改行ズレ/画像ヌケ等で読み辛い場合は、ミラーWIKI または図解WIKI をご利用ください |
(1) | ブリタニカ・コンサイス百科事典(nationの項)より全文翻訳 | ||||
共通のアイデンティティが、特定の精神的絆と政治的共同体を創出する人々の集合。 | |||||
そうした政治的アイデンティティは通常、共通の言語・文化・民族性・歴史といった特徴から構成されている。 | |||||
一つ以上のnation(アイデンティティを共有する人々の集合)が一つのstate(政治的単位としての国家)を構成することもある。しかしnation, state, country(地理的な意味での国家)という諸用語、しばしば相互に融通して使用される。 | |||||
nation-state(国民国家)とは、単一のnationality(国民性)を持った人々によって主に居住されているstateをいう。 | |||||
(2) | オックスフォード英語事典(nationの項)より抜粋翻訳 | ||||
ある特定のstateまたはterritory(領域)に居住している、共通の血統(descent)・歴史・文化・言語によって結合した人々の大集団のこと | |||||
(3) | コウビルド英語事典(nationの項)より全文翻訳 | ||||
<1> | nationとは社会的または政治的構成を共有すると考えられる特定の独立国である。 | ||||
<2> | nationは特定の国家(country)に住む全ての人々を言い表す場合にしばしば用いられる。 |
(1) | ブリタニカ・コンサイス百科事典(nationalismの項)より全文翻訳 | ||||
自己のnation(アイデンティティを共有する人々の集合)またはcountry(地理的な意味での国家)に対する忠誠(loyalty)と献身(devotion)であり、特に他の人々の集合や個人的な利害への忠実さを上回るもの。 | |||||
国民国家(nation-state)の時代以前は、ほとんど全ての人々の忠誠先は彼らの直近の地域や宗教的集団だった。 | |||||
巨大な中央集権国家の登場は地方的権威を弱体化させ、日々進行する社会の世俗化は宗教的集団に対する忠誠を弱体化させた。しかしながら人々に共有される宗教は-共通の民族性・政治的遺産・歴史と共に-人々を国民主義運動(nationalist movement)へと誘い入れる要因の一つとなった。 | |||||
18世紀から19世紀初めにかけての欧州の初期の国民主義運動は自由主義的(liberal)で国際的(internationalist)なものだった。しかしそれは次第に頑迷(conservative:「保守的」の意味もあるがここでは「頑迷」の意味ととる)で偏狭(parochial)なものとなっていった。 | |||||
ナショナリズムは第一次世界大戦・第二次世界大戦そして近代におけるその他の多数の戦争を引き起こした主要因と考えられている。 | |||||
20世紀のアフリカとアジアでは民族主義運動(nationalist movements)はしばしば植民地主義(colonialism 植民地支配)に対する反対(抵抗)を引き起こした。 | |||||
ソ連邦の崩壊後、東欧と旧ソ連邦の各共和国の強烈な民族主義的感情(nationalist sentiments)は、旧ユーゴスラビア地域におけるような民族的紛争(ethnic conflict)の要因となった。 | |||||
(2) | オックスフォード英語事典(nationalismの項)より抜粋翻訳 | ||||
<1> | 愛国的な感情・原理・尽力(patriotic feeling, principle, or efforts) | ||||
<2> | 他の国々(country)に対する優越性(superiority)という感情によって特徴づけられた極端な形の愛国心(an extreme form of patriotism) | ||||
<3> | 特定の国家(country)の政治的独立の主張(advocacy) | ||||
(3) | コウビルド英語事典(nationalismの項)より全文翻訳 | ||||
<1> | ナショナリズムとは自分達は歴史的にまたは文化的に、ある国家(country)の中で特定の分離された集団であると感じる人々の、政治的独立への渇望(desire for political independence)である。 | ||||
<2> | ある個人の自己のnationに対する巨大な愛情をナショナリズムと呼ぶことが可能である。 ある特定のnationは他の全てのnationより優秀であるという信条と、このナショナリズムはしばしば関連付けられるが、こうしたケースは、しばしば(話者の)不承認(不快感 disapproval)を表現するために用いられる(=jingoism 偏狭的優越主義) |
(1) | オックスフォード英語事典(patriotismの項)より抜粋翻訳 | ||||
愛国的であること。自己の国家(country)に対する精力的な擁護(vigorous support)のこと。 | |||||
(2) | コウビルド英語事典(patriotismの項)より全文翻訳 | ||||
パトリオティズムとは自己の国家(country)に対する愛情(love)であり、献身(loyalty)である。 | |||||
(1) | オックスフォード英語事典(jingoismの項)より抜粋翻訳 | ||||
