とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part16

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集



大覇星祭こぼれ話 Ⅱ



美琴「あれ? 黒子だけ? アイツとあの人は?」
白井「存じ上げませんわ。わたくしが来たときには誰もまだ戻っておりませんでしたし」
美琴「ま、いっか。まだちょっと時間あるし」
白井「あら? 本当によろしいですの? もしかしたらあの殿方とあの女性があげなことやそげなことを、階段や廊下の物陰、お手洗いで行為に及んでいるのかもしれませんわよ~?」
美琴「ん? あーないない。あの女の人のことはよく知らないけど、アイツに全然興味なさそうだったもん」
白井(……なるほど。今回、お姉様が落ち着き払っているのはわたくしとあの女性が類人猿に興味ないからですかそうですか……しかもそれが分かるお姉様……何か腹立たしいですわね……)
美琴「黒子? どうしたの? 何だか口惜しいって顔してるけど」
白井「い、いえいえ。何でもございませんわ。おや? どうやら戻ってきたみたいですわね」
吹寄「ほら! さっさと運びなさい上条当麻! もう二人とも待ってるわよ!」
上条「吹寄さんも持とうよ! ジュース4本って両手に持ち切れないから抱えることになるんで二の腕とか胸とか冷たくなるんですよ!」
吹寄「馬鹿言ってんじゃないの! お金はあたしが出したんだから上条が持っていくのは当たり前でしょ!」
美琴「え? 差し入れ?」
吹寄「あ、お待たせ。どうぞ一人一本だけど。あたしたちは高校生だし、いくら常盤台でも二人は中学生なんだからこれくらい当然よ」
美琴「ありがとうございます(ほへー。随分気の利く人みたい)」
白井「ありがとうございますの(『脳を活性化させる12の栄養素が入った能力上昇スポーツドリンク』…ジュースの趣味はあまりよろしくないようですけれども……)」
上条「さて、吹寄さん。簡単でいいから改めて自己紹介お願いできる? 今回、初登場だし」
吹寄「え? そうなの? ま、まあいいけど。えっと、あたしの名前は吹寄整理。以前、大覇星祭運営委員やって、不本意にも上条当麻とはクラスメイトなの。で、クラスのまとめ役でもあるわ。ここにいる上条当麻を始め、いつも馬鹿やる三人組を戒める役割と言い換えてもいいわね」
上条(あと、色気が無い巨乳で、何かと俺を目の敵にしている『対カミジョー属性完全ガードの女』と評されている健康グッズ大好きの女の子と言ったら殺されるだろうな)
吹寄「…今、色気が無い巨乳で、何かと俺を目の敵にしている『対カミジョー属性完全ガードの女』と評されている健康グッズ大好きの女の子とか思わなかった?」
上条「!!!!!!!!!!?! そそそそそそそそんなこと微塵も思ってませんよ吹寄さん! だから、その睨むだけで人を殺せそうなジト目を向けるのはやめてください! 怖いから!!」
美琴「あー何だろう? いいコンビみたいだけどそれでも和むわー」
白井(な、なんですの! お姉様のそのほんわかした笑顔は……!! く……『対カミジョー属性完全ガードの女』は伊達ではございませんのね! 今回は腐れ類人猿に宛がえそうな相手ではない、そういうことですのね……!!」


