(1)細胞に含まれる高分子化合物を4種挙げよ。
(2)DNAは、血液中のどの細胞種により分離されるか。
白血球
(3)本実習では、DNAを分離するのに、DNAのどのような性質を用いているか。
DNAを分離するのにsilica-membraneを用いている。DNAは高濃度の塩の存在下で、疎水結合によってsilica-membraneに吸着する。そしてこのsilica-gelへの吸着はpH依存性で、pH≦7.5で95%吸着しているが、pHが高くなると急激に吸着率が下がる。この性質を用いてDNAを分離する。
(4)DNA以外の高分子は、操作の過程でどのように除去されたか。
(5)吸光度とは何か。
(6)DNAの吸光は何に由来するか。
DNAの吸光はATGCの塩基に由来する。これはDNAの塩基が環状二重結合を持つプリン/ピリミジン骨格を有するためである。
(7)2本鎖状態のDNAと1本鎖状態のDNAの吸光度の違いについて。
(8)RNAおよびタンパク質の吸光は何nmか。それは何に由来するか。
(9)DNAの回収量を算出せよ。
(10)DNAの純度はどうか。その根拠は。
DNAの純度はグラフの形より判断ができる。たとえば、蛋白質の混入が多いとき280nm付近で極大値をとるし、不純物の混入はA320の数値が上昇する。
数値に関しては、260nmと280nmの吸光度測定と以下の式を用いて算出することができる。
DNA純度=260nm吸光度/280nm吸光度
高純度のサンプルではDNA純度の値は約1.8~2.0になるといわれている。
また、RNAに関しては、吸光極大が260nmでありDNAと同じであるため、吸光度からでは判別することはできない。RNAの混入を調べるには電気泳動行うなどする必要がある。
(11)DNAの合成に最低限必要なものを挙げよ。
(12)PCR法の原理を説明せよ。
(13)Taqポリメラーゼはどのような性質を持つか。
(14)PCR法を用いてRNAを検出する方法はどのようなものがあるか。
PCR法を用いてRNAを検出する方法には、逆転写PCR(Reverse Transcription Polymerase Chain Reaction,
RT-PCR)という方法がある。
PCRはDNAを増幅する反応だが、RT-PCRはRNAからDNAを合成し、そのDNAを増幅する方法である。
RNAは3'末端にAAA・・(ポリA)配列があるので、相補的なTTT・・・(オリゴdTプライマー)を合成して、逆転写酵素を用いてRNAを鋳型にし、一本鎖のcDNA
(cは“相補的”を意味する“complementary”の頭文字。)を合成する。その後、生成された cDNAに対してPCRを行う。
RT-PCRの利用について。真核生物の遺伝子にはイントロンが含まれる。しかし、mRNAにはイントロンが含まれないので、タンパク質をコードする遺伝子を得たいときにはmRNAから合成するRT-PCRの方が有利である。また、レトロウイルスなどの一部のウイルスは、RNA
しかもっていない。そのため、このようなウイルスの感染を証明する場合にRT-PCR法を用いることがある。
(15)PCR法は、医学的にどのように利用されているか。
(16)ゲル電気泳動の原理を説明せよ。
アガロースゲル電気泳動などのゲル電気泳動は、DNAやRNAなどの核酸とそれらの電気的な性質を利用して分離する方法である。長いDNA断片はアガロースゲルの網目構造内をゆっくりと(引っかかりながら)動くのに対して、短いDNA断片はより速く(あまり引っかからずに)動くことから、アガロースゲル電気泳動法では、DNA断片を長さによって分離することが可能になる。
(17)DNAはどちらの電極に向かって移動したか。その理由は。
核酸は「-」の電荷を帯びているため、電場に置かれると+極側に移動すると考えられる。
(18)エチジウムブロマイドの役割を説明せよ。
(19)PCRは成功したか。その根拠は。
1本の濃いバンドが見え、それはマーカーから判断してALDH2のexonのbpとほぼ一致している。PCRは成功したと考えられる。
(20)PCRによるALDH2遺伝子断片の増幅率の理論値はどれくらいか。
(21)塩基配列決定法として、ジデオキシ法を使用した。この原理を説明せよ。
(22)このシーケンス反応と実習第2日目のPCR反応との違いは何か?
PCR(Polymerase Chain Reaction) 反応は、特定のDNA配列を増幅する反応である。
一方、シーケンス反応は、DNAの塩基配列を決定する反応である。この際、PCR反応とは異なり、プライマーを1つしか用いないため、片側からしか合成が行われず、DNAは増幅しない。その代わりに、4色の蛍光色素が別々に結合したddNTPがdNTPと共に一定の割合含まれているため、1塩基差の様々な長さの1本鎖DNA断片が合成される。
(23)アガロースゲルとポリアクリルアミドゲルの違いは何か。どのように使い分けるか。
(24)操作12は何のために行うのか。
(25)SNPについて説明せよ。
(26)遺伝子変異には、他にどのようなタイプが存在するか。また、それはどのような手法により検出が可能か。
(27)
遺伝的多型の種類
VNTR(variable number of tandem repeat)
VNTRは数塩基~数十塩基からなる配列が繰り返し存在するもので、ゲノム中に数百~数千箇所ある。この繰り返しの数が個体によって異なる
STRP(short tandem repeat polymorphism)
STR(マイクロサテライトともいう)は2~7塩基からなる配列が2~数十回反復するもので、この回数に多型が見られ、STRPと呼ぶ。VNTRに比べて多く存在し、突然変異により変化する率が高い。
繰り返し回数の多いものは突然変異を蓄積しやすく、そのような繰り返し回数の異常が疾患(脆弱X症候群、ハンチントン病など)の原因となるものも存在する。
(28)
(30)①個人情報の保護、②インフォームドコンセントについて何故このような措置が必要なのか?
