2006/6/1 水俣の産廃処分場問題:水俣に反対組織--5日設立、市内50団体参加/熊本【毎日】

水俣市内の約50団体が参加して5日、「産廃最終処分場建設阻止!水俣市民総協議会(仮称)」が設立される。同市長崎でIWD東亜熊本が計画している産廃処分場の建設を阻止するのが目的。既存の反対グループに加え、自治会など各種団体に市が参加を呼びかけた。

計画地が市の水源地にあることや、水俣病の教訓を生かしたまちづくりに逆行していること、水俣病受難の地に産廃処分場を作るのはあまりにも理不尽で残酷--というのが理由。事務局を市産廃対策室に置く。会長に就任予定の宮本勝彬市長は「市民運動のうねりを広げ、建設反対の市民の意志をより確かなものにしたい」と話している。

25日午前10時からは、同市文化会館で建設阻止への機運を盛り上げるため「市民総決起集会」を開く。市と「産廃最終処分場建設阻止!水俣市民総協議会(仮称)」が共催する予定。【平野美紀】

2006/6/1 水俣の産廃処分場問題:水俣市が現地見学会実施へ--計10回【毎日】

水俣市は、同市長崎に計画されている民間業者の産廃最終処分場予定地周辺の現地見学会を、6~10月の日曜に計10回実施する。

対象は市民に限定。実施日の午前9時半、市役所に集合。公用車で移動し、計画予定地近くの大森地区の住民から説明を聞いた後、周辺一帯の状況を見て回る。

希望者は実施2日前の金曜までに電話で申し込む。毎回先着20人で、無料。見学会実施日は11、18日▽7月9、23日▽8月6、20日▽9月10、23日▽10月1、15日の午前9時半~正午。問い合わせ・申し込みは市産廃対策室0966・61・1619へ。

2006/6/3 水俣市:「環境にこだわった町に」議会で市長が表明補正予算案など上程/熊本【毎日】

水俣市の6月定例市議会が2日開会し、06年度一般会計補正予算案(補正額約10億3300万円)など31議案が上程された。市長選直後となった3月議会に提案されたのは骨格予算だったため、今回の補正予算案が、宮本勝彬市長の就任後、初の本格的な予算となる。

本会議で宮本市長は「(市内に計画されている)産廃処分場阻止は私に課せられた命題。二度と水俣病のような公害を起こさないため警鐘を鳴らし続け、市政の基本方針として、環境にこだわったまちづくりを進める」と所信を表明。重点施策としてはこのほか、水俣病問題の解決や元気な水俣づくり、人づくりなどを掲げた。

また市議会は、4月下旬に発表した議長の「水俣病問題の全面解決と地域の再生・振興を求める声明」と同内容の意見書を採択した。意見書は「認定基準を一本化し、早急に認定審査会が再開できる条件を整備すること」など5項目からなり、近隣8市町の議会にも、同様の意見書を採択してくれるよう呼びかける。【平野美紀】


2006/6/6 産廃処分場建設阻止へ官民で市民会議設立 水俣市【熊日】

水俣市長崎に民間事業者が計画する産業廃棄物最終処分場の建設阻止を目的とした連帯組織「産廃阻止!水俣市民会議」の設立総会が五日、市役所共済会館であった。会長に宮本勝彬市長を決め、事務所は市産業廃棄物対策室に置く。

市民会議は、建設阻止運動を全市的に拡大するために水俣市が結成を呼び掛け、産廃反対の市民団体や水俣病患者団体、自治会など五十二団体が加入。総会には約五十人が出席した。

会長に就いた宮本勝彬市長が「市役所の力だけで阻止できる簡単な問題ではない。市民が一丸となって取り組むことが不可欠」と協力を要請。二〇〇六年度事業計画として(1)市民総決起大会の開催(2)事業者に対する撤退要請行動(3)事業者から県への提出が予想される環境影響評価準備書に対する住民意見書の集約―などを決めた。

市民総決起大会は、市と市民会議の主催。二十五日午前十時から牧ノ内の市文化会館で開き、岐阜県御嵩町の柳川喜郎町長が特別講演するほか、市民の決意表明、決議文採択などを予定。終了後は参加者が市内中心部を行進し、計画阻止を訴えるという。(並松昭光)