 何故ならば、運営委員の吹寄整理が服を脱いでいたからだ。
 ――――吹寄整理は、下着一枚の格好だった。本当に一枚で、ブラすらない。


上条「……っ! 最初からクライマックス!? って、はっ!!」
 がすがすがすがすと白井黒子の金串によって上条当麻は壁に磔にされる。
白井「おっ姉様~~~♪ 思う存分やっちゃってくださいな♪」
美琴「ありがとう黒子。アイツの動きを止めてくれたことは心から感謝するわ」
上条「ちょ、ちょっと待てお前ら! 動き早過ぎるだろ!? 逃げる時間とは言わないけど、せめて言い訳するくらいの時間はくれよ!!」
吹寄「それって辞世の句って言わない?」
上条「ふ、吹寄さん!? クラスメイトがピンチなのよ!? ここは助けてくれても罰は当たんないと思うな!? だって吹寄さんはこれを事故だって知ってるんだからさ!!」
吹寄「そうね。確かに事故だったわ。でもあたしが着替えなくちゃいけなくなった原因を作ったのも上条当麻だったわよね?」
上条「――――っ!! 前回、吹寄さんがホースで透け濡れアクシデントはスル―されたのに蒸し返された!?」
美琴「ほっほ~う……という事は情状酌量の余地なしね……」
上条「みみみみみみみみ御坂さん! 落ち着こう! 話せば分かる!!」
美琴「ふっふっふっふっふっふ。大丈夫よ安心して。私も殺人者にはなりたくないから『電圧は押さえて』あげるから……」
上条「それを大丈夫とは言わねええええええええええええええええええ!!」


「あたしがメモを片手に通販番組を観たり、ベッドの上でゴロゴロしながら通販雑誌をめくっているのが何か悪い訳!?」


上条「……何でそんなに通販好きなんだよ。実際は買ってもそんなに使わないくせに」
吹寄「き、貴様に迷惑かけてる訳じゃないでしょ!? それに…ああいうのって宣伝文句がうまいから……あっ、あとほら! 今の月9の検事もよく買ってるでしょ!?」
上条「だからってちゃんと考えろよ。つか、理由になってねーよ。倹約家な上条さんからしたら、考えられませんですよ全く」
吹寄「貴様はただのケチだ」
白井「それ以前にただの貧乏ですの」
上条「ふっ……そうとも言うがな」
美琴「否定しないんだ……」
吹寄「けどちゃんと効果のある物も多いのよ。例えば塗ると体が火照って発汗作用のあるクリームとかね。…まぁ、火照りすぎて若干いやらしい気持ちにもなるのが玉にキズだけど」
白井「っ!!?」
吹寄「あと、飲むと成長促進に役立つ薬なんてのもあるわ。…まぁ、あたしの場合それが全部胸にいっちゃった訳だけど」
美琴「っ!!?」
上条(白井と御坂の目の色が変わった気がするけど…きっと気のせいだろう)


 御坂美琴は街を走っていた。
 ―――― 一般来場者の立ち入りを制限せず――――むしろ彼らの存在が必須である唯一の競技。
 借り物競走である。


美琴「この競技って私よりも黒子の方が絶対に向いてるわよね。大覇星祭の借り物競走って競技場の外に出ていくマラソンを複雑化させたようなルールなんだし、移動の能力者が最大限に力を発揮できるもん」
白井「お姉様にそう言っていただけるのは光栄の極みというものですわ。ですが、この時の私は車椅子でしたし、仕方ないのではないかと」
吹寄「車椅子? まさかと思うけど上条当麻……?」
上条「どうしてそこで俺が疑われなくちゃならんのか小一時間ほど問い詰めたい。ちなみに俺、関係してたんだっけ?」
美琴「中心ではないけど、関わってはいたわね」
白井「うぅ……白井黒子一生の不覚……あの類人猿に抱かれたことなど記憶の奥底に封じ込めて、未来永劫思い出したくありませんでしたのに……」
上条「ああ。あの倒壊ビルのやつか。って、おい。いちおー俺は白井を助けた側だよなぁっあがっ!!」
吹寄「やはりか上条当麻。きさま、このような中学生にまで手を出すとは心底心根が腐っているわね」
上条「意味が違うんだよ吹寄サン! 俺はこの時、白井を助けたんだからね!!」
美琴(は、早い! 今のアイツの後頭部をはたいた右フック、まるで見えなかったし!! つっても嫉妬からくるツッコミでもなかったから、ま、いっか)


 彼女は手の中にある紙切れをもう一度開く。
 そこに書かれた、物品の名前を確かめる。
(また面倒なものを引き当てちゃったわね。……っと!!)


