これはフィクションです
政府は「子供を有害情報から守る」と言う言葉を名目についにアニメ・漫画規制法を実行した。
日本各地で巻き起こるアニメ・漫画への弾圧。それはノートの隅っこに書いた小さな落書きさえも
許さぬ徹底的な物だった。当然各書店から漫画本は姿を消し、現在放送中のアニメも全部打ち切り。
当然その影響はこなた達の周囲に及ぶ事も例外では無かった。
「やめてよ! 持って行かないでよ!」
「うるさい! 逮捕されないだけマシだと思え!」
政府は既に各家庭が持っていたアニメ・漫画関連の物の個人所有さえ認めなかった。
故に各家庭一つ一つを回って全ての物を没収させたのである。
それは漫画本やアニメのDVD、アニメを題材にした玩具のみならず
個人でノートに書いた落書きやビデオ録画した物さえ認めぬ徹底的な物だった。
そしてこれによって泉家は家の中に備蓄してあった多数のアニメ・漫画関連の物を全て失ったのである。
「そんな…漫画やアニメが無かったら私…生きられないよ…。」
県下でもオタ少女として有名(?)であり、同人界でも伝説の少女Aと名を轟かせていた
泉こなたにとってそれは死刑宣告も同然。失意のどん底に沈むのは当然だった。
そして失意のまま学校へ行くのだが…その途中でさらなる事実を知る事となる。
「か…かがみん…どうしたの…?」
「ハハハ…ラノベが……あたしのラノベが………全部…全部…。」
こなたの親友、柊かがみがそう何度も呟きながら放心状態になっていたのだ。
「こなちゃぁん! 今日政府から来たって人がお姉ちゃんのラノベ全部持って
行っちゃって、それ以来お姉ちゃんが変になっちゃったよぉ!!」
「う…嘘でしょ…。」
かがみの双子の妹であり、こなたの親友でもある柊つかさは泣きながら
状況を説明し、こなたも愕然とするしか無かった。政府の弾圧はラノベにも及んでいたのだ。
学校に付いた後も、さらなる事実を知る。こなた程では無いにせよ、誰もが漫画を読む。
それが一切禁止されて阿鼻叫喚になった人、名は明かされてはいないが、さりげなく
存在したガ○プラヲタな人がガン○ラ全部没収されて狂ってしまって学校を休んだ事などなど
様々な影響があった。
そして学校の授業も終わり、こなたは自分の家に帰宅した。しかし…アニメ関連グッズや
漫画本の無い自宅は…あまりにもガランとしていた…。
「ハァ…楽しみが無いや…もう寝よう…。」
こなたは失意のままベッドへ倒れ込もうとしたが…そこで突然電話がかかってきた。
「ハイ…泉ですが………ええ!? ゆーちゃんが!?」
電話に出たこなたは愕然とした。それは今日下校中にこなたの従妹の小早川ゆたかが
何者かに襲われ、レイプされてしまったと言うのである。被害を受けたゆたかには
申し訳無いが…それだけならばまだ普通の強姦事件。しかし…その後で聞かされた事が
余りにもこなたに大きな衝撃を与えた。何故ならば加害者は新法律の影響で弾圧を受けた元オタで
それまで性欲の捌け口になっていた漫画やアニメを捨てさせられ、かつ自分でエロい絵を
紙に書いて…と言う行為さえ許されぬこのご時世に我慢できなくなって……と言う物だったのだ。
「そ…そんな………。」
こなたはガックリ肩を落とすしか無かった。実際に被害を受けたゆたかには本当に
申し訳の無い事だが…こなたは加害者の元オタを攻める事は出来ず…むしろ同情していた。
彼も新法律が出来上がる前はアニメや漫画が好きなだけの善良な一市民だったのかもしれない。
アニメや漫画で抜けば性犯罪などする気さえ無くなる。そう考えて実際に性犯罪を起こした
人達の事を軽蔑していたに違いない。しかし…新法律のせいで性欲の捌け口を失い…
ついに我慢の限界が来て…それをゆたかへ爆発させた。形はどうあれ強姦と言う行為が
許される物では無い。だが……こなたにはそれ以上に許せない物がいた。
「何で……何で政府のおじさん達はこんな無茶な法律を作ったんだろう…。」
