2008/06/28 水俣の産廃処分場計画:計画中止、「市民の会」が街頭報告 /熊本
水俣市の
産業廃棄物処分場建設計画が中止になったことを受け、反対してきた市民団体「
水俣の命と水を守る市民の会」のメンバー10人余りが29日、市内2カ所の街頭で、チラシを配って市民に計画中止を伝えた。
会は04年6月に発足し、反対運動をけん引してきた。チラシには「歴史的な大勝利」「命と環境が尊重されるまちづくりにまい進しましょう」などと書かれている。
坂本ミサ子会長(81)は「やっとこの日が来た。反対へ向けて市民の気持ちが一つになったことと、(業者の環境アセスメントに修正を求めた潮谷義子・前)知事の意見書が大きかった」と語った。
建設を計画していた
IWD東亜熊本(水俣市)は26日、計画中止を県に伝えた。
毎日新聞 2008年6月30日 地方版
2008/06/28 水俣の産廃処分場計画:建設中止が決定 市と市民の運動実る /熊本【毎日】
水俣市長崎地区への産業廃棄物
最終処分場建設計画が中止されることが決まった。IWD東亜熊本(本社・水俣市)が26日、県に伝え、県が27日、発表した。同社は県に対し「諸般の事情を総合的に判断した」と中止の理由を説明している。
県によると、IWD東亜熊本の
小林景子社長が26日夕、蒲島郁夫知事あてに計画中止の文書を提出した。計画地を今後どうするかについて、小林社長は「はっきりしていない」と述べたという。計画地は大半を、同社の親会社の一つ、東亜道路工業(本社・東京)が所有している。
水俣では住民と市当局が一体となって反対運動を展開した。先頭に立った
宮本勝彬市長は同日、会見し「良い環境を未来に残すことができた。全国から『水俣病で苦しんだ街を再び公害で苦しませてはいけない』と支援を受け、感謝している。市民の熱い思いを忘れずに、環境モデル都市づくりに取り組みたい」と述べた。
市民団体「
水俣に産廃はいらない!みんなの会」の
坂本龍虹(りゅうこう)代表(73)は「水俣病に続く負の遺産の上乗せは許さないという思いだった。市民の力が一つにまとまれば、こんな成果が出るんだなと感じた」と笑顔を見せた。
蒲島知事も「水俣病をめぐる苦悩と混乱の長い歴史を持っているという視点に立てば、今回の決定は水俣地域の安定と復興のために評価できる」とのコメントを発表した。【笠井光俊】
毎日新聞 2008年6月28日 地方版
2008/06/28 水俣産廃計画 中止を業者正式決定【読売】
市長「市民運動の成果」
県は27日、水俣市で産業廃棄物最終処分場の建設計画を進めていた「IWD東亜熊本」(水俣市)が
事業中止を決めたと発表した。
県によると、26日夕、同社の小林景子社長が県庁を訪れ、「諸般の事情等を総合的に判断し中止することにした」とする文書などを県に提出したという。
蒲島知事は「中止決定は今後の水俣地域の安定と復興のために評価できる」、市民とともに反対運動を続けてきた水俣市の宮本勝彬市長は「市民一体となった運動の成果。市民の知恵と力に敬意を表したい」とするコメントをそれぞれ出した。
(2008年6月28日 読売新聞)
2008/06/27 水俣市の産廃処分場は中止 業者が県に正式報告【産経】
熊本県水俣市で建設が計画されていた
廃棄物最終処分場について、熊本県環境保全課は27日、
事業者であるIWD東亜熊本(水俣市)が事業を中止すると伝えてきたと発表した。
県によると、事業者側が26日に県庁を訪れ「諸般の事情を総合的に判断し中止する」との蒲島郁夫知事あての文書を提出。蒲島知事は「中止決定は水俣地域の安定と復興のために評価できる」とのコメントを出した。
処分場建設をめぐっては、水俣病の経験を背景に、環境汚染を懸念する住民らが水俣市と一体となって反対運動を続け、今月になって事業者の親会社の一つが事業からの撤退を明らかにしていた。
2008/06/27 水俣産廃正式に事業中止【RKK熊本放送】
水俣市で計画されていた産業廃棄物最終処分場の建設をめぐり事業主体のIWD東亜熊本が正式に県に事業中止を通知しました。
県によりますと水俣市に産廃処分場の建設を計画していたIWD東亜熊本の社長がきのう夕方、県庁を訪れ事業中止を決定した文書を提出したということです。
IWD東亜熊本はその文書とあわせて「諸般の事情などを総合的に判断し中止することにした。
