2010年 総評案1

総評案1:大賞 Orange Memories(本スレ9本目672氏)

672 名前:総評案 1/9[sage] 投稿日:2011/01/05(水) 00:22:21 ID:OQ6RArfW0
2009年のKOTYは様々な個性のクソゲーが並ぶバラエティに富んだラインナップであった。
その中「買わずとも体験版をやっただけで分かる」超難解シナリオの一点突破で頂点に輝いた『りんかねーしょん☆新撰組っ!』は2009年を象徴するクソゲーであったと言えよう。
願わくば2010年も「むしろやってみたい」と思わせる個性を持ったクソゲーが生まれて欲しい、未完成や詐欺はもうゴメンだ。
…そんな期待は脆くも打ち砕かれる事となる・・・

年明けからしばらくは過去のKOTYでも名前の挙がった作品・ブランドが再度KOTYの門を叩いた。
その始まりとなったのが130cmの『鬼まり。~鬼が夢見し常の世に、至る幼き恋の始まり~』である。
2009年発売の『鬼うた。』における不満を受け、たった半年のブランクで発売されたFDであったが、
「薄いシナリオ」「2種類のみのエンド」「9つしか無いエロシーン、しかも挿入は妄想の中で1つだけ」と要望を華麗にスルー。
メーカースレ住人に「本編は特典ディスクのドラマ」とまで言わしめた本作であるが、さらに製作側が公式ブログにて
「これじゃ、あきまへんか」
「挿入がないといけないんですか」
と逆方向のアフターサポートをして炎上、鬼うた・鬼まり・事後対応の3連コンボでユーザーをKOした。
なお、発売から5ヵ月後にパッチが配布されエロも増えたので現時点ではクソ度も若干下がっている。

2月、過去のKOTYで次点に泣いた2ブランドが頂点を取るべく満を持してKOTYに殴り込みを掛けてきた。
まずは2008年に次点となり、2009年は家庭用2部門を制した『戦極姫』の続編であるげーせん18の『戦極姫2 ~戦乱の世、群雄嵐の如く~』である。
PC版→CS版2作と1年以上に渡って行われた有料デバッグの成果か、1であれだけあったバグは影を潜めている。
しかし、多数起用してるライターの弊害か、主人公の一人称や性格が統一されずにシーンによってバラバラ。
CGも統一感が無く塗りも極めて低レベルで、原画家から塗りに対して文句が出る始末。
そもそも「2」を名乗ってはいるがシナリオのほとんどは1のままか焼き直し程度である。
「デートをした後にデートの約束をする」「既に死んだ武将のイベントが発生」と相変わらずの姫らしさも残し、
「-100点かと思ったら-10点でほっとしたけど、よく考えてみたらマイナスなことに変わりない」
とは本スレ住人の嘆きである。

もう1本は2009年度に『MQ』が次点となったアーベルソフトウェアから『恋刀乱麻~わたしが、アナタを、守るからっ!!!』。
パッケージに居る5人のヒロインのうち攻略出来るのは3人だけであり、残り2人はHシーン1回、しかも片方は足コキのみで挿入無しのサブキャラに過ぎない。
このゲームのキモである「五行バトル」は早い話が5択のじゃんけんであり、傾向や駆け引きの要素などは皆無の完全運ゲー。
決着にはじゃんけん15勝程度の先取が必要となり、この間プレイヤーはただクリックするだけの作業を数分強いられる。
完全一本道シナリオで敵が出る場所も固定されている為回避も出来ず、もはや「運ゲー」ではなく「苦行ゲー」へと昇華を果たしている。
「一本道シナリオ」「スタッフロールも無く『Fin』で終了」とMQからの伝統を引き継ぎつつ、MQではあったデモムービーすら無くすというとてもエコな作品となった。