吹寄「基本、借り物競走に書かれているモノって受け狙いの所為か、面白いものが多いわよ」
上条「あとから俺も出てくるだろうけど、俺のはちょっとありきたりだったな。つっても『学園都市』だから、アレを持っている人ってそういないんで思ったより苦労したが。ところでこれってやっぱり運営委員が作ってんの?」
吹寄「そ。だから物品名はバラエティに富むの」
白井「聞いたところによりますと、健康グッズもあったとのことですわ」
美琴「学生がほとんどの学園都市で、しかも『運営委員』という学生が作っているのに何で?」
上条「………………吹寄さん?」
吹寄「あたしには上条当麻が何を言っているのか分からないわ」
上条「………………だったら、俺の目を見て話せよな?」
美琴「どうしたの?」
上条「ん? いや何、その健康グッズを書いた運営委員が誰かって話をぉおごっ!!」
吹寄「上条当麻。頬に蚊が止まっていたわよ」
上条「てめえ! 今、グーで殴ったろ! 何で蚊でグーなんだよ! せめてパーだろ!?」
美琴「……結果は変わんないような気がするんだけど? 『頬』なんだからさ」


 ――――右から高速で飛び出してきた御坂美琴が、上条の首の後ろを掴んで勢いよく左へと消えていったのだから。
「おっしゃーっ! つっかまえたわよ私の勝利条件! わははははーっ!!」
「ちょ、待……苦じィ! ひ、一言ぐらい説明とかあっても……ッ!!」


上条「相変わらず強引だよなお前って」
美琴「仕方ないじゃない。勝負事なんて勝ってナンボなんだから、なりふり構ってらんないわよ」
白井「とは言え、片手で後ろ襟首を掴んで全速力で走れるお姉様の腕力と脚力は普通じゃありませんの」
吹寄「さすがはレベル5ってことかしら」
上条「いや……御坂のレベル5は電撃使いとしてであって、肉体強化の能力じゃないから……」
美琴「真面目な話をするなら、磁力を使って加速してるんだけどね。リニアモーターカーの原理よ」
上条「……『俺』を掴んでて? 俺がくっ付いてると右手が能力を打ち消すはずなんだが?」
美琴「……」
白井「お姉様? 何故目を逸らしておりますの?」


「……(上条当麻。一応、『借り物』の指定は間違っていないみたいだけど、よっぽど女の子と縁があるようね貴様は!)」
「……(その声は……、うわっ! 吹寄サン!?)」
「……(先ほどは大変申し訳ございませんでしたわたくし上条当麻の不注意によってよもやアナタサマの着替えを覗いてしまうとは)」
「……(こちらは忘れようと努めているのだから蒸し返さないでよ上条当麻!)」


美琴「アンタ、本当にわざとじゃないの? いったい何人の女の子の着替えシーンに飛び込んでるわけ?」
上条「めめめめめめ滅相もございません! 本当に単なる偶然なのでございます! ですからそのバッチンバッチン言わせてるものをしまってください御坂様!!」
吹寄「ほほぅ? 上条当麻、やはり貴様には制裁が必要のようね。それとも補導の方が適切かしら? ここに風紀委員もいるしちょうどいいわよ」
白井「ですわよねー。わたくしが知っている限りでもこれで、わたくしとこちらの方になるわけですから」
美琴「……」
上条「みみみみみみみみ御坂さん!? 何やら雷撃が高速で螺旋の渦を巻いてますよ!? なんだか髪が金色になって逆立ちそうな雰囲気なのですが!?」
白井「今ならお姉様が超電磁砲レベル6を制御できるかもしれませんの」


「ルールには第三者の了承を得て連れて来るように、とあるようだが目の錯覚ですか?」
「あーあー錯覚錯覚。 っつか事後承諾が駄目とは一言も書いてないじゃない」


上条「どんな理屈だよ! じゃあお前は『いただきます』って言ってから食べるんじゃなくて、食べ終わってから『いただきました』って言うのか!?」
美琴「言わないわよ。大体、食べ終わったら『ごちそうさま』でしょ?」
上条「そういう事聞いてんじゃないのは分かってるよね!!?」
白井「運営委員側の意見を聞きたいところですわね。ルール的にはどうですの?」
吹寄「そうね…あまり良くはないけれど、対象が上条当麻なら何も問題ないわ」
白井「だ、そうですの。ちなみに風紀委員的にも同意見ですわ」
美琴「ほらみなさい」
上条「理不尽すぎやしませんかっ!!? 終いにゃ泣くぞこんちくしょう!!!」