今後も高いモラルと責任感をもって社会貢献を果たしていく」といった関係者に充てた文書も県に手渡しました。
これに対し蒲島知事は「今後の水俣地域の安定と復興のために評価できるもの」とコメントしています。
なお、中止決定の文書は水俣市にも通知されたということです。
2008/06/25 水俣の産廃処分場中止に…関連会社が「撤退」表明【読売】
チラシを配って喜ぶ市民ら
水俣市の水俣川上流域で産業廃棄物最終処分場の建設計画を進める「IWD東亜熊本」(水俣市)に共同出資する関連会社「東亜道路工業」(東京)は23日、「事業の見通しが立たない」として、事業からの撤退を正式発表した。予定地の土地を所有する東亜道路工業の撤退で、計画は事実上中止となる。計画に反対してきた市民は24日、「運動の成果だ」として勝利宣言するチラシを配った。
東亜道路工業は23日、宮本勝彬市長にファクスで撤退を知らせた。理由について、「グループ経営体制の再構築の一環として、今後の事業の見通しが立たないため」としている。
04年3月に計画が明らかになってから、反対運動を続けてきた市民らは、撤退の一報を喜んだ。「水俣に産廃はいらない!みんなの会」や水俣病センター相思社のメンバーら約10人は24日、計画中止が確実になったことを伝えるチラシ約500部を作成、雨の中、市内で買い物客らに配り、抱き合ったり、握手したりした。
みんなの会の坂本龍虹会長は「大きな山を越えた。夢のようだが、市民一丸となった運動の成果」と笑顔を見せた。相思社の高嶋由紀子さん(30)は「裁判まで闘う覚悟だったので実感がわかないが、産廃反対派の市長を誕生させ、環境への影響に関する独自調査を行うなどの運動の集大成で勝利した」と話した。
宮本市長は「市民が結束して反対運動を闘った大きな成果。市民とともに喜びたい」との談話を出した。
IWD東亜熊本は正式な対応を明らかにしていないが、今後は関連会社と完全撤退に向けた最終協議を進めるとみられる。
(2008年6月25日 読売新聞)
2008/06/24 水俣の処分場計画、中止へ 親会社が撤退を表明 【共同通信】
熊本県水俣市のIWD東亜熊本が、市内に建設を計画している廃棄物最終処分場について、親会社の一つ東亜道路工業(東京都)は24日までに、同事業から撤退することを明らかにした。予定地(83・4ヘクタール)の大部分を所有する同社の撤退で、計画は中止になるとみられる。
処分場の建設をめぐっては、水俣病の経験を背景に、環境汚染を懸念する住民らが水俣市と一体となって反対運動を続けていた。
反対派の市民団体代表の坂本ミサ子さん(81)は「業者はもうどうにもできない状況だったんだろう。やっとこの日を迎えられた」と喜んだ。
2008/06/24 18:09 【共同通信】
2008/06/24 東亜道路が処分場建設事業中止を決定【RKK熊本放送】
水俣市の産廃問題で産廃業者の親会社にあたる東亜道路工業が事業の中止決定をしました。
東亜道路工業は東京に本社を置く東証一部上場の会社で、ホームページ上に「当社は、子会社であるIWD東亜熊本と共同で水俣市において産業廃棄物処分場の建設を推し進めてきましたがグループ経営体制の再構築の一環として今後の事業の見通しがたたないため中止を決定いたしました」と掲載しました。
東亜道路工業の丸尾和廣管理部長は「IWD東亜熊本と合意を得た上での決定ではない。
当社として水俣市を挙げての反対運動などを勘案して経営判断を示したもの」と話しています。
建設予定の83.4ヘクタールの土地はほとんどが親会社の東亜道路工業が所有しており親会社の決定で水俣市山間部に計画された最終処分場は事実上、中止が確定的となりました。
一方、事業主体のIWD東亜熊本は何もコメントは発表していません。
このため水俣市の産廃対策室では依然慎重な姿勢をとっています。
2008/06/24 水俣市の産廃処分場中止 親会社が発表【熊日】
水俣市の山林に産業廃棄物最終処分場の建設を計画しているIWD東亜熊本(小林景子社長、同市)の親会社の一つ、東亜道路工業(東京)は二十三日、東京証券取引所に産廃事業の中止を通知するとともに一般向けにも同様の発表をした。建設予定地約八十三ヘクタールの大半は東亜道路工業が所有しており、事実上、計画中止は確定的となった。
官民を挙げて反対運動を続けてきた水俣市の宮本勝彬市長は「市民が結束して反対運動を闘ったことが報われた。市民と一緒に最後まで頑張りたい」と語った。