まだまだ寒さも残る3月、クソゲーの嵐は休まる気配が無い。
「エロゲ史上でも5本の指に入るクソ主人公・伊藤誠」「ギガパッチ」と、出す度に話題を振り撒くオーバーフローのDaysシリーズ最新作『Cross Days』である。
過去のオーバーフローの所業を知るエロゲユーザーはある程度の事は予想し受け入れる体制が出来ていた。
…しかし、「女装した主人公が前作ヒロインから誠を寝取る」とはさすがに予想の斜め上である。
しかもこのようなエロシーンが全体の3分の1を占める有様では「クロスゲイズ」と揶揄されても仕方がない。
ゲーム本編でも18種類あるエンドのうち11個に辿り着く難易度が半端無く高く、オフィシャルで攻略チャートが発表される始末。
その攻略チャートがバグで使えずユーザーに修正されるというオチまで含めてさすがのオーバーフローである。
このようなソフトを初回限定版ではフルプライスを遥かに上回る13440円で売り、
しかもアクチ付きで中古に売る事も出来ない為、被害者は泣き寝入るしか無いという極めてタチの悪いクソゲーであった。

なお、3月には無料DLソフトで話題となったが「無料の風俗入ったらモンスターハウスだった」『se・きらら』も発表された。
トレース疑惑で一時配信が停止した事も含めて「安かろう悪かろう」とはよく言ったものである。

この頃から未発売のあるソフトが(悪い意味で)脚光を浴びる事となる。
biscottiから発表された『Floating Material -The hill where the star born-』である。
オープニングムービーに他メーカー作品の背景を流用してる事に始まり、そこから
「他メーカーやwikiからキャラ紹介文のパクリ」「HP素材のパクリ」
「ストーリー概要・セリフのパクリ」「CGのトレース」
と、調べれば調べるほどオリジナルが無い有様で、検証wikiも作られ日々パクリ元が明らかになっていった。
唯一パクリ元が見つからなかったヒロイン・霧崎伊歩のパッケージ絵は「ホウキを持ったような立ち方」だった事から「エア箒」と呼ばれた。
なお、これらが発覚したのは全てゲーム発売前の話であり、延期の末4月に発売されたソフトは凡作に成り下がり祭りは終焉した。

スタートこそそれなりのクソゲーに恵まれたが、ここから夏に掛けては
「前後おォォン♪」
「勃起ン勃起ンの、ボッキンボッキンスティック☆」
「おっぱい~~~ん♪♪ぷるぷるぷるゥ~~~ン♪♪」
と、ラブコメ期待したらバカゲーだった『色に出でにけり わが恋は』
「4話完結」の推理モノなのに3話までしか無い状態で発売、
犯人選択を間違えようがお構い無しに正しい犯人を捕まえるアーベル2作目『デュアル・エム―空の記憶―』
パッケージに居る5人のうち1人は攻略不可でサブキャラと結ばれ、
もう1人は主人公の女装で登場すらしない『げきたま! ~青陵学園演劇部~』
「ジュブナイル・ホラー・アドベンチャー」と大そうな看板を掲げるもホラーとしては怖くなく、
むしろ「絶対に殺す……ぶっ殺す……」といった音声がエンドレスリピートするバグの方が怖い『この歌が終わったら -When this song is over-』
フルプライスにも関わらずフルインストールで468MB、
漫画『西洋骨董洋菓子店』からの設定・ストーリー丸パクリな『ふぇいばりっとSweet!』
と様々なソフトが発売されるも、大きな話題にはならないまま季節は過ぎていった。

本数はそれなりだが突き抜けたクソは無い、とスレも過疎る中あるソフトの選評が届く。
Purplesoftwareが立ち上げた新ブランド「Purplesoftware delight」より発売された『Orange Memories』である。
ヒロイン5人が最初から好感度MAXで
○再会からずっとベタベタ、3日目で当直室に主人公を連れ込み泊り込みでHする教師
○他のヒロイン3人と結託して主人公を殴り、気絶させた上で保健室でH(未遂)する生徒
○ツンデレのデレをほとんど見せないまま、足を捻挫して保健室に連れてもらっただけで即落ちする生徒
と、我先にとあっさり股を開く。
共通ルート内では全員とHが可能で、既にH済みのヒロインが主人公を取り合ってる他のヒロインの処女喪失に協力するという辻褄の合わなさも見せる。
個別ルートは「起承転結」の「起」と「結」のみで意味不明な上、ヒロインの1人はストーリー上必須なHシーンを
「昨日のこと、とは、もちろん、後夜祭でのエッチのことだ。」
の一文であっさりと飛ばされ、パイズリのみで挿入すら無くエンディングを迎える。

