はーじまーるよー。

他作者様、そして読者の皆さんこんにちは。栃木からの刺客、一番早アルティエです。
フルネームが長めなんで以降はアルとお呼び下さい。よろしくアルよ、なんちて。

さて、クッソメタい挨拶に困惑している人も多いと思いますので私について説明しましょう。

私は殺人鬼などではありません。ただのカレー屋です。
つい先日、山乃端一人さんが何者かに殺害され、私アルはその現場にいました。
あっ、もちろん犯人じゃないです。死体発見者の一人というだけです。
そして、死体発見の恐怖と何処からか放たれた強烈な殺意で無事気絶。その後のお巡りさんの厳しい取り調べもあわさりストレスによる魔人化となったのです。

私が獲得した魔人能力は『キラダンはスマホと共に』といいます。
私の持っているスマホからはキラキラダンゲロスのwikkiページを見る事ができ、これによって私は皆様のいる『上の世界』の存在やこの世界のルールを知る事が出来たのです。

そんなわけで、状況を知った私はただ今発狂寸前です。
こちとらカレー南蛮好きの一般人アルよ。
殺人鬼相手に三回も四回も勝てるかー!
初戦で死ぬわー!つーか人殺しになんてなりたくねー!でも殺さないと存在が消去されてまうー!どうすればいいんだー!うわあー!

  • ・・すみません、取り乱しました。
汚い文字数稼ぎはこのくらいにして、本題に入ります。
私は今から人を一人殺さないと存在が消去されてしまいます。
ですが、成り立てホヤホヤの非戦闘系魔人である私は肉体的にも精神的にも殺人は厳しいです。
なので抜け道を使おうと思います。

キラキラダンゲロスのwikkiを確認した所、11月26日時点の殺人ノルマについてのレギュレーションは以下の様になっています。

『東京内で最低一人殺せ』
『不死者は死亡と見なせる状態にすればオーケー』
『殺害方法は他人を操る等間接的なものでもよい』
『人間社会に溶け込み意思疏通できるなら人間以外でもよし』
『死後復活させるとか温い事禁止』

お気づきでしょうか。このレギュレーション通りなら別に戦闘しなくていいんです。
強敵と殴りあって俺ツエーアッピルしなくてもいいんです。
他の参加者さん達はここで思いっきり強さを見せつけるでしょうが、私には見せられる強さも狂気もありません。

車で子供をはねるとかボケ老人を毒殺するとかが手軽でしょう。
ただし、そういった方法は簡単ではありますが立派な犯罪です。
ただでさえ山乃端一人さんの件で警察にマークされてるかも知れない私がこんな事したらすぐ犯行が露呈してガメオベラでしょう。

お待たせしました。アルのノルマ達成方法を発表します。
まず、昼の内に銀行に行って500万引き出します。足りなければ借金も覚悟していましたが無事500万引き出せました。真面目に社会人していた自分に感謝アル。

次に500万を50万×10に分割し封筒に入れます。この封筒を持って夜の街のある場所へ向かいます。

着きました。歌舞伎町歓楽街の裏にある産婦人科。風俗で働くお姉さん達が妊娠検査や中絶に利用する病院です。
勘のいい皆様はもうお気づきですね。
そうです。私は風俗嬢に中絶費用を渡す事でプロローグノルマを達成するのです。

胎児は法的に人に含むかは微妙か所ですが、胎教というコミュニケーション手段があり、妊娠の発覚は間違いなく社会に影響を与えるので胎児の中絶に協力するのは今大会のレギュレーション的に殺人に含むのてす。たぶん。

では、病院の近くで挙動不審な女性を見つけ次第お願いしていきましょう。

「あー、どうしようかしら。ソワソワ」

さっそく見つけました。イクゾー

「そこのお嬢さんー!」
「ひえっ!」
「妊婦ですか?妊婦ですよね?私、お金に困った妊婦に中絶費用を援助しておりまして・・・」
「いやぁー!!」

残念、逃げられてしまいました。
まあこのぐらいは計算の内です。どんどんイクゾー

デッデッデデデデ!(カーン)デデデデ!
デッデッデデデデ!(カーン)デデデデ!