通知文は事業中止の理由を「子会社のIWD東亜熊本と共同で建設を推進してきたが、グループ経営体制の再構築の一環として今後の事業の見通しが立たないため」としている。
IWD東亜熊本には、ほかにIWD(神奈川)なども出資しており、全面撤退へ向けた最終調整を残しているものの、東亜道路工業管理部は「事業を進めるには、地元の合意と巨額の投資が必要だが、当社としてそれらが難しいと判断した」と話している。
水俣市における産廃計画をめぐっては、IWD東亜熊本が二〇〇四年に計画を表明後、水俣病の経験から環境汚染を懸念する市民が反対運動を展開。同社の
環境影響評価(
アセスメント)手続きでも、
潮谷義子前知事が地下水や希少猛きん類などに与える影響四十三項目で調査の不備を指摘している。(渡辺哲也)
2008/06/24 水俣市・産廃処分場計画 親会社が撤退表明 「事業見通し立たず」 反対運動が結実【西日本】
水俣市のIWD東亜熊本(小林景子社長)が同市内に産業廃棄物最終処分場の建設を計画している問題で、同社の親会社である
東亜道路工業(東京)が23日、「今後の見通しが立たない」として事業から撤退すると発表した。IWD東亜熊本は態度を表明していないが、建設予定地の土地を所有する東亜道路の撤退は、実質的に同計画の中止を意味する。
計画が明らかになってから4年。水俣病を教訓に、自治体や市民が一体となって展開した反対運動が実った形だ。
東亜道路は同日夜、ファクスで事業中止の決定を同市に連絡するとともに、同社のホームページに「水俣市の産業廃棄物処分場の事業の中止に関するお知らせ」を掲載。市内全域に反対運動が広がり、事業の見通しが立たないことなどを理由に挙げ「グループ経営体制の再構築の一環として中止を決定した」ことを明らかにした。ただ、東亜道路は親会社単独の決定であることも強調。現時点では撤退に合意していないIWD東亜熊本とは「今後も協議を続ける」としている。建設予定地の今後の用途も未定で、同市に買い上げを求める可能性もある。
計画は2004年3月に表面化。水俣市長崎、
湯出地区の約83.4ヘクタールに、約8.3ヘクタールの管理型最終処分場を建設し、南九州一帯から汚泥などの産業廃棄物を搬入する予定だった。予定地が市の水源地域に重なることなどから、反対運動が市全体へ広がった。
06年2月の市長選で、計画阻止を公約に初当選、反対運動の先頭に立ってきた宮本勝彬市長は「建設阻止へ向けて、市民の力が結集された成果だ」と強調。
反対運動の中核の1つ「水俣の命と水を守る市民の会」の坂本ミサ子会長は「とてもうれしい。悲惨な水俣病の教訓が生きた。計画反対の市長を当選させ、3万通以上の意見書を集め、断固として反対意思を貫いた市民の勝利」と喜んだ。
=2008/06/24付 西日本新聞朝刊=
2008/06/22 水俣産廃計画断念意向 住民「本当に・・・」 突然の事態に戸惑い【読売】
「本当に信じていいのか」――。水俣市で産業廃棄物最終処分場の建設計画を進めていた「IWD東亜熊本」(水俣市)が、計画を中止する意向を市に伝えたことが明らかになった21日、反対運動を続けてきた市民は事業撤退の一報を歓迎しながらも、突然の事態に戸惑いを見せた。
計画が持ち上がった04年当初から反対運動を続ける「水俣の命と水を守る市民の会」の坂本ミサ子会長は「何も聞いていない。本当なら運動の成果なのだが」と困惑気味。「水俣に産廃はいらない!みんなの会」の坂本龍虹会長は「会社の意思を確認するまでは推移を見極めたい」と慎重に言葉を選んだ。
同社は、道路舗装の「東亜道路工業」(東京)と産廃処理業「IWD」(神奈川県)が共同出資している。IWD東亜熊本の社員は「何も聞かされていない」と当惑し、情報収集に追われた。市は「業者が正式に発表していない」として対応を明らかにしなかった。
計画を巡っては、前市長が「市に許認可権はない」として「賛否は中立」との姿勢を表明。これに市民が猛反発し、06年2月の市長選で「産廃阻止」を公約に掲げた宮本勝彬市長が大差で初当選した。市長は就任直後に「
産廃阻止!水俣市民会議」を結成し、関連会社に撤退を申し入れるなどした。
(2008年6月22日 読売新聞)
2008/06/22 水俣市の産廃処分場計画 業者が撤退を検討【西日本】