ジンゴイズムとは自己の国家(country)の優秀性(superiority)に関する強烈で理由のない信条である。 | |||||
(2) | コウビルド英語事典(jingoismの項)より全文翻訳 | ||||
(主として軽蔑的に)極端な愛国心、特に攻撃的(aggressive)で好戦的(warlike)な外交政策の形をとるもの |
(1) | I.バーリン(ラトビア出身でイギリスに帰化した政治学者/思想家)『自由論』所収「二十世紀の政治思想」(1949) | |||
「十九世紀の二大解放政治運動は、あらゆる歴史書が示しているとおり、人道的個人主義とロマン的国民運動であった。・・・先の個人主義(individualism)と国民主義(nationalism)の二大潮流は誇張せられ歪曲されて、遂には共産主義(communism)とファシズム(fascism)という形態になっていった。 即ち、共産主義は、全盛期の自由主義的国際主義の不実な相続人として、ファシズムは、前代の国民主義運動を鼓舞していた神秘的愛国主義の最高潮と同時に破産として現れたのである。」 | ||||
(2) | F.A.ハイエク(オーストリア出身でナチス支配期にイギリスに帰化した経済学者・法哲学者・政治思想家)『市場・知識・自由』所収「真の個人主義と偽の個人主義」(19xx) | |||
「ナショナリズムは知的には社会主義の双生の兄弟に過ぎないが、ナショナリズムに対する個人主義の態度は特別に論じるに値するであろう。 ここで私が指摘できるのは、十九世紀に英語を話す世界において自由主義とみなされていたことと、ヨーロッパ大陸において自由主義と呼ばれていたこととの間の根本的相違が、それぞれ真の個人主義と偽の個人主義の血統と密接に結びついていることだけである。 ①中央集権化、②ナショナリズム、及び、③社会主義に対して、一般的に反対したのは、イギリス的意味での自由主義だけであり、他方ヨーロッパ大陸において支配的な自由主義は、それら三つのもの全部に好意を寄せた。」 | ||||
(3) | F.マイネッケ(ナイス政権を許した根源的な理由は大衆社会の成立にある、と分析したドイツの歴史学者)『ドイツの悲劇』(1946) | |||
「ヒトラー主義の積極的な内容・・・それは即ち、時代の二つの大波である国民的運動と社会主義的運動とを一つに合流させ、そしてその目的のために無定形になった社会の諸階層をそれ自身としてまた全体のためにいっそう確り再形成しようとする意識的意図に他ならなかった。」 |
Ⅰ.解放的ナショナリズム (パトリオティズム) |
→ | Ⅱ.国民国家の成立 |
→ | Ⅲ.拡張的(排外的・侵略的)ナショナリズム (ジンゴイズム/ショーヴィニズム) | |
主に他国や他民族の抑圧に対して、①国家・国民形成を図りつつ、②政治的あるいは経済的自決(民族自決)を求める動き ※政治的・経済的自決を求めることから、この段階のナショナリズムは自由主義と親和的である。 |
→ | 国家の要請に適った国民を育成するために、①統一的・画一的な国民教育の実施、②歴史・文化の共有化、③「伝統の創造」(※)といった公定ナショナリズムとでも言うべき諸政策が政府主導で実施される。 ※英歴史学者ホブズボームの用語で、正統性に問題のある新興国家の政府が行いがちな一種のご都合主義的な「伝統」価値の捏造 |
→ | 増大していく大衆の自尊感情の現れとしてのナショナリズム(大衆の自己崇拝、ナショナリズムの市民宗教化)。 Ⅱの公定(=官製)ナショナリズムの結果、政府当局のコントロールが効かない状態にまで大衆の自尊感情が昂進してしまった状態。 | |
少数エリ-トの自覚的な活動(市民型ナショナリズムcivic nationalism)として始まり、次第に参加者を拡大していく | → | 国民の政治参加の意欲が高まる結果、大衆デモクラシーが成立するが、次第に衆愚化していく傾向を免れない。 | → | 理性よりも大衆の無定見な民族感情に流され易くなり(民族型ナショナリズム ethnic nationalism)、①国内的には排外的、②対外的には侵略的傾向を強めていく結果となる。 | |
例1 | フランス革命の最初期 | → | フランス共和国の建設(カルノーの徴兵制etc.) | → | ジャコバン政権樹立以降の「革命の輸出」~ナポレオンの侵略戦争 |
例2 | ドイツ統一運動 | → | ドイツ第二帝国の建設(ビスマルク時代) | → | ウィルヘルム2世の世界政策から第一次世界大戦へ。さらに敗戦からワイマール共和国の混迷ののちナチス政権による侵略政策の追求へ |
例3 | 明治維新~日露戦争・不平等条約改正 | → | 大正デモクラシー(男子普通選挙の導入=大衆の政治参加) | → | 日本の場合は露骨な対外侵略の肯定という形は憚られたが、アジア諸民族と結んで白人支配を覆すという大義(=アジア主義)が利用される形で拡張的ナショナリズムが発動してしまった。 |
内容 | 関連ページ | |
保守 | 国内外の全体主義(共産主義・社会主義・リベラリズムなどの集産主義)の脅威から自由を守る(=自由主義) | 保守主義とは何か リベラリズムと自由主義 |
右翼 | 他国・他国民の侵略的ナショナリズムの脅威から自国・自国民を守る(=解放的ナショナリズム) | 右翼・左翼の歴史 |
極右 | 他国・他国民に対して侵略的ナショナリズムを発動している段階。 なお極右と極左は紙一重の双生児であり、極左も当然侵略的ナショナリズムを発動している段階である。 |
+ | ... |