…とかだと確実に怒るだろうしなぁ」

ブツブツとあーでもないこーでもないと携帯電話片手に一人で騒ぐ上条を、心配そうに見つめる両親。
正月ということで家で過ごす父、上条刀夜は、息子の様子を見てため息をついた。

「当麻のやつ、何でそんなに悩んでるんだ?新年の挨拶メールくらいだったらよっぽどのことがない限り失敗しないだろう」
「あらあら、当夜さんたら、それでいったいどれだけの人にフラグを立てたのか覚えていないのかしら?」
「か、母さん、あの時は本当に…」

上条の両親の日常である。
自分の親がそんなことで心配しているとは知らず、上条は美琴にメールを送った。


to:御坂美琴
sub:あけましておめでとう
去年はいろいろと世話になったな。ありがとう。
今年もよろしくな!
体調に気をつけて漏電とかしないようにしてくれよ。
俺が近くにいる時は止めてやることができるけど、一緒にいない時はどうにもできないからな。

ps
能力無しの勝負なら、上条さんは負けないぜ?

結局、新年の挨拶と、先日の漏電の件、それに勝負には負けないといった内容にした。
しかし、勝負なら負けない、つまりまた勝負を受けてやる。つまりまた一緒にプールとかに行ける、と妄想を爆発させた美琴が実家で漏電することになるのだが。

「ってことは勝負ってことでまたプールとかゲーセンとかに出かけて…つまりそれって勝負というか…」
「み、美琴ちゃん!真っ赤になってバチバチいってないで!落ち着いて!」

携帯電話の画面を見つつ突然漏電しはじめた娘に、どうしようもできない母。
部屋の中がちょっと焦げ臭くなったりした新年最初の日。

しばらくして美琴が落ち着いた時、美鈴が声をかける。

「美琴ちゃん、もうちょっとしたらお客さん来るから準備してね」
「お客さんって、だれよ?」
「そ・れ・は…、着てからのお楽しみ!」
「なによそれ」

実はプールの時に、美鈴と詩菜はある約束をしていた。
正月でも休みが取れなかった御坂旅掛がいない御坂家と、御坂家でちょっとした新年会をやろうという話になったのだ。
料理は母親達と美琴が担当し、買出しなどは上条と当夜担当というざっくりとした割り振りをしたのだが…こういうときに引っ掻き回さない美鈴ではなかった。

数十分後。
ピンポーンと、御坂家のインターホンが鳴る。

「美琴ちゃん、ちょっとでてくれるー?」
「ちょっとまって…。はーい。どちら様で…え?」


時は遡ること数分前。
「なぁ、母さん。出かけるっつったっていったいどこに行くんだよ?」
「せっかく家族そろったんですし、新年会をと思いましてね。詳しいことは目的地についてからで」
「細かいことを気にしても仕方ないぞ、当麻。行き当たりばったりでどうにかしなきゃいけない場面なんて、これからいくつもあるんだからな」
「あらあら、行き当たりばったりでいつも女性にフラグを立てているのは、いったい誰だったかしら?」
「か…母さん。あれは別にそんなつもりじゃ…」

朝と似たようなやり取りをしている上条夫妻。
朝との違いと言えば、詩菜の放つ黒いオーラがさらに濃くなっていたということか。

目的地に到着し、インターホンを鳴らす詩菜。そして…

「さぁ、つきましたよ」
「ここって、普通の家…だよな?だれか知り合いの家?」
「はーい。どちら様で…え?」
「え?」
「な、何で、ア、アンタがここに!?」
「い、いや、どういうことだ母さん!」
「当麻さん、まずは挨拶くらいしたらどうです?ちなみにここは御坂さんのお宅です」
「あー…うん。あけましておめでとう、美琴」
「あ、あけましておめでとう、当麻」
「どういう状況なんだ?」

一人完全に置いてけぼりな刀夜。
状況がわからずにとりあえず新年の挨拶をする上条と美琴。

「あー思ったより早かったですね。さ、あがってください」
「あけましておめでとうございます。美鈴さん」
「あけましておめでとう。ようこそ御坂家へ」

「で、どういうことだ?これ。俺は新年会をやるって聞いただけなんだけど」
「私なんて、お客さんがくるってことしか聞いてないわよ。玄関あけたら当麻がいてびっくりしたわよ」
「確かに俺もびっくりしたよ。せめてちゃんと説明してほしかったよな」
「あとでうちの母親にはちゃんと言っとくわ…」

部屋に上がった上条は、美琴と話すが、結局お互いが状況を理解しきれていなかった。
そこへ、美鈴と詩菜が予定を説明した。
料理は女性陣が担当…というあたりまで話したのだが、ここで美鈴が予定変更を告げる。

「せっかく学園都市からもどってきてくれてるんだし、美琴ちゃんと当麻くんで買出しいってくれない?こっち来るのも久しぶりなんだし、このあたり見て回るのも悪くないとおもうんだけどさ」
「そ、それって、私がコ、コイツと買出しいくってこと!?」
「それ以外の解釈できるような説明じゃなかったとおもうんだけどなー」

ニヤニヤと美琴に話す美鈴。真っ赤になりつつ言い返そうとする美琴。
そんな様子に上条は、特に気にしていないような調子で言う。

「買出しくらい別にいいじゃねーか。行こうぜ、美琴。美鈴さん、このメモのとおりで、できるだけ安く済ませちゃえばいいですかね?」
「あー…うん。大体は安いやつでおっけーだけど、調味料だけはここに書いてあるメーカーのでお願いね」
「わかりました、っと。それじゃ行くぞ美琴。おーい、動けって」
「え?あ、うん。わかったちょっとまって」
「いってらっしゃーい!美琴ちゃん、がんばれー」
「が、がんばれって何をよ!」

買出し。2人きりで買い物をするだけなのだ。2人きりで出かけるだけなのだ。2人きり。
(こ…これってデートみたいじゃない!ダメダメ!意識したらダメだ。落ち着くのよ…)

「どうした?やけに静かじゃねーか」
「そ、そんなことないわよ?買出しに行くまでの流れが予想外すぎてちょっと考えてたの」
「まぁ、あらためて、だ。今年もよろしくな」
「うん。今年もよろしく。そうだ、メール」
「ん?そんなに変だったか?」
「そうじゃなくてさ、能力なしの勝負なら、また受けてくれるの?」
「ビリビリだけはほんとに簡便な。あれって結構怖いんだぞ?大丈夫なふりをしてるけど上条さんは結構びびってたりするんです」
「ならどんな勝負ならいいのよ?」
「そりゃこないだみたいなスポーツでもいいし、ゲーセンのゲームとかでもいいぜ。ただ、勉強方向は簡便な」

スポーツでの勝負はともかく、ゲーセンで男女で一緒にやっていたらそれはもうデートなのではないだろうか?
そんな疑問を抱きつつ、上条と美琴は近所のスーパーへ向かうのだった。


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