 美琴は自分の体を覆っていたスポーツタオルを上条の頭に被せた。その上から両手を使ってわしゃわしゃわしゃー、と顔の汗を拭っていく。子供が濡れた髪を拭いてもらうような仕草に似ていて、上条はやや屈辱的だったが、結構強引な力加減なので振り払えない。バタバタと両手を振る仕草が余計に子供臭く思えてきたので、上条はもう黙って身を任せることにした。


白井「きしゃーっ!!」
上条「って、おい! 何かいきなり白井が臨戦態勢なんですけど!?」
白井「うぉのれぇい! この腐れ類人猿が!! お姉様の清らかでほのかに甘い香りを放つ汗が染み込んだタオルで己の汗を拭う蛮行に及びますとは、わたくしにケンカを売っていると判断してよろしくて!!」
上条「ちょっと待て! 別に俺が拭いてるわけじゃなくて御坂がやってんだろ!? 何で俺の所為なの!?」
白井「どやかましいですの!! そもそも途中から貴様はお姉様にお任せしてるではありませんか!!」
吹寄「んまあ、真面目な話をするならタオルは選手一人につき一枚だったしね。『借り物』の指定は『人』よりも『物』の方が多いわけだし、今回の上条の所業に関しては、ある意味仕方ないことなのよね」
美琴「そうそう仕方ない仕方ない///」
上条「こらテメエら! 二人して腕を組んでふむふむ頷き合ってんじゃねえよ! 俺が悪くないってなら助けてくれよ!!」
白井「死にさらせぇぇぇえええええええ!! この猿がぁぁぁぁぁあああああああああああああああ!!」


 ――美琴はストローのついたドリンクボトルを手渡そうとしたようだが、ふと飲み口を見て、彼女の手が止まる。美琴は吹寄の顔を見て、スポーツドリンクのボトルを軽く揺らした。クリップボードに何か書き込んでいた運営委員の吹寄整理は顔を上げると、首を横に振った。一人の選手が二本以上のドリンクを要求するのは規則で禁止されているらしい。


吹寄「んまあ、これも仕方ないのよね。『借り物』の指定は『人』よりも『物』の方が多いわけだし、この場合、『品物』でしかない上条当麻は『選手』ってわけじゃないし」
美琴「そうそう仕方ない仕方ない///」
白井「……ふっふっふっふっふ。正直言いますと次の展開を知っていますが、思い出すだけで笑いが込み上げてきますわ……」
上条「あ、ああ……確かに笑いが込み上げてきているようだよな……ちっとも目は笑ってないけど……」


「ええいホントに腑抜けているわね! 仕方がないからあげるわよ! ほら!!」
「ぐあーっ!!」
 ぐいーっと上条のほっぺたにドリンクボトルの側面を押し付けた。――――
 顔を真っ赤にした彼女は、上条から背を向けると表彰台の方へ消えていく。――――
 横の吹寄は無言のまま、思い切り軽蔑の舌打ちを鳴らしたが、――――


美琴「///」
吹寄「チッ!」
上条「ああ、そうそう。そんな感じだった」
白井「チッ!」
上条「…いや、白井までマネしなくていいんだぞ?」
吹寄&白井「「チッ!!!」」


 ――――もらったドリンクをチューチュー吸いながら――――


白井「きしゃーっ!!」
上条「って、おい! やっぱりいきなり白井が臨戦態勢なんですけど!?」
白井「うぉのれぇい! この腐れ類人猿が!! お姉様が清らかな唇を付けられてほのかに甘い香りの唾液が付いたストローを口に含みますとは、わたくしにケンカを売っていると判断してよろしくて!!」
上条「いや、だって仕方ないだろ!? 俺だってこんときはバテバテだったんだし、水分補給したくなるのは当然だろ!?」
白井「だからと言ってやっていいことと悪いことがありますの! ちなみに、これは断然、悪いことことの方ですわ!!」
吹寄「ルール上のこととは言え、上条当麻。貴様のデリカシーの無さは救いがないわね。その腐った根性をやはり徹底的に叩き直す必要があるかしら?」
美琴「ええっと、でもそいつの言う通りで、こ、こ、この時は仕方ないんじゃないかなぁ……///」