水俣市に産業廃棄物最終処分場建設を計画しているIWD東亜熊本(水俣市、小林景子社長)と親会社の「東亜道路」(東京)などが、事業からの撤退を検討していることが21日、関係者の証言で分かった。同市では、行政も加わった市民総ぐるみの反対運動が展開され、業者と激しく対立していた。
撤退の検討については、複数の関係者が証言。「業者側は近く撤退を発表する」との情報もあるが、同市
産業廃棄物対策室は「把握していない」と話している。
計画では、同市長崎、湯出地区の約83.4ヘクタールに約8.3ヘクタールの管理型最終処分場を建設し、南九州一帯から汚泥などの産業廃棄物を搬入する予定。2004年3月に計画が表面化。予定地が市の水源地域に重なることなどから、反対運動が市全体に広がった。
業者は昨年2月、環境影響評価(アセスメント)
準備書を公開。これに対し、3万通を超える住民の反対意見書や、追加・再調査などを要求する43項目の知事意見書が業者に提出されていた。
=2008/06/22付 西日本新聞朝刊=
2008/06/21 熊本・水俣の産廃処分場計画:「山の公害」許さぬ 住民、行政スクラム--計画中止へ【毎日夕刊】
◇水俣の意地
廃棄物処分会社のIWD東亜熊本(本社・熊本県水俣市)が水俣市に計画していた産業廃棄物処分場建設計画が、中止される見通しになった。親会社の東亜道路工業(東京都港区)が同市関係者に意向を伝えた。水俣市は、水俣病の教訓を生かし、環境モデル都市づくりを進めており、住民や市当局挙げての反対運動が続いていた。【西貴晴】
水俣市長崎地区の山林8・3ヘクタールに、埋め立て容量が約200万立方メートルの処分場を建設し、九州一円から産廃を搬入する計画で、03年5月に表面化した。現在は、環境影響評価(アセスメント)の手続きが進んでいる。
市は、宮本勝彬市長が会長を務める「産廃阻止!水俣市民会議」を結成し、今年4月に東亜道路工業などに計画中止を要請。同月20日に同社役員が市役所を訪れ「市に迷惑をかけられない」として中止を検討していることを伝えた。今月20日には別の関係者も、市議会の松本和幸議長に中止を伝えたという。これに対し、IWD東亜熊本の関係者は「中止の話は聞いていない」としている。
予定地は水俣病の原因物質、有機水銀が排出された水俣湾から約5キロ内陸寄りの山あいにある。反対市民たちは「水俣病が海の公害ならば、処分場は山の公害だ」として、搬入路周辺の木を買い取って反対の看板を掲げる「立木トラスト運動」などを繰り広げていた。
患者支援団体「水俣病
市民会議」の松本勉・事務局長(77)は「『再び公害で苦しめられるのか』と患者の多くが計画に反対してきた。市民の力で中止に追い込むことができてうれしい」と話した。
毎日新聞 2008年6月21日 西部夕刊
2008/06/21 産廃処分場:熊本・水俣の計画中止へ 「水俣病の教訓」と【毎日】
廃棄物処分会社のIWD東亜熊本(本社・熊本県水俣市)が水俣市に計画していた産業廃棄物処分場建設計画が、中止される見通しになった。親会社の東亜道路工業(東京都港区)が同市関係者に意向を伝えた。水俣市は、水俣病の教訓を生かし、環境モデル都市づくりを進めており、住民や市当局挙げての反対運動が続いていた。
水俣市長崎地区の山林8.3ヘクタールに、埋め立て容量が約200万立方メートルの処分場を建設し、九州一円から産廃を搬入する計画で、03年5月に表面化した。現在は、環境影響評価(アセスメント)の手続きが進んでいる。
市は、宮本勝彬市長が会長を務める「産廃阻止!水俣市民会議」を結成し、今年4月に東亜道路工業などに計画中止を要請。同月20日に同社役員が市役所を訪れ「市に迷惑をかけられない」として中止を検討していることを伝えた。また、今月20日には別の関係者も、市議会の松本和幸議長に中止を伝えたという。
これに対し、IWD東亜熊本の関係者は「中止の話は聞いていない」としている。
予定地は水俣病の原因物質、有機水銀が排出された水俣湾から約5キロ内陸寄りの山あいにある。反対する市民たちは「水俣病が海の公害ならば、処分場は山の公害だ」として、搬入路周辺の木を買い取って反対の看板を掲げる「立木トラスト運動」などを繰り広げていた。
水俣病患者支援団体「水俣病市民会議」の松本勉・事務局長(77)は「『再び公害で苦しめられるのか』と患者の多くがこの計画に反対してきた。市民の力で中止に追い込むことができて、本当にうれしい」と話した。【西貴晴】