「妊婦さんですよね?」  
「違います」

ぺーぺぺぺーぺーぺーぺーペペペペッペー
ペッペッペペペーペペペッペッペーペペー
(デッデッデデデデ!〈カーン〉デデデデ!)

「中絶にお困りでしたら」
「知らない人から施しは受けないわ」


ぺーぺぺぺーぺーぺーぺーペペペペッペー
ペッペッペペペッペーペッペーペーペペー
(デッデッデデデデ!〈カーン〉)

「あの、中絶のお助けを」
「おう、兄ちゃん。ウチの子になに絡んでんや?」


テレレーレーレレーテレレレーレーレテレレッテー(カーン)

「お願いします受け取って中絶してください!」
「意味わかんないんだけど」


テレレーレーレレーテレレレーレーレテレレッテー(カーン)

「ここに50万」「・・・(無言で立ち去る)」
「私が代わりに払い」「死ね」
「どうか!」「はぁ?」
「私を助けると思って!」「何言ってるの?」
「お願いじまあぁず!!!」

デッデッデデデデ!(カーン)デデデデ!
デッデッデデデデ...

はい、全滅です。いやあ人一人殺すのがこんなに大変とは思いませんでした。
歌舞伎町の尻軽女達なら割りと簡単に乗ってくれると思ったのですが。
仕方ない、別の手段を考えますか。
勿論、合法的手段ですよ。

「おじさーん、50万円くれるってマジ?」

帰る準備をしていた私の前に小汚ないギャルが声を掛けてきました。
これこれ、こういうのを待っていたんです!

「そうだよ。おじさんは妊婦の中絶費用を代わりに払ってあげたくて仕方ないんだ」
「ふーん。じゃ50万ちょーだい」
「はい」
「サンキュー」

ギャルは50万を受けとると病院には入らず、そのまま去ろうとしました。

「ちょ、ちょっと待って!そこの病院で中絶してくれないと困るよ!」
「大丈夫、妊娠したらこのお金使わせてもらうから。じゃーねー」

それじゃあ駄目なんだよ!
プロローグ期間は山乃端一人が死んでから数日しかないんだ!
今妊娠していならプロローグ終了までに絶対間に合わない!
私はギャルの背に飛びかかりお金を取り戻そうとしました。

「返せ・・・っ!俺の金だ、それは俺の命を繋ぐ金かんだ!今妊娠してないなら返せよ!」
「ええっ?くれるって言ったじゃん!離してよ!キモイ!」

私は彼女と揉み合いにかり、地面に倒れこみました。そのまま馬乗りになり、数度顔を殴り大人しくさせ、50万を取り返し帰宅しました。三次女は糞。はっきりわかんだね。
今日は何やっても駄目ですね。
もう寝ます。おやすみ。

『次のニュースです。先日夜八時ごろ歌舞伎町のクラブに勤務していた女性が意識不明の状態で路上に倒れているのが発見され、病院に運ばれましたが本日死亡が確認されました。亡くなった女性は小木屋瑠美(おぎやるみ)さん二十才。先日にの夕方にカレー南蛮と書かれたオレンジのシャツを着た男性と言い争いをしていた事が目撃されており、警察による調査が続いています』

ふあー、皆さんおはようございます。あ、ラジオつけたまま寝てたわ。消しとこ。

えー、今日はは戦いに備え武器や衣装を準備したいと思います。
え?プロローグ分の殺人ノルマですか?
それはご心配なく。実は昨日帰宅後に栃木の実家に電話したんです。私もうすぐ死ぬかもしれないですしおすし。

そしたらですね、中学生の妹が妊娠してしまったという話を聞かされたんですよ。
当然、東京の病院での堕胎をゴリ押ししました。普段の私ならショックで何も言えなかったでしょうが、キラダンに巻き込まれた事と中絶狙いで動き回っていた事もあってスラスラ説得の言葉が出たんです。

