笑ゥせぇるすまん
私の名は喪黒福造、人呼んで笑うセールスマン、ただのセールスマンじゃございません、
私の取り扱う品物は心、人間の心でございます
この世は老いも若きも、男も女も、心の寂しい人ばかりそんな皆さんの心の隙間をお埋め致します
いえ、お金は一銭も頂きません、お客様が満足されたらそれが何よりの報酬でございます。
さて今日のお客様は・・・・・
泉こなた(18)女子高校生
「お帰りなさいませぇ、ご主人様♪」
ここ秋葉原のメイド喫茶で働く元気な少女、そう、ご存知、泉こなたである。
「泉さーん、3番のテーブルにお客さん入りました!」
「はーい!」
呼ばれると三番のテーブルには全身黒のスーツに身を包んだ中年の男が座っていた。
その上大きな口と不気味な笑顔がこなたをドキッとさせる
「コーヒーをお願いできますか?私甘党なんで砂糖たぁっぷりと入れてぇ♪」
「は、はぁ・・・・(キモいおっさんだなぁ、こんな喫茶店に来るなんて・・)」
などと考えながらコーヒーを男の席に運ぶ、早くこんな仕事終わらせたい、だが
「うわっ!」
うっかりよろけてしまった、こぼれたコーヒーは男のスーツにかかってしまった。
「す、すみません!ついうっかり!!」
「いやいや、いいんですよ、クリーニングに出せば済むことですからぁ♪」
男はハンカチで汚れた部分を拭きながらこなたに向かってにぃっと愛想笑いをした。
翌日、こなたは教室でうなだれていた、ソレを言うのも昨日の一件でメイド喫茶をクビになったからだ。
また次のバイト先探さなきゃと言うのもいつものこと、以前勤めていたコスプレ喫茶もパティとギャラの配分で揉め
追い出される形でこなたはクビになっていたからだ。
「こなちゃん、またバイトをクビになったの?どんだけ~?」
「協調性にかける人間はこうなるんですよ、泉さん・・・」
「つかさ、みゆきさんまで・・・」
最近はこなたにとって安心できる場所は無いこの二人は最近こなたに冷たく当たっている。
受験のストレスのせいか成績の悪いこなたをスケープゴートにして自己満足を得ようということだろう
最近は慰めてくれるかがみも勉強が忙しいといって全く相手にしてくれない、
そうこうしているうちに絶望の一日が終わった
「今日は本当に疲れたよ、どうしようかなぁ・・・」
「おやぁ?随分とお疲れのようですなぁ?こなたさん・・・」
「う、うわっ!!昨日喫茶店に来ていたおじさん!!」
どこから来たというのだろうか?突然後ろから声をかけられた、そう、昨日喫茶店に来ていた黒服の男
「ここではなんですからどこかでお話しましょうか・・・」
「あの、私はお酒飲めないので・・・」
「わかってますよ、マスター、オレンジジュースをこの子に・・・」
「あ、あのぉ?おじさんは一体?」
「失礼、自己紹介がまだでしたね、私こういう者と申します」
「心の隙間・・お埋めします?喪黒福造・・・・」
「あなた、心に悩みがあるのではないですか?」
あれから何日たっただろうか・・・・
こなたは幸せだった、あれからずっと家に引きこもって喪黒からもらったゲームで仮想現実の
世界で遊ぶ、ハルヒと一緒にSOS団として活動したり、コードギアスの世界で戦ったり・・・
ただ今までの現実の友達とは縁を切るようにと約束さえ守っていれば・・・・
「こなた!かがみちゃんが来てくれたぞ、お土産にクッキーを焼いて・・・」
「今いないって言ってよ・・・」
自分は何をやっているのだろう?かがみのクッキーを一掴み食べてみた、するとどういうことだろう?
涙が止まらない、自分のことを忘れないでいてくれた友達がいたなんて・・・・
急に学校に行きたくなった・・・しかしその瞬間後ろに気配を感じ
「も、喪黒さん!!」
「こなたさん、あなたは約束を守りませんでしたね~」
「や、約束って・・・・」
「あなたは学校の友達と縁を切る、でもあなたはかがみさんの作ってくれたクッキーを食べた」
「ちょ、ちょっと待ってよ、だ、だって・・・・・」
すると喪黒は引きつっているこなたの額に指をあてがい、大声で叫んだ・・・
「どーーーーーーーーん!!!」
「うわああああああああああああああああああああああああ(=Δ=:)」
翌日、閑静な住宅街に立つ一軒の家、そこには大勢の人が詰め掛けていた、そして大量のパトカーと慌しく動く警察官
「酷い・・・これは即死ですね・・」
そこに横たわっていたのはハルヒのコスプレをした一人の少女、だが既に彼女の瞳には光を感じない
もはやそれは肉塊だった、彼女の頭部から流れる夥しい量の血、それはハルヒの青い服を真っ赤に染め上げていた・・・
「なんでも「自分は飛べる」とか言ってベランダから飛び降りたそうですよ」
「こなちゃんって馬鹿だよね、あははバルサミコ酢う~♪」
それを笑いながら眺めていた二人の女子高生が野次馬の中にいたことは誰も知らない
「全くアニメもいいですが、現実を忘れるくらいハマるのもどうかと思いますねぇ~、
こなたさんもそれに気付いて現実に立ち向かっていたらこんなことにはならなかったんです
皆さんも気をつけて下さいね、おーっほっほっほ・・・・・」
最終更新:2024年04月21日 07:01