2010年 総評案7

総評案7:大賞 色に出でにけりわが恋は(本スレ10本目700氏)

700 名前:総評案1[sage] 投稿日:2011/02/08(火) 00:36:50 ID:fJQYwlgN0
2008年、「魔法少女アイ参」と言う名の核弾頭がエロゲ界を焼き払った
2009年、「りんかねーしょん☆新撰組っ!」と言う名の化学兵器がエロゲ界を不毛の大地とした
そして2010年、今度はどんな脅威がエロゲ界を襲おうと言うのか・・・

年が明けてすぐの1月、2010年最初に着弾した作品は「鬼まり。~鬼が夢見し常の世に、至る幼き恋の始まり~」(130㎝)だ
「純愛ゲーと見せかけた鬱ゲー」として名を馳せた前作「鬼うた」のファンディスクにあたる今作
ファンディスクとは本来書いて字のごとく、ファンの為に作成されるべき物
しかし今作は本編2ルートのみで、OP/EDムービーを除いてskipで十分かからず終了するシナリオ量と、
ファンディスクなのにまさかの本番H1回だけと言う、そのファンですら驚愕すべき内容であった
この「鬼まり」を皮切りに、まさか2010年が昨年までを越えるクソゲーの絨毯爆撃に見舞われる事になろうとは誰も想定してなかった

その絨毯爆撃に相応しく、2月は
「戦極姫2 ~戦乱の世、群雄嵐の如く~」(げーせん18)
「オレの妹のエロさが有頂天でとどまる事を知らない」(ZERO)
「恋刀乱麻 ~わたしが、アナタを、守るからっ!!!~」(アーベルソフトウェア)
と、いきなり3作ものクソゲーに襲撃された

2009年度家庭用KOTY大賞を受賞した戦極姫にエロを追加した「戦極姫2」
前作同様相変わらずのバグと不親切設計であったが、前作よりはおとなしめであった
しかし結局クソゲーであることには変わらず「-100点かと思ったら-10点でほっとしたけど、よく考えてみたらマイナスなことに変りない」とは本スレ住人のお言葉

某ラノベの人気にあやかったようにしか見えない名前とパッケージで話題を呼んだ「オレの妹のエロさが有頂天でとどまる事を知らない」
このゲームはOHPに「純愛に限る」という煽り文句を書いてありながら、その実態はトゥルーエンドがバッドエンドにしか見えない内容であり、
あまりの救済のなさに「バッドエンドが一番幸せ」と評価されたほどであった

昨年の次点作品「MQ~時空の覇者~」と同じライター同じメーカーの作品であり、発売前からクソゲーを予感されていた「恋刀乱麻」
戦闘システムである「五行バトルシステム」が限りなく運任せじゃんけんのようなゲームで、一戦ごとに数分間クリックしつづけるだけの苦行という
予想を裏切らない結果となった

年度末の3月にも「CrossDays」(オーバーフロー)と「se・きらら」(Maxfactory)と、2作着弾

「CrossDays」は「鮮血の結末」でおなじみの「School Days」、ギガパッチで嘆きの声を轟かせた「Summer Days」の流れを汲むDaysシリーズの最新作として発売された
前2作の事があり、ユーザーにもある程度の覚悟があったと思われていたが、まさか主人公が女装して前作の主人公を寝取る内容が全ルートのうち半数を占めてる
とは誰が想定できただろうか
バッドエンドも「不良に監禁されて自暴自棄になり自分のチンコをフェラしながら終了」「「Theガッツ!」のタカさんばりのマッシブ女と
絶頂の瞬間にゴエモンインパクトのような顔になる女に逆レイプされる」と心を折る内容だった

フルプライズ作品同様のボリュームを持ちつつも無料配布するというかつてない商法が話題を読んだ「se・きらら」
だがシナリオの半数が怪作と呼んでいい内容であり、真ルートでは
「主人公が元の世界に帰り、ヒロインの存在はなかったことにされ、主人公も同様。しかも男の>悪友キャラも死ぬ」という救いのない話
しかし無料であったためにスレ住人も扱いに困り、「無料なので仕方ない」という声も上がった


そして新年度となる4月も3月と同じく「色に出でにけりわが恋は」(ういんどみる)、 「Floating Material -The hill where the star born-」(biscotti)の2作が着弾

「色に出でにけりわが恋は」はアニメ化作品もあり、萌えゲーメーカーとして名を馳せてるういんどみるからのまさかのエントリー
ヤマもなくオチもなく、ただ長いだけのつまらないシナリオに100を超える選択肢
そして主人公を含む登場人物たちのあまりにも気持ち悪すぎる言動と行動の数々
風呂場で入浴中の主人公の前で、全裸で腰を振りながら「前後ぉぉぉん♪」と言いながら踊るヒロインの光景には唖然としか言いようがない
これがまだヒロインのルート固定前の共通というのだから驚きである
クソゲーが出にくいといわれてるADV作品でありながら、「プレイすること自体が苦痛」と言わせしめる内容であった