「萌えとHに特化した新ブランド」とはメーカー側のコメントだが、そのエロはほとんどがCG1枚のみで終わる薄さ。
数少ないCG2枚のHシーンも回想モードではわざわざ2枠に分けて水増しをしてる為、ただでさえ薄いエロがさらに薄くなっている。
挙句の果てには回想モード未収録のHシーンがあったりと、萌えゲーとしても抜きゲーとしてもまるで使えない代物となってしまった。
訓練された紫信者をして「いつもの紫未満」「紫ワースト作品を更新」と揶揄されてしまった本作だが、それに追い討ちを掛けるように次のような報告が届く。
「音声ファイルを展開したら未使用のエロボイスが出てきた」
つまり、CGが間に合わなかった為にそのイベントごと削除した未完成品を販売していたという事となる。
このような未完成な粗悪品を売って大喜び(delight)なのは金が入るメーカー側だけであろう。

年末の魔物に怯え始める時期を迎えつつあったが、
今度は3ヶ月のブランクで発売もヒロイン1人分のルートを丸々パッチで追加、
『恋刀乱麻』で不評だったミニゲームの種類を増やすも全部つまらなくやはり不評だったアーベル3作目『萌恋維新!アタシら、じぇいけー、新閃組!』
延期を9回もしといて発売日にシステム周りの修正パッチを配布、延期の間何をしてたのか問い詰めたい『星空へ架かる橋』
スペック十分でもPC環境次第では起動すら出来ず、ゲームが起動させるまでがゲームな『普通じゃないッ!!』
程度で、極めて静かなまま年末を迎えた。

そして12月、ある意味「予想通り」な所と「予想外」な所からクソゲーが湧き出してきた。
まずは予想外なところ、新規ブランドHammerheadsから発売された『熟処女~私、はじめてなんです~』である。
このソフトはDL発売で2940円、パッケージ版でも3150円のロープライス商品であり、プレイヤーも多少はハードルを下げる傾向がある。
しかし、本作はその低いハードルに見事引っかかった、というか飛ぶつもりも無くハードルを破壊した。
エロシーン内で
「ひっかかかかかか ひっ か か んふ ひっか かれて うふっ テイクツー」
と堂々とNGシーンを収録しているのに始まり、”東海林”香奈とセックスしてたのに
「谷原さんの膣内、もう奥まで熱くなってますね……」
「谷原さんがこの間よりも……締まってるんですよ」
と、本作には全く出てこない「谷原さん」なる人物が登場する。
「谷原さん」を検証した結果、ミュスカデの熟女ゲー『熟恋願望』からエロシーンを丸々コピペしてる事が判明。
エロシーン以外でも立ち絵は各キャラ1枚だけ、選択肢も終盤に1つだけ、設定上居るはずの旦那は作中で一度も登場しないと手抜き感甚だしい。
この程度の出来にも関わらずなぜか一度延期している本作、その期間中に一言「谷原さんって誰?」と問う人は居なかったのだろうか・・・

『戦極姫』有するげーせん18の『三極姫 ~乱世、天下三分の計~』も予想通りのクソであった。
「ソフマップ特典の卑弥呼パッチをいれるとメインイベントフラグが潰される」「主人公の銀河が登場せず1~数ターン内に強制ゲームオーバー」
「劉備が健在なのにいきなり馬超が君主になる」「CPUが薊県を攻めると強制終了」
などと、戦極姫1を思い出させるバグを見せるものの、上記のバグは年内に出されたパッチであらかた解消された。
しかし、バグが消えて残ったSLGパートは随所にストレスの溜まる作りで、非公式の倍速ツールを使ってようやく快適という状態。
「勝利しても逃げ場がある限り武将は死なない・仲間にならない」
「戦闘終了すると兵数は全快」
という仕様の為、行き止まりに追い詰めるまで全く同じ相手と何度も戦いを強いられる。
ADVパートも戦極姫と同様にライター・原画家を多数使っている為、主人公は多重人格者だしCGはもはや立ち絵とは別人のように変わってしまっている。
2008年に次点となった戦極姫は過去作品の「天下統一」をパクッた結果
「システムも普通のPCゲーから持ってきた分、ゲームとしてはそこらの下手なものよりよっぽど遊べる」
と評価されたが、三極姫がパクッたのは元々クソゲー扱いだった「三国志英雄伝」であり、クソを料理してもやはりクソであるという至極当然の結果であった。