①概念的なレベルにおいて、個人の不利益になる可能性の有する情報には慎重な対応が求められていると考えられるが、概念的なレベルの話は②でするとして、①に関して、「一般的通念上当然である」や法的解釈で用いられる「社会通念上相当」などで回答を求められる質問ではないと判断できるので、ここでは、法的根拠をする。
個人情報の保護においては平成15年に次のような法律が定められている、
個人情報の保護に関する法律(平成一五年五月三十日法律第五十七号)
2003年(平成15年)5月23日成立、2005年(平成17年)4月1日全面施行
この法律は第二章、第三章と行政機関においての個人情報の取り扱いを説いているので、
ここでは第一章総則、第四章、個人情報取扱事業者の義務等
に注目する。
基本理念として
個人情報は、個人の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきことに鑑み、その適正な取扱いが図られなければならない(第3条)。
とあり、
個人情報の定義は、
個人情報とは、生存する個人の情報であって、特定の個人を識別できる情報(氏名、生年月日等)を指す。
これには、他の情報と容易に照合することができることによって
特定の個人を識別することができる情報(学生名簿等と照合することで個人を特定できるような学籍番号等)も含まれる(2条1項)。
よってDNAは氏名など、後天的につけられた、関係性上の定義づけされた産物であるどころか、
個人そのものを先天的に決定付けられたものであるので、個人情報の中でも特に取り扱いに注しなくてはならないものに分類される。
個人情報について
利用目的の特定(15条)
利用目的の制限(16条)
適正な取得(17条)
取得に際しての利用目的の通知(18条)
個人データについては、データ内容の正確性の確保(19条)、
安全管理措置や従業者・委託先の監督(20条 - 22条)、第三者提供の制限(23条)が定められている。
保有個人データについては、事項の公表等(24条)、開示(25条)、訂正等(26条)、利用停止等(27条)が規定されている。
事項の公表、開示、訂正、利用停止の規定により、本人から求められた措置の全部又は一部について、その措置をとらない旨を通知する場合又はその措置と異なる措置をとる旨を通知する場合は、本人に対し、その理由を説明するよう努めなければならない(28条)。
と第四章にあり、DNA検査においては利用目的を治療、もしくは、意義のある実験などに限定される必要性がある。
また第三者提供の制限 においては
個人情報取扱事業者は、以下の場合を除いては、あらかじめ本人の同意を得なければ、個人データを第三者に提供してはならない(23条)。
法令に基づく場合(統計調査等)
人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき(事故の際の安否情報など)
公衆衛生の向上または児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき(児童虐待情報など)
国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要があって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき(犯罪捜査の協力等)
但し、必ずしも本人の同意を得なくとも、以下の場合は第三者への提供ができるものと規定されている。
第三者に提供される個人データについて、本人の求めに応じて当該本人が識別される個人データの第三者への提供を停止することとしている場合であって、①第三者への提供を利用目的とすること、②第三者に提供される個人データの項目、③第三者への提供の手段又は方法、④本人の求めに応じて当該本人が識別される個人データの第三者への提供を停止すること、についてあらかじめ、本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置いているときは、前項の規定にかかわらず、当該個人データを第三者に提供することができる。(第23条第2項)
また、個人情報取扱事業者と実質的に同一と見なし得る事業者が共同で利用する場合、共同利用または業務委託として一定の要件を満たした場合、第三者と看做されない規定がある。すなわち、これらの場合、本人の同意を得る必要がない。
とあり、第三者への提供については被験者の同意が得られない場合はよほどの例外でない場合はされるべきではない。
②インフォームドコンセントについて、
広辞苑から抜粋すると、
「医学的処置や治療に先立って、それを承諾し選択するのに必要な情報を医師から受ける権利。
医療における人権尊重上重要な概念として各国に普及」
とあり、
医学的処置、治療の物理的、化学的、社会的な影響について、知らされるべき情報を得られる権利と解釈してよい。
ここでは知らされるべき情報は被験者の不都合な情報と考えられるので、
つまり遺伝子治療、遺伝子検査における、不利益を列挙すればよいと考えられる。
社会的差別(保険加入の拒否、就職の不採用、婚姻の破棄)などを受ける可能性の存在である。
例えば、ガンになる可能性が高い遺伝子情報が、がん保険会社等に
漏れるとガン保険はもちろんのこと普通の保険にも入ることが困難になってしまう可能性がある。
また、早逝する可能性が高いことが分かっている人間を、技術系の企業で比較的良く見られる、
人間を育て、技術を習得させ、終身雇用をモットーとしている企業が取るとは思えない。
また、早逝する、比較的若い年齢で癌などの重病を発症する人間を生涯の伴侶に選ぶ人間も、次世代のことを考えれば少ないだろう。
故に、将来発生する可能性を客観的に証明できてしまう、また社会的に信頼のおける情報として取り扱われているDNA検査において得られる情報は、それにかかわった全ての医療従事者や医師・看護師がその取り扱いを厳重にしなければならない。