偏愛2

by東京都

つかさ「おねえちゃん、もうこんなこと止めようよ」
かがみ「どうしたの?いきなり」
つかさ「だって!・・・だって、こなちゃんすっごくつらそうなんだよ?もう私見てられないよ!
    昔みたいに、4人で仲良くしようよ!どうしてそんなにこなちゃんのことが嫌いになったの?」
かがみ「あんた、なにか勘違いしてない?別に止めないわよ。止めたければ止めればいいじゃない。
    私はあの写真をお父さんに見せるだけだから」
つかさ「っ・・・・!」
かがみ「それに私、こなたのことは今でも大好きよ?ぜんぜん嫌いじゃないわ」






初めてあの子に会ったのはいつだっただろうか?確かつかさが連れてきたんだっけ。
あの時のことは今でも思い出せる。
高校生とは思えないちっちゃな体。くりくりとした愛らしい目。腰まである長い髪。
昔から、男の子より女の子の方が好みだってのは思っていたけれど自分の性癖をはっきりと悟ったのは
あの瞬間だったと思う。
何のことはない。一目ぼれってやつだ。

つかさ「あ、おねーちゃん!この子が前に話していたこなちゃん!泉こなたちゃんだよ」
かがみとこなた「よ、よろしく・・・」

最初はぎこちなかったけどすぐに仲良くなった。お互いにゲームをするからその話で盛り上がったりした。
くだらない事で互いに笑いあったりもしたよね。

こなた「いやー、最初はかがみんがこんなにオタクだとは思わなかったよ」
かがみ「な、何よ失礼ね!あたしのどこがオタクなのよ!?」
こなた「んー、ラノベ読むところとか?あとそれを私に勧めてくるところとか?」
かがみ「ラノベ読むからってオタクってことはないでしょ・・・。それに本当に面白いから読んでみろって」
こなた「世間ではラノベ=オタクっていう式が成り立ってだねぇ・・・」
かがみ「・・・高校1年生でエロゲに手を出してるやつに言われたくないわね」

かがみとこなた「ぷっ・・・あはははははは!」

つかさ「・・・二人とも本当なかよしだよねぇ」
みゆき「違うクラスなのにかがみさんは休み時間ごとに来てますからね」

その笑顔を見てるだけで幸せだった。私とこなた、それにつかさとみゆきの4人でいるときは本当に楽しかった。
毎日が楽しくて楽しくてしかたなかった。ずっとこんな生活が続けばいいのにって思ってた。

だけどいつからだろう?私の中の気持ちが抑えられなくなったのは。
いつからだろう?あの子の笑顔をただ見てるだけでは満足できなくなったのは。

あるときからこなたの笑顔を見てるいると私の中の何かが囁きだすようになった。
最初は小さな声。
(あの笑顔を苦痛で歪ませたい・・・)
もちろん自分でも「これは変だ」と思っていた。また別の声が「そんなこと私は望んでない」とも。
けれど日増しに声は大きくなっていった。こなたの笑顔を見るたびに私の中で欲望が大きくなっていくのだ。

こなた「・・・かがみん?かがみん?どうしたの?」
かがみ「へっ・・・?あっ、ああ!」
つかさ「おねーちゃんって最近ボンヤリすることが多いよね。何かあったの?」
こなた「ははーん、さては男でも出来たのかな?」
かがみ「お、男!?」
こなた「狼狽するところが怪しいなぁ・・・。とうとうかがみんにも春がき・・・」
かがみ「ば、バカ!違うわよ!」

思わずこなたの頭を叩いてしまう。焦っていたのか力の制御ができなく全力で殴ってしまった。

こなた「おぅ!?・・・さ、さすがにこれは痛いよ」
かがみ「ご、ごめんね!大丈夫?・・・あ、それに彼氏なんか残念ながら出来てないわよ。
    ちょっとテストの結果が悪くてそれでね・・・。」
こなた「なーんだ。つまんないなぁ」
かがみ「つまんないって、お前は私に何を望んでるんだ・・・」

こなたの頭を殴った感触はしばらく手から消えなかった。
私の中の制止する声はすっかり小さくなってしまった。


突然だけど、最近いくつか発見したことがある。
一つ目、それは手についた血の匂いはなかなか消えないということ。

かがみ「(今日はこなたと一緒じゃないのか・・・)」

その日、こなたはバイトのために私より一足先に帰っていた。
期末テストも近い秋の夕暮れ、図書館でしばらく勉強してから私は家路についた。
中途半端な時間だけ勉強したからだろうか。次のバスまで結構な時間があった。