ゆたかが強姦の被害に遭うと言うのは氷山の一角に過ぎなかった。
既に日本各地で同様の少女強姦事件が発生していたとニュースは報じていたのである。
「こ…この人達も……ゆーちゃんを襲った人と同じ…。以前はちょっと漫画やアニメが
好きなだけの善良な一市民だったのかもしれない……それなのに………。」
そしてさらに新たな電話がかかってくる。
「ハイ泉ですが………ええ!?」
またもこなたは愕然とする。何故ならばこなたの知り合いの一人で、同人漫画家でもある
田村ひよりの同人誌を作ると言う行為が新法律下では犯罪となる為…逮捕され…
あろう事か二度と同じ事が出来ないようにと利き腕を潰されてしまったと言うのである。
「そんな………そんな…………。」
こなたは自分の部屋の真ん中で失意のまま座り込んでいた。
「そんな…そんな…私だけじゃない……みんなも………そんな……。」
被害を受けたのは自分だけじゃなかった…皆も一緒だった。それが…こなたには逆に心苦しかった。
「も…もうこんな世の中…生きていたって面白くも何とも無いよ…。いっそ…死のうか…。」
こなたは自殺を決意した。しかし…直ぐに一歩踏みとどまる。だが決して怖気付いたわけでは無かった。
「まだだよ。まだ死んじゃいけないよ。こんな酷い世の中を作ったあいつ等を
地獄に堕とすまで…まだ私は死ねないよ!」
こなたは立ち上がり、大急ぎで玄関へ走って行った。
翌朝…TVのニュースではこう報じられていた。
「アニメ・漫画禁止法案の推進派であった政治家の○○○氏が何者かに壁に頭を強く叩きつけられて
死亡している所が発見された。」
と………。しかしそれは始まりに過ぎない。それを引き金として次々に
「アニメ・漫画禁止法案を推進した政治家」が謎の死を遂げて行くのである。
そして一週間後の晩……
「う…うわぁ…た…助けてくれぇぇ…。」
「ダメだよ……。おじさん……責任取らなきゃ…。」
推進派最後の一人、政治家△△△に一人の少女が迫っていた。彼女はこなた。
そう、アニメ漫画禁止法案を進めた政治化を次々に抹殺していた犯人とは…こなたの事だったのだ。
しかしその度に彼女も傷を負い、その全身は真っ赤に染まってしまっており
それが逆に政治家△△△を恐怖させていたのである。
「おじさん…子供を守るって言ってたよね…。でも…そう言って漫画やアニメを
禁止したせいで…性犯罪が激増したよね? おかしいよね……全然子供守って無いじゃん。」
「そ…それはまだ法律が立ち上がったばかりだからに過ぎない…。だからこれから
子供を守って………んぐ!」
政治家△△△の首をこなたが締め上げていた。
「分かって無いじゃん。おじさん全然分かってないよ。どうしてこんなバカが政治家になれるんだろう。
おかしいじゃん。こんなおかしいおじさんのせいで私の従妹もレイプされて…………
全部…全部……全部……おじさんのせいじゃん……。こんな馬鹿げた法律立ち上がる前は……
皆善良な一市民だったんだよ。アニメや漫画が好きなだけで……。でも……おじさんが
あんな物作るから……皆犯罪者にされて……おかしいよ! 絶対におかしいよ!」
「ん! んんん! んんんん!」
こなたの政治家△△△の首を絞める手は徐々に強くなって行き…最後に
力一杯頭を壁に叩き付け…殺した。
「これで良い……ハハ……ハハハハハハ……。」
こなたは血に染まった我が手を見ながら笑った。
「これで……もう…悔いも無く……死ねるよ……。」
こなたが血に染まったままの手でスカートのポケットに手を入れると、中から一丁の拳銃が姿を現した。
「流石は銃社会アメリカだね……こんな物持ってたなんて……。」
その拳銃はこなたの知り合いの一人であるアメリカからの留学生、パトリシア=マーティンから
貰った物だった。そしてこなたは拳銃の銃口を自らの頭に当てて………自ら命を絶った…。
「注意:これはフィクションです。 実在の人物、団体等とは一切関係ありません」
最終更新:2024年04月24日 19:05