『第一種目で競技を行った高等学生』の一言のみ。


上条「結局のところ、何で御坂は俺を選んだんだ?」
美琴「ふぁえっ!!? そ、そそそそれはだから! さ…探してる所でアンタがたまたま私の近くを通っただけよ! それにその…高等学生ったって他に知り合いとかあんまりいないし、だ、第一、どの人が第一種目をやったかなんて調べるのもめんど……って、ちちち違うのよっ!!? ア、ア、アンタしか見てなかったとかそういうんじゃなくてね!!?///」
吹寄(何て分かりやすい反応なのかしら……)
白井「お…お姉様ああぁ………」


『―― 一位を獲得した御坂美琴選手はゴール後も体勢を崩す事はなく、まだまだ余力を感じさせる姿を見せてくれました』
 ガバッ!! と白井は瞬間的に大画面の方へ向き直る。


白井「お姉様 嗚呼お姉様 お姉様(五七五)! やはり完全なる圧勝という形で、その躍動する肢体を皆へ見せつけていましたのね! 生はおろか録画すら出来なかったわたくしをお許しくださいですの!――って、はっ! つい、お姉様の雄姿に時と我を忘れてしまってましたわ!」
美琴「いや、いつものアンタだし……」
上条(た、助かったぁ……)


 次の瞬間、彼女は見た。
 御坂美琴が男子生徒の手を握って競技場を走っているのを。
 御坂美琴が男子生徒の体を自分のスポーツタオルで丁寧に拭ってあげているのを。
 御坂美琴が男子生徒に自分が口をつけたスポーツドリンクを手渡しているのを。
(あんの若造が……ッ!! お、おねっ、お姉様に手を取ってエスコートしていただき、お姉様の世話焼きスキルで全身の汗を処理してもらい、あ、あまっ、あまつさえ、お姉様の素敵ドリンクにまで手を出してエええええええええええええッ!!)


白井「こっ、殺す! 生きて帰れると思うなですのよ!! こんの腐れ類人猿がぁぁぁぁぁあああああああああああああ!!」
上条「って、やっぱ助かってなかったぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
吹寄「あの……この時、彼女は車椅子だったわよね? 怒りで立ち上がるって、ここって別に少年漫画的ガッツを見せる場面じゃないわよね……?」
??「やっぱりそう思いますよねー」
美琴「ま、まあいつものことですから……///」


 次の競技は玉入れだ。
 御坂美琴は土でできた校庭に立っていた。


上条(あっ、大分飛んだなぁ…まぁ吹寄や白井がいる中で、オリアナとか刺突杭剣の話をする訳にもいかないもんな)
吹寄「あら? 貴様が皆の応援をサボって小萌先生や白いシスターの子の着替えを覗いたり、綺麗なお姉さんの胸に顔をうずめたりしている描写はカットなのかしら?」
上条「ちょーっ!!! ふ、吹寄さん!? 何、真顔で悪意たっぷりな事言ってんのさ!?」
美琴「……………」
上条「ほらーっ!!! 御坂さんがとっても怖い顔をしていらっしゃるじゃないですかーっ!!!」
吹寄「ん? あたし、何か悪いこと言った?」
上条「無自覚!?」
吹寄「それに、あたしにセクハラかまそうとしたり、綺麗なお姉さんの誘惑に乗ろうとしたことは伏せてあげたんだからいいじゃない」
上条「今、言った! 今、暴露した! だから御坂さんの髪がマジで逆立ってるじゃないですか!?」
吹寄「何で?」
上条「一片の悪気も感じられないし!?」
白井(うけけけけ! ざまぁですのよ類人猿! このままお姉様に嫌われてしまえですのー!)