かがみ「たまには歩くか。急いでもないし」

かがみ「(あっ、ネコだ!)」

学校からしばらく歩いたところにある公園、そこにはよく野良猫が集まっていた。

かがみ「(可愛いなぁ。そういえば昼の残りのパンが少しあったっけ。)」
かがみ「痛っ!」

パンをあげようとして野良猫に引っかかれた。指先に血が少し赤くにじむ。

正直な話、その後のことはよく覚えていない。
気がついたとき、私は血まみれのカッターナイフを持って立っていた。
目の前にはギタギタに刻まれた黒猫だったものが転がっていた。あたりはすでに真っ暗だ。

かがみ「(え?私どうしたの?・・・は、早く帰らなきゃ!)」

幸いというべきか制服自体に血はあまりついていなかった。
また少し帰宅が遅くなってしまったが、お父さんとお母さんは特には怪しまなかった。
学校で勉強してから帰ると、もっと遅い時間に帰ることがよくあったからだ。
手についた返り血は公園で洗って簡単に洗い流せたけど、お風呂の中で何度洗っても手についた匂いは消えなかった。
次の日は普段より早く学校に向かった。お父さんとお母さんには学校で自習するからと嘘をついて。
本当は昨日のネコの死骸が気になってしかたなかったからだ。公園に着くとネコの死骸はそのまま放置されていた。
カラスなんかに食い散らかされたあとも特にない。

かがみ「(これ、どうしようか・・・)」

途方にくれる私にまた「あの声」が囁いた。

さくらば「んー、柊は今日は遅刻か?珍しいな」
かがみ「す、すいません。遅れました。ちょっと体調が悪くて・・・」
さくらば「そうか、つらかったら保健室に行けよー。それじゃ授業始めるぞ。教科書の・・・」

放課後、下駄箱の中の死骸を見たこなた。その彼女の悲鳴を聞いて私の中のもうひとつの声、制止する声は完全に消え去った。


ネコの死骸を見たこなたの表情、そしてその悲鳴を聞いたときから私の中で何かが変わった。
(もう一度あの表情が見たい)
ただそれだけのために彼女の体操服や教科書といった持ち物を捨てたり、また小動物の死骸を下駄箱に放り込んだりもした。
だけど、そのうちその表情を見ることだけでは満足できなくなっていった。
私の中の声はどんどん大きくなっていったのだ。

二つ目の発見、それは人の弱みを見つけるということは案外簡単だということだ。
それが心を許した親友ならばなおさら。ずっと一緒にいるから、そいつの触れてほしくない分というものも見えてくる。

コンコン・・・
つかさ「んー?おねーちゃん?どうしたの?」
かがみ「あ、もしかして寝てた?」
つかさ「ふあぁ・・・。ん・・・。大丈夫だよぉ」
かがみ「それにしてもまだ12時前でしょ?勉強とかしなくて大丈夫なの?テスト近いのに」
つかさ「・・・だ、大丈夫かな?」
かがみ「知らないわよ・・・」

つかさ「それで話って何なの?こんな時間に」
かがみ「あー、それね。つかさ、あんたさ、あしたからこなたと話すのやめてくれない?一切無視してほしいの」
つかさ「え?」
かがみ「だからね、こなたに話しかけられても無視して欲しいのよ」

つかさ「えっと・・・、あたしバカだから良く分かんないんだけど、おねえちゃんとこなちゃんって仲が悪いの?もしかして」
かがみ「あんたが気にする必要はないわ。とにかく無視すればいいの。簡単でしょ?」
つかさ「そ、そんなことできないよ。せめて理由を教えて!二人が喧嘩してるなら仲直りできるように、私協力するから!」
かがみ「・・・あんまりこの写真は見せたくなかったんだけどなぁ」

そう言って写真を一枚つかさに見せる。この前撮ったやつだ。

つかさ「な、なんでその写真・・・」
かがみ「よく撮れてるでしょ?我ながら会心の出来栄えだと思うのよね。まー、つかさがどうしても嫌だって言うなら
    この写真をお父さんにでも・・・」
つかさ「や、やめて!何でもするから・・・だから、お願い」
かがみ「じゃあ私のお願い、聞いてくれるかな?」
つかさ「・・・どうしてもやらなきゃだめなの?せめて理由だけでも・・・」
かがみ「返事は“はい”でしょ?さぁ言ってみて」
つかさ「・・・はい」
かがみ「良く出来ました。じゃあ明日からよろしくね」