ノルマについては無事解決したので、残りの準備をしていきますね。
まず武器。これは仕事で使っている包丁でいいでしょう。毒も候補でしたが、一番使いなれた物をメインウエポンにする方がいいですよね。

柄と刃が完全一体化しているチタン製肉切り包丁。これが私の愛用品です。
ですが、仕事で使っているやつで人を切るのもアレなんで、予備として保管してあった新品でいきます。

次に衣装ですね。上はこのカレー南蛮Tシャツ、ズボンはジャージでいいとして、後は殺人鬼らしくマスクが必要ですね。
よーし、カレー屋らしいマスクを自作してみますか!

殺人鬼マスク製作開始です。用意するのはこちら。
愛用の肉切り包丁。豚。石膏。シリコン。裁縫セット。
まずシリコンで私自身の顔の型をとり、石膏を流し込んで像を作ります。
石膏像が固まるまでの時間を使って、マスクに使う豚皮をはぎ取ります。
私はカレー屋なので元気な豚を常に数匹確保してるのでそれを使います。
それでは、豚達のいる地下室にイクゾー

デッデッデデデデ!(カーン)デデデデ!
デッデッデデデデ!(カーン)デデデデ!

「よう、元気だったか豚野郎ども」  
「ぶひー」

ぺーぺぺぺーぺーぺーぺーペペペペッペー
ペッペッペペペーペペペッペッペーペペー
(デッデッデデデデ!〈カーン〉デデデデ!)

「今日はまだ殺さねえよ。ちょつと皮が欲しいだけだからな」
「ぶー?」


ぺーぺぺぺーぺーぺーぺーペペペペッペー
ペッペッペペペッペーペッペーペーペペー
(デッデッデデデデ!〈カーン〉)

「背中の皮全部もらうが、大人しくしてりゃまだ生きていられる」
「ぶー!ぶー!」


テレレーレーレレーテレレレーレーレテレレッテー(カーン)

「はーい、ちょっとチクっとしますよーなんちて」
「ぶ・・・ぶぎゃああああ!」


テレレーレーレレーテレレレーレーレテレレッテー(カーン)

「豚が人間みたいな悲鳴あげるんじゃねぇ!」
「ぎゃあああ!!!」
「大人しくしろ!この食い逃げ豚野郎!」

デッデッデデデデ!(カーン)デデデデ!
デッデッデデデデ...

はい、こちらがマスクの材料となる豚のとれたてピチピチな背中の皮です。
これの余分な脂肪を包丁でそぎおとした後、お湯で洗い乾燥させます。
乾燥させた皮を裁縫セットを使いマスクの形になるように縫い合わせていきます。
石膏像に被せて出来映えを確認して微調整したら完成です。

出来ました。豚皮使用の豚顔マスクです。
本戦ではこのマスクを被って包丁振り回して戦っていきます。

衣装も出来たのて後は通り名ですね。
豚マスクのカレー屋なので『ポークカレー』にします。
私は本物の殺人鬼じゃなく巻き込まれた一般人ですから、こういう普通っぽいのでいいんですよ。

という訳でプロローグでやる事完了です。
ドンドンパフパフー。
完走した感想ですが、正直凄く不安です。
私は怖いんです。殺人鬼もそうですが、この私自身の魔人能力が。

このスマホを手に入れて、世界のルールを知る事により存在の消滅から逃れられました。
しかし、その代償として私は妹のお腹の子を捧げてしまったのです。
これから先、殺人鬼達との戦いに生き延びたとしても、そこに立っているのは『私だったもの』なのかも知れないのです。
大人しく消滅を待てばよかったと後悔するかもしれません。ですが、もう私は前へと進んでしまいました。こうなったらいけるところまでいくしかないですね。

それでは私の名がwikkiに載った頃、またお会いしましょう。サラダバー!
最終更新:2019年11月28日 00:28