2006/6/6 官民一体で産廃反対水俣市が連帯組織を設立25日に市民総決起大会=熊本【読売】

◆設立総会

水俣市の山林で民間業者「IWD東亜熊本」(本社・水俣市)が進めている産廃最終処分場建設計画に関し、市は5日、反対運動の連帯組織「産廃阻止!水俣市民会議」を設立した。既存の反対派など52団体が参加、市産業廃棄物対策室に事務所を置き、官民一体で反対運動を展開する。25日に市民総決起大会を開く。
設立総会には「水俣の命と水を守る市民の会」などの代表ら約50人が参加。会長に就任した宮本勝彬市長は「水俣病を経験した水俣は特別な地域。計画反対は地域エゴではない」と強調、市を先頭に問題解決に取り組む考えを示した。
計画によると、市南部の山林約95・2ヘクタール中、約9・5ヘクタールの敷地に燃え殻や汚泥などを埋める管理型を設置。7月にも環境アセスメント(影響評価)の準備書が県に提出される見通しで、市民会議は、これに対する住民意見書の集約を目指す。
総決起大会は25日午前10時から、市文化会館で開催。市が4月に加入した全国産廃問題市町村連絡会の会長で、岐阜県御嵩町の柳川喜郎町長の講演などがある。また、決議文を採択し、同社へ提出。市内パレードも計画している。
このほか、26、27日には潮谷知事や同社関連の「IWD」(本社・神奈川県海老名市)の東京支社などに中止要請を行う。11日からは毎月2回、現地見学会も実施する。問い合わせは同対策室(0966・61・1619)へ。

写真=宮本市長(左)のあいさつを聞く反対派市民ら


2006/6/6 産廃阻止!水俣市民会議発足【朝日】

 水俣市の山間部で民間業者が計画する産業廃棄物最終処分場に対し、官民一体で反対する「産廃阻止!水俣市民会議」が5日発足した。市内での設立総会には、市や市議会のほか、約50の民間団体から50人が参加し、処分場建設阻止に向け、協力することを確認した。

 会則を決めた後、会長に宮本勝彬市長、理事に各団体の16人を選んだ。事務局は、市産業廃棄物対策室内に置く。

 会則で、同会議は「水俣病の経験に基づき、市民の命と健康を守るため、処分場の建設に反対し、止めさせるための活動を行う」としている。

 今年度事業として、処分場阻止のための市民総決起大会を25日に市文化会館で開くことを決めた。処分場の反対運動で知られる岐阜県御嵩町の柳川喜郎町長の講演、阻止に向けた市民の決意表明、大会決議の採択もある。決議文は産廃業者のIWD東亜熊本や、県、国に提出する。

 宮本市長は「阻止には、市民が一丸となって取り込むことが不可欠」と協力を呼びかけた。

2006/06/26 水俣の産廃処分場問題:建設反対、1200人が阻止訴え--決起大会 /熊本【毎日】


 ◇宮本市長「強力に取り組む」
 水俣市長崎地区に計画されている産廃処分場の建設に反対する「産廃阻止!水俣市民総決起大会」が25日、同市牧ノ内の市文化会館であった。約1200人が参加、建設阻止を訴えた。【平野美紀】
 市や自治会など52団体で作る「産廃阻止!水俣市民会議」(会長、宮本勝彬市長)の主催。宮本市長が「今日を第一歩に必ず阻止できるという強い意志で強力に取り組もう」とあいさつした後、市産業廃棄物対策室がスライドを使って、産廃処分場の概要や進み具合を説明した。
 町内の産廃計画に反対したため暴漢に襲われ重傷を負った経験を持つ岐阜県御嵩町の柳川喜郎町長が「なぜ、あの水俣で……御嵩産廃問題から考える」と題して講演。柳川町長は「水俣病で苦しんだ地に産廃処分場を計画するのは、被爆地・広島に核の廃棄物を埋めるような極めて愚かなこと。感情で反対するのではなく、法律などの知識を身につけ、闘ってほしい」とエールを送った。
 続いて、胎児性水俣病患者5人が「計画は水俣病患者、とりわけ胎児性患者の存在を全否定することと同じ。私たちが経験したつらさを未来に背負わせないために、水俣湾埋め立て地に続く二つ目の産廃最終処分場建設計画を絶対に阻止します」と決意表明。この後、「事業者が計画を断念し撤退する日まで闘いぬく」とする決議文を採択した。大会後、参加者は同会館からJR水俣駅前まで約1・5キロを、横断幕やノボリを持ってデモ行進した。

2006/06/26 産廃阻止!水俣市民総決起大会【朝日】


  水俣市の山間部に業者が計画している産業廃棄物最終処分場建設に反対する「産廃阻止!水俣市民総決起大会」が25日、同市牧ノ内の市文化会館であった。市民約1200人が参加し、業者が計画を断念するまで一丸となって闘い抜くことを誓った。

  市や市内の約50団体が5日に結成した「産廃阻止!水俣市民会議」が主催した。あいさつに立った市民会議会長の宮本勝彬市長は「産廃阻止に向けて大きなうねりをつくるために結成した市民会議の大きな第一歩」と大会の意義を強調した。