弱みを掴まれると人間って、やっぱり相手に逆らえなくなるものね。
友達だから、いや・・・友達だったからこそどんな事が一番効果的なのかがわかる。
みゆきの時はもうちょっと苦戦したかな。だってみゆきの家って結構遠いのよね。

みゆき「学校では毎日会うのに、休日に会うのは結構久しぶりかもしれませんね」
かがみ「やっぱ何だかんだで、お互い勉強とかしなきゃいけないしね。みゆきは医学部志望だっけ?
    ・・・あっ、私は紅茶ね。みゆきはどうする?」
みゆき「それでは私はコーヒーを頂きましょうか」
店員「ご注文は以上でよろしいでしょうか?」
みゆき「はい、ありがとうございます。・・・先ほどの話ですけど、やはり医者になるというのは昔からの夢でしたので。
    そういうかがみさんは弁護士志望でしたか?法学部を受けられるんですよね?」
かがみ「私の場合も弁護士ってのが憧れなのよねー。やっぱ子供の頃からの夢ってやつ?お互い夢を叶えたいよね」
みゆき「大変ですけど、お互いがんばりましょうか。・・・それで今日はどういったご用件なのですか?」
かがみ「あ、そうね!ちょっとみゆきに頼みたいこと、というかお願いあったからわざわざ来てもらったんだけど」
みゆき「ご期待に沿えるかはわかりませんが、私に出来ることであれば何でも協力いたしますよ」
かがみ「うん、大丈夫大丈夫。結構簡単なことだから。あ、その前にちょっとこの写真見て欲しいんだけど、
    見覚えある?」

そう言って何枚か写真をみゆきに見せてあげた。正直なところ、つかさの写真を撮るよりだいぶ苦労したっけ。
まぁ苦労の甲斐あってこれも中々いいものだと思うけど。

みゆき「はい、ちょっと待ってくださいね・・・え?ど、どうしてこんな写真を?」
かがみ「まぁ、いろいろとねー。おかげでちょっと寝不足気味かな。みゆきの家も大変よね。あんまりお父さんが
    帰ってこないんだっけ?お母さんもきっと寂しかったのかしらね?」
みゆき「なんで・・・」
かがみ「あー、あと私もみゆきが毎晩こんなことをしてるなんて思いもよらなかったわ。クラスで一番の秀才かつ美少女が
    夜な夜なこんなことをしてるなんて誰にも想像できないでしょうけど」
みゆき「す、すいません。ちょっと気分が・・・」
かがみ「大丈夫?大変だろうけど、すぐ話を終わらせるからちょっとだけ我慢して欲しいの?」
みゆき「・・・一体何が目的なんですか?」
かがみ「ごめん、ちょっと聞こえなかったんだけど」
みゆき「一体何が目的でこんなことをするんですか!?」

いきなり大声を出したみゆきに店内の客全員の視線が集まった。まあ無理もないわね。

かがみ「みんな見てるわよ?あんまり大きな声、出さないほうがいいと思うけど」
みゆき「あっ・・・」
かがみ「まぁちょっとお願いしたいことがあるのよ。月曜日から、こなたと一切口をきかないで欲しいの。
    理由は聞かないでね。断ってもいいけど、そしたらどうなるか・・・みゆきなら分かるわよね?」
みゆき「・・・」
かがみ「じゃあ、先に帰るわね。あっ!ここの代金だけど私が持っとくから安心してね。それじゃまた月曜日に学校でね!」
月曜日、二人とも私のお願いをちゃんと聞いてくれたみたい。あれだけ苦労したから当たり前だけど。
こなたへの嫌がらせも再開した。だんだんと小動物を切り刻むのにも慣れてくる。
最初は若干気持ち悪かったけど、慣れれば何にも感じずに作業としてこなせるんだね。

しばらくするとこなたは学校を休みがちになった。無理もないだろうけど。
でも、もし自殺でもしたら・・・、私の見てない所で自殺でもするなんてことは許せない。
だから学校を休んだこなたの様子を見に行ったんだ。

かがみ「おじゃましまーす」
そうじろう「お、かがみちゃんか。こなたの奴最近塞ぎ気味なんだけど、学校で何かあったのか?
      悪いけどかがみちゃん、慰めてくれないか?」
かがみ「ちょっと学校のほうで色々あったみたいで・・・。こなたに会えますか?」
そうじろう「おーい、こなたー?かがみちゃんが来てくれたぞー?・・・返事がないなぁ。
      まあ、とりあえず上がって」