(ア・ン・タ・は、そこで何やってんのよ。ねぇ……ッ!?)


吹寄「これはあたしも知りたいわね。貴様はここで、何をしようとしていたの?」
上条「うっ…! えと…そ、それはですね……っと、そうだ! 御坂の応援に来たんだよ! うん、それだ!」
美琴「にゃっ!!? わ、わわ、私の為!!?///」
上条「いや~、ミコっちゃんの頑張る姿を目に焼き付けておこうかと思いましてね~!」
美琴「あ、そ、そうなんだ……へ、へぇ~…///」
吹寄「……明らかに、今とってつけた様に理由付けしたわよね」
白井「それ以前に、そもそも競技場に現れた理由にはなっておりませんの。応援でしたら、観客席にいるはずですわよね」


「ったく……アンタってヤツは、そーこーまーでーしーてー私に罰ゲームを喰らわせたいって言うのかしらーん!?」


美琴「っと、そうよ! よく考えたら妨害工作じゃない! 何が応援よ馬鹿っ! あやうく騙されるところだったわ…」
吹寄「よく考えなくてもそうだと思うわよ……で、結局何をしようとしていたの?」
上条「うっ…! えと…そ、それはですね……っと、そうだ! どうしても御坂と一緒の競技をしたかったんだよ! うん、それだ!」
美琴「にゃっ!!? わ、わわ、私と一緒に!!?///」
白井「お姉様あああああ!!! いくら何でもチョロすぎますわよ!?」


「ばっ、」
「馬鹿じゃないの。味方の攻撃なんか防いじゃって。べ、別に、アンタなんかに助けてもらわなくても、私の力ならどうとでもなったわよ。――――」


白井「ですからっ! いくら何でもチョロすぎますってばお姉様っ!!!」
美琴「ちょ、ちょろいって何よ!!!」
吹寄「いや、だってこの台詞…もう典型的なツンd」
美琴「わーわーわーーー!!!!!///」
上条「なに、どした?」
美琴「何でもないから気にしないでっ!!!///」
上条「あ、そ、そう…?」


「――――そこは危険なんだ! お前に怪我なんてしてほしくないんだよ!!」
 うっ、と美琴の動きが止まる。
 何故かそのほっぺたがみるみる赤くなっていく。――――
「これぐらいの競技で、そこまで心配してくれなくても。私の能力があれば、どんなヤツが攻撃してきたって、どうにでも、できるんだから……」


上条「こん時の御坂、やたらとモジモジしてたんだよな……何で?」
美琴「なっ! ななな、何でって!? 何でって何がよ!!!///」
上条「あ、いやだからさ」
吹寄「その理由を貴様自身は分かっていない訳…ね。所詮、貴様は上条にすぎないってところかしら」
上条「どういう事だよ!」
吹寄「教える義務はないわ。自分で気づきなさい」
上条「えー…? 何か今回のゲスト、二人とも俺に敵意があるからやりにくいわ……俺はただ、この時のミコっちゃんが妙に可愛かったから何でだろうな~、って思っただけなのに…」
美琴「カワっ!!!?///」
吹寄「チッ……そういうところが嫌いなのよ…上条当麻!」
上条「だから、そういうところってどういうところなんだよ……っと、そう言えば白井が大人しいけど、どうしたんだ?」
白井「ああ……こんなお顔をするお姉様はとても愛らしいですのに、それがこの類人猿に向けられた表情だなんて……わたくしは…わたくしは喜べばよろしいんですの!? それとも怒りをあらわに…もしくは悲しめば!?」
上条「……ほっとこう。相手にするの、めんどそうだし」


(とりあえず……何とか、なったか? ってか、コイツ何で顔を赤くしてんだ???)