「Floating Material」は2010年悪い意味で最も有名になった作品でないかと思われる作品だ
ゲームが発売される前のムービー、体験版からあれよあれよと発覚されて行くパクリやトレースの数々
最終的には「シナリオ ウィキペディア 背景 Google画像検索」とまで言わせしめた
だが1ヶ月延期を経て発売された本作は、トレースやパクリは影を薄めて、駄作レベルまで向上してしまいクソゲースレとしては残念な結果となってしまった

5月は2010年度唯一の安息月であった
しかし1年を通してクソゲーが出なかった月が5月のみだったというのも考え物である

そして1ヶ月の休憩を挟み6月、2月に「恋刀乱麻」を発売したアーベルソフトウェアから「デュアル・エム―空の記憶―」が着弾
本格推理ADVをうたいながら、消去法で容易く犯人を特定できるなど、推理の意味を成さないかつ投げやりな1本道シナリオ
4話完結なのに、4話目を後日アドオン配布という未完成商法
開発・発売間隔の短さから危惧されたとおりのクソゲーっぷりであった


季節は各地で記録的な猛暑で世間を騒がせた夏に入り、7月「げきたま! ~青陵学園演劇部~」(CASSIOPEIA)が着弾
パッケージには5人のヒロインが描かれているが、その内の1人が攻略不可なサブキャラ、もう1人が作中未登場の主人公の女装姿
サブキャラが描かれてる事には憂慮の余地はあるが、主人公の女装姿は全くの意味不明であり、パッケージだけ見て購入したユーザーが混乱した事は容易に想像がつく

8月、新規ブランドhourglassから「この歌が終わったら -When this song is over-」が着弾した
ジュブナイル・ホラー・アドベンチャーというジャンルで発売された本作だが、ホラーとしては別に怖くなく、物語の後半どこに逃げるかをセーブロードを繰り返し選び続けるだけという適当な作りになっている
むしろロード後に「解散、お疲れ様でした」「至らぬ事でもうしわけありません」 「絶対に殺す……ぶっ殺す……」といった音声がエンドレスリピートするバグの方が怖いという本末転倒となった
しかも序盤の選択肢で「お守りを買う」を選択してないとどうあがいてもBADエンド直行という理不尽な選択肢も用意された

暑すぎた2010年の夏が終わったにも関わらず残暑が厳しい9月に入り、「Orange Memories」(Purplesoftware delight)が着弾
「色に出でにけりわが恋は」のういんどみると同じく萌えゲーメーカーの老舗Purplesoftwareの姉妹ブランドからのエントリーとなる
Hシーン主体の通称抜きゲーとして発売されたにも関わらずエロが薄い&少なく、ストーリーも唐突に終わるなどボリュームに不満が残る内容となった
それもそのはず、内部に残存していた未使用音声が発見され、実は未完成だったことが明らかに
「大喜び(delight)なのはこんな未完成品でも金が入るメーカー側だけであろう」と皮肉を言われても仕方がない

10月には「普通じゃないッ!!」(ALL-TiME)がアブノーマルに着弾
内容はともかくシステム周辺が酷く、要求スペックにつり合わないUI 、エラーでの強制終了、音が出ないなどのバグ
そして何より使ってるPCの環境次第では起動すらできない、まさにタイトル通り普通じゃない作品となった



ここまで月一ペースだったクソゲー絨毯爆撃も年末が近付くにつれその数を増やし、11月には「JINKI EXTEND Re:VISION」(戯画)と「なないろ航路」(Journey)の2作が着弾

この業界では珍しい漫画作品である「JINKI」の輸入作品である「JINKI EXTEND Re:VISION」
原作者が原画を担当し話題を呼んだが、ただでさえ原作の第2部からスタートするので原作を知らない人は置いてけぼりになるのに、新キャラや専門用語も何の説明もなく普通に出てくるのでさらに置いていかれるシナリオ
さらにその原作を読んでいたとしても、本編がまだ未完結だから適当にお茶を濁したとしか言いようがない茶番劇を見せられ、原作者が絡んでいながらなんでこんなになったんだと言わざるを得ない作品となった

「なないろ航路」は体験版の出来が非常によく、良作を期待されていた作品であった
だが実際に発売された本作は、主人公が神のフェロモンでモテモテのご都合主義、世界各地の要人の娘を乗せた豪華客船なのにセレブらしさが全く無し
それどころか船内の様子、ボディガードや船のクルーすら存在を感じさせない上、怪しい遭難者を見つけた時はセレブ生徒が交替で見張るなどの、
そもそも豪華客船なのかすら疑わしい適当な設定の作品となってしまった