かがみ「こなた?大丈夫?最近、学校休み気味だけど・・・。何かあったなら私に話して」
こなた「うぅ・・・。もうつらいよぉ。学校に行くと嫌がらせされるし、誰にも相談できないし・・・」

可哀想なこなた。私のこなた。きっと泣いていたんだろう。目が真っ赤だ。
だから私は彼女を抱きしめてあげた。

かがみ「大丈夫よ、私はずっとこなたの味方だから」

私の腕の中で彼女は泣きじゃくった。本当につらかったんだね。

もうその頃には私の中で自分の欲望を止めるものはなくなっていた。
健気にも学校に来るこなたの姿が私のやる気に繋がったんだ。可哀想なこなたはそんな事知らなかっただろうけどね。

つかさとみゆきが私の“お願い”を聞いてくれるようになってから一ヶ月ぐらいが経った頃だろうか。
ある日曜日に、私は二人から呼び出された。

かがみ「おーっす。みゆきと会うのって結構久しぶりじゃない?最近は忙しくてあんたたちのクラスに
    行ってなかったからね」
みゆき「・・・お久しぶりです」
かがみ「二人とも何頼む?私は紅茶でいいかなぁ・・・」
つかさ「ねぇ、おねえちゃん。今日はおねえちゃんに話したいことがあったから、だから呼んだんだよ」
かがみ「ん?」
つかさ「おねえちゃん、もうこんなこと止めようよ」
かがみ「どうしたの?いきなり」
つかさ「だって!・・・だって、こなちゃんすっごくつらそうなんだよ?もう私見てられないよ!
    昔みたいに、4人で仲良くしようよ!どうしてそんなにこなちゃんのことが嫌いになったの?」
かがみ「あんた、なにか勘違いしてない?別に止めないわよ。止めたければ止めればいいじゃない。
    私はあの写真をお父さんに見せるだけだから」
つかさ「っ・・・・!」
かがみ「それに私、こなたのことは今でも大好きよ?ぜんぜん嫌いじゃないわ」

みゆき「私も、かがみさんがどうしてこのような事をなさるのか分かりません。せめて理由だけでも聞かせてもらえませんか?
    つかささんと二人で話したのですが、もし泉さんと喧嘩しているようなら仲直りできるように
    がんばりますので・・・」
かがみ「仲直りって言ったって・・・別に喧嘩なんかしてないしねぇ」
つかさ「もう、とぼけるのはやめてよ!もう私、こんなことやりたくないよ!ゆきちゃんだって同じ気持ちだよ!?」
かがみ「・・・そうなの?」
みゆき「正直、もうこんなことは止めにしたいです。仲違いしてるわけではないなら、昔のように4人仲良く・・・」
かがみ「・・・そうね。もうやめにしようか」
つかさ「おねえちゃん、やっと分かってくれたんだね?」



かがみ「昔みたいで4人仲良く遊ぼうか?・・・でもね、もう無理だと思うよ?
    あんた達二人がどれだけひどい事したか分かってる?」
つかさ「そ、それは・・・」
かがみ「もう私のお願いを聞いてくれないんだよね?じゃあ、あの写真を学校の掲示板にでも貼り付けておくわね
    それでいいでしょ?」
みゆき「そんな・・・」
かがみ「ね?私のお願いを聞いててくれればそれでいいのよ。難しいことじゃないでしょ」

困惑する二人を尻目に席から立った。

かがみ「じゃあ来週からもよろしくね!」

二人にはひどいことをしてると思うけど、だけどそれでも私はこなたのあの表情を見ていたかったんだ。



男A「あの女の子をさらえばいいんだな?」
かがみ「さらうだけね。変なことしたら承知しないから」
男B「おーおー、怖いねぇ・・・。金さえ払ってもらえればちゃんとやるから安心しろ」
かがみ「あとね、あの娘格闘技経験者だから甘く見ないほうがいいわよ」

男A「はーい、お嬢ちゃん?元気ー?」
こなた「え・・・?いったいいきなり何?」
男B「とりあえず、俺たちと遊ばない?すぐそこに車あるからさ」
こなた「す、すいません。急いでるんで」
男A「まぁ、待てって!」
こなた「は、離して!やめて!」
男B「暴れるなっ!・・・グフッ、おい!お前も手伝えよ」
男A「お、おう」