クリスマスイブには「未完成」がテーマとなってしまった今年のKOTYを締めくくるべく『まるめる ~ソウシンシャは@未来~』が登場。
これまで「4話構成作品の第4話」「ヒロインルート丸々1つ」と、本来最初からあるべき内容を「アドオンプログラム」として追加してきたアーベル作品だが、
本作では「立ち絵・セリフ横の顔の表情差分」と、なぜそれを後付けにしたのか全く分からない状態での発売。
過去の自分にメールを送ることで新たな選択肢が生まれる「メール送信システム」が本作のウリなのだが、
「回避不可能のバッドエンドを迎える→メール送信で新たな選択肢→また別のバッドエンド→メール→・・・」
を繰り返し、最終エンドまで17個ものエンディングを全て「強制的に」「順番通り」見せられるという仕様である。
その17個のエンディングも
「浴衣を褒めなかったらヒロインがヘソを曲げてエンド」
といった理不尽なものばかりである。
この『まるめる』を発売したのは3ヶ月前に『萌恋維新』を出したばかりのアーベルソフトウェアであり、
2010年KOTYスレに途切れる事無く話題を提供し続けたアーベル4作品は「アーベル四天王」と称された。

以上を踏まえ、最終ノミネートに残った入選作は

出すゲーム全てが未完成、『MQ』から数えれば5連続でクソを投げつけたアーベル四天王から『恋刀乱麻~わたしが、アナタを、守るからっ!!!』
高価なソフトにアクチと逃げ道を無くした上で予想の斜め上を投げつけて祭りとなった『Cross Days』
低価なソフトもコピペで既視感を与えた上で予想外の「谷原さん」を登場させて祭りとなった『熟処女~私、はじめてなんです~』
有料デバッガーに頼るのももう何度目か、戦極姫からゲーム性まで取り去った『三極姫 ~乱世、天下三分の計~』

そして大賞は、特化したはずの萌えとHが致命的でブランド信者からも見捨てられた挙句「未完成」というドラまで乗った
『Orange Memories』
とする。

2010年は壮絶なバグゲーは影を潜め、多くの「未完成ゲー」が列挙される年となった。
「パクリゲー」「ヒロイン詐欺」も数多く見られ、「未完成」と合わせてメーカーのモラルが問われる年であったと言えるだろう。
そんな中、メーカーが推している「萌え」も全く味わえず「エロ」は激薄と見事にプレイヤーの期待を裏切り、
未完成である事を差し引いても十分なクソであった事から『Orange Memories』が大混戦をハナ差で抜け出した。
12月発売の『熟処女』を除いて入選作は少なからずパッチで対応をしているのに対し、『Orange Memories』は9月発売で十分な時間はあったにも関わらず
パッチはおろか発売後ソフトのHPやブログは一切更新せずに新作を発表するという見捨てられっぷりがあった事もここに補足しておく。

最後に、大賞こそ逃したものの1年で4本ものクソを投下しクソゲーマイスターの座を揺ぎ無いものとし、
2011年も1月からいきなり姉妹ブランドからソフトを発売したアーベルソフトウェアの社長・菅野ひろゆき氏に
以下の言葉を贈ることを挨拶として2010年クソゲーオブザイヤーinエロゲー板を締め括ろうと思う。

『おまえは今まで出したクソゲーの本数をおぼえているのか?』



過去のコメントはコチラ
最終更新:2014年08月02日 15:46