美琴「あああ赤くなんてしてないわよっ!!!///」
上条「いや、してんじゃん。そして今も」
美琴「は、はあ!? 違うし! こ、ここ、これはただ暑いだけだし! べっ、別にこの時の事を思い出して赤くなったとか、そういうんじゃないしっ!!!///」
吹寄「どんどんボロが出てるわね……」
白井「ううぅ…類人猿が気づいていないのがせめてもの救いですの……」


 両手を美琴の細い腰に回すようにして、地面へ叩き付けるように一気に押し倒す。


白井「がっ!!!?」
美琴「ああもう……///」
吹寄「上条当麻ぁ~………」
上条「え、み、皆さんどうなされましたので?」
吹寄「どうもこうもないでしょうが!!! こんな…何してるのよ貴様は!」
上条「え、あー…(う~…速記原典の事を言わないで、どう説明すりゃいいんだよ…)」
吹寄「言いよどむって事は、やはり疚しい事をしようとしてたと捉えてもいいのね?」
上条「じゃあもう、それでいいよ…(言い訳思いつかないし…)」
美琴「ええちょっ!!? そ、そそ、それでいいって、アンタ、えええええええ!!!?///」
上条「はいはい。上条さんはミコっちゃんの可愛さに思わず我慢できなくなり、押し倒してしまいました。…って事でいいですよ。……はぁ」
美琴「○×△□☆◎+▽◇@!!!!?///」
白井「ふ………ふふ…ふ……………ほんぎゃあああああああ!!!!! もおおお限界ですの!!! そろそろ類人猿の息の根を止めても誰も文句を言いませんわよね!!?」
吹寄「あたしもそのつもりだったわ。風紀委員が手伝ってくれるのなら心強いわね」
美琴「ふにゃー///」
上条「原因は俺だから言えることじゃないけどさ。不幸だー」


「黙ってろ。ちょっと動くな」
 言って、彼は美琴を押し倒したまま、彼女の顔を真近から覗き込んだ。
 ――もっと間近で観察するため、上条はさらに顔を近づけていく。


白井「そわぁてぇ……上条さぁぁぁン? 己はいったい何をしようとなさったのかしらぁン?」
上条「ヨーシOK説明してさしあげますから、俺の首筋に当てているその鋭利で物騒なものをしまってくださいませんか? 冷や汗がさっきから止まらないんだけど」
吹寄「上条ぉ当麻ぁ? 貴様には、たぁっっぷりお灸をすえてやった方がいいのかしらぁン?」
上条「うん。吹寄サンが鍼灸用の針を持っていても何も不自然じゃないけど使い方は明らかに間違っていると思うぞ? 絶対に俺の首筋に当てるもんじゃないよな?」



 美琴はパチパチと瞬きをした後、真剣な顔を近づけてくる上条に何かを察すると、やがてゆっくりと両目を閉じた。



白井「って、ちょ、お姉様ああああああああああっ!!!? こここここれは一体何を!!?」
吹寄「何だ…あなたもその気だったのね……それはどうもお邪魔しました」
美琴「ちちちち違うんですっ!!! ここ、これ、これはほら、この馬鹿が急にあの、なんかアレだったものでっ!!!///」
上条「何一つ具体的な言葉を言ってないぞ御坂。…てか、何をどう察して目を閉じたのか今でも分かんないんだけど」
美琴「っ!!! そ、それは…その、あの………///」
吹寄「上条当麻…それ以上の発言はセクハラとみなすわ!」
白井「やはりお殺しになるしかありませんわね!!」
上条「だから何でだよ!?」


上条「っと、今回はここら辺までにしておくか(これ以上やると、本当に殺されそうな勢いだし)」
吹寄「なっ…逃げる気なの上条当麻!?」
上条「あっ、バレてる」
白井「そうはいきませんわよ類人猿………今からあなたの脳を三分割に分け、ネバネバした液体の入った容器にそれぞれ入れてさしあげますからお覚悟してくださいましいいいいいいい!!!!!」
上条「上条さん冷蔵庫になるの巻!!? み、美琴センセー! いつまでも赤くなってないで助けておくんなまし!!!」
美琴「だから…ち、違うんだってば………アレは…べ、べべ別に…キッ!!!………ス…とか!!! そんなのを期待してた訳じゃにゃくて………その……ぁぅ………///」
上条「聞いてないよこの子!? ちょ、美琴さーーーーーん!!! お願い、僕の下に帰ってきてえええええええ!!!!!」
美琴「ぼぼぼぼ僕の下おおおおおおおお!!!?///」
上条「何でそんな時だけ聞こえるの!?」
吹寄「やはり…貴様は息の根を止めた方が良さそうね! これ以上、犠牲者を出さない為にも!」
白井「きしゃーーーーーーーっ!!!!!」
上条「あーもう、カオス!!」