12月、また悲しい季節がやってきた
そう2010年もやってきてしまった年末の魔物
年の終わりにやってきたのは、
「熟処女~私、はじめてなんです~」(HammerHeads)
「アザナエル -AXANAEL-」(ニトロプラス)
「三極姫 ~乱世、天下三分の計~」(げーせん18)
「まるめる ~ソウシンシャは@未来~」(アーベルソフトウェア)
と、ここに来て怒涛の4連続着弾
これはもう「年末の魔物」ではない、「年末の魔物の群れ」だ

低価格ソフトとして発売された抜きゲー「熟処女」
抜きゲーとして発売されたにも関わらず、肝心のHシーンで「ひっかかかかかか ひっ か か んふ ひっか かれて うふっ テイクツー」というNG音声が混入していたり、
他作品からコピペしたであろうHシーンと、そのコピペ元からの変換忘れた「谷原さん」なる本作に登場しない人物がエロシーンに登場したりと萎えること甚だしい



さらに2008年の2chベストエロゲの「スマガ」を製作したチームの最新作である「アザナエル」
発売前から公式サイトでも情報を出し渋り、さらに体験版を出しつつも購入予定者は体験版非推奨としたり超強気な宣伝をしていた
そしてついに発売となったが、状況に流されるだけで魅力がない主人公達、シリアスに見せかけたほぼ全編ギャグシーン、ゲーム内時間の短さから来る無茶苦茶な時間配分と散々な内容であった
さらにこのゲームは428とそっくりなザッピングシステムを採用しているが、選択肢が無い、主人公達の視点の共有が多いなど、ザッピングシステムのいい所を生かせてないどころか完全に殺してしまっている

「三極姫」はKOTYではすっかりお馴染みとなったSSαエロ部門のひとつげーせん18が「戦極姫」シリーズに続き、舞台を三国志へと移した新作だ
システムが異なり簡素化されているのもあって、「戦極姫」に比べて致命的なバグは少なく幾分マシになったが、
それでもシナリオ、キャラ、グラフィックの不整合やフラグ管理の甘さなど前作のシステム面以外の悪い部分も引き継いでおり、全般的に細かく問題点をを重ねた万編ないクソゲーとなってしまった

「恋刀乱麻」「デュアル・エム」と、今年すでに2本ノミネートされているアーベルソフトウェアから3本目のノミネートとなる「まるめる」
この他にノミネートはされなかったが、内容は十分駄作といえるレベルであった「萌恋維新」と合わせて「アーベル四天王」としてスレを1年間盛り上げる一翼を担ってくれた
「過去の自分へとメールが送れる携帯によって周回プレイでストーリーが変化する」という設定であるが、別に「メール選択次第でさまざま結末に辿りつく」ようなマルチシナリオなゲームではなく、
「TRUEエンドに辿りつく為にはそれ以外の17個全てのエンディングを順序通り見せられる」だけのただの一本道シナリオであった


以上、1年間で19本ものクソゲーラッシュにより、ついにエロゲ界はクソゲーにて完全包囲されてしまったのであった
そんな中でも、頭1つ抜き出ていた
最悪の斜め上を想定していたら、それを遥かに上回っていた「CrossDays」
発売前から多数のパクリ、トレースを指摘され、各所を賑わせた「Floating Material」
未完成な上、推理させる気が無い推理ゲー「デュアル・エム―空の記憶―」
抜きゲー改め萎えゲーとなってしまったテイクツー「熟処女~私、はじめてなんです~」
の4本を次点として、
萌えれない、笑えない、ただキモくて長いだけとなった「色に出でにけりわが恋は」を大賞とする

2010年は特出したクソゲーはなかった物の、全体的に小粒でありながらも数多くのクソゲーが発売された
正直な所どれが大賞を取ってもおかしくなく、「大賞なし」「複数大賞」でもいいのではと言う声も上がった
そこで自分が注目した所はこの絨毯爆撃の中、最も被害が大きかったのはどこだろうという事だ
「CrossDays」のオーバーフローや「デュアル・エム―空の記憶―」等のアーベルソフトウェアは今までの悪行から最初から期待されはいなかった
「Floating Material」はパクリ、トレースのまとめが動画サイトで上がったり、発売前から既に昇天状態
「熟処女」は最初から狙ってる層が決まってて、購入者が限られていた
そこを行くと「色に出でにけりわが恋は」はどうだろう
人気絵師、人気声優、人気歌手を揃え、体験版もキャラ達がキモくなる前に終わり、その上萌えゲーメーカーとして安定した実績があるという事で購入者が増え、その分被害が甚大となった
シナリオとキャラのキモさ以外のすべてが高品質で整っているのに、その2点が絶望的過ぎるという、純粋につまらなさの一点突破というスタンダードタイプのクソゲーと呼んでいいのではないだろうか

2011年はこんな毎月のように嘆きの声が上がるような事がない1年になって欲しいものである

それでは最後に、大賞となった「色に出でにけりわが恋は」よりメインヒロインの一番の有名となったセリフを借りた一言で締めたいと思う
「キャラクターだけではなく、メーカー自体が前後不覚に陥らないで下さい」



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最終更新:2014年08月02日 15:53