かがみ「だから言ったでしょ?甘く見ないほうがいいって」
男A「ひどい目に会ったぜ・・・。この後はあの場所に連れて行けばいいんだっけ?」
かがみ「そうよ、予定通りよろしくね」

距離にして数十キロ、2時間ほどかけて私たちの乗った車は北関東の山間、とある廃工場跡についた。

男A「いやー、辺鄙なところだな!おい、あの娘を車から降ろせよ」
男B「へいへい・・・。人使いが荒いねぇ。・・・よっと、やっぱり軽いな」
かがみ「ちょ、ちょっと!乱暴に扱わないでよね!」
男A「あ?何言ってんだお前?」

そう言って男は私を殴った。不意のことだったので倒れこんでしまう。口の中に鉄の味が広がった。

かがみ「何するのよ!お金はいらないの!?」
男B「お嬢ちゃんもバカだねー。こんなところに誰も助けなんかこないぜ?金なんて無理矢理奪うに決まってるジャンw」
男A「そういうこと。おっと、逆らわないほうがいいと思うぜ?この娘をさらうときは不意を食らったけど、
  大の男2人相手に女子高生が敵うと思うか?」
かがみ「くっ・・・、やめて!その娘に変なことはしないで!」
男A「はい、そうですか。なんて言うやつがいると思うか?安心しろよ。この娘のあとでお前も可愛がってやるからよ」
男B「女子高生ってのは久しぶりだな!興奮してきた」

あぁ、やっぱりそうか。大人しく言われたことさえやってくれればそれでいいと思っていたけど。
まぁ想定の範囲内だ。こんなところで、こんなやつら相手にこなたを汚させるわけには行かないし、
それに私もこんなやつらに犯されるなんてまっぴらごめんだしね。
こんなこともあろうかと、用意しておいたアレをバッグから取り出した。
あいつらもバカよね。どうせなら荷物の中身ぐらいチェックしておけばいいのに。

ドン!

男A「っ・・!何しやがるんだこの糞アマ!よくも殴りやがって・・・。頭にきた。お前から犯してやるよ」
男B「お、おまえ・・・」
男A「あん?」
男B「あた、頭に・・・」

廃屋のガラス窓。そこに写った自分の姿を見てその男も何が起こったのかようやく気づいたんだろう。
人間、とっさの痛みには案外鈍感なものらしい。そういえば、高速をバイクで走ってて足が千切れたのにそのまま
インターまで行ってそこで初めて気がついた、っていう人もいたぐらいだしね。

男A「鉈?なんで俺の頭に鉈が刺さってるんだよぉ?は、ははははは!」

基地外じみた笑い声をその男は上げ始めた。とっさのことに頭が付いて行ってないのか?
それともそんな事を考えるために“必要な部分”が壊れてしまったんだろうか?
愛用の出刃包丁―小動物を切り刻むときに使ったやつだ―を握り締めてながらそんな下らないことを考えていた。

最近いくつか発見したこと。最後は、骨に当たると刃物って案外簡単に欠けてしまうってこと。
だから人を刺すときにも気をつけなきゃいけない。人にこの出刃包丁を使うのは初めてだったけど、案外簡単にできた。
いや、私の中の何かがおかしくなってしまっただけだね。きっと。

男B「ひ、やめて!やめてくれ!」

鉈が刺さったほうの男、そいつの方は案外簡単に片付いた。刺したところが良かったのか、すぐに動かなくなった。
鉈の効き目もあったんだろう。だけどもう一人の男は大変だった。中々死なないから終わったときにはセーラー服が真っ赤に
なっていた。

こなた「う・・・ここは?ここはどこなの?私、確か・・・」

どうやら、こなたが目を覚ましたらしい。あなたを守るために私がんばったのよ?まぁ自分のためでもあるんだけどね。
案の定というかやっぱり私が黒幕だってことに気が付いてなかったらしい。彼女は唯一の仲間に裏切られてしまったんだ。
絶望する彼女の目、それは初めて会った時に私の心を射抜いた目とは違っていた。
けれどもその時と同じ気持ちを私に抱かせた。そう、彼女を愛らしく思うこの気持ち。
だから私はとびっきりの笑顔でこなたに言ってあげたんだ。

かがみ「ずっとずっと一緒だよ。私のこなた」

おわり めでたしめでたし
最終更新:2022年04月29日 17:43