上条「…あの二人、やっと帰ったか……」
美琴「そ、そうね……(う~…まだ顔色が元に戻らない…///)」
上条「今回はとくにゲストが酷かったな。本気で死ぬかと思いましたよ」
美琴「それは、ア、アンタが悪いんじゃない…私に……あんな………ゴニョゴニョ…///」
上条「だから何度も言ってるけど、俺がどうして悪いんだよ!」
??「あらあら。その乙女心が分からないところ、一体誰に似たのかしら?」
??「当麻! 中学生を押し倒して、キ、キキキキスを強行しようとしたらしいじゃないか! そんなうらやま…じゃなくて! そんなけしからん事をするような子に育てた覚えは無いぞ!?」
??「んー…私としてはそのまま美琴ちゃんの唇を奪ってくれても良かったんだけどな~」
上条「母さん! 父さんも!?」
美琴「ママ!?」
美鈴「やっほー、美琴ちゃん。それに上条くんも…っと、ここは当麻くんって呼んだ方がいいかしらね?」
刀夜「や、これはこれは。ウチの息子と女房がお世話になっております」
美鈴「いえいえ。お互い様ですから」
上条「保護者っぽい挨拶始まった!」
美琴「え、じゃあ何!? アンタんとこのご両親と、私のママが次のゲストなの!?」
詩菜「それより刀夜さん。さっきのうらやま…ってどういう事なのかしら。私みたいな年増よりも、若い子の方がいいという意味なのかしらうふふふふ」
刀夜「い、いや違うぞ母さん!? 私は若い女の子よりも母さんの方が大人の魅力があって素敵だと…いや! 大人の魅力と言っても決して母さんが歳を取っているからとかそんな意味では無くてね!?」
美琴「………何この既視感…」
美鈴「と・こ・ろ・で美琴ちゃん! さっき何で目を瞑ったのかしら~ん?」
美琴「って! せっかくうやむやになったのに蒸し返されたっ!!!///」
美鈴「気になるにゃーん。何で美琴ちゃんが顔を赤くしながらあんな事したのか気になるにゃーん」
美琴「ちょっと黙ってよママァァァァァ!!!!!///」
上条「うわ~…次もカオスな予感………」
??「……完全に出遅れたかも……でも、私も次のゲストなんだよ!」
上条「インデックス!? 確かに後から来るみたいなこと言ってたけどもう来ちゃったの!? あと、いつもの大きさに戻ったんだねおめでとう!!」
禁書「何かなとうま、その言い方は! 私が来ちゃいけないのかな!!」
美鈴「あら? こっちの子は……どこかで会ったような……」
上条(あの夜は泥酔してたから覚えていないんだろうな……大覇星祭のときとは恰好が違ってたし)
刀夜「おや? そちらのお嬢さんは……浜辺のときと大覇星祭の昼食のときに当麻と一緒にいた……」
詩菜「あらあら刀夜さん的には、一度見た女性は忘れない、そういうことなのかしらそうかしら。しかも年齢関係なく、そうなのかしら?」
刀夜「か、母さん誤解せんでくれ! 私は別段、女性だから覚えていたんじゃなくて、当麻と一緒にいるお友達なんで顔を覚えていたんだからね!?」
美琴「はぅむ……次回はカオスと言うより、この保護者どもにメインを喰われてしまいそうな……」
禁書「あー……なんとなく原作のこの時期並みに私の存在感が無くなりそうな気がするかも……」
上条「と、とにかく、今回はこの辺で。また次回会いましょう。さよーならー」









タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

目安箱バナー