  市産業廃棄物対策室が処分場計画の現状と問題点を報告した後、産廃処分場計画を阻止した岐阜県御嵩町の柳川喜郎町長が講演した。

  柳川町長はNHK解説委員のとき、世界の環境問題を取材した経験から、水俣病を経験した水俣は世界遺産に値すると評価し、「その水俣に処分場計画などとても解せない」と述べた。「御嵩町より水俣の反対運動の方が盛り上がっている。大勢は決したと思うが、さらに粘り強い運動を」と訴えた。


  最後に「市、市議会、市民が一致団結し力を結集して、事業者が建設計画を断念するまで闘い抜く」などとした決議を満場一致で採択。文化会館から肥薩おれんじ鉄道水俣駅までの約1・7キロをデモ行進した。

2006/06/27 産廃処分場 事業者に計画撤回要請 水俣市民会議



産業廃棄物最終処分場の建設を計画するIWD東亜熊本の小林景子社長(左)に計画の白紙撤回を求める宮本勝彬・水俣市長ら=東京・六本木

 水俣市や市民団体などでつくる「産廃阻止! 水俣市民会議」の代表らが二十七日、同市に産業廃棄物の管理型最終処分場建設を計画する「IDW東亜熊本」の小林景子社長と、同社の親会社「東亜道路工業」の柴田親宏社長と会い、計画の白紙撤回を要請した。

 同市民会議会長の宮本勝彬市長、副会長の緒方誠也市議会議長ら四人が、東京・六本木に両社長を訪ねた。二十五日の市民総決起大会で採択した計画反対の決議文とともに、「水俣市民は、もう二度と産業廃棄物による被害を被りたくないとの思いを強くしている」と計画撤回を求める要請書を手渡した。

 これに対し、小林社長らは「処分場は公害を発生させる施設ではない。水を汚すことは絶対にないし、公害を起こしたらわが社の存立はないと思っている」と安全性を強調。「被害が起きてからでは遅い」などと訴える市民会議側の主張とかみ合わず、話し合いは平行線をたどった。

 宮本市長らは、環境省や県関係国会議員らも訪ね、建設計画阻止に向けて協力を求めた。(亀井宏二)