2008/06/21 水俣の産廃処分場計画を業者断念、市に意向伝える【読売】
熊本県水俣市で産業廃棄物最終処分場の建設計画を進めていた「IWD東亜熊本」(水俣市)が、計画断念を市に伝えていたことが分かった。「公害の原点」とされる水俣病を経験した同市では計画が明らかになった2004年以降、市民が「公害の可能性がある処分場は受け入れられない」と反対運動を続けていた。
関係者によると、同社に出資する関連会社の取締役らが4月下旬、宮本勝彬市長に「撤退の意向を固めている。これ以上迷惑をかけられない」と伝えたという。
計画は、水俣川上流域の約83ヘクタールの敷地のうち8ヘクタールに九州一円の産廃を埋め立てる内容。予定地付近には水道水の水源や、絶滅危惧(きぐ)種の
クマタカの営巣地があることなどから市民が反発し、宮本市長を会長に市など56団体が反対団体を結成して計画の即時中止を求めていた。設置の許認可権を持つ県が、環境への影響を再調査するよう指導していた。
(2008年6月21日 読売新聞)
(※夕刊)
2008/06/21 水俣市の産廃処分場、事業者撤退へ【熊日】
水俣市の山間部に計画されている産廃最終処分場の建設予定地(写真奥の山)=同市長崎
水俣市の山林に産業廃棄物最終処分場の建設を計画しているIWD東亜熊本(小林景子社長、同市)が、同市に対し事業撤退の意向を伝えていたことが二十日、分かった。同社が二〇〇四年に計画を表明後、水俣病を経験した同市で大きなうねりをつくった反対運動が、計画撤回に追い込んだ形だ。
市や市議会関係者の話を総合すると、同社の親会社の役員が四月下旬に水俣市を訪れ、宮本勝彬市長に「事業撤退の方針を固めた。水俣にこれ以上、迷惑を掛けたくない」と伝えた。関係者が六月二十日までにあらためて同社に撤退の意思を確認したという。
処分場計画は、同市長崎、湯出にまたがる約八三・四ヘクタール。このうち約八ヘクタールに汚泥、がれき類などを埋め立てる管理型の最終処分場の建設を予定していた。
しかし、予定地が水がめに位置しており地下水汚染の不安が表面化した。水俣病を経験した市民らが「海の水俣病に加え、山の水俣病をもたらすのか」と反発。市内五十六団体が「産廃阻止!水俣市民会議」(会長・宮本市長)を設立し、市を挙げた反対運動を展開してきた。
同社が提出した環境影響評価(アセスメント)準備書に対し、潮谷義子前知事も今年三月の意見書で、地下水や地質、希少猛きん類などに与える影響など四十三項目について「調査が不十分だ」と指摘していた。(渡辺哲也)
2008/06/07 水俣・産廃処分場計画 クマタカへの影響懸念【読売】
スギやシイがうっそうと茂る山々の上空をクマタカが悠然と舞っていた。水俣市の山あいにある長崎地区では、約4年前に大規模な産業廃棄物最終処分場の建設計画が持ち上がり、クマタカの生息環境を脅かしかねないと懸念が広がっている。
処分場は、水俣市に本社を置く業者が計画。敷地面積約83ヘクタールで、地元から約30人を雇用し、九州一円から年間約9万9400立方メートルの産廃を引き受ける予定。
クマタカは、環境省の
レッドデータブックで、近い将来に絶滅する危険性が高い種として「絶滅危惧(きぐ)1B類」に指定。全国で約1000羽、九州では100~150羽しか生息していないとされる。
日本野鳥の会県支部会員の石塚謙一さん(71)(水俣市)らは、水俣市の委託で昨年7月から生息状況を観察し、予定地の南東1・5キロ付近で2つがい計5羽の営巣を確認した。「クマタカは警戒心が強いうえ、建設工事が進んで餌となる野ウサギなどがいなくなれば、姿を消すかも知れない」。石塚さんはこう心配し、処分場反対派の住民らと建設中止を求めている。
業者側は独自の生息調査の結果、「予定地は主たる行動圏ではない」と計画を進める構えだ。ただ、施設の許認可権を持つ県は、調査が不十分として、改めて生息調査を実施するよう求めており、結果が出るまで数年かかる見通し。
成鳥では1・5メートルにもなる両翼を広げ、王者の風格で滑空するクマタカ。「公害の原点」とされる水俣病が発生した水俣市で新たに浮上した環境問題は、高みからのその眼には、どう映っているのだろう。(写真・板山康成、文・白石一弘)
(2008年6月8日 読売新聞)
最終更新:2008年07月01日 09:52