2006/06/27 宮本氏人類・世界共有の財産 宮北氏ごみ処分安易にせず【西日本】


 ■水俣病公式確認50年 地元で意見交換■
 水俣病の公式確認から50年たち、被害地域再生へのキーワードは何か。17日に熊本県水俣市で開かれた西日本新聞社の「地域と語ろう隊」では、それぞれの立場で地域づくりに挑む人々と、水俣病報道に携わった記者らが意見を交わした。「日本で最も過酷な運命を背負わされた」(出席者の1人)地域は今、環境モデル都市を目指す取り組みが続く一方、なお多くの被害者が救済を求めている。「水俣病の教訓を世界へ」「命を守る取り組みを」―。出席者たちは「これからの50年」を見据えて語り合った。 (文中敬称略)
 ▼認 定
 本社側 水俣市や、水俣病を取り巻く現状をどう考えるか。
 永野 水俣病や産業廃棄物処分場など、市民がこの町の問題を自分の問題として考え、語り始めていると実感する。
 永本 水俣病はいまだに終わっていない。子どもにちゃんと伝えないと、50年、100年たっても変わらない。
 小柳 与党のプロジェクトチーム(PT)で「第二の政治決着」が検討されている。それができればいかにも全面的な解決のようにされているが、大きな勘違いだ。政府から本当の謝罪が今もない。患者は救われないし、われわれ事業者もいろんなことを始めようとしているときに障害になる。
 宮北 関西訴訟最高裁の判決を受けて、約4000人が新たに認定申請をした。その時期に民間の産廃業者が水俣市で処分場建設を計画し、市が市民団体の「環境首都コンテスト」で二年連続総合日本一になった。そのあたりを一緒に考えていく必要がある。公式確認から50年はまさに中間地点。水俣病とは何だったのか、もう一度市民が問われているし、私たちも問われている。
 宮本 先日、沖縄の中学生から「水俣病という病名を変更してはどうか」と手紙をもらった。私は「水俣病という名前は水俣にとって財産なんですよ」とお答えした。水俣市は水俣病を抜きにしては語れない。水俣病の解決には被害者への補償と心のケア、そして世界への警鐘の3つがそろわないといけないと考えている。
 本社側 本紙の市民意識調査では認定基準の見直しについて、市民の意見が分かれている。
 小柳 水俣病問題では、政府は本質的な問題を先送りして、小手先のことに一生懸命になっているようにみえる。日本の戦後処理問題も同じ。水俣病を解決できないと、韓国や中国との問題も解決できない。どこかで誰かが勇気を持って流れを変えなければ。日本の今からの行き方に、水俣病の問題が解決できるかどうかがかかっている。
 宮北 最高裁で否定された認定基準が生きていることがおかしい。ある時期、水銀に汚染された魚を同じように食べていた人たちはすべて被害者だ。
 宮本 患者団体やその代表にはそれぞれ歴史があり、思いがある。もっといろんな人が集まって、本音で「自分はこう考える」と思いをぶつけ合える場があればいい。
 本社側 報道する側にも共通するものがある。ジャーナリズムが本音を回避している部分があり、そこを突破しないといけない。
 小柳 水俣には今、いい意味での「おやじ」がいない。さまざまな主張を受け止めて「あとはオレにまかせろ。悪いようにはせんけん」というような…。
 永野 水俣病は補償に結び付いたゆがんだ病像がある。誰が「患者」なのかを問題にするのではなく、水俣病を未来への財産とするためにも、市民同士が本音で話し合う。そうすることで患者に対する誤解と偏見を解消できる。
 宮本 (教師時代には)教室にチッソ関係者の子も被害者側の子もいて、水俣病については気を使いながら授業をしていた。当時は水俣病のつらい部分、苦しい部分が表に出ていたが、今はつらい思いを土台にして新しいものを作り出そうとしている。子どもたちは、よそより一歩進んだ環境の取り組みを学び、古里に自信を持ってきているし、水俣を愛する心にもつながっている。
 ▼産 廃
 本社側 水俣市は産廃処分場の建設計画が浮上し、市民の反対運動が起きた。水俣病を教訓に環境モデル都市をどうつくっていくべきか。
 宮本 「ごみを受け入れないのはエゴではないか」と業者から指摘されたことがある。しかし、私は水俣は特別な町だと思っている。水俣は世界共有、人類共有の財産だ。しっかりと理論武装して闘わんと厳しいと感じた。
 永本 私も(処分場建設には)絶対に反対だ。よそのごみを水俣に運ぶことは絶対にやめてほしい。(水俣の人たちは)せっかく水俣病を経験したんだから、ごみはいらないし、患者は僕たちだけでいい。
 宮北 安易にごみを燃やしたり、埋めたりしない社会をつくり上げ、全国に発信することだ。(産廃処分場計画は)そもそもあの地域に開発行為を加えること自体を問題にしなければならない。水俣病は自然との付き合い方を誤った悲劇だからだ。
 小柳 ただ、産廃問題では公に賛成・反対を言わないまでも“隠れ賛成”の人はたくさんいる。産業がどんどん衰退していく中で「産廃が来なくて水俣はどうやって生きていくの?」と問われたときの答えを持っていなくては。
 海、山、川と自然に恵まれ、人口3万人弱が暮らす水俣市。その風景を、アマチュアカメラマンの山本達雄さん(56)=同市平町=の写真で紹介する。水俣病を教訓にした環境モデル都市の取り組み、海岸線の桜、荘厳な滝など、見どころはたくさんある。

2006/06/28 水俣の産廃処分場問題:「産廃白紙撤回を」--市長ら上京、業者に要請 /熊本【毎日】


 水俣市長崎地区にIWD東亜熊本(水俣市、小林景子社長)が計画している産廃最終処分場問題で27日、「産廃阻止!水俣市民会議」(会長・宮本勝彬市長)のメンバーら6人が、東京都内にある同社の親会社などを訪れ、白紙撤回を求めた。25日の「産廃阻止!水俣市民総決起大会」での決議文採択を受けて上京した。
 親会社を訪ねたのは、宮本市長のほか緒方誠也副会長、坂本ミサ子坂本龍虹両理事ら5人。宮本市長は、IWD(神奈川県海老名市、杉山孝社長)東京支社で小林景子社長に要請書を渡し「水俣病の経験を経て環境モデル都市を目指す市に計画はそぐわず、危険性もある。白紙撤回を」と求めた。
 小林社長は「高い技術と安全性で世界に誇れる施設を造りたい」と改めて白紙撤回を拒否した。環境影響評価の準備書を今夏提出するという。また、東亜道路工業(東京都)の柴田親宏社長は「環境モデル都市を目指す水俣市のためになると思い、計画を決めた。市民が水俣病で苦しんだことは理解しているが、水俣病と処分場は別問題」と答えた。
 一行は環境省の谷津龍太郎・政策評価広報課長にも小池百合子環境相あて要望書を渡し、県選出国会議員にも陳情。宮本市長は「業者とは、そもそもの出発点が違い議論がかみ合わないが、今後も撤回を求めていく」と話した。【平野美紀】


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最終更新:2006年07月24日 12:33